あとシンフォギアの曲の歌詞が書けるようになったので、歌詞を書いた方が盛り上がりそうな場所は書くようにします。
「もう何日も寝てないんですけど!!」
「なに? 栄養ドリンクが欲しいの?」
「やめてください! 了子の作ったそのリンカーみたいな色の栄養ドリンクは効き目が強すぎますから! なんで飲んだだけで数日休憩なしで働けるんですか! 麻薬ですか!? 異端技術ですか!?」
「ただの異端技術で人体の直ちに悪影響はないわ」
「なーんだ……友里さん聞きました!? 今直ちにって了子さん言いましたよ!!」
「今暖かいもの入れてきますね」
「友里さんの暖かいもの飲んだら寝ちゃうから!!」
S.O.N.Gのエージェントである藤尭朔也は死にそうだ。友里あおいも目が死んでいる。
事の始まりはカ・ディンギル跡に現れた仮称『ビー』が出てからだ。その後すぐにデュランダルによる爆撃が始まった。
それから数日後にノーブルレッドと名乗るパヴァリア光明結社の残党が風鳴宗家にいる風鳴訃堂の暗殺を企てた。
装者達が戦いの場に現れた時、空間を割って現れたデュランダルを融合させているアヌンナキ、シェム・ハの情報共有によると
その
それから一日経って、シェム・ハというアヌンナキが現れた。
「それじゃあ、ゆるーく会議を始めるわよ」
「これ僕達必要ですか?」
「私がトップ。ナスターシャ、ウェル、キャロルとエルフナイン、サンジェルマン達、ここが次。その次に優秀な技術者に貴方達二人が居るのよ? 必要に決まってるじゃない」
「……了子さん、私達はその方々とは基本的なスペックが違うので辛いです」
「私も辛いけど頑張ってるのよ。それに一通り情報を集め終われば貴方達には数日の休暇を与えたいと弦十郎くんと八紘には申請して、実際に通しておいたわ」
例え今までの記憶を無くそうとも、藤尭と友里は了子をサポート出来る稀有な存在なのだ。凡人ならばサポートをする前に発狂する。S.O.N.Gの末端エージェントの間でそう囁かれるほど、了子のサポートはきつい物だ。
それをきついと口にしながらも、平然と出来る時点で上記の人達と同じ枠組みにいる。
ここはS.O.N.Gの会議室。上で上げられた人達が全員集まっており、各々が集めた情報の共有をする会が始まろうとしていた。といっても、情報なんてものはほとんど集まっていない。情報を整理する場として、会議が開かれた。
「櫻井了子、まずは明確に誰が敵かを見定めたい」
「いきなりカ・ディンギル跡に『ビー』が現れるわけが無いから何処かの陣営が送ったモノよね? 候補はうちの残党のノーブルレッド、ゼウス。あーしがちょっと考えただけでも、ただの残党なノーブルレッドにはあれを作り出すのは無理だから、ゼウスが『ビー』を作り出したことになるわね」
「……アヌンナキらしいが、ゼウスは拍子抜けするほど弱かったワケダ。まだアダムの方が強いと思うのだが」
サンジェルマン達は少しだけ複雑な表情でノーブルレッドの事を口にする。
サンジェルマン達は崩壊したパヴァリア光明結社から情報を抜き出し、ノーブルレッドと風鳴訃堂に口上をあげた三人の情報を獲得していた。
ノーブルレッドの三人の内二人。ミラアルクとエルザは一般人が裏の世界に拉致され、人身売買のすえパヴァリアにたどり着いていた。これこそがサンジェルマンが止めたかった事であったのに止められず、自分たちはのうのうとここにいることに顔を歪ませていた。もう一人の元パヴァリアの研究員、ヴァネッサは研究に失敗した結果、体を機械に換装させているようだが、それは自己責任なので別になんとも思わない。
「ノーブルレッドの三人、ヴァネッサ、ミラアルク、エルザについてはお手元の資料を見て欲しいが、一言で各員の性能を口にするのなら、ヴァネッサはフランケンシュタインで戦闘スタイルは雪音クリス。ミラアルクは吸血鬼っぽい事が出来る。エルザは軽武装を切り替えて戦う狼人間のなり損ない。三人とも直接的な戦闘力は各装者の通常モード未満程しかない」
「被害者の二人には申し訳ないけど、所詮出来損ないだものね。完成されたファウストローブもないのなら当然だわ」
「空想上に存在した怪物を作り出せれば完璧な存在を創り出せると夢想して、成功しなかった者たち。哀れなワケダ」
ノーブルレッドの目的は不明だが、出現し次第複数人の装者を送り込み、バックアップとしてパヴァリア娘達から一人出すことで、テレポートジェムでの撤退を封じ込める。錬金術師にはこれ以上ないほどのありきたりな作戦であるが、有効な方法で戦うと話し合いがなされた。
「『ビー』は最初と
流と居た時の記憶を失っているのに、
『ビー』については誰の差し金なのかは今の情報では絞り込めず、ゼウスも爆撃があまりにも卑怯だが、直接戦闘力がない事は先の戦いでわかった。
そして今回現れたシェム・ハについてどこまで信じるべきかが問題なのだ。
エルフナインとは違い、明確に力のある存在故に、信じきることが出来ていない。
「シェム・ハが『ビー』に追跡されていたのを近くにいた立花響と小日向未来で撃退し、シェム・ハを救出しました。救出された時にシェム・ハ自身がデュランダルの行使者、ゼウスについてを知っていることを二人の装者に告げ、重要参考人としてS.O.N.Gに連行される」
「怪しすぎるんだよ。まるでオートスコアラーに追われていたエルフナインみたいじゃないか。俺はあいつを信用しない」
「ちゃんと情報を集めてから判断した方がいいと思うのだけど。それになんで最近キャロルはそんなにイライラしてるの?」
「黙っていろ。俺は今の現状がおかしいと思っている。お前らの頭の中をもう一度整理し直すんだな。エルフナインは話し合いの議事をあとで俺に送れ」
ナスターシャが言っている通りの事があり、装者との出会い方がエルフナインと同じなのだ。
しかもシェム・ハは
今シェム・ハは響達とS.O.N.Gの施設巡りをし始めている。
S.O.N.G内で何かをするのが目的なら今回の施設巡りで何らかの反応があるかもしれない。そう考えてキャロルはこの場で俺様キャロルを演じて、会議から抜け出した。何故今施設巡りを始めたことが分かったか? ただ響からキャロルやエルフナインに連絡が来ていたというだけだ。
「……キャロルちゃんはちょっと極端だけど、シェム・ハに悪意があるかもしれない。シェム・ハになくてもエルフナインちゃんのようにバックドアにされているかもしれない。この点には特に注意して欲しいわ」
「もちろんそのつもりです。それで話が変わりますが、明日の
了子もキャロルの言葉を肯定しながらも、頭の中では悩んでいる。
ずっとあの方を想っていたはずなのに、何故か大好きな筈のあの方を思い浮かべても心が虚無となる。本来ならばもっと情熱的な想いが溢れるはずなのに、何故か悲しみが心を支配する。それが堪らなく不思議で仕方がない。まるで他の人を愛していたのに、その愛を塗りつぶされたような……。
皆がキャロルに言われたように自己分析を掛け始めた時、ナスターシャは話が終わるのを待っていましたとばかりにライブについて話し出す。
「私個人としてはやるべきだと思う。確かにやらない方が万が一の時を考えれば良いが、虐げる者に屈したことと同義だ。私はそれを許容しないッ!」
「あーし達はサンジェルマンに賛成よ」
「僕もやるべきだとは思う。いいかい、シンフォギアは結局のところ手段なんだよ。彼女たちの愛は世界を何度も救っているッ! 今世界各国ではデュランダルによる爆撃を受けている。人々は不安に思っているだろうさ、そこに彼女たちの愛で世界をふたたび救う。やらない選択なんてないね!」
世界は今混乱している。世界規模のデュランダルによる爆撃というテロが起きていて、次はいつ自分のいる場所にそれが起きるのかと恐怖が伝播している。故にウェルは彼女達の歌で世界に希望を持たせた方が良いと語ったのだ。
その言葉に『LOVEマリア』と書かれたうちわをチラチラ見ているナスターシャも頷いており、この場に開催すべきではないという意見がないことから、了子は弦十郎に連絡をして、このまま開催させることがここで確定した。
「まず敵がライブ会場を襲う理由もないでしょうし。完全聖遺物がある訳でもないですから」
「そうね。万が一何かがあっても、対応出来るだけの事前準備をしておけばいいですよね」
藤尭と友里が最後を締め括った。締めくくってしまった。
コーラを飲んだらゲップをするのと同じくらい当たり前の工程のようにフラグを建ててしまった。
***
『それで君はどこにいるんだい』
『ライブ会場。詳しく言うとヌーヴェル・カレドニ』
『何をするために、そこにいるんだい?』
『そんなの翼達のライブを見に来たに決まってんだろ。それ以外にあるわけねえだろ』
『……君は、今、世界の敵であり、S.O.N.Gが定めている神敵だってことを理解しているのか!!』
アダムは何故か逆ギレしてきた流にテレパス越しにキレた。
復活して飯を食べ、瞑想をした後にすぐに何処かに消えた。アヌンナキに記憶を改変される世界で、流のことを覚えていた稀有な存在である月読調に会いに行った。それだけならばまだ分かる。
流の所有するソロモンの杖で入ることの出来るバビロニアの宝物庫の中にある、チフォージュ・シャトーにいるオートスコアラーに会いに行くのもわかる。彼女たちがいたからこそ、アダムはあの場面で助太刀に行けたのだから、お礼のひとつくらい言うのが常識だ。
だが、今回流が来ているのは風鳴翼、天羽奏、マリア・カデンツァヴナ・イヴの合同ライブ。巷ではツヴァイウイングから取って、ドライウイングとか言われているアイドルのライブ会場に来ていた。
『今のアダムってキレるんだね』
『アダムはね、私がアダムの知らない男の人と話しているだけで、すっごく顔がムスッとするんだよ!』
『愛されてるねぇ』
『愛されてるし、私もアダムを愛してる!』
アダムはテレパスで送られてくる精神信号を『固定電話』に物質変換して連絡をとっているのか、時々ティキの声が挟まる。
『愛している奏に翼にマリアのライブがあるのなら、行かないなんて選択肢はない! アダムだって決戦が控えていても、ティキの晴れ舞台があったら何がなんでも行くだろ?』
『当然だろう? ……でもそれとこれは別さ。相手はあのアヌンナキ、君が後手後手に回っていることを理解しているのかい? 今までは基本的に先手を取ってきた君が、後手に回って世界の敵になっている。本当に理解しているのかい?』
アダムは流を案じているのだ。
確かに流はパヴァリアとの戦い……というか、仕組まれた勘違い要素によってマリアに軟禁され、その時に精神が一周まわって
しかしそれでもまだ流は人間であることに固執しているため、人間の弱点となり得る部分が存在する。
装者を人質に取られ、流自身でどうにもならなければ何も出来ない。装者達に心の底から嫌いと言われれば、流は精神的苦痛により気絶する。まず酒にクソ弱いなどなどなど。
こと戦闘力になれば無類の強さを誇るが、その強さも弦十郎に緒川にキャロルに装者達に錬金術師がいれば勝てない。
『理解している。だとしても、俺は今まで通り翼達のライブはどうしてもな理由がない限りは応援に行く。これが俺の強さなんだから……あっ、始まるからテレパス切るわ』
『……無茶はしないように。今の君が居なくなれば、僕とティキは一生逃亡生活を送らないといけなくなる可能性もあるからね』
『俺はアダムを創ったアヌンナキとは違う。ちゃんとお前たちを人に作り変えた責任くらい全うするさ』
ライブがもうすぐ始まることを告げるアナウンスが流れたので、アダムとのテレパスを待機状態にする。何かがあった時のために、テレパスは完全には切らないようにする。
この会場にはテレポート封じやテレパス封じの結界がサンジェルマンによって張られているが、いつも便利に使われているバビロニアの宝物庫で、流のいる場所とアダムのいる場所を繋げているので結界に接触することなくテレパスが出来ている。
流はツヴァイウイングであれば第一のファンであり、マリアの歌も好んで聞く。好きな人達が平和を思い、敵を屠るために戦う歌ではなく、皆を幸せにする歌を一所懸命に歌っているのが狂おしいほどに好きだ。
ただそんなアイドル装者達はトラブルに巻き込まれる体質であり、特に大規模ライブが起きると必ずと言っていいほど事件が起こる。
ツヴァイウイングの最初の大規模ライブ。会場から作り上げた二人専用の公演はネフシュタンの鎧を起動させる実験場として使われ、フィーネによって奏は殺されたようなものだ。
翼とマリアの初のコラボライブでも本来なら、ノイズを使った世界への宣戦布告が行われるはずだった。この世界では原作知識が有効であったため、ナスターシャと調と切歌が無効化されて、宣戦布告はされなかった。
この世界ではライブ自体の時期が大幅にズレたが、本来ならマリアと翼のチャリティーライブが終わってすぐ、オートスコアラー達による襲撃があったはずだ。
シンフォギアが作品である異世界に飛ばされて、四期までの原作を再び視聴した流だからこそ、
今も流はこの会場のあらゆる場所にバビロニアの宝物庫で空間に穴を開け、様々な視点から会場を見て回っている。先程たまたま奏の着替えを覗いてしまったが、決してわざとでは無いと震えた声で彼は
『ヌーヴェル・カレドニへの唯一の連絡路である橋で大規模な事故が発生したそうだよ。更に悪いことにアイドル以外の装者達は立ち往生しているようだ。気をつけたまえ、敵はすぐそこまで迫っている』
『了解』
アダムから告げられた続報で彼はより一層警戒を強める。
流の頭に浮かぶのは奏が絶唱を歌い、その肉体を灰となった光景。映像が塗り替えられるように同じ場所で
髪色に合わせた衣装に身を包み、会場のてっぺんからスロープを滑って降りてくる三人。翼も奏もマリアも笑顔に花咲かせ、この場にいる人達に笑顔と勇気を分け与える。
このライブが終わったら、真っ先に三人を労い、感想をこれでもかと口にすることが出来ないのがとてもとても口惜しいが、例え世界が改変されようとも、三人が歌を好きなままでいてくれて流は胸を撫で下ろす。
「……あれ?」
と思っていたのだが一瞬、本当に一瞬だけ奏が辛そうな顔をしたように感じた。何年も共に居て、精神剥き出しで共に歩んできたからこそ分かる微妙な違い。もし翼がその顔を見ていたとしてもきっと分かっただろう。この二人にしかわからない程の微妙な弱き顔。
「どうかしました?」
「いや、なんでもないですよ」
響達よりも小さい茶髪の女の子が、隣に座っている流の様子がおかしいと思ったのか声を掛けてくる。それに丁寧に答えていると、ちょうど一曲目が終わった。
「お前ら盛り上がってるか!」
「私たちのライブに来てくれてありがとう。次はツヴァイウイングの二人の『逆光のフリューゲル』よ」
「一所懸命に歌うので、どうか聞いて」
翼が自信に満ち溢れた顔で頭を下げようとした時、会場の電源が急に落ちる。いきなりの停電に観客は不安の声をあげる中、三人の装者は鋭い視線で周囲を警戒している。
待っていましたとばかりに元々この会場にいたのか、はたまたサンジェルマンの張っている結界を上手く潜り抜けて現れたのか、空に吸血鬼のような翼を広げ、小柄な割に切歌以上の胸を持っているように見える少女がスポットライトに照らされながら、アイドルの三人を映していた画面に映し出される。
それと同時に空に巨大な錬金術陣がいくつも展開される。流はそれがアルカノイズを召喚する錬金術陣であることをすぐに察して、アダムに一報だけ入れて動き出す。赤く目を輝かせながら。
「アハハッ、第二幕はうちが頂くぜ。まずはこんなに観客はいらないから、ちょっとだけ死」
「ハァッ! それも消えろッ!!」
翼の生やした乱入者は忽然と姿を消し、空に現れた錬金術陣も一瞬にして、空から消失させた。
いや、消失したのではない。マリア達の見る空には金の建物や極彩色に歪んだ空が見えていた。会場から見える空が全てその景色に切り替わっていた。
「あれはまさか、バビロニアの宝物庫!?」
「ソロモンの杖がないのになんで開いてんだよ」
少しすると不可思議な空模様も消え去り、ライブ会場を星々が照らし出す。先程落ちてしまった電気も復活し、二曲目の『逆光のフリューゲル』が流れ始める。
「あれはゼウス……どういう事なんだ」
マリアも奏も空に浮かぶ錬金術陣を見てていたため、ミラアルクが消えた瞬間を見ていなかった。
一般人がもしミラアルクをみていたとしても、刹那の間に行われた事だったので理解できなかったはずだ。しかし防人であり、武人である翼の動体視力はそれを捉えていた。
黄金に輝く腕を持つ、ゼウスと呼称された男が翼を持つ女性を殴り飛ばして消えたのを。そしてその者も表情を。
「何故そんなにも安心した顔で私達を見ていたッ!!」
護りたい者を護れたようなそんな顔をしていた
***
「なんだ、ヒッ!! 何なんだよお前!?」
「オマエこそなんだ」
流はいきなりの乱入者。しかも装者達の、奏と翼がいるライブにノイズを解き放とうとした者の真横にバビロニアの宝物庫への穴を開け、目にも留まらぬ速さでその乱入者、ミラアルクを宝物庫の中へと殴り飛ばした。
ミラアルクはギリギリでバイオブーステッドユニット『カイロプテラ』を腕に展開することでダメージを抑えたが、もしユニットを展開していなければ、頭がザクロのように砕け散っていただろう。
そして彼女の周りには先程召喚されるはずだったアルカノイズが空を浮いているが、それよりも更に巨大なノイズや同じくらい巨体なオートスコアラー、
空は極彩色に歪み、自分の立つ場所は金の建物。先程居た場所から転移したのだとわかる。
だが、ミラアルクが悲鳴をあげたのはノイズでもこの場所を認識したからではなく、自分を殴り飛ばした流を見た時だった。
目を真っ赤に光らせ、右腕は金と水色に光り、左腕は赤色の血管のようなモノが光りながら脈動している。
それら見た目だけならば、怪物と罵られているミラアルクは悲鳴をあげなかった。目の前の存在、流から感じるあまりにも強すぎる殺意に体の震えが止まらない。
一度恐怖を覚えてしまえば、そのなり損ねた吸血鬼の身とは違い、虐げられてしまった一般人でしかないミラアルクの精神は再び強気に出ることも出来ず、全身から液体を吹き出す。
「オマエはなんだ」
「う、うちは」
「何故奏達のライブをダイナシにしようとした」
「それは」
「オレが何故怒っているか分かるか?」
「う、あの、それは」
「この程度の威嚇で折れる程度のカクゴで、奏達の歌によるヘイワを崩そうとしたのかッ!!」
この世界は奇跡的に上手く行っている世界だ。
流は自分のおかげとは言わないが、少なからず影響を与えられていると思っている。
原作よりも多くの人が結果的に生きているし、
故にそれを穢すものは絶対に許さない。こんな結果に辿り着けず、失意のままに死んでしまっていた者達を知っているからこそ、流は絶対にかの者を許すことは出来ない。
もし普通に襲撃してきただけならば、流もここまで激昂しなかっただろうし、相手の話を聞く余裕もあっただろう。
だが、流にとってもライブにノイズというのはトラウマなのだ。最初に最も愛し、流をずっと支えてくれていた奏を死なせてしまった。ライブにノイズの組み合わせは決してあってはならず、今までの経験や訃堂から学んだ護国の思想によって、目の前の少女を殺そうと拳を握る。
「結局うちらは、怪物のまま死んでいくのか」
少女の嘆きにも耳を貸さず、流はその拳を振り下ろした。
『流さん!』
実体のない、以前のような霊体のセレナが流の拳を優しく包み込まなければ、そのままミラアルクの肉体を拳が突き破っていただろう。しかしセレナが現れたことによって、愛する者の声を聞いことによって、ギリギリのところで拳を止めることが出来た。
本来ならミラアルクを宝物庫にボッシュート後に話を聞くプロットだったのに、主人公が一般人(まだ大量虐殺してない)を恐喝してる……。
プロット考慮してたのに思うままに書いた話だとミラアルクがザクロになったけど、流石にそれだとやばいと思いこうなりました。