CGS。
もうこの場所で奴らに縛られる必要は無い。
今こそ、決起の時だ。
「うん、美味しいな」
「うー、今回もヨハンを凄い笑顔に出来なかった」
「ヨハンは表情が硬い!」
アトラとビスケットの妹たちであるクッキーとクラッカーに加えてクーデリアが作った料理を僅かに笑を浮かべて食べる。
最近はいくらか表情が豊かになったとはいえ、やはりヨハンの表情は硬い。
「うっめーな! おかわりいいか?」
逆にミハエルはかなり表情に出やすいので食事の時なんかは皆のムードメーカーという感じだが、演習では行動の出やすさもあって動きを読まれやすい。
もちろん、戦場となると話は別だ。
「ところでよぉ、そっちのデカい野菜は?」
「これはね、クーデリアさんが切った野菜なんだ」
一つだけとってあるスープは中に入っている野菜が大きく、とても食べ応えはありそうだった。
「……プッ、クーデリアお嬢様は小さいものより大きい方がいいのか……やべ、面白え……」
「止めろミハエル。それに、ミハエルの料理の腕も大概だろ?」
ミハエルは大雑把に切るか細かく切りすぎるか極端なため、余程のことがない限り手伝うことは一度もない。
「お、俺でもこれよりは綺麗にできるよ!!」
「どんぐりの背比べ!」
「どんぐりの背比べ!」
「うっせーな!! ったく、どこでそんな言葉覚えやがった……」
彼らの食事は基本楽しくやっている。
……しかし、楽しくはやっていても彼らはどこかピリピリとしていた。
「……分かってると思うが、一番隊にきっちり落とし前つけてもらってからが本番だ。そこから先は俺たちでなんとかしなきゃならねえ」
「そして、このCGSを辞めたいと思うものも中にはいるはずだ。そのことに関しては私たちがCGSを乗っ取った後で対処する」
先頭にはオルガとヨハン。
その後ろには三日月、ユージン、昭弘、ミハエル、ビスケットが立つ。
「デクスターさんは会計が出来るから残ってもらいたいと思うんだけど?」
「そうだな。この先会計は必要になるし俺も賛成だ」
「……それじゃ、行くよ」
三日月の言葉を合図にオルガが一番隊の眠る部屋に入っていく。
「――おはようございます。薬入りの飯の味はいかがでしたか?」
そこから先は流れるような作業だった。
デクスター・キュラスターにトド・ミルコネン、ナディ・雪之丞・カッサパの三人はCGSに残り、あとは三日月とミハエルによって殺された者とCGSを退職した者とで別れることになった。
この日を以てCGSは参番隊のものとなった。
オルガ・イツカは元々参番隊の隊長だったことあってCGSの指揮を任される。
――ここから、彼らの物語は動き始める。