ダイヤのK   作:えっぐりまふぃん

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1話ぐらいは更新しとくかっていう事で1話目です。
大体1週間間隔で更新していきまーす。評価とか感想とかあればできるだけ反映させます。多分


1歩目

校門の前で立ち止まる男が1人。外国人の様な顔立ちの180㎝は余裕で超えてそうな男がいた。

 

うーん、なんか父さんの言ってたような学校には見えないな。本当にこれで古豪なのか?外から見て分かったけどグラウンド二個あったよ?雨天練習場もあったよ?体育館すげーでけー。

『うちは古いからながっかりするなよ?』なんて軽口叩いて出てったけどめっちゃ新しいじゃん古くないじゃん。

 

まあいいか、と前から教えてもらっていた部室の方に行きドアを開け「っざいまーす!!」と元気いっぱいに挨拶した。

 

「うおっ!?」 「びっくりした!」「誰こいつ新一年?」

なんて話してるのが聞こえる。やっぱ声大きすぎたかな?と反省していると先輩達の中から1人出てきた。

 

めっちゃオーラ出てるこの人絶対キャプテンで4番だ…

「キャプテンの結城だ。よろしくな」

「はいっ!よろしくお願いします!自分は片岡一鉄と言います!ポジションはピッチャーです!しゃす!」

 

「片岡?監督の息子?」「片岡一鉄って王様じゃね王様」「すげえ雑誌で見た顔と一緒だ」 なんか野球部っていう感じしないな、うん。

「そうか。着替えたらグラウンドで挨拶がある。早く来いよ」

「わかりました!」

 

バタンッとドアが閉まると先輩達はみんな部室からいなくなっていた。気を使ってくれたのかな?と思いつつユニフォームに着替えつつ先程のキャプテン…いや結城さんのオーラについて考えてた。

『野球の漫画』の世界って言ったけどほんとにオーラとか出してる人いるんだな。ありえねぇ。

 

どうでもいい事を考えながら着替えてグラウンドの方に行くと割と先輩達が揃っていたので結城さんが並んでいない方の列に並ぶ。

多分こっちが一年生だよな。だってあっちヒゲ生えてる人いるしなんか怖えし。

 

しばらくしてたら父さんがユニフォームに身を包んでグラウンドに出てきた。息子ながらそのヒゲと顔は完全に鬼だな、なんて思っていたら一年生の自己紹介が始まっていた。

「〜〜〜です!よろしくお願いします!」次は俺かな。

「よしっ!次!」

「はいっ!片岡一鉄ポジションはピッチャーで打順は3番でした!父さんを甲子園で優勝させたいと思ってます!ちなみに好きな父さんの料理はカレーで粉から作るのは凝りすぎてると思います!」

「一鉄…ここでは父さんではなく監督と呼べ!次に呼んだらグラウンド100周だ!よしっ次!」

 

 

ふっ、父さんが人目では分からないが頬を少し赤く染めているのがわかる!俺にはなァ!あの顔して料理に凝ってるのは意外すぎてちょっとかわいいぞ!父さん!

「片岡!話を聞いてるのか!お前はいいと言うまでランニングだ!」

「はいっ!」

くそっ、父さんが可愛いとか言ってる場合じゃなかった!

 

 

3月といってもずっと走っていれば汗は滝のように出る。後ろで走ってる先輩達と俺と同じ一年の沢村の顔を見ればわか…わからないな沢村は普通に汗ビッチャビチャだけど先輩達があれだけ走って涼しい顔してるのがムカつくななんかムカつく俺もあんまり汗かいてないんだけどさ。

「おい!一鉄!」チラと横を見ればサングラスをかけたイケメンがいた。

「おいって無視すんな!」

「なんすか、御幸さん。」

「いやーなんかお前俺の事避けてると思ってさ。てか鳴と同じ高校じゃなくてよかったのかよ?あんだけ仲よかったじゃん。」

「避けてないっすよ。あと鳴と仲良くないのなんて御幸さんが1番分かってるでしょ。あとウザい」

「お前俺は先輩だぞ!ウザいとか言うなよな!」

 

談笑しながら走っていると1人の先輩が朝飯だと呼びにきてくれた。

「ふー終わった終わった。一鉄ちゃんとお父さんに謝りに行けよー!」

「はいはいわかりましたー」

 

 

 

父さんに謝った後に食堂に行くと一年のほとんどが吐きそうな顔をしながら飯を食べてたからさっさと自分だけ食べて出て行こうとすると沢村に呼び止められた。

「オイ!俺はお前だけには負けねーぞ! ウプッ」

なんか気持ち悪い顔してるし無視しよう。うん

そういえば一年は能力テストだって言ってたな、早めに身体作っとこっかな。

 

 

「一年生集合!これから希望ポジション別に能力テストを行う!スパイクに履き替えてBグラウンドに五分後に集まれ!ピッチャーはブルペンに入っておけ!」

「「「はいっ!」」」

あれ?沢村ピッチャー希望じゃなかったっけ?

父さんから何か言われた後すげぇ落ち込んでどっか行ったな…

まあ、父さんなら悪いようにはしないだろうし放置だな放置。

 

 

うーし肩作るか。

「あっ、なあキャッチボールしようぜ。俺は片岡って言うんだよろしくな。」

「おっ、いいぜ。俺は東条よろしくな」

 

「うおっ、片岡はええよ。もっとゆっくり投げてくれー」

「わりぃわりぃ」

 

「おーやってんなー。」

「御幸さんが受けるんですか?」

「そーだぞー」

すると父さんがやってきて俺の方を見て口を開いた。

「まず片岡!お前から投げろ!20球の中で何を投げても構わん!変化球を投げる時は御幸に言え!」

 

そう言われて俺はマウンドに登った。んーまずはストレート15球ぐらい投げようかな。

「御幸さん!まずは適当に構えたところにストレート15球いきます!」

「おう!適当に投げろー!」

ストライクゾーンを9分割したようなコースに構えられたから全部構えたとこに投げてやった。後ろからは称賛されてるって言うか恨み言みたいなこと言われてるな。

「カーブスライダーフォークで締めにストレート2球で行きます!」

そう御幸さんに言った後

カーブを投げる---大きな孤を描きながらミットの真ん中に吸い込まれていった。

スライダーを投げる---鋭角にキレるように曲がりながらミットに収まる。

フォークを投げる---滑り台を滑るように落ちボールをミットが受け止めた。

そして球速の上がったノビのいいストレートがミットに収まり後ろにいた大人達が騒然とする。スピードガンに表示されたのは 153km

もう一球続けるように投げ今度は場が静まる。ミットに収まった瞬間破裂音が響き渡り---表示された速度は 157km

 

バケモノが産声を上げた。


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