やはり私と彼の出会いは間違っている。   作:赤薔薇ミニネコ

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第19話です。


第十九話 難題と出会う

 ~~高原千葉村~~

 

「思い出した、千葉村って中学の時に自然教室でいったとこだな……」

「ほんと懐かしいね」

「む…あれは葉山?」

 

 私達がに到着したすぐ後の一台の車から、葉山君、三浦さん、海老名さんと名前の分からない男子が降りてきた。葉山君はイケメンスマイルでニコニコと挨拶をしてきた。

 

「やぁ!比企谷君」

「お前らなんでここに?」

「僕たちは掲示板に貼ってあった『夏休みのボランティアスタッフ募集』の紙を見て来たんだよ」

「さすが葉山だな…そんな所までしっかりチェックしてるのか」

「八幡もすこしは見習ってよね!」

 

 八幡と葉山君が話をしてると、雪乃さんがなにやら葉山君をみて嫌な表情をしていた。

(葉山君と何かあったのかな…?)

 

 千葉村に来ていた小学生は先生の合図で集まり、みんな騒ぎながらも体育座りをしていた。小学生が静かになった後、小学校の先生から私達の紹介がされた。葉山君が小学生の前に出て挨拶をしている。

 

「葉山は相変わらずイケメンオーラがすごいな……」

「葉山君みんなの先頭に立つのが得意そうだもんね、それにしても小学生はみんな元気だね、若さがみなぎってるよ」

「俺には到底真似できんな」

「でも八幡もゲームの中じゃ、みんなをしっかり統率してるじゃん、彼女の私としてはこっちでもしっかりしてほしいのだけど?」

「……うーん」

「もう…そんな気のない返事して」

 

『それでは最後に、みなさんのお手伝いをしてくれるお兄さんお姉さんに挨拶をしましょう』

「「「「「「「「よろしくおねがいします~!」」」」」」」」

 

 平塚先生からの最初の依頼はオリエンテーリングのサポートスタッフで小学生達を見守ることだった。私達は小学生の見回りをしながら、草の茂った道を進む。雪乃さんがなにやら困っている5人組の女の子グループを見つけた。

 

「ねえ、あの子達なにしてるのかしら」

「ほら、八幡ちょっと行ってきてよ!」

「えっ!俺?こういう時は葉山じゃないの?」

 

 八幡は何かに怖がってる小学生の所にしぶしぶ歩いていく、背後から音もなく近づいた八幡を見た小学生は悲鳴をあげさらに驚いていた。葉山君も駆け寄り怖がっていた原因の蛇を追い払い女の子に感謝されていた。しばらくして八幡が不貞腐れて戻ってきた…。

 

「見ただろ…俺みたいなのが行くより葉山のが適任だったろ……」

「あはは、ごめんごめん!でもちょっと見てて面白かったよ(あ…八幡の目が濁ってきた)」

 

 葉山君からの意見で女の子グループの子達と1か所だけチェックポイントを探してあげることになり、私達は一緒に行動をする。私達はそのグループの子達の違和感に気付く、一人の女の子が明らかにグループから離れ一人でいる。葉山君は、仲間外れにされていた子をグループに戻すように行動していた。それを見ていた雪乃さんはため息をつく……。

 

「あのやり方は、あまり良くないな……小学生でもああいうのはあるんだな」

「ええ、小学生も高校生もかわらないわ、等しく同じ人間なのだから」

「雪乃さんなにか葉山君と昔あったの?答えにくい事なら言わないでいいけど……」

「小学校の頃、葉山君と同じクラスだったのだけど、ちょっと似たようなことがあってね……」

 

 午前中のオリエンテーリングも終わり、それから私達は、昼食のカレー作りをすることになった。平塚先生は、慣れた手つきで火を起こしてき、私達もカレー作りの準備を始める。

 

「家カレーだと作る人によって個性でるよな、かーちゃんの作るカレーなんかだといろいろな物が入ってるよな」

「八幡の家のカレー厚揚げとかはいってるよね」

「あるある~!ちくわとかはいってるべ、あれ!」

「戸部の家はカレーにちくわがはいってるのか」

(この人、戸部君っていうのか、覚えておこう……)

 

 準備の終えた私は雪乃さんと八幡と雑談をしている。

 葉山君は、先ほど孤立していた女の子や同じグループだった子に声を掛けている。しかし孤立していた女の子は葉山君を避けるようにこちらにやってきた。雪乃さんが葉山君を見て、またため息をしていた…。

(ああ…そういうことか、葉山君なりの気遣いなんだろうけど確かにあれはちょっと良くないかも)

 

「隠し味にフルーツの桃がいいと思う!」

 

 何やら、結衣ちゃんが変なことを言い出した、葉山君は苦笑いをしている。そんな時だった孤立していた女の子が話しかけてきた。

 

「あいつ馬鹿か」

(結衣ちゃん真面目な顔でいってる……葉山君とめて!)

「ほんと馬鹿ばっか」

「まあ、世の中は大概そうだ。はやく気が付いてよかったな」

「八幡もその大概?」

「俺をなめるなよ、その大概とかその他大勢ですら一人になれる逸材だぞ!って中学生までだけどな…いまはその大概か」

「……名前」

「ん?名前がなんだよ」

「名前を聞いてるの、普通さっきので伝わるでしょ」

 

 雪乃さんが怒った表情で女の子に話しかける。

 

「人に名前を尋ねるときは、まず自分から名前を名乗るものよ」

「……鶴見留美」

「私は雪ノ下雪乃よ」

「俺は比企谷八幡だ、こっちは畳谷忠絵な」

「忠絵です、よろしくね留美ちゃん」

「…なんかそっちの2人は違う感じがする、あの辺の人達と……私も違うのあの辺と」

(えっ私、八幡と雪乃ちゃんと感じ違うの?)

 

 留美ちゃんが今の気持ちや今置かれている現状を話してくれた。学校でハブられている子をわかってて見過ごしていたこと、気付いたら自分が仲間外れにされていること。

 

 

 私達は食事を終わらせて、みんなで留美ちゃんについて話し合っている。

 

「一人孤立しちゃってる子がいて」

「かわいそうだよね、あーしもちょっとなんとかしたいかな」

「難題だね、八幡はどう思う?」

「そうだな~、孤立というか一人でいるのは別に悪い事ではないと思うが、ただ今の状況で悪いのは周りの悪意によって孤立させられてることだな、原因は自分にもあるといってたし難しいところだな」

 

 葉山君からは、女の子を助けたい強い意思が伝わってくる。

 

「俺は可能な範囲でなんとかしてあげたいです」

「可能な範囲で…ね、あなたには無理よ、そうだったでしょ」

 

 雪乃さんは平塚先生と留美ちゃんの件が奉仕部の依頼になるか聞いている。

 

「では彼女が助けを求めるなら、あらゆる手段をもって解決に努めます」

 私達は留美ちゃんを助けるという方向でいろいろと意見を出し合う。海老名さんが小さく手を上げて意見を言う。

 

「はい、趣味に生きればいいんだよ。趣味に打ち込んでいるとイベントとか行くようになっていろいろ交流広がるでしょ、きっと本当の理由が居場所が見つかると思うんだよね、学校だけがすべてじゃないって気付くよね」

 

 私達は海老名さんの意見に、なるほどと感心していると、海老名さんがいきなり立ち上がった。

 

「私はBLとオンラインゲームで友達が100人できました!ホモが嫌いな女子なんていません!だから雪ノ下さんも一緒にどうかな?」

「ヒナのギルド人いっぱいいるもんね」

「えっ!結衣ちゃん海老名さんのギルドって?」

「え、ヒナは私達のやってるゲームの【HM】ギルドのギルドマスターやってるよ、ヒナのギルドお金もカンストしてて、すっごいんだよ~!」

「「「えええ!」」」

(コマチちゃん剣豪さん、いまの時代、金策は転移タクシーや採掘じゃなくてBLらしいです……)

 

私と八幡と雪乃さんはあまりの衝撃的な事実に驚いた!

 

「ヒメヒメさんなの!」

「最大規模のギルドマスターをやってるのが海老名さんだったとは驚いたわ」

「うへ…ヒメヒメさんのギルドの実態が明らかになったな、悪の枢軸を発見した……」

「あらら?結衣から聞いてなかったのかな、私はハチマン、タタミックス、ユキノンのことは知ってたよ?やっぱりタタ×ハチだよ!でも今はハヤ×ハチか!」

八幡・忠絵(本物のヒメヒメさんだ…HMってホモって意味か……)

「うーんそういえば言ってなかったかも??」

「これからもよろしくね、ハチマン君、タタミン、ユキノン」

「なんだか頭が痛いわね」

「そうだな……」

「八幡安心して、私はずっと八幡と一緒のギルドだからね!」

 

 

 ゲームを知らない葉山君、戸部君、三浦さんは何のことかわからない様子でこちらを見ていた。

 




読んでくれてありがとうございます。

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