いつの間にか斉木楠雄のΨ難の新刊が出てたので買って読んでたらやる気が戻りました。
多分いないでしょうがこの小説もどきを待っていた方はお待たせしてすみませんでした。
テーテッテテテツテーテテトゥ、テーテッテテテツテーテテトゥ、
テーテテテツテテテトゥ、
ターターターターータタトゥ、ターターターターータタトゥ、
ズダダダダダダ、
テーテッテテテツテーテテトゥ
タンタンタ、タンタンタ、タン↑タン↓タン♪
ふむ、やらてれしまったな。しかしスペランカーは興味深い。主人公、スペランカー先生は、強靭、無敵、最強な私とは正反対な虚弱体質でありながら、勇猛果敢に洞窟を進んでゆく。なんというかこういう勇気のある男に惹かれてしまう(恋愛的な意味ではなく人間としてだ)。さあ行こう二週目の金銀財宝は目の前だ!
コンコンガチャ
[おいさっきからうるさいぞ]
どうやら頭の中で流れていたスペランカーのBGMとやられた時の効果音が私が無意識の内にテレパシーで送りつけていたようだ。これは私に非がある。
[分かった今日はもうやめよう]
[ところでそのレトロゲー、面白いのか?]
[後で貸そうか?]
[いや、今やろう。今日は特に何もないし]
「ちょちょちょ、ちょっと待って下さいよ!オレの話聞いてくれるって言ったじゃないっすかー!」
私の双子の兄、斉木楠雄、彼の後ろに誰かいるが知らない人のようだ。
「師匠達にお願いがあるって玄関で話したばっかりじゃないっすか~」
[何の話だ]
[すまない、昨日手紙が来たんだ。まさか次の日に来るとは]
何なんだいったい。いや紫髪のバンダナが何をしに来たかテレパシーで分かるが。
「改めて自己紹介するっす!オレ、鳥束零太(とりつかれいた)っていうもんっす。前にも会ったことあるっすけどもちろん覚えてるっすよね!」
いや知らない、誰?
「いやぁこうして話せる機会を貰って嬉しいっす。お二人は霊逹の間で有名人っすからね。いい忘れてたっすけどオレ霊能力者なんすよ。寺生まれっすからね!」
寺生まれ関係なくね?というか信じられない。
[なに言ってるんだ?こいつ]
[そうだな精神科に連れていこう]
「ひどいっすよ!信じてくれていいじゃないっすか!」
鳥束はこの部屋にも霊はいるとか生まれたときから霊が見えるとか自慢気に話すがそれで信じられるという訳でもない。
本当はこいつが霊能力者かどうかなんてどうでもいい。それは問題じゃない。
「まだまだ霊能力についてはありますが、それよりも!お二人は超能力が使えるんすよね。すごいっす!」
こいつは私と彼を超能力者だと確信している。明智のような「疑い」ではなく「確信」だ。さっき言ってた霊逹の間ではってやつか?やはりこいつは霊能力者なのか?
「そこで!超能力者のお二人に、…いや師匠!オレに超能力を教えて下さい!お金のために、そしていやらしい事に使うっす!」
そう言って鳥束は五体投地…ではなく土下座をする。
溜息が出てしまうな。なんと言うかいっそ清清しいやつだ。見てて気分が悪いよ。
テレパシーで心の声を聞く限りこいつは相当エロいやつのようだ。さっきからイスに座るスカートを履いた私を
土下座しながら見上げてくるし。前話で話したが私は元男だが、だからといって見せていいなんて事はない。なんとなく嫌だ。
「出来れば栗子さんにお願いしたいっす。楠雄さんはサブでお願いします」
私はもう一度溜息を吐いた。これには彼も呆れたようだ。鳥束には超能力がどれほどクソか、一つ一つ例を上げて説明する。
「「透視」数秒見続けるだけで肉と骨…。流石のオレも萎え…、いや!一秒でも二秒でも裸が見れるならいいっす!つーか楠雄さん。今栗子さんを見ると裸が見えちゃうじゃないっすか!いいんすか?兄妹で!?」
[子供の頃からずっと見ていると見慣れてしまうもんなんだ]
「そんなのずるいっす!理不尽っす!」
[知るか]
そう私も他人の裸を見ようとなにも思わない。そんなの何時もの風景だからな。後、彼には裸を見られている訳だがこれも今更だ。
「はあ、超能力ってのもあんまりいいもんでもないっすね」(………)
ん?
「でもオレは諦めないっすよ。それはそうとお二人さん喉渇きませんか?なんかテキトーにコンビニ行って買ってきます!それでは!」
そう言って家から飛び出して行った。
…鳥束はテレパシーについてしっかりと理解しているのだろうか?
鳥束は声が届かない位置まで行くと、なにかにお願いを始めた。すると鳥束は豹変し、「空気抵抗があぁー」などと叫んだ後どこかの方を真剣に見始めたかと思うと急にニヤつき始めた。
私はその様子を千里眼で見て、テレパシーでしっかり聞いた後、俯き続けた。そうか鳥束、お前が霊能力者だって事、信じよう。
その様子を彼も見て聞いたのだろうが、なにも言わない。俯いた私を見てもなにも言ってこない。
鳥束が帰って来た。
「買ってきましたよ。お二人さんがコーヒーゼリーが好きだって霊逹から聞いてたんで一緒に…。ど、どうしたんすか?」
私は俯いたまま鳥束にテレパシーを送る。
[…私に何か言うことはないか?]
「な、なにを、い、言ってるんすか?」
私は顔を上げ軽く笑って見せる。
[大丈夫。怒ったりはしない]
鳥束は私の様子を見て何かを感じ取ったのか、冷汗を流し始めた。
「す、すみませんでした!!出来心だったんです!!」
私は溜息を吐く。三回目だぞ、まったく。
鳥束は家を飛び出した後、霊に体を貸す代わりに、あろうことか 私のスカートの中の下着の色を聞いていた。なぜ私なんだろうか。銅像じゃだめなんだろうか。
[二度とやるな。私を含め女子に対して同じ事をしてみろ、テレパシーですぐ分かるからな。もしやったら瞬間移動で密室に連れ込んだ後…]
私は立ち上り、今まで座っていたイスを持ち上げ両端を持つと一気にプレスした。
ゴシャッ
{こうなる。いいね?}
「アッハイ」
私は胸に手を当て三十秒時間を戻す。一瞬にして何事もなかったように壊れたはずのイスに座る私に鳥束はビビる。
[鳥束君、今日は帰りなさい]
「しっ失礼しましたっす~!」
急いで家から出ていく鳥束。これで真人間になるといいが、これくらいで心の折れるやつじゃないだろうな。
私は四回目の溜息を吐いた。
{後日、スペランカーを貸りた斉木楠雄}
なんだこれは!?クソゲーじゃないか!!(歓喜)
出来るならば次の話も一緒に読んで頂けるとありがたいです。
誤字報告ありがとうございます。(全力の五体投地)