ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い   作:真仁

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ようやく9人出せました・・・


第4話 START DASH その2 “fromファーストライブ”

束「よし、準備OK!」

束はライブに使用する物で比較的大きめの物やかさ張る物をキャリーバッグに詰め込んでいた。穂乃果達は普通に学校である為、既に学校に行っている。そろそろ新入生歓迎会が始まる頃であろうか。

束「ぼちぼち出ますかね」

束はキャリーバッグを持ち、先日ことりから預かった関係者用の入校許可証を首からかけると家を出た。

 

 

 

音ノ木坂学院

既に新入生歓迎会は終了し、各部活の見学、体験会などが始まっていた。やはり運動部系や吹奏楽などメジャーな部活には人が集まり始めている。

穂乃果達もライブが始まるまでまだ少し余裕があるとの事でファーストライブの宣伝のチラシを配っていた。

海未「午後4時から講堂でライブやりまーす!良かったら来て下さーい!」

以前は恥ずかしがり声の出ていなかった海未もこの日は人一倍大きな声でチラシを配る。

束「頑張ってるな、海未ちゃん」

海未「束さん!」

そこに束がやってくる。

束「荷物持ってきたぜ。ことりちゃんに渡したからもう講堂に入ってる筈だ。穂乃果にも声を掛けたし、俺たちも行こう」

海未「そうですね」

 

 

 

講堂 控え室

束「おお〜、凄いな。まるでアイドルみたいだ」

穂乃果「アイドルみたい、じゃなくてアイドルなんだよ!」

講堂の控え室にて最後の衣装合わせを行う穂乃果達。ことりと穂乃果は既に着替えを終えて束にお披露目をしていた。

穂乃果「海未ちゃん、大丈夫?」

海未「は、はい!今行きます・・・」

着替え用の仕切のカーテンを開け、青色の穂乃果達とおそろいの衣装を着た海未が恥ずかしそうに出てくる。

ことり「海未ちゃん可愛い!」

束「てっきりスカートの下にジャージでも履いて出てくるんじゃないかと心配したが・・・余計な心配だったみたいだな」

海未(履いて出なくて良かったです・・・)

穂乃果「海未ちゃん!」

海未「穂乃果・・・へ、変じゃ・・・ありませんか?」

穂乃果「全然!すっごく可愛いよ!海未ちゃん!」

海未「穂乃果・・・」

束「あー・・・いい雰囲気のトコ悪いんだがそろそろリハーサルに移ってもいいか?」

海未「ッ⁉︎そ、そうですね!行きましょうか!ことり!」

ことり「え?待って〜海未ちゃん!引っ張らないで〜!」

顔を真っ赤にした海未はことりの手を無理矢理掴んでステージへと行ってしまった。残された束と穂乃果は・・・

束「穂乃果、海未ちゃんああゆうの慣れて無いんだから気をつけろよな?」

穂乃果「?なんのこと?だって海未ちゃんホントに可愛かったんだもん」

束「・・・恐ろしい娘だよ全く・・・」

 

 

 

ステージでのリハーサルと最終チェック。穂乃果の友人であるヒデコ、フミコ、ミカの3人も手伝ってくれたので予定よりも早く準備は完了したのだが・・・

ヒデコ「あ、また消えた・・・あ、着いた」

ミカ「さっきから照明が急に着いたり消えたりするよね」

リハーサルの終盤あたりから急に照明や音声機器が一瞬止まったりするようになった。本番直前という事もありステージに上がる3人にも不安がよぎる。

ことり「だ、大丈夫かなぁ・・・?歌ってる途中で止まっちゃったりしないかな?」

海未「言わないで下さいことり。大丈夫です、きっと大丈夫・・・」

2人の顔に不安の色が濃くなってきたのを感じた束は準備中のヒデコ達に向かって叫ぶ。

束「ちょっと電気の様子を見てくる!悪いけどココ、任せて良いか!」

ヒデコ「はい!お願いします!」

持ち場を任せた束はステージ上の穂乃果達の元へ。

穂乃果「お兄ちゃん!」

束「ちょっと電気の様子を見てくる。もし間に合わなくても照明とかはヒデコちゃん達がやってくれるから」

海未「束さん・・・!」

束「負けんなよ、お前達」

そう言って束は講堂を出ていった・・・。

 

 

 

講堂の電気の異変に対し嫌な予感を感じた束。その予感は的中し・・・

束「なんだよこりゃあ・・・」

束が目にした物は講堂の配電盤にコードを突き刺す小型発電機だった。配電盤に刺さったコードからは目に見える程の電流がバチバチと出ており、配電盤のメーターがみるみる内に下がっていく。

束「コイツ!発電機の癖に電気を食ってやがるのか⁉︎マズイ!このままじゃライブそのものが・・・!」

電気が止まってしまったら照明も音源も全て動かなくなってしまう。そうなればライブどころの話ではない。事態は一刻を争っていた。

束「くっ!コイツ!そっから離れろ!」

束は発電機を配電盤から引き剥がそうとするが・・・

バチィッ!

束「ぐっ⁉︎」

発電機自体が強力な電気で全身を覆っており、近づく事が出来ない。それはつまり、このままでは魔力憑きの対処法である『対象を両手で5秒以上触る』という事が出来ない事を意味していた。

束「さて・・・どう戦う?」

 

 

 

その頃、講堂の入り口のドアの前で真姫は迷っていた。

自分の作った曲が今日ここでスクールアイドルのライブとして披露されるのだ。どんな風に仕上がっているか気にはなるがどうしてもドアを開ける事が出来ない。そんな感じでずっとドアとにらめっこをしているとどこからかサングラスとマスクをした怪しい女生徒が隣に来てやはりドアの前で立ち止まる。・・・お互いがお互いドアを開けてくれるのを期待している為、お互いの事をチラチラ見合う。

真姫「・・・なんでこっち見るのよ」

「そっちこそ見てるじゃない」

真姫「そっちが見るから見てるんじゃない」

「ほら!やっぱり見てるんじゃない!」

真姫「今はそんな事どうでもいいじゃない・・・入りたいんだったら入れば?」

「べ、別に入りたくなんかないわよ!」

真姫「じゃあなんでドアの前でずっと立ち止まってる訳?」

「それは・・・あ、あんたこそ入りたいならさっさと入りなさいよ!」

真姫「は、はあ⁉︎わ、私は別に入りたくなんか!」

「じゃあなんでここでずっと立ち止まってるのよ!」

真姫「それは・・・その・・・」

ドアの前で2人が押し問答に禅問答を繰り広げていると・・・

絵里「あなた達・・・何やってるの?」

絵里と希の2人がやって来た。

真姫「あなたは確か・・・・生徒会長?なんでここに・・・」

絵里「スクールアイドルの活動が本当に意義のあるものかどうか見定める為にね。ま、この様子だと結果は分かりきっているでしょうけど」

周りを見ながら絵里はそう答える。実際、先程から彼女達以外誰も生徒はここに来ていない。

希「にこっちも下級生イジめたらあかんよ〜?」

にこ「イジめてなんかないわよ!」

にこと呼ばれた少女はサングラスとマスクを外して反論する。

真姫「え?上級生・・・だったの?」

よく見ると確かに制服に付いてる学年を表すリボンは3年生を表す緑色だった。

にこ「そうよ、先輩に対する礼儀ってのがなってないわね!」

真姫「いや・・・小さかったからてっきり同級生かと・・・」

にこ「ぬぁんですってぇぇぇっ⁉︎」

希「まぁまぁ。にこっちもこれから大きくなるかもしれんし・・・なぁ?」

にこ「どこ見て言ってんのよ!あんたにだけは言われたくないわよ!」

絵里「廊下は騒ぐ所じゃないでしょ。さ、講堂に入るならさっさと入って・・・」

「かよちーん!ほらほら!早く早く!」

絵里がいい終わらぬ内に遠くからドタドタとこちらに向かって走ってくる人影が・・・

花陽「凛ちゃん、待って〜!」

凛「あれ?なんか人が大勢いるにゃ〜?あ、西木野さんだ〜!西木野さんも先輩のライブ見に来たの?」

真姫「べ、別にそういう訳じゃ・・・!私が作曲したんだからちゃんとしたライブにしてもらわきゃ困るってだけなんだから!」

花陽「西木野さん、高坂先輩の・・・μ’sの為に作曲してくれたんですね!」

真姫「別に先輩の為って訳じゃ・・・。普段聴かない音楽も偶にはいいかなって、思っただけよ・・・」

そう言いながら真姫は目を逸らし、自分の髪の先を指に巻いてイジり始める。

凛(かよちん、コレってお兄さんの言ってた・・・)

花陽(照れ隠し・・・なのかなぁ?)

凛と花陽がヒソヒソ話しているとアナウンスが流れ始める。

『間も無くμ’sのファーストライブ、開演致しまーす!ご覧になる方は講堂までお急ぎ下さーい!』

絵里「さ、ここで話していても仕方ないわ。見るのであれば中に入りましょ」

そう言って絵里は先にドアを開けて講堂へ入る。他の面々もそれに続いて中へ入っていった・・・。




発電機の元ネタは完全にサンシャインからです。
あちらではライブを救う物として描かれていたので今回はライブを邪魔する物として出させて頂きました。

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