"…夏…ぃ夏…!"
「三日月!」
三日月は微睡みの中、自分の"名前"を呼ばれた気がして目を覚ました。
周りを見ると、心配げな顔をしているセシリア、涙を溜める箒、バツの悪そうな、しかし、悲しげな顔をする鈴音が居た。
よく見ると、医療器具らしき物がある事からここは保健室か何かだろう。
セシリアは三日月が目を覚ました事を千冬に伝えに行った。
「三日月。良かった!」
そう言って箒は三日月に抱きついた。
「箒、苦しい。」
三日月の言葉に箒は一瞬惚けたが、自分が何をしているのか理解したらしく、言い訳をしようとした。
しかし、上手く言葉が出ず箒は赤い顔で"少し頭を冷やしてくる"と言い外に出て行った。
「ごめんなさい!」
鈴音の突然の謝罪に三日月は驚いた。
「勝手に一夏と認識して、ごめんなさい。」
三日月は謝罪の理由を聞いて受け入れた。
「ありがとう。」
「そういえば、あんたってふ、ふあん?…」
「凰、凰 鈴音。呼びにくいなら鈴でいいわ。」
「分かった、鈴。」
「えっと、私はあんたをなんて呼べばいい?」
「三日月でいい。」
「分かったわ。よろしく、三日月。」
鈴音は手を差し出して握手を求めた。
三日月はそれを見て手を出して受け入れた。
その後、セシリアの呼んで来た千冬と頭を冷やして来た箒、そして、保健室(だった)の担当の教師が保健室に来た。
三日月は軽い質問を受け体調を調べた。
幸い、特に問題なかった為、また三日月が希望した為授業に戻る事になった。
「そういえば、俺どのくらい寝てた?」
三日月の質問に箒、セシリア、鈴音は四時間くらいと言った。
「丁度、お昼休みですの。ですので三日月さん、一緒にお食事でも如何ですか?」
セシリアの誘いに三日月は肯定し、そこに箒と鈴音が混ざる形で食堂へと向かった。
三日月達が食堂へ着いた時、クラスメイト達から質問責めにあったのは言うまでもないだろう。
恙無く午後の授業を終えた後、三日月は自分に割り当てられている部屋へと戻って来ていた。
箒は剣道部に所属している為、今は部屋に居ない。
三日月は今から何をしようかと考えてふと、寝て居た時に呼ばれた名前を思い出した。
自分は三日月であるが、夢の中で呼ばれている名前は、明らかに三日月ではない。
何と呼んで居たのか考えていると、ある記憶が浮かんで来た。
"まだ幼い自分が、顔はモザイクがかかったように見えないが会話と接し方から家族、それも姉であろう人物と剣道をやって居る記憶だった"
お久しぶりです。
前回の投稿から随分時間が経ってしまいました。申し訳ありません。
リアルが忙しくなって来まして、これからも投稿は続けて行きますが、今以上に不定期になってしまうと思います。
こんな作品ですが、これからも読んで頂けたら嬉しいです。
題名、前半となってますが次回は後半ではありません。