ジャパリパークのかじやさん   作:Kamadouma

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ならくのようせい のおはなし
きれいないし


 

ノヴァとキングコブラはへいげんの外れのちょっとした谷の底を歩いていました。夕日がちょうど遮られてキングコブラが歩くのに丁度いい道です。

 

 

 

「いい道を教えてもらったな。ここを真っ直ぐ行けばこはんちほーへのゲートに直行するそうだ」

 

「空を飛べるハシビロコウだからこそわかった道なんだな。普通なら谷底を歩こうとは思わない」

 

「そうだな。低い谷とはいえ普通平地を歩くし気付かないだろう。ここの道は覚えておくか」

 

 

 

キングコブラは意外と外に遊びに行くことが多いらしく、パークの地理は割と知っているつもりでした。さばくやゆきやまのように極端な温度の高低がない場所なら一回は探検したことがあります。それでも、裏道のような場所はわからないものです。

 

 

 

「…もうそろそろ日が落ちてくるな。ゲートの近くまで行ったら寝る準備をしよう」

 

「そこまでいけば、 百獣の王の手先も追ってこないだろう」

 

 

 

もう目の先には開けた場所が見えています。そこには遺棄された人工物がありますので、ゲートで間違いありません。

 

 

 

「さて…寝る前に何か食べられそうなものがあればいいのだが」

 

「…ノヴァ、お前は元々肉食だったんだよな?さすがに狩りはやめてくれよ」

 

「わかってる。本当に飢え死にしそうになった時以外はしないさ。何か、こう、食べられそうな植物の根でもあればお腹を満たせると思うんだが」

 

「根…?食えるのか、それ?」

 

「ヒトならな。…もちろん、毒があるものもあるが」

 

 

 

谷底は大きな岩石や硬質な土壌で覆われており、植物が生える余地がありません。ご飯を食べ損ねたノヴァは周囲を見回して食料を探しますが、場所が悪かったようです。

 

 

 

「それはゲート付近で探したほうがいい。…ほら、もうつくぞ」

 

「そうだな」

 

 

 

低い崖の壁が途切れる場所から再び平地に戻ります。そう遠くない場所に木材で組まれた門があり、打ち付けられた板には大きく文字が書かれていました。

 

 

 

「木材でもあんな立派なものを作れるとはな。…やはり木材も優秀な素材なのか」

 

「?木材?鉄じゃダメなのか?」

 

「ああ。大きな建物を作るなら、鉄材が足りなくなったりするからな。…何とかして木の加工技術を会得したいものだ」

 

「建物…?」

 

 

 

跳躍しまくるノヴァの思考に置いてきぼりにされて、キングコブラは困惑しています。なぜ木材や建物が義肢の製作に必要なのか見当も付きません。

 

門のそばまで来て、ノヴァは指で触れます。原木のまま接合部だけ加工させたそれはがっしりとして、揺らしても崩れる気配を見せません。

 

 

 

「…普段何気なく見ていたそれが、こんなにも作り込まれているなんてな。ノヴァほどじゃないが、私にもわかる気がする」

 

「楽しいと思うぞ、何かを作るって。…ん?」

 

「どうした、ノヴァ」

 

 

 

木の表面の一部が濡れているのを見つけました。今日は快晴でこの前降った雨もまず乾燥しているはずです。

 

不思議に思いつつも濡れた木を目で追います。

 

 

 

「…なんだ、すべすべ…?…泡?」

 

「わっ、本当だ。誰かのいたずらか?」

 

「わからない。何者かの分泌物だとしても、こんなに大量に放つ意味がわからない」

 

「…だよな。両生類の連中だって、こんなにばらまいたりしないぞ」

 

 

 

まだ液が残っている部分もありました。それは泡状になって門の表面にとどまっています。指で感触を確かめると、ぬるぬるしているのではなく割とさらさらした液でした。

 

 

 

「……もう周りには誰もいないようだ。この体液の持ち主は去ったのだろう」

 

「いいや、ノヴァ。誰かはいるぞ。後ろからな」

 

 

 

門から離れて一応臨戦態勢をとります。自分を脅かす天敵はいないことがわかっていても、本能と経験に刻まれたクセはなかなか抜けません。

 

 

 

「大丈夫だノヴァ。成分からして多分フレンズだ。あっちも二人組らしい」

 

「…あなたのその器官は便利だな」

 

「そうでもないぞ。お前の尻尾からいつも焼けた成分が出てるからビビる」

 

「それはすまなかった。…でも、どうしようもないものなんだ」

 

 

 

一応謝っておきますが、実際にはどうにもなりません。骨格が大きく変化したせいで、重い尻尾を持ち上げながら歩くのは体力を消耗するだけですので。

 

キングコブラが凝視する方にノヴァも視線を向けます。薄暗くてわかりづらいですが、確かに動くものがありました。

 

 

 

「…あいつら、何か話しているのか?」

 

「わからん。耳は別段いいわけじゃないからな」

 

 

 

「…こっちはこはんちほーだねー。やっぱり水があるところに住むフレンズなんだよー」

 

「ここを通ってからどれだけ時間がたったのかわからないのだ…。匂いがずーっと残るから追いかけるのは簡単だけど…」

 

「…あれ?アライさーん、ゲートに誰かいるよー?」

 

 

 

「…探し物をしているのか?匂いをかぎまわって」

 

「らしいな。何か因縁でもあるのだろうか」

 

 

 

二人組のフレンズもノヴァたちに気付いたようで、駆け寄ってきます。

 

ピンクのベストを着た耳と尻尾のとても大きい黄色のフレンズと、しましまの尻尾が特徴的な紫がかったグレーの服のフレンズ。特に黄色のフレンズはこのへいげんでは目立ちます。このちほーのフレンズではないのでしょうか。

 

 

 

「こんな時間まで探し物か?」

 

「私は夜行性だからねー。アライさんは24時間動き回ってるけど」

 

「落とし物を届けてあげるのだ!この泡をたくさん出してるフレンズのものに間違いないのだ!」

 

 

 

しましま尻尾のフレンズは、手に持ったものを二人に見せました。

 

 

 

「きれいだな…。宝石か?」

 

「うーん、“しんじゅ”みたいな色してるけどねー」

 

 

 

ノヴァの剣の輝きとは違う、さまざまな色の光を放つ美しい玉石。見る角度を変えれば表情も変わる華やかな輝きに、キングコブラは目を奪われました。

 

 

 

「二人とも、この石みたいに光る白いうろこのフレンズを知らないか?」

 

「……いいや、これは宝石ではないな。あなたの言うとおり、真珠に近いものだと思う」

 

「何かわかるのか!?」

 

 

 

ぐいぐいとノヴァに迫るしましま尻尾のフレンズ。ノヴァは意に介さず玉石に触れて感触を確かめます。

 

鉱山で研磨剤を探していた頃もあるノヴァは、宝石の類いも知っています。研磨に使える量が少なくて見向きもしませんでしたが。

 

そのどれとも違うと思うノヴァなのですが、これが宝石ではないと判断した理由は別にあります。

 

 

 

「わかるのは、これが鉱石ではなくて、生き物の体内で作られるものということだ」

 

「えーと、鳥のフレンズが時々戻す胃石とかなのかなー?」

 

「…さあな、でき方は知らんが。でも、私の火炎嚢で作られる玉石に材質が似てるんだ」

 

「かえんのう?何だそれは」

 

「あなたの毒腺のようなものだ」

 

 

 

ノヴァはおもむろに後ろを向くと、自分の手のひらに向かって燃えるすすを吐き出しました。その場で小さな爆発を起こします。

 

 

その烈光と音に三人は背筋をぴんと立たせてびっくりしました。

 

 

 

「うわぁっ!い、一体なんなのだ!」

 

「び、びっくりしたぁ~」

 

「おいおい…いきなりはやめろよ…」

 

「…?…ああ、すまなかった。三人とも私が火を吐くのを見るのは初めてか」

 

 

 

振り向き直ったノヴァの手のひらで燃え上がる炎を見て、三人とも後ずさりしてしまいます。生き物にとって、本来火とは噴火、つまり破壊を意味するものなのです。

 

 

 

「…これだ。これと似てるだろう」

 

「ち、近寄れないのだ…」

 

「す、すごいねー。こんな技を持ってるフレンズは初めてだよー」

 

「…で?どれだ?」

 

「この、決して燃えない玉があるだろう。これとあなたの玉の質感が似ていると思うんだが」

 

 

 

割とすぐに慣れたキングコブラ。自身が燃えづらい身体を持っているからでしょうか。ノヴァの手の炎を見つめます。

 

ノヴァはすすの塊を崩して広げました。その中から、まるで炎を閉じ込めたかのような透明感のある真っ赤な玉石を掘り出します。

 

 

 

「おお、これもすごくきれいだ。ノヴァから出てきたものとは思えない」

 

「…これも私が作ったものだ。褒め言葉として受け取っておく」

 

「…でも、熱くて触れないな」

 

「そう簡単に冷めるものではない。これを砕いて剣に刷り込めば保温性が劇的に良くなるのだからな」

 

 

 

ノヴァの指でつままれた赤い玉石は、炎から離れても光熱を放ちます。目をそむけていた二人組のフレンズも、ノヴァが炎を握りつぶしたのを確認してから玉石を見ます。

 

 

 

「はーん、確かにねー。こんなにちゃんと丸いなら、削られたってことだしねー」

 

「フェネック…?どういうことなのだ…?」

 

「そうだな。川の下流の石のように宝石が削られるとは考えにくい。やはり胃石のようなものなのだろう」

 

「アライさんにも説明するのだー!」

 

「いろいろ推測できるが…あの泡が固まってできたものが、この玉だと思うな」

 

 

 

紅白の玉を繰り返し見て、知恵を出し合う三人。一人だけ会話に参加できない“アライさん”と名乗るフレンズが手足をじたばたさせて叫びますが、三人は二つの玉にしか意識がいっていません。

 

 

 

「…で、その泡の持ち主はゲートをくぐって行ったようだ。あなた達は追跡を続けるのか?」

 

「もちろんなのだ!このきれいな石はこの泡のフレンズの落とし物なのだ!届けたお礼にお友達になるのだ!」

 

「…その本当の目的は?」

 

「この泡を使った洗いの技を伝授してもらうのだ!きっとなんでもピッカピカにできるに違いないのだー!」

 

 

 

屈託のない笑顔で言い放ったアライさん。それとは裏腹に、割としょうもない理由でこんな時間まで活動しているのかとキングコブラは呆れて鼻で笑いました。

 

 

 

「いや、実にいい心構えじゃないか。自己研鑽を怠らない姿勢、私は尊敬するよ」

 

「お!?わかってくれるのか!?きれいにしたい気持ちを!」

 

「ああ。自分の使うものは強く美しくしたいものだ」

 

 

 

対照に、意外にもきれい好きのノヴァはアライさんに同調します。彼女のスキルアップしようとする向上心も、ノヴァが美徳とする努力につながるものがあり感心しています。

 

相棒も中々理解を示してくれなかったことでしたが、同じ考えを持つ仲間を見つけられて嬉しそうなアライさんでした。ノヴァのまだ赤熱する手を握って信頼感をあらわにしました。

 

 

 

「あっつっなのだ!」

 

「すまないな。冷めづらいんだ。でも、あんまり不用意に熱した場所に触るなよ」

 

 

 

アライさんは少し大げさに手を振って冷まします。悪気を感じたのかノヴァも地面に手を押し付けて熱を逃がしました。パンパンと土をほろってから、今度はノヴァから握手を求めました。

 

 

 

「しんりんちほーから着たノヴァだ。こっちのキングコブラと一緒にじゃんぐるちほーへ向かってる。方向が同じなら途中まで一緒に行かないか」

 

「そ、それはいいアイディアなのだ!四人一緒なら向かうところ敵なしなのだ!」

 

「ノヴァも変わった奴に目をつけたもんだな。…私は構わないが、そっちのキツネさんはどうなんだ?」

 

「私ー?アライさんがいいって言うなら私もいいよー」

 

 

 

改めて、ノヴァとアライさんが握手を交わしました。アライさんのパワフルな笑顔に、自然とノヴァの仏頂面も和らいできます。

 

怪訝な顔をしていたキングコブラも、不敵に微笑していた耳の大きなフレンズも、ちょっと暑苦しい二人が信頼を確かめるのを見て緊張を解きます。

 

 

 

「そっちのノヴァから紹介があったとおり、じゃんぐるちほーのキングコブラだ。遠征の帰り道だが、よろしくたのむ」

 

「よろしくねー。私はフェネックだよー。アライさんと一緒に色んなちほーを旅してるんだー」

 

「じゃあ、旅人としては先輩になるのか。色々教えてもらえると助かる」

 

「ふふふ、アライさんに任せるのだー!」

 

「アライサン、よろしく頼むよ」

 

「よ、よろしくなのだ…」

 

 

 

何かが変なノヴァのイントネーションに、アライさんも戸惑います。間違ってはいないので指摘しづらいですし、彼女の真面目な空気感も余計言いづらくしています。

 

 

 

「で、アライサン。これからどうする?夜中に追跡するのは効率的ではないと思うんだが」

 

「私もそう言ってるんだけどねー。アライさんもあまり目がいい方じゃないし、疲れもたまってるし、危ないと思うんだー」

 

「この泡の持ち主も夜中は休んでいるはずなのだ。その間に追跡を続ければすぐに追い付くと思うのだ」

 

「間違ってはいないが…私はともかくノヴァが旅慣れしてないからな。もう腹ペコだし、夜中も明かりがないと進めないそうだ」

 

「……面目ない」

 

 

 

先を急ぎたいアライさんと、休息をとって万全の状態で挑みたいフェネック。フェネックの思惑を察したキングコブラはノヴァの失態をダシに彼女に同調します。

 

アライさんはぐぬぬと言いながら自分で問答を繰り返しています。つらそうな仲間を自分のわがままに付き合わせるのは申し訳ないと。

 

自分のせいで夜間の追跡を断念せざるを得ない状況になってしまった、とノヴァは申し訳なさそうな顔をします。キングコブラの吐いた毒を言い返せないくらいに罪悪感を感じているのです。

 

 

 

「…仕方ないのだ。今日はここで休むのだ」

 

「…ありがとう、気を遣ってくれて」

 

「ふーん、ああ見えてノヴァさんは素直なんだねー」

 

 

 

フェネックは意外そうな顔をします。弱みを握られても反発しないのは臆病な者ばかりですので。しかし、ノヴァはそこで逃げ出したりしません。正面から受け入れる勇気をもっているのは、弱みを認めない高飛車な者よりも高潔です。

 

 

 

「そうだな。真面目すぎて時々訳のわからんことを言い出すけどな」

 

「でも、キングコブラちゃんも楽しそうにしてるねー。ノヴァさんのこと気に入った?」

 

「あいつの命令ならよろこんで聞くよ。私の…いや、誰も知らない世界を見せてくれる気がするんだ」

 

 

 

キングコブラが受け取った青いナイフは、見慣れた景色を彼女の色に染めて映します。青く輝く世界の先を見てみたいと、ノヴァがこの先どんなものを生み出すのだろうかと、らしくもなくワクワクしているのです。

 

それを作り出すための命令なら、キングコブラは従いたくなります。自分が望んだ“王”は、ここにいるのかも知れないと期待を寄せているのです。

 

 

 

 

 

 

_____________

 

 

 

 

 

 

「…さて、腹ごしらえしないとな」

 

「ノヴァさんはお腹ペコペコなのかー?なら、アライさんのじゃぱりまんを分けてあげるのだ!」

 

 

 

野営というには少し小規模ですが、簡単に休める設備を作りました。太い木を横に切って椅子に、縦に割ってテーブルにします。

 

 

 

「大丈夫なのか、あなたもお腹が空くだろうに」

 

「いいのだいいのだ。ノヴァさんはこの“いす”と“てーぶる”を作るのにあんなに大きな剣を振り回したのだ。空腹の中体力を使ったら、可哀想なのだ」

 

「そーだよ。これ以上ノヴァさんの空腹を放っておいたら倒れちゃうよ」

 

「ノヴァ、心配するな。私たちはお前より必要な食物の量が少ないんだ。逆に、本来お前ほど大きなフレンズは大食らいでなければおかしいんだよ」

 

「そういうものなのか。…思えば、ヒトの身体になってから満腹になったことはないな」

 

 

 

自分では大食らいのつもりはなかったのですが、元となった身体の大きさは三人よりはるかに大きいのです。当然必要な栄養も多くなります。

 

ノヴァ自身食べることより好奇心を満たすことに執着が強いので、今まで適切な食事量を摂取したことはないようです。

 

 

 

「…わかった。ご好意に甘えよう」

 

「ああ、それでいい。お前もライと同じで甘え下手だからな」

 

「真面目すぎて誰かのお世話になりたくないのかなー」

 

「困難は群れで分け合うものなのだ。はい、あげるのだ」

 

「…群れ、か」

 

 

 

アライさんが差し出したじゃぱりまんを受け取って、何か感傷に浸るノヴァ。

 

群れ、というものにはまだ理解が足りていません。自分が本当は一人で生きる存在で、目的のために行動を共にしているだけではないか…と無機質な発想が思考を駆け巡ります。それに、誰かからの施しを受けるなどと考えたこともありませんでした。

 

 

 

「…ありがとう、アライサン。いただきます」

 

「いただきますなのだ!」

 

 

 

ですが、誰かが自分のことを気遣ってくれることが嬉しくないわけがありません。お互いに気遣い合えるなら、それは幸せなことだと思うノヴァでした。

 

自然と少し笑顔になったノヴァは、アライさんから受け取ったじゃぱりまんを指でちぎって口に運びました。

 

 

 

「…?味が違う?」

 

「あー、そうか。ノヴァはまだパークに生まれて日が浅かったな。知らなくてもしょうがないか」

 

「どういうことだ?」

 

「じゃぱりまんはねー、フレンズごとに作られてて成分が違うんだー。その種族に必要な栄養素が考えられて作られてるみたい」

 

「…?それは“誰か”が作っているということか?」

 

「私もそれは知らないが…運んでくるのはラッキービーストだな」

 

 

 

ちぎった跡を凝視して小難しい顔をしています。

 

確かに自生しているものとは思えませんでしたが、誰かが作ったと考えればつじつまが合います。そして、運んでくるものがいるというのも考える材料になります。

 

 

 

「ラッキービースト…?」

 

「もしかしてノヴァさんはあったことないのか?」

 

「ヒグマと合うまではしんりんの奥地でひっそりと暮らしていたしな…」

 

「そっか。まあ、いつかは会えると思うよー」

 

 

 

アライさんとフェネックと会話している間にも、ノヴァはじゃぱりまんをちぎっては口の中へ運びます。よほどお腹が減っていたのか、あっという間になくなりました。

 

 

 

「…ノヴァさんの食べ方は少し変わってるねー。めんどくさそうだよ」

 

「そうか?この方がお上品だと助手から教わったんだが」

 

「おじょうひんってなんなのだ?」

 

「れでぃの嗜みだとか何とか」

 

「影響受けやすすぎだろ、お前…」

 

 

 

勉強熱心なノヴァにいらないこと教えるなよ…とため息をつくキングコブラ。真面目すぎるのも原因ですが、ヒトの習慣と聞けば試してしまう好奇心も厄介です。

 

 

 

「…ごちそうさまでした。アライサンありがとう、餓死は免れたよ」

 

「どうもいたしましてなのだ。さあ、食べ終わったからみんなさっさと寝る準備をするのだ」

 

「アライさんもホントは眠たかったんだねー」

 

「寝る時はとことん寝るのだ。それで明日はこの石の持ち主に絶対会うのだー!」

 

「会えるといいな。果たしてどんなやつだろうか」

 

「…ただの帰り道が、飛んだ大冒険になりそうだ。嫌いではないがな」

 

 

 

 

 

 

 


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