ただいま峰田で奮闘中。   作:とろろ~

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毎回本当に誤字脱字報告ありがとうございます。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。


22.5話 緑谷出久。ダイジェスト版 その③
です。やっと書けました。今回でダイジェスト版終わりです。次回から峰田君(青年A)を主体です。


22.5話 緑谷出久。ダイジェスト版 その③

「・・・やっと、ここまで・・・」

 

 

 

 

オールマイトと出会った日。その日、この言葉から僕の運命は変わった。

 

「君に私の"力"を受け継いでほしい。」

 

「え?」

 

最初は何を言っているか分からなかった。オールマイトは話を続けた。そして僕はオールマイトの大変な秘密を知ってしまった。力を引き継ぐ"譲渡"の個性というものを。

 

・・・譲渡・・・譲渡ってことは・・・

 

「で、でもそれじゃあオールマイトが・・・ヒーローを辞めてしまうことに・・・」

 

「ははっ、大丈夫。"譲渡"しても暫くは私にも個性が残るんだ。それに引退を考えてもいたからね。」

 

「え?引退?」

 

「うん。元々私のヒーローとしての時間は短くなっていたからね。完全にヒーローを辞めてしまう前に君のような子を見つけられてラッキーさ!」

 

「ら、ラッキーって・・・」

 

「ああ!"無個性"なのにあの場で1番ヒーローをしていた君に出会うことが出来た。そしてそれを見て私自身を振り返ることが出来たんだ。いつの間にか見せかけだけの筋肉ヤローになっていた私をね。」

 

「そんな僕は何にも・・・」

 

「いや、君はあの場で私の心も救ってくれたんだよ。本当にありがとう。・・・だからこそ、そんな君に受け継いで欲しいんだ。この個性を。『ワン・フォー・オール』を。」

 

あの尊敬して・・・憧れてやまないオールマイトに・・・ここまで言われて・・・あるのか・・・ないだろ・・・

 

「まあ、しかし君次第だけどさ。どうする?」

 

断る理由なんてっ!!!

 

僕は目から溢れ出ていた涙を袖で拭き、オールマイトを正面でしっかりと見つめ言った。

 

「お願いします!」

 

 

 

 

あれから数ヶ月。鍛えに鍛え、僕は今『雄英高校』の正門に来ています。雄英高校の制服を着て。

 

無事・・・ではないが入学試験、受かることが出来て良かった。

 

実技試験の時は大変だった。なんと言ってもオールマイトに

 

「君は『スパイダー』を使わないでくれ。」

 

と言われていたからだ。何故って?それはね、沿岸のゴミ掃除で鍛えている時だったんだけど・・・使い過ぎたからです。『スパイダー』は便利だったんです。ゴミ掃除に。ゴミを縛りあげたり、遠くにあるものを引き寄せたりと。

 

そんなことをしていたらオールマイトに「何故、現場にある紐や縄を使わないのかね。『スパイダー』の原料?材料?がもったいない気がするよ。」と言われてしまった。目から鱗でした。全くもってその通り。既にあるゴミに混ざっている紐や縄を使えばいいのに頭が働いていなかった。凝り固まっていたと言っていい。反省しました。

 

それ以降、『スパイダー』を使わずにゴミ掃除をした。たんたんと・・・たんたんと・・・

 

 

 

じーーーーーー

 

「緑谷少年、緑谷少年。」

 

「はっ、はい!」

 

「目線が『スパイダー』にいってるよ。」

 

「あ、すいません。」

 

「・・・ふむ、緑谷少年。申し訳ないが『スパイダー』を作った経緯を教えてくれないかい?」

 

「はい!」

 

僕は話した。何故作ったか。何故この『女郎蜘蛛』さんの"個性"を参考にしたか。作ったのち、どのように使っていたかも。

 

「うーん、なるほどなるほど。彼女を参考にしたのか。はっはっはっ!どこかで見たことがあるわけだ。」

 

一人納得しながらオールマイトは言うが・・・何処かで『女郎蜘蛛』と会ったのだろうか?『女郎蜘蛛』の事件などにはオールマイトと会ったことのありそうな記事とかは無かったんだけど。

 

オールマイトは笑っていたが僕が不思議そうに見ていると分かると咳払いをして真面目な表情で言った。

 

「ゴホン。あ~、緑谷少年の話から察するに君にとって『スパイダー』は君の擬似的な"個性"の獲得になっているね。心の中で。」

 

「え?」

 

思いあたる節は・・・あった。正直、自分で作って使いこなせるようになってきた時、この"力"があれば人を助けられる。"サポートアイテム"ではなく"力"と思っているところがである。

 

「緑谷少年は"無個性"だ。だからこそ"個性"に近しいサポートアイテムを持ったのなら、"個性"と同等の"力"を持ったのだと思っても仕方がないことだ。むしろ思うのが人間の心だよ。何も悪いことではないから安心して欲しい。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

「うん。では、私から一つ提案だが・・・雄英の実技試験、君は『スパイダー』を使わないでくれ。」

 

「はい!・・・ええええ!!??」

 

 

その後、オールマイトは理由を言ってくれた。何でも擬似的な"個性"と思ってしまっている僕の心を矯正し、『ワン・フォー・オール』を心に刻み込むためらしい。このままでは、いざ戦闘を行うときに『ワン・フォー・オール』を使えば良いのにサポートアイテムである『スパイダー』を優先的に使うという思考が出来上がってしまうからとのこと。

 

「アイテムが便利過ぎてね。そればかり頼ってしまい、アイテムが無ければ力を発揮できない。そんなヒーローを何人も見てきたからね。」

 

オールマイトの実体験から来る言葉を僕はしっかりと受けとめた。

 

 

受けとめたはずだったのだが・・・実技試験は本当にボロボロだった。開始の合図があった後、僕は腕を前に出し、『スパイダー』から糸を発射させる行動をとった。腕に『スパイダー』を着けている訳でもないのに・・・。

 

しかもその後が酷かった。

 

糸が出ないことに混乱し、服のポケット触って『スパイダー』を見つけようとする始末。一応、足だけは仮想ヴィランを倒そうと街中に走っていてくれたが、本当に恥ずかしい限りである。

 

その後は・・・まあ、悲鳴を聞いて0p仮想ヴィランが目の前に迫ってきていることに気がついて、逃げ遅れてる女の子を発見し、0p仮想ヴィランを殴って・・・・試験は終わりました。帰り道で

 

・・・・確実に落ちた・・・・

 

そんなことを思いながら帰り、受験結果が来るまでの記憶は覚えてないほどです。

 

 

ですが今は大丈夫です。二度目ですが、言います。僕は今『雄英高校』の正門に来ています。雄英高校の制服を着て。あ、試験は終わったので『スパイダー』は着けてます。暫くは使わないようにするつもりですけどね。

 

校舎に入り、僕は教室に向かった。ちなみに僕の教室はA組です。ヒーロー科は一般入試で定員36名。クラスは2クラスしかない。

 

「着いた。」

 

そんな狭き門を抜け、選ばれた人たちがこのドアの向こうにいるわけで・・・

 

ドキドキします。一先ず、受験の日に出会った怖いメガネの人とか、かっちゃんみたいな怖い人とは違うクラスであって欲しいなぁ・・・・

 

そう思いドアを開けると

 

「机に足をかけるな!今まで使っていた先輩や机の生産者の方々に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ!てめーどこ中だよ端役が!」

 

会いたくない!と思っていた2トップがおり、何やら言いあいをしていた。

 

 

どうしようかと思ったけど、とりあえず絡まれたくないので気配を絶ちながら、そっと教室に入り自分の席を探した。

 

「緑谷・・緑谷、あったここだ。・・・え?」

 

黒板に貼ってある席順の表を確認し、自分の席を見つけて向かうと僕の後ろの席である子が机に突っ伏して寝ていた。

 

「そ、そんな何でここに・・・」

 

寝ていた子は・・・いや、体は小さいけど、ここにいるからには、子ではなく高校生なので子と呼ぶには失礼なのだが、僕の記憶の中の彼とあまり変わってないように感じて・・・・いや別人の可能性の方が高いけど・・・あまりに特徴的で頭に玉をつけている人がいた。

 

僕は力が抜け、膝をついて膝立ちの状態になった。そしてその膝から落ちた時の音で、その人は起きたらしく、ゆっくりと顔を上げて此方を見た。

 

僕は震える声で

 

「あ、あの僕の事、覚えてま・・・」

 

「緑谷じゃん。久しぶりだなぁ。」

 

別人の可能性の方が高かったのだが、僕が子供の時に会った少年に間違いなかった。

 

しかも彼は僕のことを一目で分かった。

 

「いや~あのあと色々心配だったけどよ~。やっぱりココに来るよな。緑谷だし。」

 

「あの・・・僕は・・」

 

「あれ?そんなアクセサリー着けてたっけ?」

 

「これは・・・」

 

「まあ、いいや。とりあえずお前があんま変わってなくて良かったよ。」

 

「か、変わってないかな」

 

「おう!ここに来たってことは、あの時と変わらずに、夢はNo.1ヒーローで、オールマイトみたいなヒーロー目指してるんだろ?」

 

僕は、その一言で感情が色々と溢れて・・・・

 

「っっ・・ぅん・・」

 

「じゃあ変わってないな。あっ、でも」

 

溢れて・・・・

 

「服着てても何となくわかるぜ。いい感じに筋肉ついてそうだな。」

 

あふれて・・・・・・

 

「頑張ったんだな・・・緑谷。」

 

この一言で僕はもう・・・・

 

「違、うん、です。僕、は・・・」

 

・・・涙が止まらない

 

 

彼から貰った言葉が甦る。

 

『なれるだろ。』

 

このまま個性が出ないかもしれないと言った僕に、アッサリと僕に言ってくれた言葉

 

 

「君のお、かげで、僕ば、」

 

・・・伝えたい

 

「コゴに、い、ばす!」

 

彼は顔を横に振り、それは違うと言った後に

 

「オイラが居なくてもお前は来てたって。それに仮にオイラがきっかけだったとしてもお前自身が頑張ったことにかわりはないんだぜ。」

 

本当に涙がボロボロと出てくる。

もう僕はダメだった。僕は彼の手を取り

 

「ありが、どうござい、ばすっっ!!」

 

感謝の言葉を叫ぶ。だが上手く言えず、泣きながら『ありがとうございます』と何度も言った。

 

どうしても言いたかったから。

どうしても伝えたかったから。

 

彼は、そんな状態の僕を優しい笑顔で見つめてくれた。

そして少し僕が落ち着いたのを見計らって

 

「あ、そういえばオイラの名前言ってなかったよな?峰田実だ。今日からよろしくな。」

 

僕は彼の名前を聞けて、また泣いてしまった。

 

 

 

 

僕が雄英の生徒となった記念すべき日。

僕にとって生涯の友となる人と出会った日になった。

 

僕は今日という日を絶対に忘れない。

 

 




遅くなって大変申し訳ありません。色々ありまして。本当に色々・・・。

GW様々です。これが無ければ書いて無いですね。なるべく今週中にもう一個描きたい。けど明日から『親戚集会』という地ごk・・・挨拶まわりに行ってきます。

あっ、そうそう。新社会人の方々にご忠告。
6月中に上司に「パスポートある?」と聞かれたら「持ってないですねぇ。」と答えると良いですよ。海外と取引をしてる又は、しそう。な会社ですと・・・・送られるからね。

6月中に決めて7月、8月に研修をして9月から海外でお仕事。なんてことがありますので気をつけてください。というわけで後書き物語。

とある男と女の話は次回。海外編。

・・・・書けたらいいなぁ。




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