ただいま峰田で奮闘中。   作:とろろ~

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こっそり投稿。

遅くなりました。大変申し訳ありません。
本当に色々ありまして。

騎馬戦後編です。


33話

『5分前!轟チームが氷で壁を作り、フィールドを緑谷チームとサシ仕様にし、あっちゅー間に1000万奪取と思いきや!なんと緑谷チームは逃げ続け、残り1分弱!素晴らしい逃げっぷりだ!果たして1000万は誰の手に渡るんだー!?』

 

 

緑谷出久・・・か。こうなった状態で峰田の言葉を思い出す。『オイラなんかより緑谷と戦った方が苦戦すると思うぞ。』・・・と。

 

「あと1分!頑張ろう・・・キープ!」

 

その言葉に緑谷チームの騎馬が動き、轟チームとの距離をとる。

 

緑谷はこちらをよく見てる。常に俺の左側に移動して俺の氷を警戒している。これなら最短で凍結させようにも騎馬の飯田に引っかかる。上鳴の放電も常闇の影に防がれる・・・・厄介だな。

 

「皆、残り1分・・この後俺は使えなくなる。頼んだぞ。」

 

「飯田?」

 

「しっかり掴まってくれ!そして奪れよ、轟くん!」

 

「なにを・・」

 

「トルクオーバー!レシプロバースト!!」

 

飯田の言葉と共に突然の加速が始まる。体が仰け反り景色が飛ぶように変わっていき、緑谷チームの横を通過した。そして

 

「何をするかくらい言え。」

 

「すまない。だが上手くいったろ。」

 

「ああ、奪れた。」

 

1000万のハチマキを手にした。

 

『おぉっと!?速っ速ーーー!何が起きた!!?飯田の超加速スゲーなおい!!ここで轟チームが1000万を奪取!!』

 

「こんな隠し玉があるとはな。」

 

「トルクの回転数を無理矢理上げて爆発力を生むんだが、反動で暫くエンストするんだ。皆にも言っていない裏技さ。そして・・・言っただろ緑谷くん。君に挑戦すると!!」

 

言われた緑谷はハッとした顔をして慌てだす。

 

「つ、突っ込んで皆!取り返すんだ!」

 

他にも何か言っているが、もう用はない。次は峰田だ。

 

「よし、回避しつつ移動するぞ。」

 

「そうだな行こっ!?あ、足が!?」

 

どうやら飯田の足が動かないらしい。何が原因かと思い視線を落とすと見覚えのある紫色の玉を飯田は踏んでいた。

 

「轟さん、右です!氷の上ですわ!」

 

八百万の声で、そちらの方向を見ると奴はいた。

 

「あと20秒くらいか?行くぞ障子、蛙吹!フルアタックモード!」

 

「「了解!」」

 

やっと本気かよ、峰田。

 

氷の壁から飛んで此方に向かってきた峰田達。それに対して右手を振るい氷柱を作りだし、空中で障子の足を捕まえた。これで奴等は動けない。騎馬から降りるわけにはいかないからな。

 

「上からきます!避けてください!」

 

「っ!!」

 

八百万の言葉に反応し体を反らせると、今まで俺の頭があった場所に蛙吹の舌が伸びていた。

 

危なかった。

 

「左から緑谷さん達が!」

 

「くっ!!」

 

俺は咄嗟に左腕を上げ、ハチマキを奪われまいと防御したが、その腕に炎を生み出していた。

 

「あつっ!」

 

緑谷が熱によって怯んだ。だが俺はその光景を見て、動きが止まった。そして思考が始まる。

 

何故使った。絶対使いたくない『個性』。父親から受け継いでしまった『炎』の個性。あんなにも憎い個性を!!

 

そんな動きが止まった俺を緑谷達が逃すはずもなく

 

「っ!奪れた!!点数確認!1000万だよ、常闇君!!」

 

「こちらも一本奪った!離脱するぞ!」

 

「くっ緑谷!待っ!?」

 

急に視界が黒くなり、体にも何かがくっついていく。それを取ろうとすると、それに手がくっつき動かせなくなった。直ぐに思い出せた。確実に峰田の玉だ。

左を使うしかない状況だが、さっきの思考かそれを拒絶した。

 

そして

 

『3、2、1、終了ーーー!!!』

 

ボイスヒーローの声が響いた。

 

・・・・俺は一体何を考えていた。何をしていた。思考がまとまらない。だが一つの言葉が出た。

 

「皆・・・すまない。」

 

八百万も上鳴も飯田もよくやってくれた。自分だ。自分だけが・・・・

 

そんな後悔をしていると八百万から

 

「轟さん・・・謝る必要なんてありませんわ。だって第三種目に出れますわよ。」

 

八百万からの思わぬ言葉に

 

「「バカな」」

 

と言葉が出たが、誰かと被った。聞き覚えのある声だったが・・・一体・・・

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 

『残り5分!おっとこれは!轟の個性で氷の壁が出現!!緑谷と轟の一騎打ちだーー!!』

 

 

 

「よし、行くぞ。」

 

・・・・・・・

 

「そうね。・・・どうしたの峰田ちゃん?」

 

あっ、いや、何でもない。行こうか。

 

 

 

どうもこんにちは。峰田実になった青年Aです。早速ですが・・・やらかした。

 

やっちまったーーー!!やっちまったよ自分!!

 

何がって?いや、さっきね轟チームがさ、取り囲まれるように襲われたのよ。んで、障子が「襲う側に近づいてハチマキを取ろう」って言ったのよ。

ラッキーこれで感電&氷結くらって終われるじゃん原作サイコー。

とか思ったのよ。そしたらさ自分、峰田になる前の記憶でさ、ゲーム機のアダプターを悪戯して口に咥えて感電した辛かった思い出が甦ってね・・・障子のこと止めちゃった。

 

結果、原作での感電&氷結状態になりませんでした。

 

「ナイス判断だったわ、峰田ちゃん。」

 

「流石だな、峰田。」

 

お、おう。ありがとう。

 

・・・褒めないで~ここでめっちゃリタイアしようとしてたんです。二人を巻き込んで原作通り終わらせようとしてたんです。褒められる度に罪悪感が半端ないです。

 

 

「それにしても・・・ちょっと可哀想ね。」

 

「うむ。」

 

ちなみに可哀想とは目の前に広がっている状況です。轟チームに感電&氷結をされた人々のことである。しかも轟チームは、こんな惨状を作ったものの、近くにいたチームからハチマキを取っただけで、他のチームには触れずに1000万を狙うために早々と緑谷チームに向かっていったのだ。

 

 

とりあえずハチマキ回収する?

 

「・・・」

 

「そうね。」

 

蛙吹がケロっと言いながら舌を伸ばして回収していると

 

「おい!卑怯なことしてんじゃねえよ。」

 

と怒っている声が。声がした方を見ると、そこには灰色の髪の毛に睫毛が固そうな男のチームがいた。

 

・・・誰?

 

「B組の鉄哲徹鐵だ!」

 

はあ、で、何ですかね?

 

「動けない奴等からハチマキを取ってんじゃねえよ!卑怯だろうが!!」

 

ああ、なるほど。この方々は真っ正面から戦いたいタイプの人か。ふむふむ、ヒーローとして硬派で素晴らしいタイプですな。一理あるし。・・・でも言い方にイラッと来たので反論させていただこう。

 

 

 

笑止!!!

 

「なに!?」

 

ならば貴様はヴィランが「動けないから助けて」と言ったら捕まえないのか!

 

「うぐっ!?だ、だがこれは違うだろ!」

 

甘いなコイツ。言葉の弾丸で論破させて頂こうか。あ~、あのゲームやりたくなってきた。

 

 

違わないね!これは将来プロとなった時の心構えの練習のようなもの!全ては、プロになった時に必要だから雄英が用意した競技だ!貴様は『雄英体育祭』がテレビで楽しませるだけのモノだと思っていたのか?だとしたら心構えがなっていないな!雄英高校の理念を確認して出直してこい!!だいたい卑怯っつーなら、そっちの女の子の個性でこっそりハチマキ取るのもどうなのかね!

 

「「「「ガフッ!!」」」」

 

鉄哲チームは、全員真面目だったのかショックで膝をついてしまった。だが騎馬は崩れていない。器用である。

 

「峰田ちゃん、私達からハチマキを奪った人のこと知ってたの?」

 

いや、知らなかったけど、自分達のハチマキしてたし、奪られた時に気がつかなかったから『ツル』を使える個性の女の子をダチに聞いてんで、その子なら可能かなって・・・そこの騎馬の子ね。

 

 

いや~いつの間にか取られてた時は、本当に原作の波が来ていて嬉しかった。ちなみに原作ではハチマキを取ったのは、鉄哲チームにいる個性『ツル』の塩崎茨さんって人です。

 

 

「そうなの。それなら取られた時に言って欲しかったわ。自分の中での推理でも相談して欲しいわ。今度からお願いね。」

 

すまんです。気をつけます。

 

なんか普通に注意されたというか、叱られたのが嬉しい・・・あれなんで?

 

「・・・二人とも、ちょっといいか。」

 

おっと、意識が何か別に逝ってた。いかんいかん。

 

「何かしら?」

 

「この男が言ってたことにも一理あると思ってたな。俺は少々思うところがある。このハチマキは俺達が持つべきものではないとな。」

 

つまり動けなくした轟チームが持つべきハチマキじゃないかってことか?

 

「ああ。」

 

なるほど。でも、こういう手柄の横取りも騎馬戦ではアリだとおもうのだがなぁ。そっかー。たぶんヒーロー目指してるだけに気になるんだろうなぁ。・・・ああ、良いこと思い付いた。

 

 

じゃあ、この点数を轟に届けよう。

 

「なに?」「ケロ?」

 

ヒーローにはサイドキックがいるからな。サイドキックは武器なり、移動手段なり色々とサポートするもんだ。だから今からサイドキックとして働く練習と考えて動こう。

 

「なるほど。だが・・・」

 

「私はいいわよ。本来なら轟ちゃんが持ってるべき点数ですもの。」

 

「すまない。」

 

じゃあ、作戦変更。時間内に轟にハチマキを届けるってことで。

 

「ケロッ」「おう。」

 

 

・・・やったぜ。やってやったぜ。これでハチマキが全て轟に渡る。つまり原作通り第二種目で敗退である。しかも電気で痺れるとか痛い目をみることなく敗退である。原作よりスマートに敗退。スゲー理想的やん。笑いが止まらんですよ。

 

 

 

じゃあ時間も少ないし、さっさとレッツゴーだぜ。

 

「ケロん」

 

ん?蛙吹さん、今なんかした?

 

「?別に変わったことはしてないわよ?」

 

あっそう。ならいいや。

 

 

 

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・

 

「なんとか登れたわね。障子ちゃん、お疲れ様。」

 

「氷の作り方が少し雑だったからな。引っ掛かりがあって良かった。」

 

なんとか氷の壁を登りきり、上から様子を確認すると何と飯田が凄いスピードで此方に来た。そして緑谷に何か言っている。

 

「凄いわ、飯田ちゃん。でもこれで逃げられちゃったらハチマキ渡せないわね。」

 

じゃあ、コレで。ストップさせよう。

 

自分は飯田が一歩踏み出すと予想する所に『もぎもぎ』を投げた。

 

「それは緑谷達に大きなチャンスにならないか?」

 

・・・・・・・あ。

 

飯田が『もぎもぎ』を踏み慌てていると、八百万が此方を見て轟に報告している。そして轟は此方を敵意のある眼で見てきた。

 

・・・ごめん、とりあえず戦いながら渡すよ。あと20秒くらいか?行くぞ障子、蛙吹!フルアタックモード!

 

「「了解!」」

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

いやー大変だったなぁ。まさか飛び降りてる最中に空中で障子の足が氷に捕まるとは思わんかった。もうね急にビタっと止まったから障子の背中から転げ落ちるかと思ったよ。

今は騎馬戦が終わったので、セメントス先生が氷を割って下に降ろしてくれてます。仕事が早くて助かります。

 

さて、『もぎもぎ』にくっつけたハチマキを轟に投げて当てることに成功した。これで自分達のハチマキは無し。無事に敗退確実だ。俺は笑いながら二人に話しかけた。

 

お疲れー、障子、蛙吹。

 

「ケロ。お疲れ様。」

 

「ああ。」

 

無事に終われたな。

 

「そうだな。」

 

「結果が楽しみね。」

 

蛙吹はそう言って集計中と書かれているモニターを眺めている。

 

 

 

 

 

二本のハチマキを持ちながら。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・え?

 

 

 

あの・・・蛙吹さん・・・

 

「梅雨ちゃんって呼んで。」

 

あ、ハイ。えっと梅雨ちゃん・・・そのハチマキは?

 

「?鉄哲って言ってた人のよ。」

 

あっごめん。そうでなくて何でハチマキ持ってるん?

 

「おかしなこと言うのね。峰田ちゃんが倒してくれたじゃない。口撃で。」

 

・・・攻撃?もしや口(くち)って漢字で書いちゃう口撃でしょうか。つまり言い負かしたんだから奪っちゃったってことかな?そんな・・・・

 

「「バカな」」

 

誰かと被った。言葉が聞こえた方を確認すると『もぎもぎ』をくっつけたままの轟がいた。

 

とりあえず酷いビジュアルで可哀想なので『もぎもぎ』を取ってやった。

 

そして自分と目が合うと睨み付けてこう言った。

 

「何でこんなことをした。」

 

うわーこれ何言っても怒られるパターンや。しょうがない。逃げよう。

 

とりあえずニッコリ笑って、敵意を煽らずに障子達の元へと駆け出した。

 

 

・・・・あっ、すげー寒気する。

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

峰田は何も言わず、ニヤリと笑って俺の目の前から去って行った。

 

『雄英体育祭』。毎年恒例ならば、最後はトーナメントのバトルと決まっていたはず。つまりは、今まで勝負をしろと言ってもしなかったのは、全てこの大舞台で決めようってことだったらしい。

 

「上等だ。」

 

俺は静かに闘志を燃やし、峰田の背中を見続けた。

 

 




次回、オリジナル回にしようか。
それともトーナメント始めようか。悩んでます。

騎馬戦結果(点数は気にしないでね。)

1位緑谷チーム
2位爆豪チーム
3位峰田チーム
4位轟チーム
5位心操チーム

トーナメントは16名です。
心操くん。人数補填のため、トーナメントメンバー入りです。

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