戦姫絶拳シンフォギアF   作:病んでるくらいが一番

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今回は基本的にキャロル?の語り部です。

完全に振り返りですので、新しい話以外興味ねぇという方はシンフォギアXVFまでお待ちください。

また上記でそんなことを書いていますが、今回と次回にアンケートをします。5期の序盤で2ルート作ったのですが、どちらがいいか決めきれないため意見を募りたいため行わせて頂きます。


#134『キャロルは過去を想起する』

「俺の話は流が何故か日本から離れたところから始まる。今では先制して俺を止めようとしたみたいだけど、あの時のパパ……流じゃ止められなかったと思うんだがな」

 

 まだその時はアニメの知識があったが故に、水着回があったんだから夏だな! とアニメの魔法少女事変前に欧州に飛んだ。しかし、アニメよりもパヴァリアはS.O.N.G.を警戒していたため、夏よりも前にチフォージュ・シャトーは完成していた。

 更に更にサンジェルマンが神の器だからと警戒していた流が国外に出たため、キャロルはそのタイミングで計画を進行することになった。

 

「渡欧した流はセレナちゃんとマリアちゃんの中にある思い出の花畑に行ったり、エトワール凱旋門に行ったりと旅行を満喫していたらしいわよ? 怪しい場所や物流の流れを調べたみたいだけど、流が詳しく知らなかった欧州の闇、パヴァリア光明結社との繋がりがあったのだから、当然表を調べた程度じゃキャロルちゃんの足跡を探すことなんて出来なかったわけよね」

「その花畑でパパの魂は随分と大きな亀裂が入っていたな。セレナを甦らせる覚悟が出来たせいだが、あれがなかったらきっと俺はパパと会えなかったから感謝している」

「外国の組織が日本のダミーカンパニーを全て暴くくらい無茶だろうからねぇ。欧州の闇とはいえ、地域に根付いているから簡単には分からないさ」

「でも電子機器でやり取りをしていたら流に全部バレていたんだろ? 何たってオフライン環境の電子機器にすらハッキング出来るとか訳分からないことを言っているわけだしね」

「……」

 

 了子と流は昔にそんな事を口にしたことがあるが、当然そんなこと()()()()。回線が抜かれていなければ出来るが、完全オフラインでは外部からアクセスできるわけが無い。あの時はノリと勢いで言っただけである。

 今では宝物庫テレポートと位相差による壁のすり抜けで、オフライン環境の端末の場所に行ってアクセスというローテクも使えるが、その時はまだ位相差操作も宝物庫テレポートも会得していなかった。

 

「リディアンの文化祭、秋桜祭の時にカリオストロと出会い、その前にセイントと名乗ったサンジェルマンと出会っていた流はサンジェルマンに連絡を取るのよ。その時まではサンジェルマンとカリオストロが別組織だと思っていたのだけど、サンジェルマンの電話口からカリオストロの声が聞こえて同じ組織だと判定したわ。そのあと面会の約束を取り付けて、三日前にサンジェルマンたちがいるロンドンに入ったのだけど」

「休んでいた宿を襲撃される! 日夜錬金術師の刺客に襲われる流は、休憩も食事もまともに取れない中戦い続けた! それでもなお、サンジェルマンやカリオストロなどの強い錬金術師と会おうとするところが頭おかしいと僕は思うね。そういう行動ができるからこそ、英雄たり得るんだろうけど、流自身が未だに英雄だと思っていない点はぶち切れそうッ!!」

 

 流はこの時もそうだし、アダムを倒したあとですら英雄だとは思っていない。どちらかと言うと魔王でしょ? なんて奏や()()に言われているが、国連で反応兵器を使って脅しをする英雄などはいないと彼は思っている。

 

「まだデュランダル無限機関の出来ていなかった流は栄養不足と睡眠不足の状態でパヴァリア三人娘と会うけど、当然敵対してボコボコにされたわ。まだ逸般人であり、人外にはなっていなかったから低コンデションだと強くなかったのよね。まあ、そのおかげでリンカーを使って無理やり宝物庫に入って、別の場所に扉を開く宝物庫テレポートが使えるようになるのだけど」

「僕が使う無錬金術陣テレポートよりは遅いけど、錬金術師がよく使うジェムテレポートよりは早く、更に空間に穴を開けているからこそ防御にも攻撃にも使える。なんだよ、ディバインウェポンとなったティキのビームを空間を操って返すとか」

「パパを倒すには物理で攻めるしかなくなった瞬間だな。それらも全てを無効化できる未来()()は何故まだ人間やっているんだ? あいつ絶対にラスボスだろ」

 

 流は神アダムを倒したあとですら、未来の神獣鏡には勝てていない。純粋な命を賭けた勝負なら勝てるかもしれないが、愛する相手を流が殺す気で殴るわけにもいかず、大抵は未来の流星や煉獄でKOしてしまう。

 なお、家族として愛している弦十郎へは殺す気は無いが本気で殴りつけている。デュランダルと神の力でブーストした人外の一撃を普通に受け流して、逆にデュランダルな骨をぶち折る弦十郎の分類は未だに人間という訳の分からなさ。

 

「体調が優れない時に初の宝物庫を経由したテレポートを行った流は日本に戻るとそのまま意識を失った。そしてなんだっけ?」

『ソロモンと邂逅した』

 

 天才的なウェルでもド忘れすることもある。その言葉に反応したのはここにはいない国絶対守るマンの風鳴訃堂だった。解説に使っていたテレビが急に切り替わり、訃堂が画面いっぱいに顔を寄せていた。

 

「あんたはラスボスじゃないでしょ。轟轟を使って色々していたけど、結局はボスになれないのがあんたなんだから」

「アニメみたいにヒビトラマンに戦車を差し向けてる訳でもないからな。というか、神の力を得たヒビトラマンに何故戦車で挑んだのか。俺の頭脳を持ってしても理解できない」

『舐めていたのだろう……この世の事では無いことなぞどうでも良い。流は神の傀儡として想いと人格だけで生き延び続けてきたソロモンに出会う。ソロモンはキャロル……ではなく、アダム及びカストディアンに対抗するための助言を残し、一度姿を眩ませた』

「……消えないのね」

『当たり前であろう? 本来4期でこの作品を終わらせた場合、ラスボスになっていたのは儂だ。轟轟が扱い切れず、シンフォギアを侮った結果、三種の神器すらあったのにも関わらず負けた。それを目の当たりにした儂が最後には弦十郎と相打ちになるという』

「……妄想も大概にしろよ風鳴訃堂ッ!」

 

 キャロルは自分の語り部を取られたことに眉を顰め、置いてあったテレビを錬金術で破壊した。なお、この行動で映画をよく見るようになったガリィと喧嘩になり、ガリィに口の喧嘩で負けて泣きべそをかくことになるのだが、その話はまたいつか。

 

「流はこの時はまだアニメの記憶があったから、俺の作戦を知っていた。装者たちが未来()()以外にやられたことを知った流は、それより先に俺が奪いに来るヤントラ・サルヴァスパを深淵の竜宮から盗み出した。しかも潜入する時に女装をして、位相をずらして、空を落ちるように海の中を落ちて竜宮に向かった。なんで一ヶ月前までは宝物庫に自ら入れず、位相差も操作できなかったのに、俺の時に限ってこんなに成長してるんだよ!」

「流は負けた後に急成長をしているんだよ。彼の体は聖遺物を学習する。雪音クリスの心臓に爆弾があると嘘をつかれて実質的に負けたあと、デュランダルを操れるようになった。サンジェルマン(錬金術師)に精神的に負けたあと、宝物庫へ到れるようになった。パヴァリア三人娘に負けたあと、苦戦していた位相差操作が十全に出来るようになった。神となった僕に実質的に負けたことで神の力を扱えるようになった」

「全ては必然だったと、そう言いたいのかい?」

 

 それらは全て愛だッ! と内心で叫んでいるウェルはアダムに問いかけたが、アダムは首を横に振る。

 

「確かにそういう風に神の器たる流は出来ているさ。でも、あれは愛をもって結果を引き寄せたと僕は思っているよ。愛によって神になった僕だからわかる。立花響の束ねる性質とガングニールの神殺しが合わさった力、二千年の積層した力を無効化できた僕だから言える。愛さえあれば無限に強くなれるんじゃないかな?」

「……そう、愛だ。パパはヤントラ・サルヴァスパを手に入れたあと、俺がイグナイトの攻撃で死んで、呪いの旋律を記する譜面を作成しようとした時、持っていたガングニールの欠片が響のダインスレイブの呪いの旋律を流にも共有して暴走。その暴走状態ではガングニールやアガートラームのような性質の動きを見せて暴れた。あの時は本当にビビったぞ。しかもその後、暴走パパの拳を受け入れて、死ぬかもしれないのに戦いの最中に抱きしめて暴走を止めたクリスを見た時に狂人か? と思ったな」

「愛ゆえの行動だろう? 普通じゃないか」

「愛は愚鈍な人形すら神に変える。それなら暴走した程度の存在なら止められるのは当たり前じゃないかい?」

「愛でカ・ディンギルとか造るおっちょこちょいも居るのよ? それに私の息子は愛に敏感だし、いつも通りね」

「……あいつがおかしいのは絶対に了子、弦十郎、緒川のせいだ!!」

 

 キャロルはまだそこまで愛万能説を受け止めきれていないため、少しだけ発狂してからコタツに潜り込んだ。

 

「そこからはキャロルのチョロボスと言われる所以を見せてくれたねぇ」

「その前にマリアがナスターシャと裏で流のことを調べ始めてしまったのは彼にとっても予想外……いや、本来なら流のあの情報源不明の怪しい行動をしていれば調べられて当然なんだけどねッ! そのあとマリアの思い出の花畑の映像を見せて、感動させた代わりにマリアが流を信じて調べる覚悟が出来てしまった。まあ、あいつは友達とか好きな人とか言ってる癖に秘密主義が過ぎるからね! フィーネじゃあるまいし」

 

 少し前からマリアに風鳴が接触し、流が怪しいと情報を流して、最終的には流は軟禁……監禁される訳だが、日本の中でマリアがフィーネなしで風鳴訃堂に勝てるわけがなかったのだ。

 

「ガングニールが便乗してフォニックゲインを発している時にキャロルと接触し、キャロルの近くで死んだが故に、キャロルの父親であるイザークの魂が守護霊の如く憑いていた。そのイザークの魂を流が簒奪し、マリア・カデンツァヴナ・イヴをおちょくった日の夜に対話を重ねた」

「その後がホントにホンネにねぇ。エルフナインちゃんにバックドアを仕掛けていたキャロルちゃんは、エルフナインちゃん越しに流に話しかけられて、交渉(脅し)を持ちかけられたわ。交渉につかないと、チフォージュ・シャトーに必要なヤントラ・サルヴァスパを破壊するという条件でね」

 

 その言葉にキャロルはコタツから出てきた。その手には紙の束のようなモノ(ヤントラ・サルヴァスパ)を持っている。それを掲げながらキャロルは嘆く。

 

「フィーネが月に干渉しなければ、ヤントラ・サルヴァスパなんてなくてもチフォージュ・シャトーが動く機能を搭載してから世界解剖も出来たんだぞ! なんだよ、他国の聖遺物管理区域に入り込んで、盗み出さないと計画が完遂できないってガバガバ過ぎるだろ! それもこれも月に干渉して、パヴァリアがカストディアンの襲来時期が早まって、焦ってしまったが故に早期に作戦を開始することになった原因を作ったフィーネのせいだッ!!」

 

 アニメでもヤントラ・サルヴァスパが壊されて、失意の中にあったキャロルだったが、たまたま聖遺物を操れるネフィリム腕のウェルが居たからこそ、チフォージュ・シャトーを動かすことが出来た。

 だが、この世界ではそんなモノはいないし、まずネフィリムが聖遺物を操る機能があるなんて知らないので、流がヤントラ・サルヴァスパで脅してきた時点で割と積んでいたのだ。

 

 まあ、それもこれも全てはフィーネが月にカ・ディンギルをしようとしたせいであり、やはり異端技術の事件はどこかでフィーネが関わっている。

 

「ヤントラ・サルヴァスパがなくても君は降伏していたじゃないか。エルフナイン越しに脅されたあと、流の言葉に従って城に招き入れた。脅された時に煽りに煽られたキャロルは流とエルフナインが城に着いた瞬間、迎えのファラ以外が奇襲を仕掛けるも上手くいかず、そのままオートスコアラー4()は敗北した。そのあとは……キャロル、ここからは自分で語りなよ」

 

 キャロルはひとつ頷くと、真面目な顔であの時を思い出す。決して会えぬと思っていた愛するものとの邂逅を実現させられる流は、やはり狡いとキャロルは改めて思う。

 

「パパは自分の魂が消えることも厭わず、パパ(イザーク)をその身に憑依させて、私とエルフナインと話せるようにしてくれた。私はたくさんの過ちを繰り返してしまった。パパ(イザーク)は世界には愛が溢れていること、世界は処刑されたパパ(イザーク)みたいな事ばかりではないことを知って欲しいと思っていた。それを世界解剖をする前に、全ての記憶を焼却する前に知れて本当に良かった。本当に、本当に」

 

 キャロルは目元を抑えながら、少し声を震わせながら語る。しかしそれと同時にキャロルは少し泣きそうだった。何故イザークとの再開を思い出す度に、流のおっぴろげな格好を思い出さなくてはいけないのか。

 確かにオートスコアラーと戦い、ミカの超高温を受けたので服が消えるのはわかるが、もう少し、あと少しだけ気を使ってくれてもよかったのでは? と思わなくもない。

 

「キャロルちゃんと和解した流はいきなりキャロルちゃんをS.O.N.G.に連れてきたりしたけど、キャロルちゃんの犯行だとわかるような表立って悪さをしたのは日本だけだったことが功を奏して、司法取引で対錬金術師の顧問としてS.O.N.G.に雇われることになったわ」

「これもあの風鳴訃堂の采配のおかげではあるが、あの男はただひたすらに日本の味方をする強大な力を持った身内を増やしたかっただけなんだろうな」

 

 欧州では記憶の収集を相当数行っていたし、日本でも結構な人が廃人になっている。欧州はバレていないから良く、日本の被害に関しては全て風鳴機関が対処している。全ては日本の国家安全のために、受け入れられる技術は受け入れなければ勿体無い。

 

「今回のこの強権発動で日本とアメリカの関係が更に悪くなったのよね。アダムの時の反応兵器でアメリカの権威は完全に無くなって、今では国連での発言の権利の剥奪すらされているものね」

「日本とアメリカの関係はもう無理なんじゃないかな? フィーネと流が生きている間は確実にアメリカをボコるのだろう?」

「当たり前じゃない。反応兵器についてはアダムが語り部の時に話すけど、弦十郎くんは反応兵器が起爆すれば死ぬのよ? 私の愛する人を、流の愛する人を殺そうとしたのだからそりゃ制裁よ」

 

 どこかで原作(5期)のエピソードの一部が完全に機能しなくなり、また原作が壊れた音がしたが、キャロルはみかんをもそもそと食べながら何度目かになるが思った。

 

『フィーネに、風鳴弦十郎に危害を加えようとしなくて本当によかったぁ』

 

 既に表舞台に出てこれないほど疲弊しているアメリカを思い出しながら、キャロルは体を振るえさせた。そしてアダムに匙を投げようとしたが。

 

「待って。とりあえず魔法少女事変後にやった二ヶ月の修行まで語りなさい」

「俺は詳細を知らないんだが?」

 

 キャロルとの戦いが終わったあと、流と弦十郎はいつものように殴り合い、右腕と左足がデュランダルになっていたのに流はいつも通り負けた。そしてその時に弦十郎に指摘をされたのだが、体のバランスが崩れていて逆に弱くなっていると。

 体幹のバランスが崩れて弱くなっているのなら、当然それを矯正するために修行あるのみ。

 

「みんなで弦十郎くん基準でも辛い山篭りをした後、弦十郎くんには響ちゃんと未来ちゃんとマリアちゃん。私にはクリス、緒川には調ちゃん、翼ちゃんには切歌ちゃんがついて修行をすることになったのよ」

「……おかしくないかい? 風鳴翼は受ける側では無いのかい?」

「翼ちゃんは既に出来上がっているのよ。あとは基礎鍛錬を積めるだけ。それくらいまでに剣技は極まっているのよね。一時期は流を殺すために、そのあとは弦十郎くんや私や流に負けないためにね」

 

 既にこの時には風鳴翼はOTONAの仲間入りをほぼ果たしていた。ただ唯一の問題として、風鳴八紘との関係が上手くいっていなかった。

 

「まず翼ちゃんと切歌ちゃんは流が酔っ払って娘に嫌われたと嘆いていた八紘の音声を聞かせたことで、真意を確かめるべく風鳴邸に向かって、翼ちゃんの本音と八紘の本音をぶつけ合って和解したわ。その時、八紘は刀があればソードブレイカーを持つファラにすら勝てる腕前だと判明したわね」

「なんだよあれ。確かにソードブレイカーは相手の剣と撃ち合うことで、剣と定義した物を破壊する。当たらなければどうということはないとか八紘は言っていたぞ! シンフォギアと同等以上の身体スペック相手に何故それが出来る!?」

「愛ですよ……」

「黙ってろウェル!!」

 

 ウェルは顔を思っきり愉悦に歪ませながら、キャロルを煽り、ウェルはコタツの置かれた王座の間からまるで三期ラストのように落とされた。

 なお、そこら辺を飛び回っている飛行型ノイズさんに助けて貰って直ぐにコタツまで戻ってくる。え? 炭素変換? この世界のノイズさんは既に炭素変換機能は使われていないし、人は無闇に襲わないし、料理だって武術だって掃除だってするのだから問題は無い。問題しかないのだが、問題にならないので問題ない。

 

「八紘の紹介で鎌や薙刀などの武人の指導を受けた切歌ちゃん、八紘とのわだかまりが無くなり、八紘やファラと共に鍛錬を積んだ翼ちゃんは純粋な実力を引き上げたわ。切歌ちゃんは同時にいくつもの技を行使できるようになったし、翼ちゃんはOTONAになって精神的にも強者になったわね」

「いつの間にかファラが人間性を獲得していて、謎武装(プロトデュランダル)を持っていたんだが? なんでファラを改造する時にパパはなんも言ってくれなかったんだろう?」

「そりゃドッキリだろう? 僕もドッキリでティキがテレビで見て、食べたそうにしているスイーツを買ってくることもあるさ」

「そのお菓子について詳しく」

「スイーツと哲学兵装を一緒にするな! ウェルも黙ってろ!!」

 

 キャロルは意見の賛成を得られなさそうなので、この話を終わらせて、了子に次の話をするように促す。

 

「緒川は飛騨山中の忍び達の修練山まで調ちゃんを連れて行って忍者修行を施したわ。まあ緒川がそれだけな訳もなく、料理から精神ケアまで全てをそつなくこなしていたわね。確か月神社の宮司の言葉を借りて、心の壁という話を調ちゃんにしていたはずよ。当然あの緒川が教えたのだから上手くいって、忍者調ちゃんの完成ね。しかも他人に合わせるのが苦手な調ちゃんにそれも他者への優しさだという考えを教えこみ、精神的にも強くなったわね」

「忍者……ああ、西洋化生を率いたタウロス双生児と戦って、『サンクチュアリ作戦』を未然に防いだ強者共か。特殊なリソースを使うわけでもなく、基本的に身体能力の延長の技を行使して、異端技術と戦い続けていた者達。あの者達の力を得たのなら相当に強いのだろうねぇ」

「日本は魔窟過ぎるだろ……」

 

 弦十郎のような特殊個体ではなく、飛騨の忍達は緒川と同じくらいのことは皆ができるらしい。その中でも緒川は優れているのだが、あのような動きができるものたちがもし最初から全力で動いていたら、全ての物語は早期に収束していただろう。人数自体が現代ではそこまでいないので、一箇所に人的リソースを注げないのが弱点とも言える。

 

「弦十郎くん組はひたすらに体を鍛えながら、ご飯を食べて映画を見て、そして眠る。ひたすら、ただひたすらそれだけを繰り返したわ。響ちゃんは純粋な戦闘能力の上昇、未来ちゃんは近接戦闘においては流や弦十郎くんの劣化コピーだったから、あの鋭い脚のギアを使った近接足技を覚えたわね。マリアちゃんは近接戦闘の実力行使に加えて、アガートラームのエネルギーベクトルの操作の技術の向上もしたわ。技を放っている時に、アーマーをエネルギーに変換して威力を底上げするなんてことも出来るようになったわね」

「二ヶ月で力を伸ばしすぎじゃないか?」

「これも全てコトバノチカラというものだろう。そう、全ては愛だよ。でも、コトバノチカラは呪いや概念で適用されるワードだろ? そんなモノで強くなってもいいのかね。いや、愛を否定している訳では無いぞ!」

「問題ないさ。立花響の神殺しだけは安易に使うべきものでは無いがね」

 

 アダムは何か知っている風だが、この場では情報を開示する気がない(アニメで判明しないと分からない)。聖○ってなんだよマジで。

 

「最後にクリスは私とガリィの教練を受けて、軽い錬金術と全ての攻撃が誘導性能を得たわ。ガトリングでも結晶のクラスター攻撃も全て誘導性能がついたわね」

「……もういい」

 

 キャロルは突っ込む気力も失せてしまったのか、大人しくミカが新しく持ってきたぜんざいを食べ始める。

 最近ミカの料理を食べながら、流の料理を食べているせいで太ってきたように思える。だが、錬金術師は対価を払う代わりに力を使える技術である。当然了子がやっている脂肪を対価にした錬金術行使でどうとでもなる。まずまだ幼女体系なのに痩せるもくそもないだろという言葉を発した流は、キャロルだけではなく装者全員にボコボコにされたとか。

 

「その間の流はキャロルちゃんに貰ったホムンクルス製造機を魔改造して、奏ちゃんの肉体を作ったり、腕を切り落として作ったデュランダルの欠片をノイズに埋め込んで、(デュランダル)ノイズを作ったり、無人島で装者たち全員と戦って負けたり、アニメの知識と混同して響ちゃんのパパさんを殴ったりしたけど、語るほどのことは無いわね」

『新種ノイズを数日で作ったり、プロトデュランダルという哲学兵装を数日で作ったり、ガングニールの欠片を混ぜて半融合体として天羽奏の肉体を創造したり……色々突っ込みたいが、俺はもう突っ込まないぞフィーネっ!!』

 

 この中で色々とぶっ飛んでいたが、事変が終わると割と普通な感性に戻ったキャロルは、突っ込むのを諦めて次の語り部のアダムと場所を変える。

 いつの間にかジャージから、白い統制局長の服装に変わっていたアダムは帽子を片手で抑えながら、テレビに向けて指パッチンをして語り出す。ちなみにこのテレビはキャロルが破壊したあと、ノイズさんが倉庫から新しいのを持ってきて、セッティングを終わらせたものだ。

 

「見てもらえば分かると思うが、アダム・ヴァイスハウプトがやろうとして」

「待て。愛が重要なことは僕は重々承知しているが、君が話していることと画面の写真は合っていないと思うのは僕だけかい?」

「やっぱりティキは可愛いねぇ…………仕切り直そうか」

 

 高校の制服を着て、ソファーでウトウトしているティキの写真が画面に大きく映し出されていた。アダムは少しだけ眺めてから、咳払いをしてもう一度指パッチンをする。




シンフォギアXV1話の最初の一分を見た時の反応。
「シンフォギアFの根底の設定がコワレルゥゥァウ」

根底の設定が原作で否定された場合、その設定に沿った存在やモノを追加することになると思います。

シンフォギア5期の序盤のルート分岐

  • 人に堕ちた新婚、アダムルート
  • 国防の鬼、風鳴訃堂ルート

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