流は反応兵器の使用に対して、日本や装者、S.O.N.G.などへ邪な考えがある人達に向けて記憶の共有をした。
流と奏とセレナの間でよく使われ、最近流は強い想いを抱く者からその想いや考えが流れてくることはあった。流は今回は、自ら望んでここにいる人達の考えを無理やり覗き見た。
これを防げる人はこの世界にはほとんど居ないだろう。統一言語を使って行われているので、前提条件として統一言語を使える資格がなければならない。魂のバラルの呪詛の部分が削れた奏、神獣鏡によって浄化された響、
「「「「「ギャアアアアア!!」」」」」
世界規模の特異災害が起きた時、素早く対応するために各国の決定を下せる人達がこの場に集まっている。日本は八紘がその役割であり、補佐として斯波田事務次官も来ている。
この場にいる半分ほどの人物がいきなり奇声をあげ、体が崩れ落ちた。必死になって頭を抱え込んだり、頭を地面に叩きつけたり、一様に言えるのは頭の中の何かを消そうとしている。
『……イラッとして仕置きなんてしたけど、その程度で醜いぞ。たった五回圧死されただけだろうに』
「……おい、坊主! おめえ今言ったことはどういう事だ? なんだ? 圧死って!」
流がガチギレしているが斯波田にとって流は流だ。ちょっとノイズに触れて、弦十郎と殴り合えて、緒川一族の忍術が使えて、いきなりテレポートしてきて、あの櫻井了子の子供なだけのただのませた餓鬼だ。先程は少しだけビビったが、弦十郎がガチギレした時の事を思い出していただけで流にびびった訳では無い。
ちなみに弦十郎が本気でキレたのは公安時代に非道な犯罪が目の前で行われ、その犯人達にキレただけであり、斯波田にキレた訳ではない。
『蕎麦爺久しぶり』
「だからやめろって!……おめえジョークも言える癖に、本気でキレてるとか器用な事もするんだな」
『俺ってそんなにキレてます?』
「俺が一生蕎麦が食えねえって言われたとしたら、そんな顔をするだろうな」
斯波田は口に出した事を想像したのか膝をつきそうになっている。米よりも食べた量が多いと豪語する程の蕎麦好きにとって、一生食えないのは人類の愛に対して絶望した流と同じくらいの絶望のようだ。
『それはやばいですね。それでですね、先程俺がやったのは俺自身の死んだ記憶を押し付けただけです』
「記憶を押し付けただ? てか、おめえは死んでねえだろ」
『精神は既に何億と死んでますからね。これ以上は知らない方がいい。その中でも、最も物理的に痛かった圧死の記憶を5つ程贈呈しました』
流はそう口にしながら、斯波田に奢ってもらって一番美味しかった蕎麦の感想などの想いを斯波田に共有した。
「おでれえた……記憶ってもんはこんなことも出来んだな。いや、待て。坊主が何億回も死んだことは事実として流したとして、その何億回死んだ中でも苦痛だった記憶なんて常人が耐えられるのか?」
斯波田は弦十郎にぶん殴られた流を思い出し、もしその殴り飛ばされた痛みを自分が体験させられたらきっとおかしくなってしまう。
『大丈夫です。記憶を追体験したように感じたでしょうし、死ぬほど精神が壊れかけたでしょう。でも、壊れないようにストッパーを掛けておきましたから』
流は左手を持ち上げ、そこにほとんどの人が認識出来ない指輪を眺めてそう呟いた。
この場にいる全ての人の想いを一度読み込み、邪な考えでいた人達に記憶を共有、そしてその人の精神をソロモンの指輪で保護し、壊れないようにしておいた。
ソロモンの指輪をソロモンは精神体の使役と実体化に使っていた。そして流はこの指輪を受け取った時から、自分の精神が
本来ならそこまでの処理能力は流にはないが、今の状態ならばその適度は余裕だ。もう人間に絶望し、人間を嫌い、人間である事を恥じたが故に、辞めてしまったのだから。
流は斯波田に頭を下げてから再びこの大きな円卓の中心へと歩いていく。想いを共有された人達は皆気絶しているが、その精神を無理やり覚醒に持っていく。多少精神にダメージが入るかもしれないが、有象無象なら別に問題は無い。
思い出を共有されなかった人達は、この現象を起こしたのは特異災害第一種特例である風鳴流がやった事だとわかり、遠目から怯えながら見ている。
『皆さんは俺……私の事は知っていますね? あなた達が特異災害として認定している風鳴流です。今使っている言語はあなたがた全てに意味の間違いなく伝わっているでしょう。私はあなた達に
流は周りを見回しながらアメリカの大統領がいるのかを確認し、やはりこの場にはいない。二代続けて装者達にちょっかいを掛けている存在がもしいたら、精神の保護をせずに、全てのソロモンより学んだ死を押し付けるところだった。
流は統一言語を使っているが、その言葉の裏にある想いやその他の様々な共有されてしまう機能を切っている。ただ言語的な壁を取っ払う万能言語として使っている。
『まず一つ目は、私の特異災害認定を辞めてください。私にそんなものを掛けたところで、現代兵器では突破出来ず、反応兵器でも殺せません。そして、私はあと数年で結婚します』
「「「「……は?」」」」
「……あはははは!」
八紘は別所にいるようでこの場にいないようだ。流のその宣言に流石に各国の使者達はハテナを浮かべている。斯波田はやっと流が身を固める気なのかと爆笑してしまったが、周りの国々の人達に日本の事務次官ですら、あの特異災害を笑い飛ばせるほどの剛の者なのかと恐れられることになる。後日、各国から斯波田にその国で有数の麺類が届くが、全てを部下に流して蕎麦を啜っていた。
『私はいいんです。でも、私は愛した人達と愛を育みながら生活していく中で、絶対に子供ができると思います。そうした時に子供が大きくなって、『お前の父さん、特異災害なんだろ? あっち行けよ!』とかハブられてしまうかもしれない。子供が幼稚園とかに入ったら、近所付き合いも必要だろうし、そうしたら特異災害な人となんて人付き合いしてくれませんよね? だから、外してください』
今後の明るい生活で無駄な影を落とすかもしれないので、流は目が死んでいるのに笑いながらお願いをした。
「わ、わかりました。このあとすぐに議題としてあげたいと思います。絶対に通しますので!」
『……あなたは?』
黒人のこの場にいるには若い、八紘と同じか少し若いくらいの男性が流の言葉が終わるとすぐに反応した。何故かその男の目が、流を見るステファンのようになっている。
「申し遅れました。私は荒れてしまったバルベルデの代官としてきました。私達の国をあなたや歌を歌う少女達、そしてS.O.N.G.の皆さんに救われました。本当にありがとうございます!」
国連の管理区域としてバルベルデは一時的に統治権を剥奪されてしまっているが、内部の政治は内部の人達がやらなければいけない。
今まで支配層にいた人達は軒並みサンジェルマン達の生贄にされたか、あの戦いの中で捕まってしまったため、悪事を見逃さざるを得なかった層や若年層が、統治する人員として繰り上がってきたのだ。
そしてこの人はバルベルデがアルカノイズを使って民を無理やり強制労働させたり、危険な行為をしていた事に異議を唱えたせいで投獄されていた。
だが、S.O.N.G.が介入した結果、テロ組織は壊滅し、裏の世界にどっぷり繋がっていた人達は消えた。今のバルベルデは軍を持つことを禁止されているが、いつまたノイズが来るかわからないので国連軍が常駐している。そのおかげで様々な費用が浮き、バルベルデは予想以上の速さで復興しているのだと、その男性は暑く語った。
『そうか』「いや、この言語は好きじゃない。良かったですね、本当に」
流は統一言語をやめて、その男性の言語に合わせて言葉を綴った。愛無き行為をする人もいれば、救われたと心底喜び、お礼をして、その胸に愛を宿す者もいる。流はこの男によって、人類を完全に見捨てる事はやめた。
そしてやはりある存在への強い怒りが蓄積されていく。
流とその男のやり取りで他国の人達は流を化け物ではなく、化け物の力を持つ人間だと認識を改めた。
『さて、次のお願いです。まずはこれを見てください』
流は手を巨大なスクリーンのある方へ向けると、そこには巨大な宝物庫へと繋がるゲートが開いていた。
「あ、あれは!?」
『そう、あなた達が発射するのを決めたミサイル、人が手にいれた最新技術を使って作られた最強の一撃、反応兵器です』
宝物庫の端の端に立て掛けられていたのは、五本の反応が途絶した反応兵器だった。
反応兵器とは核兵器に比べて生産が大変だが、その威力は数十倍にも及び、一つ起爆するだけで街が焦土と化し、永久に人が住めなくなると言われている。
まだこの世界では一度も起爆されたことのない最新兵器であり、それが五つもすぐ近くに見えている。
バルベルデの男性や斯波田以外の全ての人達は、反応兵器が見えているゲートから我先にと逃げていく。その程度では意味が無いがそれでも恐怖が先を行く。
『あなた達が恐怖するそれを私の愛している人達、愛している人達と愛を育む家、そして愛する人達の友人達が住む街に落とされるところでした。さて、この反応兵器は私が預からせていただきます』
「ふ、ふざけるな!」
『……アメリカの代官ですか。あなたの話は聞きたくありません。あなたの国の人達は愛を胸に抱いているかもしれませんが、トップ層のあなた方を私は絶対に許さない。セレナを殺した罪は世界を救ったとしても晴れぬと心得よ』
流は本気で殺意を向けると、精神が耐えられなかったのかアメリカの代官は倒れた。
アメリカにとって、風鳴流は厄災のようなものだ。F.I.S.が武装蜂起した時点ですぐに日本へ追った。マリアが悠長にもアイドルなんてやっていたので、どさくさ紛れに殺そうとしたら、付き人に邪魔をされてうまくいかず。そうして時間が稼がれ、マリア達は国連所属のS.O.N.G.に編入してしまった。
その段階でなりふり構わずエージェントを送りまくったら、その全て、女も男も子供も全て殺されてアメリカに帰ってきた。
それが全て風鳴流によってやられた事を知ったのが、バルベルデでの宝物庫テレポートを見てからであり、その後から世界のトップたるアメリカの権威を傷つけた流を暗殺しようとして、今度は日本の国防を司る風鳴に妨害された。
そして先日、アメリカの裏工作に関するたくさんの情報が流によって暴かれた。流が流した訳では無いが、流の名が刻まれていたので、勘違いするのも仕方が無い。
『私はどんな所にでもあの空間の穴を広げられ、どんな所にでもあの空間の出口を作れます。そして私は反応兵器を所有している……まあ、あんな兵器を使わなくても世界を崩壊させること容易なのですが』
流は一呼吸終えてから、要求を突きつける。
『日本に、そしてS.O.N.G.に無茶振りをするな。特異災害が起きてしまったのならしょうがない。だが、自分達が繋がっている異端技術を扱う組織が暴走して、世界を混乱に陥れようとしたらその時は繋がっている国も同罪だ。当たり前のことしかお願いをしない。極力装者達を戦いの場、特に人間同士の醜い争いに巻き込むな!』
流はその言葉を発したあと、またこの場にいる人達の想いを共有させる。そしてやはりこんな考えを持つ人は出てくる。政治家とは基本的に人を蹴落としてなる者だ。だから、考えてしまうのも仕方がないがハラワタが煮えくり返りそうだ。
『今、シンフォギア装者を人質にしようと考えた約二割。お前らは本来なら死んでいたぞ? だが、俺はバルベルデの兄ちゃんのおかげで少しだけ機嫌が治っている。一度だけ不問としてやる。もし装者を国が秘密裏に何かをしようとした時点でその国の経済は破綻すると思えよ? 物理的には破壊しない。自分達が抱えている資産の全てが価値がなくなり、民主によって殺されるだろう』
未だ装者達をどうにかしようと、流の家の周りにはエージェントが彷徨いている。風鳴や忍者達が排除しているが、その網をくぐり抜けてくる人はたまにいる。
皆と楽しく食事をしている時にそんな存在を嗅ぎ取ってしまったら萎えてしまう。
流は感情が入り、私と言っていたのを忘れているが、逆に感情が篭もり、流の装者達への強い想いが聞いている人達には理解できるようになった。
『いいか、もう一度だけ言う。装者に危害を加えるようなことをしたり、俺に対して有利なカードとするために動こうとした時点でお前らの国は終わる。まあ、これはお願いだし、命令じゃないけど、国連に対して掛かる赦しはこの一度だけだからな?』
流はチラリと視界にアダム達がどうなったのか見てみると、アダムの上にチフォージュ・シャトーが現れていて、世界を分解する光をアダムが受けている。
(倒せないからって、存在の分解とか怖ええよ。マママジこえー……あれ? もし神を分解するのに調整しているなら、神の構造を完全理解出来るんじゃないか? 城は解析機だもんな)
流は了子の本当の目的は何なのか測りかねるが、流や弦十郎に不利益を及ぼす事は絶対にしないので安心出来る。
『……そうだな、もし俺のお願いに納得がいかないし、は? ふざけんなよ? とアメリカのように思うのなら、俺単独に対して宣戦布告してもいいぞ? 俺はフロンティアもネフィリムもノイズも使って戦争に受けて立つ。絶対に装者やS.O.N.G.の皆、斯波田さんなどを巻き込まないでくださいね?』
流は最後に無茶振りを残して、反応兵器を見せるために開いていたゲートを閉じてから、宝物庫テレポートをして、ティキとアダムの元へと移動した。
**********
流は神の力を体に満たしてから、少し前から頭の中で囁かれ続けてきたある思念が消えていた。
『異端技術を破壊し、衰退させろ』
このカストディアンの領域に近づかせないための命令が、流の中から
流は倒れている全裸のアダムとティキの元まで歩いていき、自分が神の力を月より引っ張り、神になったことを口に出した。
「もう残っていないんだ、君と戦うための力はね。しらなかったよ、本気で殴り合うのがあんなにも面白いなんて」
「いいや、駄目だ。俺と戦え。以前までのお前なら問答無用で殺したが、お前を恨んで死んでいった人達がまだ許していない」
「どういう事だ?」
流が一番変わったことは処理能力が上がったことにより、強い想いで必死に残っている魂魄や想い以外も見れるようになったことだ。
流はここに到着して、すぐにアダムには相応しい最後を与えてやろうとした。だが、アダムの周りにはアダムに戯れに殺された人達や異端技術とは全く関係ないのに殺された人達の怨念がまとわりついている。
その想い達が囁くのだ。
『アダムに死は生ぬるい』
そう流に頼み込んでくる。
流だって人は結構殺している。だが、
「どうもこうもない。愛する人を殺された者、愛していた人を殺された者、錬金術の実験として殺された者。その他にもたくさんいるよな? そいつらがお前に罰が足りないとそう囁いてくる」
「そうか……やはり報いは受けるべきだね」
「嫌だよアダム! 嫌だ!」
アダムは流の言った言葉をティキに置換えたら、自分だって呪うし怨むだろう。アダムはそんな事を下等生物だからと今まで数え切れぬほどやってきた。
アダムは流の元へと向かうために歩き出したが、ティキが足にへばりついてきて歩けない。
「……ティキは殺すのかい?」
「ティキは今回の事件のメインだが、ティキ自体が今回は誰も殺していない」
「そうか……よかった。ごめんよ、ティキ」
「いや、よ。ア、ダム……」
アダムはティキの機能を一時的に切った。キャロルや流がいるのだから、もしこの戦いでアダムが死んだとしても起動してくれるだろう。
「俺は身体の出力を今のお前レベルまで下げた。最後まで立っていた奴の勝利だ。お前が勝てたら見逃してやるよ」
「そうかい、それなら全力で挑まないとね!!」
流は全身デュランダルを解いた。流の黒目には赤い光が宿っているが、それ以外は普通の人間のように見える。
アダムは人類が生み出した武術を思いだしながら、流に先制の右ストレートを打ち込んだ。
結果から言うと身体能力が同じでも、武術を弦十郎の域まで到達しつつある流の圧勝だった。
アダムは流に殴り飛ばされる度に立ち上がり、流に喰らいついていく。だが、アダムの武術は何となく見たモノを参考にして、頭の中で常に最適な行動にして使っているが、流は何も考えなくても勝手に動きが出てくる。その思考に費やされる時間の差は埋めることが出来なかった。
アダムの体は腕が半壊し、顔は機械が剥き出しになっている。だが、悪魔のような真の姿はもうそこにはなく、アダムが自分で作り上げた初めての作品、アダム・ヴァイスハウプトのまま地面に倒れている。それを流は上から覗き込んでいる。
「まるで俺がラスボスみたいじゃねえか」
「実際そうだろう? 世界を破滅させていたさ、もし君が天羽奏の所に来た考えのままだったらね。また誰かの影響を受けたんだろう?」
「うるせえ。もう立ち上がれないのか?」
「もう、無理かな。ああ、初めから愛という機能もつけて欲しかった」
アダムは最後の最後でカストディアンに恨み言を呟いて、自分を殺す流を見ないように目を閉じた。そのまま見続けてしまったら恨んでしまうかもしれない。
「……それじゃあ、お前に死よりも残酷な罰を与える」
流は
流はアダムの頭を掴み、持ち上げた。アダムはそれでも無抵抗で流の行動に従っている。
装者達は流がまた自分だけ手を汚そうとしているのを止めようとしているが、それよりも早く流は力を使った。
『お前はただの人間としては、錬金術の才能もない人間として、80年くらいを不完全な人間として生きてから死ね』
「……は? があああああああああああ!!」
流は腕をデュランダルに変えて、アダムに神の力を行使した。やる事は殺すことではない、再誕させることだ。
流は人間を見下すアダムになら殺すよりもこちらの方が屈辱的であろう事が何となく想像がついていたので、こうすることを初めから決めていた。
アダムは体が再構成される痛みに悲鳴をあげるが、神の力に掴まれているため、全くもって動くことが出来ない。
そして少ししてアダムは地面に投げ出された。
『ティキ、これはお前に対する報酬であり、俺の祝福だ』
「きゃあああああああああ!!」
流は投げ出したアダムを放置して、ティキのもとへ歩み寄る。そして膝をついてティキの頭を触れて、アダムと同じように人間へと作り替えていく。
それがティキによる願いであることはわかっているが、アダムは流にとっても、今後のカストディアン戦に必要な人材だ。殺すよりも利用した方が良いし、アダムの周りの怨念も理解してくれるだろう。
「……どういう事だ! 何故今の僕を人間にした! 今の僕はそれを喜んでしまうことくらいわかっているだろう! 僕に罰を与えろ!!」
「お前は一度だけ許したが、俺の身内がお前のティキを昔に封印してしまっただろ?」
「フィーネのことか」
「そう。それの償いとでも思っていろ。お前らは必死に足掻いてから死ね」
流はそれだけいうと、アダム達を遠い場所にテレポートさせようとしてアダムが流の動きを手で止めた。
「……君のその優しさ。いや、愛に対する行動はとても恐ろしく、同時に清らかでもある。だが、彼らはその隙を突いてくる。カストディアン……いいや、彼らアヌンナキにそんな思いやりは死を招く……よ?」
「あああああああああああああああ!!」
流はアダムの最後の忠告を聞いていた時、ある言葉に反応して、流の体に仕込まれていた
流は必死になって耐えようとするが、これは本能よりも優先されてしまうこと。流はその場で倒れて意識を失った。
『プロジェクトD最終フェーズ。神の器覚醒時に、特定のワードを唱えることによりカストディアンは完成する。そのワードはAnunnaki』
セレナも轟邸で把握してなかった最後のワードを流は認識し、そして流の体から膨大な神の力が放出され、その力は月へと向かった。そして流と月の間に赤い光のラインを構築した。
その瞬間流の意識は抹消され、流の体は別の意識によって立ち上がった。
流が考えを変えやすいのは人々の想いを読み取りまくっているため、読み取ったものによって色々と変わったりしていました。