ただいま峰田で奮闘中。   作:とろろ~

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色々とフラグ回


13話

季節は夏になりました。

 

「あ、俺ちょっと長いこと居なくなるから。適当に頑張っておけよ~。」

 

と言い、峰田父上が本当に長期の仕事らしく居なくなって2週間。自分は現在

 

 

今日も楽しく訓練わっしょ~い!

 

 

どうもこんにちは。峰田実になった青年Aです。何故こんなテンション高いかって?それはですね~ついにグローブ付けた状態で、もぎって投げれるようになりました!

 

いやね、一応ですけど疲れきった時なんか出来てたんですよ。でも何故か元気な時に投げれませんでした。わけがわからないよ。

 

そんな時って、若干ながら現実逃避したいじゃないですか。そんで昔の漫画を思い出しながら寝てたんですよ。そしたら良い漫画を思い出しまして。その漫画では自分から出てるエネルギーを道具にも纏わせて穴堀りをしておりました。やり方は簡単。『道具も自分の一部だと思え』だそうです。

 

・・・・・・天啓キターーー!!

 

と思い、さっそくやってみることに。すると、あらあら~簡単に離れるではないですか。

 

「よっしゃキタこれやでーーー!!」

 

つまりは今まで出来なかったのはグローブは道具だと思っていたから。それだけであった。疲れた時は考えてる力もなかったから出来たのだろう。理屈は分からない。個性って不思議です。

 

しかしながら正解を導けたのです!めっちゃ嬉しい!!

 

これでやっとこさ出来ます。 やりたかったあの技を!!

 

もぎって~もぎって~足に装着!さらにもぎって手に装着!いくぜ!・・・壁登り!

 

玉を壁に吸着させ、壁を這うように登ってみた。

 

大成功で御座います。ヒャッハーです。もう何でしょう。ワシャワシャと動けます。サイコーです。

 

これが出来るから何だというのか。そういう方は多いでしょう。疑問にお答えしましょう。この技、市街地戦に向いております。

 

例えばビルとビルの間などの細い道に追い込まれたとしましょう。だが、この技があれば安心です。ビルの壁を素早く登り脱出出来ます。

偵察だってお手の物。目的の部屋まで登っていき、集音マイクで録音バッチリ!

 

などと用途は色々あるのです。ただ一つ言えることがある。それは

 

「うおっ?!気持ち悪っ!!」

 

そう、端から見れば気持ち悪いのである。まあ、動く見た目がね、壁をワシャワシャ動く

 

「ゴキブリ見てぇだな。」

 

うっさいわ!!その声は峰田父上だろ!

 

「オッス~お疲れ~。」

 

軽い口調で話す峰田父上。自分は壁から離れて向き合ってみると驚くことに峰田父上は腕にギプスをしていた。

 

 

 

 

何やってん?

 

「いや、何って仕事だよ。サイドキックやって来たんだよ。」

 

峰田父上さんや。あなた言ってたでしょうよ。回避はどうした。

 

「う~ん、今回は油断したわ~。あれはずるいって。」

 

何があったんだ?

 

「それがよ~。敵のアジト見っけてよ。突入するじゃん。部屋見つけるじゃん。高校生くらいのガキが居てよ。ベッドで寝てたから人質かと思って助けようとするじゃん。」

 

長いよ!簡潔に!

 

「そいつヴィランだった。」

 

はあ?!

 

「触られただけでヒーロースーツやら皮膚やら崩れちまってよ。」

 

で、そいつは?

 

「とりあえずボッコボコにして気絶させた。そしたら、そいつの下から黒い霧が出てズブズブ沈んでったよ。」

 

ん?つまりは?

 

「逃げられちゃった。てへぺろ。」

 

世界で一番可愛くない『てへぺろ』である。

 

 

 

じゃあ、今回は仕事失敗したん?

 

「いや~成功かな?大本のヴィラン、かなり再起不能な感じにはなったし。」

 

再起不能って・・・ヒーローはヴィランを無力化するのにそこまでしていいのか?

 

「まあ駄目だな。ただあまりに悪どい奴だったからなぁ。今回動いたヒーローとも因縁バリバリだし。しょうがない感が強い。そういう場合もあるさ。」

 

少々歯切れ悪く語るものの、峰田父上が真剣に語る姿にプロとしてのナニかを感じた。

 

「まあ、ヴィラン死んでるかもだけど。」

 

え?

 

「いや~ヒーローがやっとこさ『倒した』と思って大怪我しながら気絶してる間に黒い霧が出てヴィラン消えてったのよ。」

 

じゃあ死んでる死んでないが分からない。だけど再起不能確実ってこと?

 

「だなぁ。ヴィランの奴、腕も切れちゃってたし。いや、もう本当に大騒動でした。」

 

そんなにヤバかったんか。でもニュースでやってなかったぞ?

 

「ああ、無理無理。公式には出せないヴィランだし。動いたヒーローも怪我したなんてニュースでたらヤバいし。」

 

大人の事情ってやつですか。自分には言っていいんか?

 

「本当はダメだけどな。お前なら言わんだろ?」

 

信用されてらっしゃる。まあ、体は子供、頭脳は青年ですので当然です。自分はサムズアップのポーズで答えた。

 

「じゃ、そゆことで。あ、そうだ。今日のこの時間なら上の事務所に訓練室を貸してくれてるヒーローがいるから挨拶に行ってこいよ。」

 

え?ここって本当にヒーロー居たの?

 

実はこのビル、毎回訓練しに来るが事務所に電気が付いてるところを見たことがないのである。人が居るとは思わないでしょ?

 

「あいつ忙しいからなぁ。普段も別の県にいるし。」

 

峰田父上が『あいつ』呼ばわり。大したヒーローではないらしい。ですが、自分はどんなヒーローも尊敬してます。敬意を持って接します。

 

「んじゃ先に帰ってっから。」

 

手をヒラヒラとさせながら帰る峰田父上。いつもならもう少し軽口を言って帰るのだが今日は特になかった。本当に疲れたのだろう。

 

・・・上まで見送ってやるか。

 

 

 

 

峰田父上を見送ってビルの階段を昇り、一つの部屋の前まで来た。その扉には『炎』という漢字がデカデカと描かれており、中から人の声がする。どうやら電話でもしているようである。とりあえず待っておく。

 

しかしながら、この扉。嫌な予感しかしないのは何故でしょうか?

 

 

 

 

声がしなくなりました。とにかく挨拶だけはしなくては。

 

扉を数度叩くと中から『入れ』と聞こえました。行きましょう。

 

失礼します。

 

部屋の中へと歩みを進めると、中にはサイドキックらしき方々が数人。真ん中の奥に高身長、筋肉ムキムキ。何より特徴なのは自分で発生させた炎を仮面のように顔に付けている男がいた。

 

そうです。皆さんもよく知っている事件解決数史上最多のヒーロー『エンデヴァー』である。

 

「お前がチェイサーの言っていた息子か。」

 

・・・本当に峰田父上は何故この人を『あいつ』呼ばわりしたのでしょうか?後でぶっ飛ばします。

 

どのように言っていたか分かりませんが峰田父上が父親です。

 

「ふむ、奴の息子らしくないな。」

 

まあ、峰田父上は反面教師としては素晴らしいですね。今日は峰田父上に挨拶してこいと言われて来ました。

 

「そうか。では用は済んだな。」

 

はい。いつも訓練室を使わせて頂きありがとうございます。

 

「そうか。ではもう行け。」

 

そっけない感じがとてもエンデヴァーです。

 

 

そう言えば聞きたいことがありました。

 

「なんだ。」

 

今って夏ですけど、暑くないんですか?

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・静寂が訪れました。

 

 

 

 

 

サイドキックの皆さんの顔が何か凄いです。

 

あれ?やっちゃった?

 

しかし、エンデヴァーさんは一言。

 

「奴の息子で間違いないな。」

 

溜め息混じりに言いました。

 

 

・・・そんなバカな?!

 

本気でどの辺りが峰田父上に似ているのか分からなかった。




次回で一気に時飛ばし。現在小4の夏。
次回は中学生にしようかな?と思ってます。

追記
死柄木さんがもういる?というタイミングに関しては、すでに拐われて育てられていたということでご容赦ください。

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