入学式まで残り1日となった。
実技試験を受けた後、三日月は10cmはあろうかという参考書を渡され覚えるように言われた。
日本語が分からない三日月が参考書を覚えるには、時間が掛かるかと思われたが、真耶やその他何人かの教師の献身的な指導により、基本的な事は何とか覚えられたようだ。
三日月は、IS学園に来たのが入学式一週間前であったため、入学式の終了までは生徒の式中の混乱を避けるため、その存在を秘匿されることとなった。
三日月は、その事事態に不満はなかったがISを常時展開させておく訳にはいかないため、言語が通じないのではないかと思った。しかし、こちらも真耶たちの献身的な指導により、日常会話をこなせるまでには出来た。
入学式当日、三日月は教師に呼ばれるまで生徒指導室で待機していた。
「三日月・オーガス、クラスに行くぞ。」
三日月を呼んだのは、実技試験の時相手をした千冬だったようだ。
「お前のクラスは1年1組、私が受け持つクラスだ。」
その会話が終わると同時に1年1組の教室の前に着いた。
「私が呼んだら教室に入れ。」
三日月は わかった とだけ言い口を閉じた。
千冬は教室に入ると自己紹介をした。
「私がこのクラスの担任を受け持つ、織斑千冬だ。
ここでは、私が法であり秩序だ。私の言う事には"はい"か"Yes"のどちらかで答えてもらう。出来ない者には出来るまで指導してやる。私の仕事は弱冠15歳を16歳まで鍛え抜く事だ。
逆らってもいいが、私の言う事は聞け、いいな?」
その言葉を終えたと同時に、生徒たちの悲鳴にも似た歓声が上がった。
「キャー!! 千冬様! 本物の千冬様よ!」
「ずっと、ファンでした!」
「私、お姉様に憧れてこの学園にきたんです! 北九州から!」
「あの千冬様にご指導頂けるなんて、嬉しいです!」
「私、姉様の為なら死ねます!」
千冬は歓声を煩わしそうにしなら言った。
「…毎年、よくもこれだけの馬鹿が集まるものだ。関心させられる…それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」
だが、生徒たちはその言葉ですら嬉しいのか先よりも一層大きな声で歓声を上げた。
「きゃあああぁぁ!!お姉様!もっと叱って! 罵って!」
「でも、時には優しくして!」
「そして、つけ上らないように躾をして〜!」
その言葉に遂に我慢出来なくなったのか、千冬は声を張り上げた。
「静かにしろ!!」
千冬の声と同時に煩わしかった教室が、一瞬にして静まりかえった。
「諸事情により入学式に出られなかった生徒がいる、三日月 入れ」
三日月は、その言葉と同時に教室に入った。
「自己紹介をしろ。」
「三日月・オーガス。
なんか、世界で初めてISを動かせる男性らしい。ん〜 まぁ、よろしく。」
自己紹介の終了と同時にまた、生徒たちは騒ぎだした。
「男よ!男!」
「まさか、IS学園で男に会えるなんて!」
「あぁ、神様ありがとう!」
「お父さん、お母さん、今年の父の日と母の日は、河原の花以外の物をあげるね…!」
煩くなったクラスに千冬はまた、声を張り上げた。
「静かにしろ!
三日月、お前の席は一番前の真ん中だ。
自己紹介は終わりだ!授業を始める!」
その言葉でまたしてもクラスは静かになり、
授業の準備を始めた。
三日月もまた、参考書を出し授業の準備をしていた。
窓際の席のある生徒に、驚愕の表情で自分が見られていると知らずに…
感想、お待ちしてます。