ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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休日中に書き上げたかったので・・・
タグの たまに真面目 を かなり真面目 に変えようか悩んでます。という訳で内容の薄いバトルパートです。


第4話 START DASH その3 “fromファーストライブ”

束「くっ!」

穂乃果達のライブが始まろうとするその頃、束は講堂の電力を吸い取ろうとする魔力憑き発電機に苦戦していた。

発電機はついているコードをムチのように振り回し束を寄せつけない。

束「せめて配電盤に刺さってるコードだけでも何とかしないと!」

束は発電機の側面に回り込むが振り回されるコードに邪魔をされる。束は魔法でゴム手袋を出すと両手にはめてコードを掴む。

束「捕まえたぜ!ゴムは電気は通さな・・・ギャアアアッ⁉︎」

発電機はそんな束の策をあざ笑うかのようにコードから放電し束を感電させる。いくらゴムが絶縁体とはいえあまりに強力な電圧の前では完全にシャットアウトは出来ないのである。それでもゴム手袋をしていて感電した直後に反射的に手を離してなければ完全に即死だったのだが。

束「っぐぅ・・・。冗談じゃねぇ・・・俺は確かに焼き加減はミディアムよりウェルダンのが好みだが自分が黒コゲになるのはゴメンだぜ・・・」

感電の影響でよろめきながら立ち上がる束。ふと時計に目をやると時刻は3時55分を回っていた。

束「ライブ開始まであと5分・・・それまでに何が何でもアイツをどうにかしねぇと・・・!」

 

 

 

講堂 ステージ

穂乃果達3人はステージ上でスタンバイをしていた。未だに照明はついたり消えたりを繰り返している。その間隔も段々短くなってきており、先ほどは今までで一番長い時間照明が消えていたようにも感じた。海未とことりは不安を隠す事が出来ない。

穂乃果「大丈夫だよ」

そんな2人に穂乃果が語りかける。

海未「穂乃果・・・?」

穂乃果「お兄ちゃんが様子を見に行ってくれてるでしょ?だから、大丈夫」

ことり「でも・・・まだ帰ってこないし・・・灯はついたり消えたりしてるし・・・」

穂乃果「何とかしてくれるよ。お兄ちゃんだもん」

海未「何故ですか?どうしてそこまで束さんを信じられるんですか?」

穂乃果「何でって言われても・・・昔からそうだったから、かなぁ・・・」

穂乃果は困りながら答える。

穂乃果「お兄ちゃんを信じて・・・裏切られた事、無いんだよね。だから大丈夫!」

海未「穂乃果・・・」

ことり「穂乃果ちゃん・・・」

穂乃果「お兄ちゃんは私達に『負けるなよ』って言ってた。だから私達も負けないように頑張ろう!」

海未「・・・そうですね。ここで怖気づいてしまったら束さんに笑われてしまいます」

ことり「このライブは私達だけじゃなくて、穂乃果ちゃんのお兄さんにとっても大切なライブなんだよね・・・。ことりも、頑張ります!」

穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃん、行くよ!」

3人が覚悟を決めたのを見届けるかのようにゆっくりと眼前の暗幕が上がっていく・・・.。そこにいたのは・・・

ことり「・・・6人・・・?」

海未「あれは・・・生徒会長と副会長?それにあちらは・・・」

穂乃果「西木野さん・・・花陽ちゃんも友だちと一緒に来てくれたんだ・・・」

幕が上がった直後に絵里が口を開ける。

絵里「・・・これが現実よ。あなた達が真剣に準備を進めてきた事は知ってる。でもそれだけの事をしても、これだけしか集められなかった。・・・まだ、続ける気?」

穂乃果「・・・・・」

穂乃果は何も言い返す事が出来ず俯いてしまう。

海未「穂乃果・・・」

ことり「穂乃果ちゃん・・・」

絵里「もう、おしまいに・・・」

花陽「私は聴きたいです!」

突然花陽が大声で叫ぶ。その声に絵里は驚いて言葉を止める。

穂乃果「花陽・・・ちゃん?」

花陽「私は・・・聴きたいです!先輩達の歌!μ’sの歌が聴きたいです!・・・花陽は昔からアイドルが大好きで・・・それで今、自分の通う音ノ木坂学院にスクールアイドルが出来るって知って嬉しくなって!・・・だから・・・今この瞬間、たった一度切りでもいいんです!μ’sの歌を聴かせて下さい!」

穂乃果「花陽ちゃん・・・」

真姫「・・・そうよね。そうじゃなきゃ私も作曲した意味が無いし」

穂乃果「西木野さん・・・」

凛「かよちんが聴きたいなら凛も聴きたい!応援するにゃー!」

にこ「客が目の前にいるのにライブやらないなんてアイドル舐めてんじゃないの?」

絵里「ちょっとあなた達・・・!」

希「まぁまぁ、ライブが始まったら、音楽に気づいて人が来るかもしれんし・・・な?」

絵里「希まで・・・」

その場にいる人々の声を聞いて、穂乃果は再び顔を上げる。

穂乃果「・・・海未ちゃん・・・ことりちゃん・・・」

海未「いつでもいいですよ」

ことり「ことりも大丈夫!」

穂乃果「行くよ・・・。聴いてください!『START DASH!』」

 

 

 

 

・・・ライブ開始3分前、束は発電機のコード攻撃に苦しんでいた。先ほどの感電が尾を引きうまく動く事が出来ない。繋がっているコードから電力はドンドン吸い取られていく。

束「どうすれば・・・ん?まてよ?ヤツは講堂から電気を取っている・・・ッ!そうか!」

束は配電盤とは別に存在するもう1つのモノを思い出す。

束「これで・・・どうだ!」

束はすぐ側にあったブレーカーを手動で全て落とす。その瞬間、講堂内の全ての照明が消える。電気の流れが止まった為か、配電盤に繋がっていたコードから発電機内の電力が配電盤側に流れ出す。発電機はコードを配電盤から離して電力の流出を防ごうとする。

束「今だ!」

束はすかさず発電機に詰め寄り思い切りドアに向かって蹴り飛ばす。発電機は台車付きのタイプだった為蹴り飛ばされた衝撃で吹っ飛ぶ。束は靴底がゴムであった事や一瞬しか触れなかった為、感電には至らずそのまま魔法を使いドアを遠隔操作して開ける。

ドアが開いた事で発電機は部屋の外に飛び出した。束はブレーカーをすぐに戻すと部屋を出てすぐに魔法でドアに外側から鍵をかけた。

束「これでもう電気は食えねぇぜ。あとはお前が電気を全て放出するのを待つだけ・・・」

しかしその瞬間、食事を阻止された事が余程頭にきたのか発電機が2本のコードに電流を纏わせ、台車で移動しながら束めがけて突っ込んできた。

束「何⁉︎うおっ⁉︎」

突進を間一髪躱す束だったがコードに捕まってしまい・・・

束「ッ⁉︎しまっ・・・」

バチィィィッ!

激しい電流が束を襲う。電力の供給源を失った事から発電機から流れる電力も大幅に下がっていた為、黒コゲの感電死は免れたもののそれでも人体に影響を及ぼす程の電圧である。束は悲鳴を上げる暇も無くその場に崩れ落ち、動かなくなってしまった。

 

 

 

講堂 ステージ

束が発電機を配電盤から引き剥がした為、それまで起きていた照明や音響設備の不具合も解消されライブは問題無く進行していた。穂乃果達は今出来る最高のパフォーマンスを行う。そこには『学校を救いたい』とか『結果を残す』といった考えは一切入ってこない。ただ全力で今の自分に出来る事を、この限られた時間の中で今の自分の全てをステージの向こう側に伝える事のみ考えていた。

客席から見ていた6人も各々感じる事があったのかライブを誰も一言も発する事なく、ただただ見つめていた。

 

 

 

 

電流の直撃を受けてしまった束。意識は朦朧とし、身体は指一本動かない。

束(ああ・・・死ぬな・・・これ・・・)

少しずつ身体を覆っていくような冷たい感覚。今まで体験した事はないが直感でそれが『死』だと理解できた。

身体の全てが冷たい何かに覆われそうになったその時、何かが聞こえてきた。

 

I say...Hey,hey,hey,START:DASH !!

 

聞き覚えのある詞、聞き覚えのある旋律、そして・・・聞き覚えのある声。『それ』が何なのかを思い出した時、束は身体を覆う悪寒を振り払う。

束「俺があいつらに言ったんだ・・・負けるなって・・・だから俺も・・・負けてられるかよ!」

束は立ち上がる。自分を信じてステージで歌う『女神』たちの歌で自らを奮い立たせて。




次の話でこの回を終わらせたいですね

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