私の名前は斉木栗子。超能力者だ。
大事な事だからこれからも何度でも言うぞ。
そして私が災難に有っていることに笑いが止まらないでいるだろうあいつは、
私の双子の兄、斉木楠雄。超能力者だ。
大事な事は言ったのでそろそろ現実を見よう。
「あっあのさ、オレが仮病使ったのできれば言わないで欲しいんだ。そしたらなんか奢るからさ。なっ?」
「オレサマに奢ってくれるのか?へっへっへ、ラッキー!ラーメン食いに行こうぜ相棒を誘ってよう」
「なんでお前みたいなやつにオレが奢んないといけねぇんだよ!お前が邪魔しなけりゃ何事もく仮病出来たんだ。くそっ」
ブサイクが変な顔しながら(恐らくキメ顔していたのだろう)なんか言っていたが口が臭すぎてなに言ってるか分からなかった。
だが後半は燃堂の方を見ていたから聞き取れたが今の発言はウカツだったな。
ガラララッ(横開き戸の音)
「今はっきり聞いたぞお前「仮病」なんだってなぁ、えぇっ!高橋!」
「アッアッアッアイエエェェェエェ!!松崎!松崎ナンデ!!」
「松崎「先生」っだろうが!なめてんのか!?」
「アイエエェェェエェ!!」
ひとまず良かった、RSS(リアル.先生.ショック)を受けても失禁はしないようだ。
「説明してもらおうか!高橋!!」
「えっえーとそのぉ」(考えろ何か何かあるはずだ)
チェックメイトだな高橋、覚悟しろよ。私をこんな面倒なことに巻き込んでただで帰れると思うな。
(…そうだ!)
ん?……そんなまさか。
「そうだ。こいつらだ!こいつらがオレをハメたんだ。オレに立ちくらみのふりをして倒れろって言ったんです。そしたら保健室に連れていったオレ達もさぼれるからってやらなけゃ殴るとも言われました!」(こうなったらヤケだ!オレが助かればそれでいい。ひゃーひゃっひゃ。悪く思うなよ!)
「本当か!?燃堂!斉木!」
正直この展開は予想できなかった。
自惚れるつもりはないが高橋は私に気があった。テレパシーで分かる。万が一こんなことになったとしても私は巻き込まれないとふんでいたのに。…あいつはこれからずっとクズと呼んでやろう。
しかしこの状況どうしたものか。二十通りしか思い付かない。
「おっ、ちょっとなに言ってんのかわかんねぇよ。先生さっきから言ってんだろ」
「何が言いたいんだ!燃堂!」
松崎先生は平等に生徒を見ている。見た目不良の燃堂でもしっかりと話を聞こうとしている。
「だからこいつは「ケ病」だって!」
「仮病ではなく「毛病」。そう言いたいんだな?「毛病」とはなんだ?」
「おっ?病気だろ?知らないのか先生」
「まっまさか。知っているに決まっているだろ!」
(まさか医療に明るい生徒だったとはな、なめられるわけにはいかん)
松崎先生が考え込んでいる間に燃堂が「オレサマもケ病ってなんだか分かんねえ」とかいっていたが松崎先生には聞こえていないようだ。なんなのだこれは展開が早すぎる。
クズ(高橋)も何がなんだか分からないという顔をしているが私もどうすればいいか…。いや突破口が見えた。私は体温計を見せつけるように持つ。
「そうだぜ熱がありゃあ病気だぜ」
「計ってみろ高橋」
「はぁオレ病気でもなんもないですけど」
「いいから計れ」
ここでパイロキネシスで体温計の温度を上げ…誰か来るな…熱血と元不良だな。
「やぁ高橋君!お見舞いに来たよ!本当は全校生徒で掛け着けるつもりだったんだけどね。皆君が仮病じゃないかって言い出してね!でも僕は信じているよ!」
「オレも心配で…」(本当はこいつのことなどどうでもいいんだ。知りてぇんだオレの目が腐ったのかどうかをな)
「いやオレは脅されて…」ピピピッ
まずい!まだ体温計を熱していない。こうなったら…
ボウッ
「あづぅ!!」
「高橋の脇が燃えた!?」
「早く服を脱ぐんだ!」
体温計を熱するのを諦め体温計周りを軽く燃やした。苦し紛れだが…なんとかなるか?
「やっぱりな高橋。お前は仮病するような腰抜け野郎だったわけだ」ピキ
「どういうことなんだい窪谷須君!」
「こいつは体温計に何か燃えるような仕込みをしてやがったが火薬かなんかの配分を間違えたってところだろうぜ。つまりこいつは重病だと装おうとした。仮病しようとしたんだ!」ピキピキ
「なっ、なっんだってー!」
なんとかなるもんだな。バカしかいなくて良かった。
「おい、高橋お前やっぱり仮病だったんだな。毛病何て言いだすあたり醜悪だ。生徒指導室行くぞ、オラッ!」
「高橋お前後で体育館裏な」
「おっとこんな時間だ!テニスの練習に行かないと!失礼します松崎先生!またね!窪谷須君!燃堂君!斉木さん!」
「おっ?お前らどっか行くのか?オレサマも行くぜ。」
クズが絶望的な顔で引き摺られていく。ざまぁ。というか熱血結構ひどいな。
都合よく馬鹿どもが出て行ったし念のため証拠隠滅しとこうか。私は体温計を握りパイロキネシスで消炭にする。
ボウッ
しまった。出力を間違えて手を炎が覆い尽くしダークソウルの呪術の火みたいになっている。
「おい相棒2号。お前は行かないの…ってすげえ熱じゃねぇか!!」
あっ。
私はなぜか担架で運ばれている。松崎先生が付き添っている。
「 体温計を手にしたら燃えたってどんだけ高熱なんですか。そんなこと初めてだ。一体どんな病気だって言うんですか」
「恐らく毛病だと思います」
「はぁ!?」
本当に意味が分からない。私がそんな高熱なら救急車が来るまで寝ていたベッドも今乗ってる担架も燃えてるはずじゃないか。まだ学校にいた斉木楠雄、彼からテレパシーが来た。
[ざまぁ]
[〇ね]
彼が送ってきたテレパシーに怒りを覚える。家に帰ったら彼のコーヒーゼリー食ってやる。
学校初日、今まででここまで災難な日は初めてだ。この一年間生きていけるだろうか。
実はまだ続きます。