ただいま峰田で奮闘中。   作:とろろ~

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誤字報告。毎回本当にありがとうございます。
アレですね。小学生みたいな間違いでお恥ずかしい。でも無くならないですね。誤字脱字って。

本日も緑谷君のお話、ダイジェスト。次回も緑谷ダイジェストして終わりです。
次々回から峰田実でお送りします。


22.5話 緑谷出久。ダイジェスト版 その②

気絶した僕をオールマイトが起こしてくれた。その後、サインもそこそこに立ち去ろうとするオールマイトにどうしても聞きたいことがあって

 

「それでは今後とも応援よろしくね!」

 

足を曲げ、今にもその強力な脚力で跳んで行こうとしている背中に『スパイダー』を使ってしまった。

スパイダーから出た糸は、オールマイトの背中に当たり、オールマイトが跳ぶと僕の体も浮き上がった。

 

「うわぁぁぁぁ!!」

 

「っ!?な、何をしているんだ少年!!」

 

「すいません!どうしても聞きたいことがあって!」

 

オールマイトは、少し咳き込みながら近くのビルに着地した。

 

凄いや。さっきのジャンプでこんな遠くまで来れるなんて。

 

なんて感動しているとオールマイトが

 

「私はマジで時間が無いので、さらばだ!!」

 

早くも跳んで行こうとしていた。

 

「待って!」

 

「NO!!待たない」

 

オールマイトが手すりに手をかけた。

オールマイトが行ってしまう。時間がないと言っている。でも僕は・・聞きたい・・・

 

「"個性"が!・・・"個性"が無くてもヒーローになれますか・・・あなたみたいなヒーローになれますか?」

 

「"個性"が・・・ごふっ!?」

 

答えを聞くのが怖く下を向いてしまった。でも僕は喋り続けた。周りの評価。自分がしてきたこと。今までのことを・・・そして自分のなりたいものを再度確認するように聞きたくなった。意を決して、顔を上げ彼に言おうとしたのだが目の前には・・・

 

「そんなあなたみたいなヒーローに僕もぉぉぉぉおおお???!!!」

 

骸骨のように痩せ細った人が立っていた。

 

「私はオールマイトさ。」

 

オールマイトだという彼は血を吐きながら言った。

 

「う、ウソだーーー!!!」

 

 

 

自分がオールマイトだと言った彼は、ため息を吐きながら座り込み、シャツをまくり上げた。そこには大きな傷があった。とても凄惨な傷が。

 

「5年前に少し"事件"があってね。その時の傷さ。呼吸器官半壊、胃袋全摘。度重なる手術と後遺症でね。私がヒーローとして一日に動けるのは三時間くらいさ。まあ、さっきまでの自分は、プールで腹筋を力み続けてる人みたいに思ってくれたまえ。」

 

「そんなのどこにも・・・」

 

「ああ、そうだよ。世間には公表しないでくれと私が頼んだのさ。」

 

「な、なんでそんな事を。」

 

「ヒーローは悪に屈してはいけないからだよ。もし私が怪我をして暫く行動出来ないと分かったら?どうなるかな。"平和の象徴"がいなくなったら。」

 

「・・・・あ」

 

用意に想像が出来た。今だって個性をもて余している人達がいっぱいいるのに。抑止力になっている"平和の象徴"がいないなら・・・大混乱になってしまうかも知れない。

 

「聡い子のようで良かったよ。いいかい?『プロは、いつだって命懸け』だよ。とてもじゃないが『"個性"が無くても成り立つ』なんて言えないな。」

 

「・・・は・・ぁ」

 

言えない・・・・つまりは・・・・・

 

「個性がないと言っているから、さっきの糸はサポートアイテムの類いだろ?見たことがないやつだから自作かな。人を助けたいと思うのは立派だ。だけど、君にはヒーロー以外をオススメしたいね。サポートアイテムの職人だって、立派な人助けになる。直接助けたいなら警察官って道もある。」

 

ああ、やめて・・・・言わないで・・・

 

オールマイトは、ゆっくりと立ち上がり屋上の扉に手をかけて最後に言った。

 

「・・・夢を見るのは悪いことじゃない。だが現実も見るようにしなくてはな。少年。」

 

僕の意識はここで途切れた。

 

 

 

 

 

僕は意識が途切れながらも歩いていたらしく、気がついたら道にいた。

 

・・・あ、そうか。言われてしまったんだ。トップであるNo.1ヒーローに・・・現実を見るようにって。

 

手にあるノート。『将来の為のヒーロー分析No.13』。焼け焦げている。そして思い出される言葉。

 

『現実』、現実、現実現実現実・・・・・・

 

ああ、本当は分かってた。分かってたから僕は足掻いていたんだ。だから見ないように・・みないように・・・

 

ドゴォォォォォン!!

 

突然の爆発音に横を向くと、そこには商店街があり、人だかりが出来ていた。

 

ああ、クセって凄いな。

 

微妙に見覚えのない道を歩いていたと思ったら、体が勝手に動いていたらしい。きっとずっと爆発音はしていたのだろう。今も勝手に商店街に足が動いていた。

 

やめておけばイイのに。

 

思いとは裏腹に人だかりを縫って爆発音の元に目を向けると、さっきのヘドロの人が誰かに寄生しながら暴れていた。

 

そ、そんな!だってさっきオールマイトがっ!!逃げられた!?だとしたら

 

「ぼ、僕のせいだ・・・」

 

周りの人の声から、寄生された誰かは中学生で暫くあの状態で捕まっている状態らしい。

 

そんな!あんな苦しいのに耐えているっていうの!?僕のせいで!ごめんなさい!でも僕は何も・・・出来ないっ!誰かっっ彼を救けて!!

 

早くあのヘドロに有利な個性のヒーローが来てくれと願っていると寄生されている中学生と目が合った。

 

 

目が合った瞬間・・・

 

 

僕の足が・・・

 

 

体が・・・

 

 

 

 

飛び出していた。

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿ヤローー!!止まれー!止まれ!!!」

 

後ろから声がする。だけど、足が止まらない。

同時に考えた。

 

何で?どうして出た?何の役にも立てないのに。

 

ヘドロが大きな目を此方に向けて何かしようとしていた。

 

どうする!でも、こういう時は!

 

背中に背負っているカバンを走りながら外して、全力でヘドロの目に投げた。

 

「ぐぅ!」

 

ヘドロが怯んだ隙に懐に入り込み、なんとか中学生の顔からヘドロを引っ張り、口を外に出させた。そして僕は言う

 

「かっちゃん!!」

 

「何で、てめぇが・・」

 

捕まっていたのは幼馴染のかっちゃんだ。

 

「何でって!分かんないよ!!でもっっ!!」

 

本当にわからない。色々な理屈があった気もする。でも、でもっっ!!その時はっっ

 

「君が助けを求める顔してた。」

 

 

 

 

ヘドロのドロドロとしたモノが僕の腕に絡み付いた。

 

「邪魔をするなぁ!」

 

言葉と同時に上からヘドロの手が押し潰そうとしていているのがスローモーションのように見えた。

 

死ぬ

 

そう思った。

 

でも、そうはならなかった。

 

僕の後ろから大きく太い腕が出て来て、僕とかっちゃんの腕を同時に掴み、野太く逞しい声が僕の耳の近くで聞こえた。

 

「君に諭しておいて己が実践しないなんて・・・『プロは、いつだって命懸け』!!」

 

ああ、やっぱり・・・

 

「DETROIT!!SMASH!!!!!」

 

カッコいいなぁ・・・オールマイト・・・・

 

 

 

 

 

この後、散ったヘドロの人はヒーロー達に回収され、僕は無謀な行動を怒られ、かっちゃんは称賛された。

 

 

・・・・家に帰ろう。

 

 

「おい!デク!!」

 

帰り道を歩いていると突然後ろから呼び止められた。振り返ると、そこにいたのは幼馴染だった。

 

「かっちゃん。」

 

「てめぇに助けなんて求めてねぇ!一人でも出来たんだよ!無個性のくせに恩売ろうってか!見下すなよ!俺を!!クソナードが!!!」

 

かっちゃんは、言うだけいって行ってしまった。

 

・・・ははは、凄いタフネス。こういう人がプロの世界に行けるんだな。・・・何も変わったわけじゃないけど、これで良かったんだと思う。これで僕も現実の・・・・

 

「私が来た!!」

 

「わ!?オールマイト!!何でココに!?取材陣に囲まれてたんじゃ」

 

「そんなの抜けるくらいワケないさ!ゴフっ!」

 

血を吐きながらオールマイトが骸骨のような人になった。

 

「む、無理を為さらないでください。」

 

「いや失敬。さて、少年。ここには、礼と訂正そして提案をしに来たんだ。」

 

「礼と訂正と提案?」

 

「君がいなければ私は口先だけのニセ筋になっていたよ!ありがとう。」

 

「そんな、僕は結局・・・皆さんの仕事の邪魔をしてしまって・・・」

 

無個性のくせに前に出て、ヒーロー達の仕事をしにくくしてしまっただけだ。

 

「そうさ!あの場の誰でもない!!"無個性"の君だったから私は動かされた!!!」

 

・・・え?

 

「歴代のトップヒーローは学生時から逸話が多い。だが皆の話がこう結ぶ。『考えるより先に体が動いていた』と!!!」

 

何故だろうか。ドクドクと心臓が大きな音を出し始め、体が震えて涙が出てきた。そして昔の母との記憶か甦った。

 

「君もそうだったんだろう?」

 

「・・・・はぃ」

 

そして母に言って欲しかった言葉、紫色の頭の少年が言ってくれた言葉を

 

「君はヒーローになれる。」

 

オールマイトがくれた。

 

僕はその場で膝が崩れて泣いて・・・泣いて・・・

 

「アリがどう・・ござい・・ばず」

 

お礼の言葉が言葉にならなかった。




ある人達の物語

とある美術館の監視カメラ映像より

「ちくしょー!!くっコロ!!」

「別に殺さないわよ。」

ある美術館でヒーロー数人が糸でグルグル巻きにされ逆さ吊りになっている。そしてヴィランである女が一人のヒーローと話をしていた。

「あなたってさぁ、いつも可笑しいけど、一応ヒーローなのね。」

「?どゆこと?」

「前に偶然見たのよねぇ。とある現場。あるヴィランと戦ってるあなた。」

「お、おぅ。」

「面白そうだから見てたのよ。そしたら相手の罠を直ぐに見抜いて掻い潜ったと思ったらヴィランのことを即行で気絶させてたのよねぇ。もう仕事が早くてビックリしたわよ。」

「ん~?あっ、アレか。ふふふっ。カッコ良かったろ。アレか、惚れてくれたか?」

「カッコ良かったわよ。」

ヒーローは、あまりに普通にカッコイイと言われて照れてしまった。そして他のヒーローからは冷えた眼差しを送られている。

「ただねぇ、気になったのよ。」

「ん?何が?」

「あのヴィランが張ってた罠より簡単な罠よねコレ?何で引っ掛かってるの?」

ヒーローの男は、大変な汗をかき始め、周りのヒーローからは

「は?」
「え?まさかだよな?」
「おい!わざとか?わざとだな!!」
「このドMバカが!!」

などと言われはじめた。そして遂には

「・・・ドMなの?」

と女ヴィランにまで言われてしまった。そしてヒーローは

「あぁそうです!ドMです。」

開き直った。

「ただし!今のところお前限定でだ!!とあるヒーロー志望の女子と知り合ってな。いや~、いい香りをさせて、しかも中々のヤツでよ~。育ったらスゲー美人間違いなしだね。ソイツがムチを使いたいって言うもんだから、練習付き合って、試しにわざと当たってみた!だが、何も感じない!ただ痛いだけだった!」

なんという告白だろうか。周りのヒーロー達はドン引きである。

「そうなんだ。大変ねぇ。色々と。」

「そうです!大変なんです!コレもひとえにお前のせいだからな!責任とって結婚してくれ!」

まだ言ってんのかテメー、いい加減にしろ!などのヤジが来るが気にしない。

「私を捕まえたら考えてあげるって約束よ。・・・まあ、ここで私を逃がしたら暫くは無理ね。」

「なに?どういうことだ?」

「ん~、少し日本に飽きちゃったから海外に行こうと思ってね。」

「なん・・・だと・・・」

「というわけで暫く会えないわね。じゃね。」

「ちょっ、待っ!待てって!!」


ここで映像が途切れた。
この映像は美術館員が無断で美術館の監視カメラをダビングしたものである。ちなみに何故こんなことをしたのか。

「自分あの現場にいたんですよね。なんか二人のことが気になっちゃって。つい出来心で。」

と美術館員は語った。

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