仮面ライダーDRAGOON 赤龍帝で仮面ライダー 作:名もなきA・弐
それでは、どうぞ。
雨の中、一人の端正な顔立ちの少年が手に持った剣を見つめる。
激しい雨音と暗い空は、まるで彼のただならぬ心情を表しており、つい今しがた敵対していた男の持っていた剣のことを思い出す。
許してはいけない、許せるわけがない……そんな暗い感情を占めている彼は雨に濡れたまま目的もなく歩く。
「……ごめんっ」
そう呟いた言葉が、心配を掛けている今の仲間に向けられたものだったのか。
それとも、かつての同士たちに向けられたものだったのか……
少年……木場祐斗にも分からなかった。
時間は飛んで翌日の放課後……学校の授業を終え、蒼那からの要請を受け取ったリアスの都合でイッセーとアーシア、珍しく小猫の三人と一緒に下校していた。
綺麗になっている旧校舎の廊下や窓に嬉しそうに喜ぶなどアーシアや反射する廊下でスカートを覗こうとするドライグに無言のプレッシャーをかけたり、旧校舎にあるテープや鎖やらで厳重に封印されている『開かずの間』についてなど色々あったが、肝心のイッセーは今朝ドライグに言われたことを思い出す。
白い龍……「白龍皇」と呼ばれる『ヴァニシング・ドラゴン』の存在だ。
ウェールズの古の伝承に登場する赤い龍と白い龍の二匹は「二天龍」と呼ばれ、かつては覇を競っていたが、三大勢力が争う戦場の中心で戦い続けたために結束を強くした三大勢力全てを相手取る戦いに敗れたことで魂を神器に封印された現在に至っているのだ。
ドライグ曰く「俺たちは戦う運命にある」らしく歴代の所有者は戦いの果てに壮絶な最期を遂げている。
最も、イッセーにとってはあまり実感の湧かない話であったが一先ず頭の片隅に入れると学校にも来なかった木場のことを思い出す。
「……俺たちにも何か出来ないかな?」
「先輩?」
「そりゃあ、事情を聞いただけの奴の助けなんてたかが知れてるけどさ。でも、友達を見捨てるようなことはしたくないっていうかさ…」
そこまで言ったところで、「やっぱ余計なお世話かな」と表情を暗くするイッセーに小猫は首を横に振る。
「……イッセー先輩は、優しいですね」
「そう、かな?」
肯定するように彼女は頷くと、青に変わった信号を見て横断歩道を渡る。
「さようなら」と顔を向いて手を振った彼女に、二人も手を振り返すと自宅へと歩を進める。
やがて、二人が自宅に目前となった瞬間だった。
「っ!?」
「アーシア?」
「ごめんなさいっ、なぜか体が震えて……!」
突如、アーシアがイッセーの袖に掴まる。
か細く震えている彼女には悪寒を感じているらしく、本人は困惑している様子だったが微弱ながらも感じているイッセーにはその感覚に心当たりがあった。
初めてアーシアと出会った際に訪れた教会の感覚……。
「少し急ごうっ、アーシア」
「はいっ」
歩く速度を上げて、二人は自宅へと向かう。
イッセーが冷静でいられたのは母親と伯母の魔力がまだ感じられていたからだ。
そこらの連中に負けるどころか返り討ちにするであろう彼女たちの身を案じながらも、慌てて玄関の扉を開けた。
「母さんっ、愛奈姉さんっ!!」
焦りの混じったイッセーの声に返ってきたのは、談笑の声。
開いていたリビングの戸の隙間からゆっくりと覗くと、首に十字架を掛けていた白いローブを羽織った二人の女性がソファに座っており、向かいにはアルバムを開いて話している加奈子と隣に愛奈が座っている。
(この二人が……)
「久しぶりだね、イッセー君」
少し身構えたイッセーとアーシアに気にすることなく栗色の明るい長い髪をツインテールに結んだ活発な印象の少女が、笑顔で挨拶をする。
だが、当のイッセーは目の前の少女に見覚えがない。
すると、加奈子がアルバムを開いてリアスにも見せた写真を見せる。
「この子、紫藤イリナちゃん。昔は男の子みたいだったのにこんな可愛くなったんだよ」
「時間の流れって、すごいわよねー」
「……えっ、ええっ!!?」
写真と実物を何度も見比べたイッセーはただ驚くことしか出来ない。
当時のイッセーは本当に男だと思っていたからだ。
驚いている彼にドライグが口を挟む。
(えっ?相棒、お前本当に気づいてなかったのか)
(ドライグも知ってのかよっ!)
(友人の性別ぐらい、把握していると思っていたが……お前やっぱバカだろっ)
(笑いを堪えながら言うんじゃねーよっ!!)
内に宿る赤い龍とのコントをしている間にも、加奈子と愛奈が呆れた目で見る。
流石に女子と男子と間違えるのは失礼にも程があるからだ。
居た堪れなくなった彼は「すいません」と頭を軽く下げながらもイリナは「仕方ないよ」と笑う。
「あの頃はやんちゃだったし。それに……お互いしばらく見ない内に色々あったみたいだしね」
「……」
彼女の含みのある言葉に、隣に座っていた緑のメッシュが入った青いショートヘアの少女が様子を伺うように見つめる。
「おばさん、私たちは仕事があるからこれで」
「そう?また遊びに来てね」
少し残念な表情を見せるも、席を立った二人を玄関まで送り迎えをするために加奈子も席を立つ。
その後は、入れ違いで帰ってきたリアスにアーシアと共に抱擁されながらも、彼女に家で起きたことを伝えるのであった。
その次の日の放課後、オカルト研究部の部室は重い空気に包まれていた。
ソファに座ったリアスは両腕と脚を組んでおり、イッセーら眷属は彼女の後ろで待機している状態だ。
ちなみにヴァイアもいるにはいるが、空気を読んでいるのか済ました表情で黙っている。
木場も来ていたが、その雰囲気は殺伐としており目の前の二人に敵意を隠しきれていない。
そして昨日、イリナと共に辰巳宅へと訪れていた少女が白い布で何重にも巻いた身の丈もある物体を持ちながら口を開いた。
「会談を受けていただき、感謝する。私は『ゼノヴィア』」
「紫藤イリナよ」
「リアス・グレモリーよ。神の信徒が悪魔に会いたいだなんて、一体どういうことかしら?」
口元には笑みを浮かべているが、公然とした態度で尋ねる彼女の問いにイリナが答える。
「簡単に言うと、私たち教会が所有しているエクスカリバーが盗まれたの」
『っ!?』
その言葉に全員が驚くが、イリナは説明を続ける。
大昔の戦争で四散してしまったエクスカリバー……その破片を教会が回収し、錬金術を用いて七つの特性を持つ七本の聖剣に分けて作り直されたらしい。
行方不明となっている一本を除いた全てを三つの派閥が二本ずつ管理していたのだが、その半分を堕天使に強奪されたというのだ。
その続きをゼノヴィアが話す。
「私たちが持っているのは、残ったエクスカリバーの内……破壊の特性を持つ『
「擬態の特性を持つ『
両手に持った白い布の物体と、腕に巻かれているアクセサリーのような白い紐をゼノヴィアとイリナが見せる。
思い描く聖剣のイメージとは程遠いイリナの紐のような物体にイッセーは首を傾げるが、ドライグが補足説明をする。
(紫藤イリナの聖剣はその名の通り、使い手のイメージ次第で自由自在に形を変えられる応用力の高さを持つ。あのように糸状などの目立たない形に変えることも可能だ)
(へー)
納得しながらも、リアスは事務的な対応で話を進める。
「……で、私たちにどうして欲しいの?」
「今回の件は、我々と堕天使の問題だ。この町に住む悪魔に、いらぬ介入をされては困る」
「随分な物言いね」
ゼノヴィアの言葉に、彼女は表面上こそ冷静であったが「聞き捨てならない」と言わんばかりだ。
今の言葉を要約するならば「悪魔が堕天使と組んで聖剣を利用するだろう」ということであり、「可能性の一つだ」と言っていたがゼノヴィアの目には警戒と敵意の色がある。
悪魔にとって聖剣は忌むべき物、教会側がそのように考えていてもおかしい話ではない。
「……だが、魔王の妹がそこまで愚かだと思っていないさ。あなたはこの町で起こることに、一切の不介入を約束してくれれば良い」
「了解したわ。お茶でもどう?」
ゆっくり息を吐いて彼女らの要求に頷いたリアスは続けて尋ねるが、ゼノヴィアは「結構」とソファから立ち上がる、悪魔と打ち解ける気はないということだろう。
だが、帰る直前にアーシアの顔を見た彼女は動きを止める。
「君は……アーシア・アルジェントか。昨日訪れた時はまさかと思っていたが、こんな極東の地で『魔女』に会おうとはな」
「っ」
そのキーワードに、彼女は表情を曇らせる。
辛い思い出である言葉はアーシアに、イリナは「ああ」と思い出したように彼女の顔を見る。
「悪魔や堕天使を癒す力を持っていたために、追放されたとは聞いていたけど悪魔になっていたとはね」
「イリナッ」
(……んっ?)
咎めるようなイッセーの言葉に、彼女は慌てて「ごめん」と口にする。
一方でヴァイアはイリナの言葉に違和感を覚えるが、顔色を変えたアーシアにゼノヴィアは無情にも言葉を続ける。
「しかし聖女とは呼ばれていた者が悪魔とはな。堕ちれば堕ちる者…っ!?」
その言葉を遮るように突如、ゼノヴィアに流水が降り掛かり、完全に不意を突かれた彼女は直撃したその水に思わず顔を覆う。
いや、それはただの水ではない。
重苦しい空気へと再び変わった部室に広がるのは場違いなほどに鼻に来る磯と潮の匂い……。
「ヴァイア、さん……?」
海水を放出した人物、ヴァイアは今まで見せたこともない冷たい目で彼女を睨む。
「……好い加減にしなよ」
「君は何だ?」
「聞こえなかったの?好い加減にしろって言ったんだよ僕は」
その声は冷たく、熱くなりかけていたイッセーの頭を冷やすのに充分な声だった。
彼はゼノヴィアに近づくと今度は至近距離で海水を浴びせる。
「神様に選ばれただけの人間が偉そうに言わないでくれ。彼女は僕の友達だ、アーシア・アルジェントは僕の大切な友達だ。これ以上の侮辱は許さない」
有無を言わさぬ口調にゼノヴィアが彼を睨む中、イッセーが口を開く。
「お前らがアーシアをどう思おうと勝手だっ。だけど……彼女は俺の家族だっ!!これ以上、お前らが俺の家族に手を出すようならそれ相応の覚悟を持ってもらうぜ」
「イッセーさんっ」
赤龍帝としての膨大な魔力を放ちながら、アーシアをかばうようにゼノヴィアと正面から向かい合う。
リアスが彼を制止しようとした時、先ほどまで黙っていた木場が剣を構えて間に割って入る。
「丁度良い。僕が相手になろう」
「誰だ君は?」
「君たちの『先輩』だよ」
冷たい表情でそう名乗った彼は「こっち」だと言わんばかりに旧校舎の前にある広場へと移動する。
イッセーと木場、そしてイリナとゼノヴィアは互いに睨む。
あくまでも形式は非公式の手合せだが、恐らく上層部が知ったらただでは済まないだろう。
ローブを脱ぎ捨てて拘束具のような黒い戦闘服を露わにすると、姿を現した聖剣を構える。
「壊したくて仕方なかった物が、目の前にあるなんてね……」
嬉しくて仕方がない……。
その言葉と同時に、自らの神器で召喚された魔剣が地面に突き刺さった状態で現れる。
「魔剣創造……思い出したよ。聖剣計画の被験者で、処分を免れた者がいたとね」
破壊の聖剣を肩に担ぎながら、油断も慢心もないゼノヴィアと改めて対峙する。
シリアスな空気の中でそれを中和するようにイッセーサイドの空気は極めておかしかった。
「辰巳一誠君っ!再会したら、幼馴染の男の子が悪魔になっていただなんてっ……何て残酷な運命の悪戯っ!!」
「イリナー?おーい……」
日本刀のように変形させた擬態の聖剣を抱き締めるように大仰な動作で喋り続けるイリナに、イッセーは彼女の名前を呼ぶ。
どうやら自分の世界に入っているようで、目を輝かせた彼女は天を仰ぐ。
「聖剣の適正を認められ、遥か海外を渡り、晴れて主のお役に立てると思ったのにっ!ああっ、これも主の使命っ!でも、この試練を乗り越えることで、私はまた一歩真の信仰に近づけるんだわっ!!」
((あかん。これ完全に自分に酔っちゃてるよこの娘))
ドライグとツッコミをシンクロさせたイッセーは「子供の時もこんなんだったなー」と思い出しながらも、赤龍帝の籠手を装備した左腕を構える。
「さぁ、イッセー君っ!私のこのエクスカリバーであなたの罪を裁いてあげるわ!アーメンッ!!」
「『アーメンッ!』、じゃないよっ!!」
一直線に向かってくるイリナの斬撃を躱しながらも、しっかりとツッコミを入れる。
だが勢いは止まることなく跳躍した彼女は擬態の聖剣をイッセー目掛けて振り下ろした。
もしもイリナが少しでも戦況を見極めることが出来たのなら、間合いを取るなり聖剣の特性を活かして攻撃することも出来ただろう。
「よっと」
大振りの攻撃を左に避けて躱すと、着地したイリナに足払いを仕掛けて転ばせる。
「ぎゃぷっ」と可愛らしい悲鳴と共に前に倒れたことで聖剣を手放してしまった彼女に苦笑いしながら、擬態の聖剣を手の届かないところまで蹴り飛ばす。
「お終い、と」
(相棒っ!洋服破壊をっ、早く俺に若くてピチピチな女子の裸体をっ!!)
(こんな時に発情すんなマダオッ!!)
自重しないドライグを黙らせたイッセーは上体を起こしたイリナにデコピンをして軽く頭を撫でた後、少し離れた場所で見守っていたリアスたちのところへ向かう。
「終わりました」
「何ていうか、あっさり終わったわね」
「イリナが冷静だったら、多分苦戦していましたよ」
苦笑いでリアスの言葉にそう返したイッセーだったが、木場の方は違った。
様々な属性の魔剣を創造して攻撃に迫るも破壊の聖剣で周囲にあった魔剣ごと、破壊の聖剣で突き立てた地面ごと破壊する。
「エクスカリバー……破壊の聖剣は伊達じゃない!」
「くそっ!!」
完全に冷静さを失った木場は身の丈以上の魔剣を創造して直進する。
ゼノヴィアも彼を迎え打つべく、破壊の聖剣を構えた瞬間だった。
「喝ぁーーーーーーーーーーーつっ!!」
野太い男性の大声と同時に再び地面が揺れる。
見れば先ほどとは異なるクレーターが出来上がっており、衝撃による土煙が発生している。
煙が晴れたクレーターの中心にいたのは、袈裟と巨大な数珠を身に着けた屈強な体形の老人で、宛ら破戒僧を彷彿とさせる。
勝負に水を差されたゼノヴィアはその男性を睨む。
「貴様、何者だ?」
「拙僧の名はオクトパス……我らが計画のために二つの聖剣を頂きに参った!!」
「「っ!?」」
そう名乗った彼は、黒い素体の上に赤い鎖が身体中に垂れ下がった茹ダコのような赤い武者甲冑を纏い、左肩には棘付きの鉄球が装備された異形へと姿を変える。
初めてみる怪人に、イリナはおろかゼノヴィアでさえも目を見開くが我に返ると破壊の聖剣を構えて距離を詰める。
「はぁっ!!」
臆することなく両手に構えた聖剣を振り下ろし、オクトパス・ネオストラへと斬撃を浴びせる。
しかし…。
『その程度か?』
「なっ!?」
攻撃が命中しているにも関わらず、破壊の特性を宿した聖剣の一撃を受けて傷一つない……正確には聖剣の輝きと威力を凄まじい速度で吸収している様子に流石のゼノヴィアも驚きの様子を隠せない。
その隙をオクトパスが逃すはずもなく、左手に持った鉄球で思い切り彼女の腹部を殴打する。
強烈な一撃によって苦しげな悲鳴と共に吹き飛び、地面を転がる結果となってしまう。
『ふんっ、そんな弱き剣で拙僧に挑むなど笑止千万っ!消えろっ!!』
「っ!駄目ですっ!!」
事前に得ていた情報とはあまりにも力に差があるゼノヴィア目掛けて、落胆と怒りの混じった声と共に左腕に巻いた鎖を伸ばして鉄球を凄まじい勢いで飛ばす。
未だ起き上がることが出来ない彼女の射線上に入ってくる。
身を挺して自身を庇うアーシアが後に来るであろう激痛に備えて目を強く瞑った。
だが……。
「ぐぅっ!!」
その攻撃を防いだ戦士がいた……イッセーが変身するドラグーンだ。
倍加したズババスラッシャーで鉄球を弾き飛ばすと、鉄球を戻したオクトパスと距離を詰めて双剣による斬撃を浴びせようとするが頑強な装甲に防がれてしまう。
『貴様が新しい仮面ライダーかっ!!ならば拙僧が直々に叩きのめしてやろう!』
「やれるならやってみろっ!」
【MAX BOOST!】
更に倍加したキックでオクトパスを怯ませると、そのまま連続攻撃を仕掛ける。
だがオクトパスは鉄球でそれを防いで逆にカウンターを仕掛けるが、紙一重でそれを躱す。
「こっちだ!」
『ふんっ!』
互いに獲物をぶつけ合いながら、ドラグーンとオクトパスはそのまま森林の方へと進む。
その様子をイリナとゼノヴィアは呆然と見ていることしか出来なかった。
見たこともない怪人と形態になった赤龍帝、幼馴染に二人の思考は追いつかなかったが腹部への激痛にゼノヴィアは表情を歪めるが、アーシアが神器を用いてその傷を癒す。
「……何の真似だ?」
「怪我をしているのですから、治さないと」
打算や利益とは無縁の笑みを見せて治療を行う彼女に、黙って身を委ねる。
傷の痛みが引いてきたゼノヴィアは立ち上がると、何も言わずにイリナと共にこの場から立ち去ろうとする。
だがイリナがアーシアの元まで近づき、「ありがとね」と代わりに感謝の言葉を小声で言うと、今度こそ立ち去って行った。
一方、森林の中ではドラグーンとオクトパスが鍔迫り合いをしながら激突する。
鎖に繋がれた鉄球を伸ばした彼は、思い切り振り回すと周りの木々をなぎ倒しながらドラグーンに攻撃する。
だが大振りなその攻撃を躱したドラグーンはホルダーにシャークバッテリーを装填してインジェクタースイッチを押す。
「ランクアップ!」
【CURSE OF CHARGE!……水と氷の魔法でGO! SAHRK BISHOP~!!♪】
シャークハートへと姿を変えたドラグーンはバキューンライフルで狙撃して、オクトパスにダメージを蓄積させていく。
負けじと鉄球を構えるオクトパスだったが、ネオストラたちが使っている連絡用の呪法に耳を傾ける。
『……了解した。仮面ライダーッ!!次こそは貴様の首を貰い受けるっ!!』
そう叫ぶと、身体中から黒い煙幕を発生させて目くらましを行う。
煙が晴れたころにはオクトパスの姿は消えており、イッセーは変身を解除してリアスたちの元へと向かった。
旧校舎の部室では木場とリアスが言い争っており、その様子を朱乃やアーシアたちが心配に見ている。
事情を尋ねた彼にヴァイアは簡潔に説明する。
どうやら「眷属から抜ける」と宣言した彼に、リアスが怒っているのだ。
自分の眷属を何よりも大切にする彼女が身を危険にするような行為を許せるはずがないのだ。
それでも、部室を出て行こうとする木場に言う。
「待ちなさい祐斗!あなたが私から離れることは許さないわ。あなたは私の大切な『騎士』なのよっ!!」
「部長……すみません」
その一言だけを言って、彼は部室を去ってしまった。
重くなったオカルト研究部の様子をヴァイアの手元にあったスミロックスが装填されたハートバッテリーを輝かせるのであった。
何ていうか、アーシアへの冷たい態度って仕方ないと思うんですよ。状況だけ見れば「魔女」と呼ばれても仕方ない行為ですし……今回は何を言われても傷ついた人を癒すアーシアの描写を入れてみました。
ではでは。ノシ
オクトパス・ネオストラ ICV土田大(ニンジャブルーの人)
キョンシーの忠実な部下であり、負の権化とも言える果てなき闘争心から進化した。
茹ダコのような赤い武者甲冑に赤い鎖が身体中に垂れ下がっており、左肩には棘付きの鉄球とそれに繋がるように左腕に巻かれた長い鎖が装備されている。
鉄球を軽々と振り回して敵を薙ぎ払う他、ロケットのように思い切り発射することが可能で、身体中から黒い煙幕を発生させる能力を持つ。
老僧のごとき威厳と貫禄を感じさせる戦士で好戦的だが、任務を優先するなど忠誠心も高い。近い内に「クラーケン」の名と姿を持った個体に覚醒する模様。