なんだよそれ!個性はヒーローがヴィランに使うもんだろ!ズリィだろ!
悔しい。こんな奴にやられるなんて。
身体を動かしたいが痺れて動かせない。
くそっ!調子に乗ってる峰田を少しイタぶってやろうとしただけなのに。
俺が峰田を知ったのは1年生の頃。峰田は俺が入っているリトルリーグチームに入ってきた。
昔と違い、ルールが変わったとかで小1から入れるようなったリトルリーグ。そのせいか小1からプロを目指す奴等が多い。そんな中に入ってきた峰田は早々とレギュラーの、しかもピッチャーを任された。
峰田は打つことも守ることも軽くこなした。そして何より投げることに関して監督に細かく聞いては実践し、改良を加え、小学生であり得ない球速も出し始めた。
まさに峰田は天才だった。
そんな峰田は2年目に突然辞めた。理由は知らされなかった。
その後、監督は一時落ち込んだものの、第二の峰田を育てると言って鬼のような練習を課してきた。それに耐えられず何人も辞めた。俺もその中の一人だった。
それから1年半、野球を辞めた俺は塾に通っていた。そこで初めて好きな人が出来た。
ある日の塾帰り、その人が友達と帰るところを見かけた。勇気を出してその人に話かけようとしたとき
「ねえねぇ、あの子また走ってるね。」
「そうだね。」
走ってる?あれは・・・峰田。
「ママに聞いたんだけどさ、あの子ってヒーロー目指してるからって毎日トレーニングしてんだって。」
「そうだね。」
「え、知ってたの?」
「そうだね。」
「・・・えっと、好きって感じ?」
「そうだね。・・・ち、違うよ?!小さくて可愛いのに努力してるのが男の子らしくてカッコいいなぁとか思ってないよ?!」
「アッハイ。」
・・・・・・・・・俺の初恋が終わった。
その日から何をするにも、峰田のやることが気にくわない。
いつも冷静な峰田が気にくわない。
毎回テストが高得点なんて気にくわない。
毎日トレーニングしてるのが気にくわない。
そしてそんな気にくわない峰田を今日は仲間と一緒にイタぶるはずだったのに。
今ごろ倒れてたのは峰田のはずだった。
何なんだよ、これは。
いつも一緒にいる二人は逃げた。
こんな倒れてる姿を、峰田に見られるなんて。
最悪だ。
「おい。」
峰田の声が響いた。その声に思わず首を上げる。
「あん?」
「お前ら、土下座。」
そこには、いつも冷静な峰田はおらず
「はん?何で俺らが、んなもんすんだよ。」
「そうか。しないならさせてやんよ。」
強い意思を持って立ち向かう男がいた。
話が進まなくて申し訳ありません。
正直、この話いるかな?と思ったのですが他人から見た峰田(青年A)が欲しかったので入れました。