ヒューマン・デブリ・ストラトス   作:T-shi

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プライド…

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

二時間目終了後の休み時間、貴族のような立ち振る舞いをする金髪の少女に三日月は話かけられた。

三日月は、その問いの端々に棘を感じ不快感を抱いたが、「何?」とだけ答えた。

 

「まぁ、何ですの そのお返事は!

 この私に話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのでは?!」

 

だが、三日月の自己紹介の時、既に他の生徒の自己紹介は終わっていた為三日月は、他の生徒の名前を知らないのだ。

 

「あんた、誰?」

 

その金髪の少女は、その問いに"そんな事あり得ない"とばかりに声を張り上げた。

 

「私の事を知らない?この、セシリア・オルコットを?イギリスの代表候補生にして、入試首席のこの私を?」

 

それも無理はない事だろう。

三日月は、つい最近まで少年兵として過ごしていた。そんな彼には、必要のない情報であり、まず知る事のない情報だからだ。

 

三日月は、セシリアの発言を聞き、聞き慣れない言葉があった。

 

「質問いい?」

 

セシリアは"下々の要求に応えるのは、貴族の務め"と言い三日月に質問を促した。

 

「代表候補生って、何?」

 

その三日月の問いに、驚きの意を隠せなかった。

 

「あ…あ…貴方、本気で仰ってますの!?」

 

三日月は"うん"とだけ答える。

 

三日月の問いに答えたのは周りに居たクラスメイトたちだった。

 

「代表候補生っていうのはね、国家代表候補生の事で、国家代表になるかもしれないすごい人のことなんだよー。」

 

セシリアは、その説明に満足し胸を張る。

 

「そう、エリートなのですわ!」

 

そして、三日月に指を差し向ける。

 

「本来なら、私のような選ばれた人間とは、クラスを同じくする事だけでも奇跡……いえ、幸運なんですのよ。その現実を理解して頂ける?」

 

三日月はその言葉を素直に受け取り、

 

「それは、ラッキーだな。」

 

と答えると、セシリアは馬鹿にされたと勘違いをした。

 

「…馬鹿にしていますの?」

 

三日月は、その問いの意味が分からなかった。

セシリアとクラスを同じくするのが、奇跡に近いと言われた為、素直にラッキーだと思っただけなのだ。

 

「だいたい、貴方ISについて何も知らない癖に、よくこの学園に来れましたわね。それに

その態度、貴方本当に私の話を聞く気がありますの?男でISを操縦出来ると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるのかと思いましたが、期待外れでしたわね。」

 

流石の三日月も馬鹿にされた事に気付いたのか、少し怒気を強めた物言いをする。

 

「…俺に何かを期待されても困るんだけど…。」

 

だが、セシリアはそんな事は関係ないとばかりの態度をとる。

 

「ふん、まぁでも?私は優秀ですから、貴方のような救いのない人間にも優しくしてあげましてよ。」

 

三日月は、面倒くさそうに思いながらも"じゃあ、そん時はよろしく"とだけ言い次の時間の準備をし始める。

 

「ISの事で分からない事があれば、まぁ…泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ?何せ私、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから。」

 

三日月は、教官を倒したという言葉に興味を持った。

 

「へぇー…じゃあ あんた、織斑千冬倒したんだ。」

 

その言葉にセシリアは、何を馬鹿なといった態度で言った。

 

「そんな訳、ある訳ないじゃないですの。

 貴方、馬鹿にしてますの?」

 

だが、三日月は試験で千冬と戦った為、皆も千冬と戦ったものだと思っていた。

 

「俺、あいつと戦って勝ったんだけど。」

 

セシリアは信じられないものを見たと言わんばかりにまくし立てた。

 

「それは、どういう事ですの!?

 私だけと聞きましたが…」

 

三日月は"女子だけでの話じゃないの?"と言うとセシリアは、そんな事はあり得ないとばかりにまくし立てようとした

だが、チャイムが鳴り席に戻っていった。

 

 

 

 

「この時間は、武器についての授業を行う。

 担当は私、織斑が行う。…おっと、忘れるところだったな。これより、クラス対抗戦に出る代表者を決める。自薦、他薦は問わない。

 クラス代表は、対抗戦だけではなく生徒会の開く会議や委員会の出席、つまり学級委員長みたいなものだ。ちなみに、一度決まると原則として、一年間変更できないからそのつもりでな。」

 

生徒たちは、せっかくの男なのだから"三日月を"と推薦した。

三日月は、興味がないのか反応はない。

 

「待ってください!納得が行きませんわ!」

 

他の生徒たちにストップをかけたのは、セシリアだった。

 

「そのような選出、認められません!

 大体、男がクラス代表なんていい恥晒しですわ!

 私に、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を、一年間味わえた仰るのですか!?

 実力からいけばこの私がクラス代表になるのは必然。

 それを物珍しいと言う理由だけで、クラス代表になられては困ります!

 ISの知識もろくにない猿の下になれと!?

 私が、わざわざこのような極東の島国に来たのは、ISの技術を学ぶ為に来たのであって、サーカスをする気など毛頭ございませんわ!」

 

このクラスの大半は日本人だ。

そのようなクラスで日本を馬鹿にした為、セシリアに対する眼差しは厳しいものえと変わっていく。

だが、セシリアは気付かずに罵倒をし続ける。

 

「嫌なら、帰ればいいじゃん。」

 

その言葉と同時にセシリアの発言、もとい罵倒は止まった。

そして、自分の発言の重大さに気づいたのかセシリアは、顔を見るまに青くさせる。

だが、このままでは自分のプライドが許さないのか、三日月に対し食ってかかる。

 

「貴方、私に恥をかかせましたね!

 決闘ですわ!」

 

千冬はこの状況を判断しクラス代表は、一週間後に、二人のISによる決闘で決める事にした。

 

「もし、貴方が負けたら小間使い…いえ、奴隷にしますわよ?」

 

三日月は、奴隷という言葉に強く反応したが、

千冬がこれ以上問題が大きくならないよう話を強引に終わらせた。

 

 




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