ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い 作:真仁
『魔の13階段』の噂の真相を確かめる為、実在しない女生徒『仮野 つかさ』に姿を変え音ノ木坂学院に潜入した束。
しかし潜入して早々に穂乃果に見つかってしまう。
穂乃果「あれ〜?あなた2年生?見た事あるような・・・ないような?」
つかさ「き、気のせいですよ。ほら!クラスが違うから!」
穂乃果「なるほど!そういう事か!」
束(バカかコイツ・・・)
つかさ「えっと・・・私用事があるので失礼しまーす・・・」
穂乃果「あ、ちょっと待って!お名前、教えてよ!私は高坂穂乃果!あなたは?」
つかさ「あ、えっと・・・仮野、つかさです」
穂乃果「つかさちゃん?私のお兄ちゃんと同じ名前だね!なんか親近感湧いちゃうな〜!」
つかさ「ははは・・・」
まさかその本人に話をしているとは夢にも思わない穂乃果は話し出して止まらなくなる。
穂乃果「・・・でさ、穂乃果のお兄ちゃんったら色々うるさいんだ。宿題は自分でやれー!とか太るから間食はするなー!とかさ」
つかさ「・・・へー、そうなんですか・・・」
穂乃果「あれ?つかさちゃん⁉︎なんか目が怖いよ⁉︎」
つかさ「ふふふ・・・気のせいですよ・・・」
そんな話をしていると、ことりが手を振りながらこちらにくる。
ことり「穂乃果ちゃ〜ん!お待たせ〜!・・・あれ?穂乃果ちゃんのお友達?」
穂乃果「ことりちゃん!こっちは仮野つかさちゃん、さっき会ったばっかなんだ!」
ことり「つかさちゃん?穂乃果ちゃんのお兄さんと同じ名前だね!」
つかさ「よ、よろしくです・・・」
つかさ(どうしよう・・・逃げられない・・・こうなったら!)
つかさ「あー!ラン○パックとチーズケーキが空飛んでる!」
穂乃果&ことり「えっ⁉︎」
つかさ「今だ!」
つかさは慌ててその場を逃げ出す。
穂乃果「ラン○パックどこー!ってあれ?つかさちゃーん?」
ことり「いなくなっちゃった・・・」
なんとか2人を巻いたつかさ。
つかさ「ここまで来れば大丈夫・・・うわっ!」
後ろを気にしながら歩いていたつかさは誰かにぶつかってしまう。
「ゴメン!大丈夫かい?」
つかさ「は、はい・・・ってあれ?男の人?」
「ああ、自分は修理業者の人間だからね。ほら、講堂で窓ガラスが割れたり壁に焦げた跡があったろう?」
つかさ「あー、あの時の・・・」
暴走発電機との戦いを思い出す束。攻撃を躱す為とはいえだいぶ建物を傷つけた。
修理業者「だいぶ広い範囲だったけどもう終わるよ。やっぱ綺麗な方が気持ちいいからね」
つかさ「そうですね。ありがとうございます」
修理業者「お礼なんていいよ。仕事だからね。それじゃ」
男性は大きな板を軽々と持ち上げていってしまった。
つかさ「凄いなぁ・・・あんな大きな板を・・・ってそうじゃなかった!階段の怪談の事・・・」
つかさは改めて調査を再開しようとするが・・・
「待つにゃー!」
誰かがこちらに向かって走ってくる。
つかさ「この一度聞いたら忘れられない語尾は!」
凛が花陽と一緒に猫を追いかけている。
凛「こらー!泥棒猫ー!かよちんのおにぎりを返すにゃー!」
猫の口にはおにぎりの包みが咥えられており、2人から必死で逃げている様子だった。
花陽「あ!そこの先輩!その猫の逃げ道を塞いでください!今すぐ!早く!」
つかさ「え?あ、はい!」
普段からは想像もつかないような気迫で指示する花陽に圧倒され、つかさは猫の前に立つ。逃げ道を失った猫は引き返そうとするがそちらも凛と花陽に塞がれてしまう。
花陽「ふふふ・・・もう逃げられませんよ。さあ口に咥えているものを渡しなさい!」
つかさ「花陽ちゃん?それ悪者みたい・・・」
凛「さあ、お前の罪を数えるにゃ!」
つかさ「凛ちゃん?いつから探偵に?」
追い詰められた猫は意を決したかのように凛の方に突っ込んでいく。
つかさ「えっ⁉︎」
凛「飛んで火に入る夏の虫にゃあ!・・・へ、へっくしゅん!」
猫が突っ込んだ途端、凛のくしゃみが止まらなくなる。
つかさ「なんだ⁉︎どういうんだ⁉︎」
花陽「凛ちゃんは猫アレルギーなんです!」
つかさ「えええっ⁉︎あんだけにゃー!にゃー!言っといて⁉︎」
猫は凛の横をすり抜け近くの倉庫に入っていく。
花陽「花陽のおにぎりが!」
つかさ「もう、良くない?おにぎりなら買ってあげるから・・・」
花陽「何を言ってるんですか!目の前のご飯を諦めるなんて出来ません!手が届くかもしれないのに手を伸ばさなかったら一生後悔します!だから手を伸ばすんです!」
つかさ「もうメダルの力を借りてきなよ・・・」
つかさはゲンナリしながら答える。
凛「ハックシュン!凛も手を貸すにゃー!」
『右手』をグルグル回しながら凛も張り切る。
花陽「という訳で先輩も力を貸してください!」
つかさ「うええっ⁉︎私も⁉︎」
花陽「ライバーは助け合い、ですよ!」
つかさ「私ライバーじゃないし!」
倉庫内
つかさ「猫ちゃーん、出てきてよー・・・」
倉庫内を手分けして探す事になり、つかさは猫の入れそうな隙間を探す。魔法を使えば手っ取り早いのだが使ったらこの変身の維持も難しくなるので使えない。
つかさ「どこかな・・・ん?あ、いた!・・・あ」
猫の姿を見つけたつかさだったがそこには1匹だけではなく・・・
つかさ「こどもがいたんだな・・・ご飯を取りに行ったのはそういう事だったのか」
つかさはチラッと花陽達の方を見る。猫はつかさを見ながら教えないで欲しいと言ってるのかニャーニャー鳴いている。
つかさ「大丈夫、任せて」
つかさは猫にそう言ってウィンクをする。
凛「あ!いたにゃー!」
猫が倉庫から逃げるのを凛が見つける。おにぎりは咥えていなかったが、先ほどに比べて動きが鈍くすぐに捕まってしまった。
凛「捕まえたよ猫ちゃん!さあ、かよちんのおにぎりを返して・・・あれ?くしゃみが出ない?」
いつもなら近くに来るだけでもくしゃみが出るのに今は抱き抱えてもくしゃみが出る気配がない。
凛「どういう事?」
「俺が知るか」
凛「・・・え?」
突然聞こえた声に凛が戸惑っているとまた声が。
「そろそろ離してくれないか?苦しいんだよ」
凛「この声・・・離してってまさか・・・」
凛は恐る恐る猫の顔を覗き込む。
「何だよ、人の・・・じゃなかった猫の顔ジロジロ見んなよ」
凛「・・・し、喋ったぁぁぁっ⁉︎」
驚きのあまり猫を離してしまう凛。猫はスッと降りると凛の方を向いて一言。
「おにぎり、ご馳走さん。それじゃ」
そう言って猫は去っていった。
そこに凛の声を聞いてきた花陽が到着する。
花陽「凛ちゃん⁉︎どうしたの⁉︎何があったの⁉︎」
凛「ね、猫が・・・猫が喋ったにゃぁぁぁ・・・」
花陽「ネコガシャベッチャッタノォッ⁉︎」
そんな2人の様子を影から見つめる猫。やがて光に包まれると人間の姿に変わった。
束「やれやれ・・・」
ふと束が目をやると猫がこどもを連れて学校の外へ歩いていくのが見えた。猫達が出ていくのを見送ると束も静かにその場を後にした。
一応つかさちゃんの容姿イメージはサンシャインに登場した音ノ木坂生でやってます