教室がノックされ、私は雪乃さんと扉の方に目線を向ける。
「しつれい…しま~す。平塚先生に言われて来たんですけど……なっ、なんでここにヒッキーがいるの?」
「えっ誰?ヒッキーって俺のことか…?」
八幡は、入ってきた女子と話している。どうやら八幡は同じクラスの生徒の名前すら覚えてない様子。私は、八幡の社交性の低さにがっかりする……。
彼女はたしか、八幡のクラスの三浦さん達と同じグループにいる子だ、たしか由比ヶ浜さんだったかな……そして八幡にお菓子を持ってきた人だ。
「2年F組の由比ヶ浜さんだったかな?私はJ組の畳谷です。よろしくね」
「由比ヶ浜結衣さんね、私もJ組雪ノ下雪乃よ、よろしく」
「わたしのこと知ってるんだ~」
「全校生徒覚えてるんじゃね~のか」
「いいえ、あなたの事なんて知らなかったもの」
「はは…そですか……」
「まあまあ、ヒッキー私は知ってるから大丈夫だよ?」
「忠絵までヒッキーとかいうな、俺はひきこもりでは断じてない……」
「ヒッキー教室とは違ってよく喋るんだね~、教室ではなんか本読んでニヤニヤしいててなんか『キモイ』し…」
温厚な私だが、さすがに由比ヶ浜さんの一言にカチンときてしまった……。私の怒りゲージが一気にたまっていく。
「ねえちょっと、いいかな?由比ヶ浜さん」
私は鋭い目で見つめた。由比ヶ浜さんは驚いて固まってしまっていた。
「由比ヶ浜さん、1年前の事覚えてるかな?八幡の家にお菓子を持ってきた時、私もいたんだけど、その時はすごい反省していたのは知ってる、でも今の貴女はなに?八幡に平然とキモイとかいえるの?」
(えっお菓子ってなに?俺しらないんだけど……)
「ごめんなさい……」
「私は、初めて人を本気で恨んだ…悔しかった、でも八幡は誰も恨まなかった、人のせいになんて決してしなかった。もしかしたら死んでたかもしれないのに……」
あまりに怒っている忠絵を見て、八幡は止めに入る。
「忠絵ちょっと落ち着け、あれは俺が勝手にやって勝手に事故にあっただけだ、由比ヶ浜があの犬の飼い主だったみたいだが、由比ヶ浜もまあそのなんだ気にするな」
「これだけは言わせて!八幡は昔からいろいろひどいことをされてきた、私は八幡がそれに慣れてしまってるのをしってる、でも私は嫌なの苦しいの!」
そうだったな…当たり前の事を忘れてたな、俺はもう一人じゃなかったな
「すまん…もうボッチじゃないしな、由比ヶ浜すまないが、忠絵の前ではあまり過度な発言はしないでくれ……まあ、ヒッキーはかまわんが、キモイはあんまりな」
「ヒッキー今まで謝れなくてごめんなさい、キモイとかいってごめんなさい…ずっとサブレを助けてくれたことをお礼を言いたかった、でも言い出せなかった…サブレを家族を助けてくれてほんとにありがとう、畳谷さんも傷つけてしまってごめんなさい…」
「由比ヶ浜さん…いや結衣ちゃん私も怒鳴ってしまってごめんなさい」
「まあ、由比ヶ浜もしっかり謝罪してくれたわけだし、この話はこれでおしまいだ」
突然黙ったいた雪乃下が話に入ってきた。
「いえ終わりではないわ、私は比企谷君の事故にあった時の車に乗っていたの、貴方のことは知っていたのに怖くて言い出せなかった、こんなタイミングで言う卑怯なのはわかっているわ、あなたをケガさせてしまって、ほんとごめんなさい」
「こんなことあるんだな……事故の関係者が集まっていたとはな」
「雪ノ下お前は悪くないただ乗っていただけだろ気にするな、もうすでに済んでる話だしな、でも謝りたいならその謝罪受け入れる。もうあの事故の事はこれでほんとにおしまいだ」
そして張りつめていた空気は和らいでいったのだが、また忠絵から冷たい空気が漂いはじめた。私の怒りのゲージはMAXを超えた!
「えっ…どしたの?(忠絵の怒りが……)」
「ねえ八幡いまどこ見てたのかな?」
「えっ?(八幡は驚愕した表情で私を見る)」
「結衣ちゃんのどこ見てたのかな?」
「いや、その…『どこ見てたのかな?』…(怖っ!)」
雪乃さんは、頭を手を当ててため息をついている…なにやら察したようだ。八幡は、結衣ちゃんの首と腹の間をチラチラ見ていたのだ。私はそれが許せなかった……。何がとは言わない、大きいほうがいいんですか、偉いんですか?そんなことないですよね!雪乃さんは味方ですよね!なにやら雪乃さんもウンウンとうなずいている。
怒りを爆発させた私は八幡を引きずり人通りの少ない廊下で30分ほど説教をする……。
「はぁ…比企谷君も馬鹿ね……まあ、いいわ由比ヶ浜さん依頼があるのでしょう?」
「ヒッキー大丈夫かな…?ヒッキーにお礼のクッキーを渡したくて、作り方教えてほしいの……」
しばらくして、部室に戻るとメモが残っていた。どうやら家庭科室にクッキー作りに行ったようなので、私達も向かうことにする。
「おかえりなさい、比企谷君は…大丈夫なのかしら……?」
「ヒッキー、だ…大丈夫……?」
八幡は、死んだ魚のような目で遠くを見つめていた……
「気にしないで、ぜんぜん大丈夫だから!」
(私はニコニコと微笑む)
雪乃・結衣(ぜんぜん、大丈夫そうには見えないんだけど……)
依頼は、どうやらクッキー作りを教えるのと、味見をしてほしいということだった。
私もお菓子作りは小町ちゃんといろいろしているので教えてもいいのだが、部員でもないので味見だけにする。
「比企谷君と畳谷さんは味見をお願いするわ」
「まかせて~!ねっ八幡」
私は、バシっと八幡の背中を強くたたく!
「……おう」
できたクッキーを私と八幡は見つめる。雪乃さんのクッキーはとてもいい香りがするし、お店で売っているような出来だった。
もう一つのほうが酷かった、これはなんだ!まるでホームセンターに売っているような木炭みたいになっていた。
「はぁ…どうしてこうなるのかしら……」
「わたし、やっぱり料理に向いてないのかな……才能っていうの?そういうのないし……」
「由比ヶ浜さんそれは間違っているわ」
雪乃さんは責めた口調で結衣ちゃんと話している。まあ、たしかに練習もしないで初めからできる人間なんていない、雪乃さんの言っていることは正論だ。私はクラスの雪乃さんを知っているからいいけど、別のクラスの結衣ちゃんにはちょっときついかもしれないな……
「か・・カッコイイ、建前とか全然言いわないんだ、そういうのなんかカッコイイ」
結衣ちゃんの反応は違っていた、結衣ちゃんなりに思うことがあったようだ。もう一度、クッキーを作り直したがやはり失敗してしまっていた。
「そのなんだ、なんでお前達、おいしいクッキー作ろうとしてるんだ?俺がほんとの手作りクッキーってやつを見せてやりますよ。ちょっと外にでててくれ」
10分後……。私達はできたクッキーを見つめる。
(なんかこれ、失敗してるようにしか見えないけど……。でも八幡料理できるし失敗はしないだろうし、ああそういうことか……手作りの意味を教えようとしてるのか
「これが本物の手作りクッキーなの?」
「あんまおいしくない!」
「そうか……悪い、じゃあ捨てるわ」
「待って!捨てなくても……言うほどまずくないし?」
「まあ、お前が作ったクッキーなんだけどな」
「ほえっ!どういうこと??」
2人は八幡が伝えたいことが分からないようだった……
「八幡が言いたいのは、思いを込めた手作りってだけでうれしいってことだよ~」
「まあ、そういうことだ。男なんて単純だしな、見た目なんて関係ない手作りクッキーを貰えただけで喜んで踊っちまう」
(八幡私があげた時、踊ってくれたのか……)
結衣ちゃんもなにやら納得をし、私達は初めての奉仕部の依頼を終えた。後日結衣ちゃんが手作りクッキーをみんなに持ってきたのだが以前よりましになっていたが、やっぱり苦かった。
(なんか、面白い部活だな~、八幡もいるし、先生に入れてもらおう)
~~ギルド~~
タタミックス)先生私も、奉仕部に入りたいです
シズカ)なんだ、部活でまでイチャイチャする気かお前らは……まあいいだろう明日部長にも伝えておこう。
タタミックス)ありがとうございます、部活でも先生よろしくお願いします。
シズカ)ああ、かまわんよ。それとハチ!今後あんななめた作文は書くなよ!
ハチマン)すいません……
タタミックス)そうそう、先生八幡が私の目の前で女子の胸を見て鼻の下をのばしてたんですよ!
コマチ)お兄ちゃん、ほんとゴミぃちゃんだね……小町的にポイントマイナスだよ
ハチマン)すいません…ほんとすいません……
タタミックス)ハチマンは罰としてHRM(ハイレベルレアモンスター)の見張り行ってきてね、それじゃ頑張ってね
シズカ)HRMが沸いたら私も行くコールしてくれ!
ケンゴウショウグン)我も、沸いたら向かう呼んでくれたへ、それまで小説を書いていよう。
ハチマン)なんでも任せてください!行ってきます!
八幡は、そそくさとドラゴンが出現する洞窟へ向かっていった……。
読んでくれてありがとうございました、