戦姫絶拳シンフォギアF   作:病んでるくらいが一番

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私は弦十郎も好きですが、一番好きな大人キャラは訃堂だったりします。前にアダムとか言ってなかったかって? 知らんな。


#150『怪物を迎え、怪物は去る』

「あの阿呆。有事にも関わらずライブに行くなど。だが、そのおかげで()()()()()()()()()。もし翼が修羅……鬼となれば儂の第一の計画は頓挫してしまう所であった」

 

 ちょうどアルカノイズの召喚錬金術陣がバビロニアの宝物庫に飲み込まれたのを見て、彼は少しだけ胸を撫で下ろす。

 

 風鳴訃堂は自分でも自覚するほど、優しく……いや、生温くなった。

 

 あれはもう百年以上前。まだノイズが稀に起こる自然災害程度であった時代に全世界を巻き込む大戦が起きた。始まりの理由は一つに絞ることは出来ないが、結果は一つに絞ることが出来る。その戦いで日本は負けたという結果に。

 その時に幼き風鳴訃堂は思い知った。力が無ければ神国である日ノ本を護ることなど出来ぬと。

 

 故に修羅を超え、護国の鬼と呼ばれるほどに過激な方法で日本を護ってきた。優しさを捨て、友を捨て、家族を捨て、ただひたすらに日ノ本を護るために力を費やした。

 

 しかし今はもうそこまでする必要はないのだ。した方がいいのは分かるが、それをすると訃堂の計画に必要な()()()の怒りを買ってしまうので、大人しくせざるを得ない。

 力ではなく、友和によって計画を進めるなんて、昔の訃堂ではありえぬ事なのだ。

 

「儂の計画には完成された風鳴の血を継いだ者、完全に最も近い者が必要。しかし前者は今、機能不全を起こしておる。あの阿呆が護らなければ、きっと翼は護国の鬼になっていたやもしれぬ。それでは駄目なのだ」

 

 計画を整理するように独り言を呟きながら、『PROJECT D』の詳細が書いてある、この世唯一のこの計画に関する情報媒体を再び読み込んでいく。

 既に関係者は訃堂ともう一人の協力者によってこの世にはおらず、施設も流が訪れたことによって自壊している。

 

「我が風鳴はこの地を護る為に創られた。それ故に想いが力となり、特異的な力を行使し易いように出来ている。弦のあの力は正しく護国の為の力であり、翼の天羽々斬との適合もまたそれである」

 

 しかしここでアヌンナキという神が降臨したことによって、今まで放置してきた問題を再度考え直す。

 

「『PROJECT D』で生まれた存在は本来ならば異端技術を破壊する者として誕生する。儂と()()()()が中身を弄り、()()が起こらなければ、流は破壊する者になっていた。しかし風鳴は護国の為に異端技術に手を出すのは必然であり、どちらも神が計画を始動させたのにも関わらず、本来のままであれば潰し合いが起きる……アヌンナキは神と称しているが、意思の統合が出来ていないのやもしれぬ」

「そこまで解るか。我らが創りし人類の皮を被った悪鬼よ」

 

 訃堂のいる書斎にいきなり、長い黒髪の筋肉のない流に似た容姿をした存在が現れた。最初は空中に荒いポリゴンのようなものが出現し、その数を増やしていき、少しずつ解像度が上がっていき、その女が訃堂を睨みつけている。

 

「神ともあろう者が人の創り出した廃棄個体を使うとは。自分の肉体なぞ創造すれば良かろうに。それよりも貴様、シェム・ハは立花響達と居るはずだが、何故儂の目の前に現れた」

 

 シェム・ハは訃堂の言葉にくつくつと笑いながら、手に持つ端末の液晶を訃堂に向ける。その液晶にはピンクと白の肌を持つシェム・ハ本体が写りだし、そのシェム・ハが話し始めた。

 

『我は……貴様らで言う一種のプログラム言語である。故に我の個は複数存在できる』

「我が力を振るうに便利な時代になったものよ。それに貴様は何を勘違いしている?」

 

 シェム・ハは自らの存在をプログラム言語、ウイルスのようなものとして、演算端末に割り込ませて乗っ取ることも出来る。そして人格とは情報の集合体であり、適合する器さえあれば簡単に本体以外でもシェム・ハとして動くことが出来る。その器がこの世にほぼ無い事を除けば。

 訃堂は刺激しないようにゆっくりと立ち上がりながら、壁に立て掛けてあった天叢雲剣を手にする。それと同時に先程まで読んでいた計画書に火をつける。

 

「何を勘違いしているのか教えて欲しいものよな」

「我が宿りしこの肉体は我が復活する為の器を創る計画の残滓。エンキ共が人類に神の力を遺すわけがなかろう」

「風鳴が特異な力を持ち、この地を納めるように創られたのは……まさか」

「我が復活しそうになった時、いち早く貴様ら風鳴が我を屠るために用意された剣であろうな。忌々しい……我が貴様程度の存在に言い様に扱われていたなど」

 

 まるでこちらを見ていないのに、風鳴という存在に対して強く憎しみを抱くシェム・ハに訃堂の疑問は加速する。

 それはまるで本来ならば知らないはずの知識を前提として、欧米に飛んでいった流のように見える。

 

 訃堂が天叢雲剣を強く握ると、青白い光が刀身から放たれ始める。完全聖遺物『天叢雲剣』が訃堂に天の帝と呼ばれし力を与える。

 それと共に、首に提げている八尺瓊勾玉も淡い緑色の光を放ち始め、彼の周りを輝きながら八咫鏡が回り始める。

 

「……語り過ぎではないか?」

「神の力を得るために、我をダイレクトフィードバックシステムの応用で操ろうとし、あのゼウスを覚えている貴様は我の計画において存在価値はない。今消滅させられる存在に何を言っても問題なかろう?」

「フンっ!!」

 

 訃堂は机を飛び越えて八咫鏡を足場にし、袈裟斬りでシェム・ハに斬りかかった。天叢雲剣の斬撃をシェム・ハは腕輪から発生している光剣で受け止める。

 ただ一方が斬りつけ、一方が受け止めただけだが、机は斬撃の余波で真っ二つになり、畳は陥没し、障子は空を舞う。

 

「アハハハハッ。シンフォギアやファウストローブすら纏わぬただの人が、他人を想いを束ねる等の埒外を行っているわけでもなく、ただの生身でこれ程とは……やはり貴様ら人間は我々の進化に必要であったか!!」

「我ら人類を創造したことに関しては感謝を意を込めようぞ。だが、貴様らが世界を統べるには降臨が遅すぎたッ! ハッァ!!」

「小賢しい!」

 

 素早く庭に出た訃堂は、それを追うように建物から庭に飛んで出てきたシェム・ハに対して、刹那のうちに数度の突きを放つ。その時に天叢雲剣が輝くと、穿った数度の突きから斬撃が弾け飛び、点の攻撃が面へと変わる。

 それに対してシェム・ハが行ったのは、たった一度腕輪から出る光剣を水平に斬りつけるだけだった。ただそれだけで風鳴の煌めく斬撃は虚無へと帰る。

 

「貴様を殺せば確実にこの国は荒れる。その時こそ、七つの異なる音階を破壊する時。そうさなぁ、貴様が大事に大事にしている風鳴の次期当主を殺し、天羽々斬を消滅させるのも良かろう」

「……ヌッ!」

 

 天叢雲剣の力で人間の限界を超え、八ツ首の大蛇を彷彿とさせる程の力を発揮している。当然訃堂の肉体でそのような力は耐えられないが、八尺瓊勾玉で無理やり治すことで力を行使し続ける。

 

「やはり貴様は流と同様、この世の歴史を識っているなッ! その果てで貴様はシンフォギアに敗れたかァ!! 腹が捩れそうになるわッ!」

「黙れッ! 我は彼奴とは違うッ!! 確かに私が……我が欲したのは権威や力ではなく、その先の未来だ! グウゥゥ!!」

 

 下衆な笑みを浮かべながらシェム・ハに斬りつけていた訃堂は、シェム・ハが光剣を巨大化させて凪いだため、一度バックステップで距離をとる。

 

 シェム・ハはその瞳に浮かぶ赤い円が明滅し始め、頭を抑えて呻き出す。

 

『……やはり錬金術士のような人払いの結界が施されておるか。儂に気が付かれずにこれを成すとは、腐っても神と呼ばれしアヌンナキ。何としてでも得た情報を護国の為に生かさねば』

 

 この世界でも何だかんだ聖遺物を押収したり、必要な技術を会得している訃堂は、()()()()()()()()()()()()()()でテレパスを使うが、弾かれてしまっている。

 緊急時に繋がるようになっている端末も駄目だし、これだけ暴れても人が来ないことから、シェム・ハに完璧に手を潰されている。

 それでも訃堂は不遜に笑う。強気で居る、それこそが他国から神国日ノ本を守護して来た訃堂のスタイル。

 

「他の奴らは何も分かっていない。何故我らという存在がいるのに、我らと同等以上の存在がこの世に居ないと決めつけ、進化を諦めるのかッ!! 我々すらも分かり合えぬというのに、何故……何故だエンキッ!!」

「フンヌッ!」

 

 シェム・ハが一筋の涙を流し、その雫が地面に触れると、銀色に周囲に光が溢れ爆せた。

 百年以上生きてきた彼は己の勘に従い、八咫鏡を前方に展開し、全力でその鏡の発動させて彼を護る。天照大神すらも写し出したその鏡はあらゆる護国の敵から日ノ本を護る。

 

「なん……だと!?」

「気に食わぬ。人の身でありながら、我らに楯突こうなどと」

「……これは銀か」

 

 シェム・ハの放つ銀の爆発から訃堂を護ったこの国の三種の神器の一つである八咫鏡は、訃堂の意から外れ、その身を銀へと変えて地面に落下する。シェム・ハの周囲数メートルは全てが銀へと構造を変えられている。

 彼が操っていた力の内の一つが完全に管理下から離れたことが分かる。八咫鏡はもう完全聖遺物ではなく、ただの銀の塊に成り果てた。

 

「貴様のせいで想い出さなくても良い事まで想起してしまった。疾く死ね」

「如何に埒外な法則を用いようと、その身はただの人未満の出来損ないな器よ。我が風鳴の剣技の錆としてくれるわ!!」

 

 また同じような物質変換などされてしまえば、例え八尺瓊勾玉による超回復があっても、銀に変えられてしまってはどうしようも無い。故に訃堂は己の持てる力全てを使い、この一振で決着を付けることにする。

 その意を組んだのか、シェム・ハも笑いながら光剣を構える。

 

『臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前』

 

 刀印を結んで四縦五横の格子状に線を空中に書く。すると、不動明王が訃堂の背後に焔を纏いて現れる。煩悩を抱える最も救い難い衆生をも力ずくで救うために、憤怒の姿をして現れる。風鳴が今まで背負ってきた業、護国の意思が化身となりて現れたその姿は、明らかにシンフォギアの世界とは違う法則にも見えるが、これは風鳴だから出来ること。きっと風鳴翼も風鳴弦十郎も出来るはず。

 

 彼の者の足元に風鳴の家紋が浮かび上がり、筋肉が二回りも膨れ上がり、その瞳は神の力を行使する流や本気を出す時の弦十郎のように真っ赤に輝く。

 限界を超えた力を行使しようとしているためか、肉が弾け、血が吹き出しているが、訃堂は構うものかとその肉体を剣へと変える。

 

「やはりこやつはこの場で倒しておいた方が良い。人の身でありながら、神殺しの呪いを宿さずに()()()()()()()()()。今ここで潰えろ」

「ウリァアアアア!!」

「ハアアアアッ!!」

 

 廃棄個体故に本気の『本』の字すら出せていないシェム・ハ、一方迷いなく自らの死すら顧みずに放った風鳴最強の絶技。

 

「な、なに!?」

 

 荒れ狂う赤き焔の斬撃が桃色の光剣を少しずつ押し始める。時間が経つ事に訃堂の身から漏れ出る血液の量が増えていくが、シェム・ハを押し切るだけの時間はあるが、更に命を燃やして力を込める。

 

「死ぬのは貴様だっ!!」

「これでは…………などと我が言うと思うてか。貴様ら人類が我を超える可能性がある事くらい()()()()()()

 

 その言葉と共に、シェム・ハが片手を上げた。

 

 ドンと重い金属的な衝撃音が屋敷の方から聞こえた。その音が鳴った後、全身を蜂の巣にされた訃堂が庭に立っている。

 胸元の八尺瓊勾玉は肉体と共に光剣で貫かれて破損し、八尺瓊勾玉による超回復が消えたことで、訃堂の全身から血が吹き出す。然れど訃堂は膝をつかず。二つの脚で大地を踏みしめる。

 

 訃堂は血で殆ど見えない視界で屋敷の方をチラリと見ると、世界改変がされるよりも前、流を軟禁している時に勝手に拷問を施し、それが原因で宗家の集まりから省かれた家の当主が散弾銃を構えて、顔を青ざめながら腰を抜かしていた。

 この世界ではその事実が無くなっていたが、訃堂にとって要らぬ存在として、風鳴宗家の集まりから切られていた。その因果が今こうして、風鳴訃堂に牙を向いた。

 

「まるで人のような用意周到の良さ。意地汚さが垣間見える。ゴハッ!!」

「我の目的は貴様の殺害。そして今は無き()()()()()()()()()()()()()()()()。この国で扱うのならばこの鏡でならば代用できよう」

 

 ついでとばかりに天叢雲剣も破壊しようとしたが、既に訃堂の手には存在せず、どうやったのかこの場から消えていた。出来れば破壊したかったことも事実だが、そろそろ異変に風鳴宗家の人達が気が付き始めるだろう時間になっている為、シェム・ハは天叢雲剣は諦めて、腕すら上がらなくなり、ただ切られてるの待っている訃堂の首に光剣を添える。

 

「人間は死の間際に辞世の句を聞いてやるのが作法であったか。神たるシェム・ハが聞いてやろう」

「……なんと優しきかな。後は死ぬだけだと思うと、儂の死で我が最高作品である孫であり、息子である彼奴がどのような反応をするのかが気になるのう」

 

 訃堂は戦いの中、ずっとモヤモヤしていた原因をやっと思い出し、それを口にする。

 

「貴様は昔のフィーネと同じであったな……貴様の待ち人は来ぬッ!!!」

「死ねッ!!!」

 

 怒りに瞳を輝かせたシェム・ハは訃堂の首を斬り飛ばし、肉体はそのままの勢いで消滅させる。

 シェム・ハの狙いは日本の混乱でもあるので、訃堂を完全に消し飛ばすのではなく、一部でも残していた方がインパクトもあるというもの。

 

 その後訃堂に散弾を撃った男もシェム・ハについでに殺され、シェム・ハがその場を去ってから十分後、風鳴訃堂の死亡が風鳴宗家の主だったメンバーが知ることになる。

 

 

 ***

 

 

「……」

 

 流はアダムの所有する一軒家の一室を借り、その部屋のベッドに横になって天井を見上げていた。

 

「……訃堂が死んだ。全く現実味がないな」

 

 アダムから風鳴訃堂の死を知らされ、亡骸があると聞いた場所にバビロニアの宝物庫で少しだけ穴を開けて覗き見た。

 訃堂の亡骸は肉体はなく、首だけとなっていたその姿を見た時、流は悲しみが胸を締め付けた。

 

 流と訃堂は客観的に見れば利用しあっていただけだ。

 

 風鳴翼という餌を使って、訃堂の自由戦力として流は動いていた。

 

 確かに訃堂が居たからこそ、流は護るためならば何の戸惑いもなく人を虐殺出来るようになった。少しの理由があれば流は修羅にも成れる。そう教育したのは訃堂であるし、流が生まれたのは訃堂が居たから。流の肉体の遺伝子の半分は訃堂だ。

 

 だが、それだけであり、印象としては最悪の部類であったはずなのだ。

 

「……割り切れない思いを抱けるのはまだまだ人間ってことの証かな」

 

 流は鍛錬ややる事が沢山ある中で、色々を忘れるためにその瞳を閉じて、そのまま眠りにつこうと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『いやいやいや、今寝ます? 私と感動的な再開しましたよね? まだ全然話せていないですよ!!』

「やっぱりセレナは奏の影響を受けすぎて空気読めないよね」

『流さんにだけは言われたくないですぅ!』

 

 瞳を開けると、流の胴に乗った霊体のセレナがそこにいた。

 

 ノーブルレッドの三人を一度安全な場所に転移させてから、残り二人を人間に戻したあと、アダムに一度全てを丸投げして来たのだ。三人を人に戻したあと、アダムに連絡をした時に、訃堂の死を知り、そのまますぐにベッドにインしたので、セレナとまともに話せていないのは確かだ。

 

「セレナ、大好きだよ。おやすみ」

『はい、おやすみなさい……じゃないですから!』

「セレナは相変わらず元気だね。大抵の世界はもっとお淑やかだったように思えるんだけどな」

『異世界に飛ばされたあとに行った平行世界の私を今の私と比べないでください!! どうせ流さんや霊体でお付き合いのあった奏さんなんて知らない私なんですからッ!』

「……え?」

『はい?』

 

 流はセレナの言葉に心臓が跳ね上がる。

 

 今、セレナは流の口にしたことをちゃんと理解していたのだ。異世界に飛ばされたこと、このシンフォギアの世界の平行世界をいくつも巡っていること。それらを知っているはずがないのに、当たり前のように受け止めて話を進めていた。

 

『……ああ。私はシェム・ハに使役されてしまって、流さんを異世界に放逐しましたから。それにギャラルホルンと融合させられたからこそ分かりましたが、この世界にピンポイントで戻ってこれるとは思っていません。なので異世界、他の平行世界を経由して()()()戻ってきてくれたんじゃないかなって』

「そ、そうか」

 

 流の顔が引くつく。まるで自分が行った業を全て見透かしているような、そんなセレナの態度に内心冷や汗が出る。

 そんな流を見てセレナは目を少し閉じたあと、流の上から退いて、流の頭を優しく抱きしめ始める。

 

 この世のあらゆるモノを産んだと言われたり、人の始まりでもある『イブ』に仕立てあげられてしまったからか、その幼き身でありながら、包容力という点に関しては、奏やマリアすらも凌駕しているかもしれない。

 もちろん物理的な包容力(おっぱい)はまだまだSAKIMORI未満である。

 

『私が全て聞いて、()()()()()()()()()。流さんがこの世界に戻ってきた方法は、きっとあまりにも多くのモノを犠牲にした方法なんじゃないかって分かるんです。世界の壁はそんなに簡単に越えられるものではありません。平行世界を利用することは出来ても、特定の平行世界に直接乗り込むのなんて、その機能を有するギャラルホルンがあっても至難です』

 

 セレナは太陽のような笑顔で流と目を合わせる。自分のやった事に後悔はないが罪悪感は残っている彼に、その瞳は眩し過ぎるため、目を逸らそうとするが、顔の横を押えられ、瞳を無理やり目で開かれる。

 左目は紫色の結晶で人からあまりにも離れているが、それでもセレナはその瞳に対しても優しく微笑む。

 

『大丈夫です。私は流さんの罪も業も全て、()()()が受け止めてあげられます。だから、何があったのか教えてください』

「…………誰も犠牲にしない方法を見つけられなかったんだよ」

 

 流はぽつりぽつりと話し始める。

 

 異世界で聖遺物も、神の力も、レイラインも、何もかも無かった、シンフォギアが作品の世界で彼が起こした()()について語り始めた。




本当は最後のやり取りはクリスちゃんや調がやる筈だったのに、設定詰め込み放題のセレナにいつの間にか取られていた。特に物語上、流を忘れているクリスの見せ場にする気だったのに、セレナがいつの間にか動いていた。

天叢雲剣はどこかに消え、八尺瓊勾玉は消滅して、八咫鏡はシェム・ハに奪われました。

お気に入り登録や評価、特に高評価をして下さった方々ありがとうございます。最近はまたちょくちょくしてくれる方が増え、やる気を頂けています。

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