斉木栗子と斉木楠雄のΨ難   作:ムラムラ丸

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第2x Ψ悪とΨ低と始業式 パート1

 春休みはあっという間に終わってしまったがとても充実した日々を過ごすことができてとても満足している。テレビ、漫画、読書、それとゲームだ。

 

 双子の兄である斉木楠雄、彼はよく最新ハード機対応のクソゲーをやっているが私から見ればそれは愚策だ。

 たしかにテレパシーによってネタバレがあるとは言え新しいゲームを買ってきたワクワク感、更に最新ハードの高画質、ハイクオリティを期待してポイント倍点!なのにクソゲーだと分かって買ったのに想像を上回るがっかりクオリティにそんなに期待していないと思いながらももしかしたらという微かな希望も一気に絶望に堕ちる。

 私はそれを三回目でギブアップした。もうあんな気分味わいたくない。彼は先週買ってきたやつで二十作目だ。「希望は前に進むんだ!」とばかりにクソゲーをやり続けるがそのたびに絶望に堕ちているだろう彼はもはや「超高校級の絶望」と呼んでいいのではないだろうか。全く理解出来ない。

 

 しかしこの私、斉木栗子は気が付いたのだ。私がやるのにベストなのはレトロゲーなのだと。レトロゲーを侮ってはいけない。確かに今のゲームと比べると画質もクオリティも落ちるが面白さでは負けていない。ネタバレも今話題のゲームならまだしも古いゲームについて考えている人はあまりいない。私の完全勝利だ!そんなことを考えながら「スペランカー」を一週間続けてプレイした。

 

 

 

 今日は始業式だ。私はスペランカーのBGMと主人公がやられた時の効果音が頭から離れずふらふらしながら朝ごはんを食べている。

 両親は仲直りしてからずっとラブラブだ。両親が話をすれば隙あらば「愛してる」を入れている。かなりめんどくさいがこれがいつもの風景だ。いちゃつく両親をぼーっと眺めながらご飯を食べ続けていると、母さん(斉木久留美)が父さん(斉木國春)から目を離しこちら、私と彼、斉木楠雄を見て笑顔をを見せる。

 

 

「今日から二年生ね。くーちゃん、くりちゃん。今日は特別頑張ってお弁当作ったからね 」

 

 

 始業式の日は午前で帰れる。そのこと以上に、その卑猥な呼び方何とかして欲しい。いつでも笑顔で優しい母さんにはどちらも切り出しにくい。

 

 

「そっか、じぁあ今日からまた勉学に勤しめよ!楠雄!くりちゃ」[今日は始業式だから授業はない。そして二度とその呼び方をするな。いいな]

 

 

 人指し指にエネルギーを集中させバチバチと音のする玉を作り出しながら父さんを睨む。

 

 

「はっはいぃ」

「くりちゃんはこの呼び方、嫌?」

[母さんは今まで通り、くりちゃんでいい]

 

 

 母さんが悲しそうな顔で聞いてきたせいで思ってもないことを言った。母さんに笑顔が戻り「そうよね、くりちゃんはくりちゃんだもの 」と嬉しそうに笑った。

 

 まだふらつくものの学校へ行く準備を済ませ玄関から外に出る。玄関扉を開けたのは彼、楠雄だ。彼は体を横に向け私からから視線を外さない。私はその後に続く。実は彼と一緒に登校しないと母さんが切れるのだ。「兄妹仲良くね 」なんて笑って言うが彼は私の天敵だ。それは無理というものだろう。

 

 玄関から笑顔で「行ってらっしゃい!」と言いながら手を振っている。本当に元気な人だ。

 

 今彼と肩を並べて登校中だ。もしかしたら「なんで肩並べて並走してんの?実は兄妹仲いいんじゃないの?」と考えている方もいるかもしれないので答えておこう。答えは簡単、背後を見せたら殺られるかもしれないからだ。私と彼にはテレパシーがある。半径二百メートル内にいる生き物の心の声がばんばん聞こえるのだ。

 

 

(あの二人双子かな?すごい似てる)

(あの二人双子に見えるが実はアンテナペアルックカップルだな!ふざけやがって!)

(我は闇黒四天王の内の一匹、シァンディ!)

(あぁ心配だなぁ斉木君と一緒のクラスだといいんだけど、もし違うクラスの時は休み時間に遊びにいこうかな)

(ママ、行ってきますのハグ&ちゅーをしよ…)

 

 

 家から二百メートル離れたようだな、父さんはさっさと会社行け。それに隣にいる彼の名前が聞こえたな、友達(笑)か、聞く限りでは普通の生徒だな。このように様々な心が聞こえて来て非常に煩いのだがこれはもはや慣れるしかない。しかしテレパシーにも少なからず利点もある。

 

 

(おっ、またまた可愛い子発見っす。……Cカップ、間違いないっす。うへへ、こりゃナンパしない手はないっす。

 あの「あのそこの君ちょっといいすか。オレ、鳥束零太っていうんすけど、学校終わったらオレの寺に来ないっすか?守護霊見てあげるっすよ)」

 

 

 無視☆。

 

 霊なんてものこの世にいるわけないじゃないですか、科学的に考えて。そんな事よりこいつがいい例だ。テレパシーを利用する事で人の有無が分かる上に敵意があるか、ないかが一発で分かるため対処がしやすい。

 このゲス野郎が私に話しかける前に(あの)とあるが、人は言葉を発する際には心の中でも同じことを言っている。つまりこの(あの)というのは例えるなら走り出す前に足に力を込めている段階と言える。決して文章ミスではない。

 

 

(無視っすか、それはそれで興奮するっすね。……もしかしたらこの様子だと胸触っても無反応なんじゃ)[触ったらコロス]

「ひっ!?」

 

 

 目に力を込め睨みつけながら虫のささやき(かすかに聞こえる程度のテレパシー)を送るとゲスくず野郎冷や汗をかきながら私から距離をとった。

 

 

[モテるな(笑)]

[黙れ(殺意)]

 

 

 彼にも睨みを利かせてやったが無表情のままだ。腹立たしい。テレパシーに関しては彼だけ特別だ。テレパシーの送受信は出来ても何を考えているか分からない。そんな奴に背中見せるなんて心中穏やかでいられない。

 

 学校についてからは教室に向かい荷物を置いてから体育館に集合だ。さっさと終わらせて帰りたい。

 

 

 {続く}




補足

転校生組は相ト命以外初めからいます。

Ψ低⇒鳥束零太

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