ラブライブ!side “M” お兄ちゃんは魔法使い 作:真仁
早朝、束は日課である店先の掃除をしていた。
束「う〜ん、いい天気だねぇ。今日も1日頑張るぞい!っと・・・ん?」
遠くからこちらの様子を伺う人影を見つける。
束「誰だ?こんな朝早くに・・・。おーい!隠れてないで出てこいよー!」
大声で呼びかけてみるが人影は一向に出てこようとしない。
束「ダンマリか。・・・仕方ない、遠隔射はあまり得意じゃないが・・・」
束は右手を前に突き出すと人影の方向へ向ける。
束「痺れるヤツ、頼みます!」
その状態で指をパチンッ!と鳴らす。その瞬間人影の隠れていた物陰でバチッ!という音がする。
「きゃあっ⁉︎」
その音に驚いて人影が姿を現した。
束「ん?君は確か・・・病院の娘さん?」
真姫「もー!何なのよ一体⁉︎」
束「あー、プラズマでも発生したのかねー?」
明後日の方向を見ながらすっとぼける束。
束「ところで病院の娘さんがどうしてこんな所に?」
真姫「その病院の娘って呼び方、やめてもらえないかしら。私には西木野真姫ってちゃんとした名前があるんだから」
束「じゃあこれからは真姫ちゃんって呼ばせて貰おうかな。で、その真姫ちゃんはなんでここに?」
真姫「そ、それは・・・えっと・・・」
此処へ来た理由を尋ねられると急に返事の歯切れが悪くなる真姫。
束「まさか告白とか?いやー参ったなぁ俺達まだ会って間もないのになぁ?さて返事はどうしようかなー?」
真姫「はあっ⁉︎そんな訳ないでしょ!あなたと私じゃ全っ然釣り合わないわ!自惚れるのも大概にしなさいよね!私が用があるのは高坂先輩の方よ!」
束「なぁんだ。そっか」
そう返しながら束はニヤリと笑う。
真姫「ッ!あなた・・・もしかしてわざと?」
束「さぁてね?案外ホントに気があるかもよ?ちょっと待ってな、今穂乃果を起こして・・・」
真姫「お、起こさなくていいから!ハイコレ!先輩に渡しといて!」
そう言って小さな包みを束に押し付けるように渡して真姫は逃げるようにその場を立ち去った・・・。
束「ちょっとやり過ぎたかな?しかしコレは一体・・・」
渡された包みを開けるとそこには一枚のCDが入っており・・・
束「コレってもしかして・・・おーい!穂乃果!寝てる場合じゃねぇぞ!」
起こされた穂乃果と束は部屋にあるパソコンを使いCDを再生する。そこには海未の書いた歌詞が音楽に乗せられた『歌』が入っていた。聞こえてくる歌声は聞き覚えのある声、真姫のものであった。
穂乃果「西木野さん・・・曲、作ってくれたんだ!」
束「しかしあの子を説得するとはな・・・どんな魔法を使ったんだよ?穂乃果」
穂乃果「えへへ、魔法なんて使ってないよ!・・・これが・・・私達の歌なんだね・・・!」
束「こんな良い曲作って貰ったんだ。ライブ、成功させないとな」
穂乃果「後はグループ名かぁ。良い名前が入ってるといいけど・・・」
束「学校内の事はお前に任せるよ。とりあえず今は早く海未ちゃん達にもそれ、聴かせてあげようぜ。・・・あ、ちょっと待って。データをパソコンの方にコピーさせてくれ」
穂乃果「え?なんで?」
束「時間が惜しいからな。時間見て曲聴きながら振り付けの案いくつか考えてみる」
穂乃果「え・・・お兄ちゃんがコレ踊るの・・・?」
束「別に人前で踊る訳じゃないんだしいいだろ」
・・・余談だがこの後、束を呼びに部屋に来た雪穂にバッチリ見られて軽く引かれたとか・・・。
音ノ木坂学院
ことり「うわ〜!すごく良い曲だね!」
海未「わ、私の書いた詞が・・・ホントに歌に・・・」
穂乃果「でしょでしょ?これで曲の問題は解決!後はグループ名のみ!」
海未「それで箱の中に投書はあったのですか?」
穂乃果「うん!一枚!」
ことり「い、一枚・・・」
穂乃果は箱の中に一枚だけ入っていた用紙を開く。そこには『μ’s』と書かれていた。
穂乃果「コレって・・・ユーズ?」
海未「多分・・・ミューズではないでしょうか?」
穂乃果「ああ!石鹸の!」
海未「違います!確か神話に出てくる女神の名前だった筈です」
ことり「女神かぁ・・・素敵だね!ことりは良いと思うな?」
穂乃果「うん!穂乃果も賛成!じゃあ私達は今から、スクールアイドル『μ’s』だよ!」
無事グループ名も決まり意気込みを新たにする3人。その様子を廊下で聞いている生徒が1人・・・。
希「ふふ、頑張りや・・・」
その夜、穂乃果達3人はいつもの様に束の部屋に集まってライブに向けた話し合いをしていた。
束「μ’sか・・・中々良い名前だな。でもやっぱ俺の言ったアクアも捨てがた・・・」
海未「束さん?」
束「はい、すいません。冗談です」
穂乃果「おお・・・お兄ちゃんが海未ちゃんの尻に敷かれている」
束「敷かれてねぇわ!」
海未「女子高生が軽々しく尻とか言ってはいけません!」
穂乃果「今度はこっちに来た⁉︎」
ことり「あの・・・そろそろ振り付けの事話し合いたいんだけど・・・」
3人のコントを見つめながら1人虚しく呟くことりであった・・・。
ようやく振り付けやフォーメーションの話し合いになり穂乃果達3人の意見と事前に予め束が考えた案を出し合いながらダンスを組み立てていく。
穂乃果「疲れた〜!ちょっと休憩しようよ〜!」
海未「そうですね。詰め込みすぎも良くないですし」
束「頭使ったから糖分補給もしておくか?下に行ってなんか菓子持ってくるよ。海未ちゃんはほむまんでいいか?」
海未「はい、ありがとうございます」
穂乃果「私焼きそばパン!」
ことり「ことりはチーズケーキが食べたいな♪」
束「お前ら何ドサクサに紛れてパシらせようとしてんだよ!外には行かねぇよ和菓子オンリーだ!」
穂乃果「えー!ヤダー!和菓子飽きたー!」
束「和菓子屋の娘の言う事か!駄々をこねるな!ったく、こんなのが大勢の前に出て踊るとか考えらんねぇよな」
海未「大勢の前で・・・踊る・・・?」
束が何気なく言った言葉を聞いて海未の顔がみるみる内に青ざめていく。
束「海未ちゃん?大丈夫か?なんか顔色悪いけど・・・」
海未「だ、大丈夫です・・・べ、別にひ、人前で踊るのを想像して、き、緊張なんてし、してません、から・・・」
束「あー、なるほどね・・・」
ことり「海未ちゃん大丈夫?無理そうならやめても・・・」
海未「だ、大丈夫です!大丈夫・・・ですから・・・」
そうは言いつつも一向に顔色が良くなる気配の無い。
束「こればっかりはどうしたもんかねぇ・・・」
そこで穂乃果が声を上げる。
穂乃果「大丈夫!穂乃果に任せて!」
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「穂乃果にいい考えがあるんだ」
束「お前のいい考えはトラック型司令官の『私にいい考えがある!』と同じくらい不安なんだが・・・」
穂乃果「でも人事面では有能だよ?」
束「そうだけどさぁ・・・」
ことり「・・・今、なんの話をしてたんですか?」
ようやくアニメ3話の領域に入れそうです。
相変わらずネタには偏りがありますが緩い感じで見てやってください