ダイヤのK   作:えっぐりまふぃん

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ぷろろーぐ

転生した。

よくあるやつだよ、神様にあってミスでした〜ナントカカントカ。あんまり内容は覚えてないんだよな。

 

でも願った内容は覚えてる。『野球の漫画』の世界でピッチャーとしての絶対的で天才的で圧倒的なエースの素質とそれに見合った身体が欲しいって願ったんだ。

 

こうゆう転生っていうのはよく「前世の記憶が曖昧になってるな…」なんてあるけど俺は普通に覚えてる。

小学校の頃に父親に無理やり野球を始めさせられて、しんどかった。

何がしんどいって俺喘息持ちだったんだよ。小児喘息ってやつだな大人に近づけば段々症状が軽くなっていくってやつ。

 

チームメイトにはよくサボる奴だって思われてた。父親には何でこんなに身体が弱いんだって叩かれたりした。母親には慰められたけどやるだけ頑張ってみなさいって言われたからまだ野球を頑張れた。才能があったのかは分からないけど小学生にしては中々速い球を投げられたし結構打率もよかった。

 

中学に上がると中学校には軟式野球しかなかったからシニアで硬式野球を始めたんだけど、これがしんどかった。

喘息持ちってなると分かると思うけど走ると死ぬんじゃないかなって思うぐらい辛い。

けど、頑張った。父親はともかく母親にはよく応援もしてもらったし何とか結果を残してみたいってのがあった。

 

中学2年の時に母親が死んだ。

 

 

 

そこからの人生は、ほぼ同じ毎日の繰り返しだった。学校に行ってご飯を食べて寝る。起きて学校に行って〜て感じで魂がすっぽり抜けたような毎日。父親も何か思うところがあったのかは分からないけど俺に何も言わなかった。

当然野球には行かなくなった。

 

そこからは普通に高校に入って卒業して就職した。

100人ちょっとの小さな会社でつまんない日々を送ってた。

10年経ったぐらいの時にベロンベロンに酔って帰った時に妙に落ち込んだ日があって野球のアニメを見てた時に思ったことがあったんだけど、それが(野球にこんなのめり込むぐらいやればよかった)っていう後悔だったんだ。

 

その日の次の日の事は覚えてない。気づいたら会社にいて気づいたら道路に寝転がってて気づいたら血まみれだった。

これから死ぬんだなってわかった時に後悔が押し寄せてきた。

 

もっと父親と仲良くなっておけば もっと野球を楽しんでいれば

もっと母親に恩返し出来ていれば もっと身体が丈夫だったら

もっともっともっと…

 

で、転生した。

 

最初はびっくりしたね。ヒゲ面のヤ○ザみたいな人が俺の父親だって事にもびっくりしたけど母親がいなかった。

また俺は生まれ変わっても母親には何もできないのかって思ったね。

 

ほんとは俺に父親も母親もいなかったんだ。このヒゲ面の人に拾ってもらったみたいでさ。

でも母親の分も父親の分もこの人は愛してくれた。

こんな顔してすげー料理美味かったり掃除しろってうるさかったり勉強も見てくれたり。

ほとんど仕事の教師で家に居ないけどその分愛情はそそいでくれたと思う。

 

「俺!片岡一鉄!父親の片岡鉄心を甲子園に連れていく事を誓います!うおおおおおお!」

「バカなことしてないで早く飯を食べろ。まだお前は高校も決まってないんだからさっさと勉強しろ」

「あ!そういや俺高島先生からスカウトされたから青道高校行っていい?」

「うむ、まあちゃんと勉強もしておけよ。スカウトの件はいいだろう。だが良かったのか?成宮君と同じ稲城に行かなくて」

「あー、あいつは俺と同じ高校に入ったらエースになれないからって俺に来るなって行ってたからな行かねー」

「そうか、じゃあ3月の野球部の練習には来るんだぞ。自主練もしっかりしておけよ」

「ういーわかったよー」

 

まだ12月の中頃、身体はまだまだ鈍っていないだろう。

そう思いながら庭にあるネットに向かいながら投球練習を始めて、ふとこの前雑誌の記者に言われたことについて考えていた。

『一鉄君は登板した試合は必ず5回でマウンドから降りてるけど何かこだわりはあるの?』と。

言ってしまえばこだわりなんて無かった。

ただ鳴の奴が大体5回ぐらいでうるさくなってきて交代させられるだけ。

 

『年下なのに生意気な奴だ!!俺がエースなんだぞ!』

何回も何回もそう言ってつっかかってきたのを呆れながら聞いてた事を思い出す。

 

大体あんな奴が年上なのがおかしいんだよな。実力はあったけどさ。俺はそう思いながらもネットに向かってボールを投げて自分の練習に没頭していく…

 

とりあえず高校に上がったら父さんが監督をしてるチームをエースになった俺が甲子園に連れて行って優勝させなきゃな。

 

シッ--- 外角低めに浮き上がって来る140km後半のストレート

フッ--- 右バッターの首を刈り取る様なカーブ

セイッ--- 糸に引っ張られる様に変化する140前半のスライダー

ンッ--- まるで壁にぶつかったかの様に落ちていくフォーク

 

 

 

この男これだけの球を投げながら未だ15歳

---中学時代野球の王様と呼ばれピッチャーとしてもバッターとしても日本をいずれ引っ張っていくであろうと言われた男が高校野球に旋風を巻き起こすまで後少し---




初投稿となります。細々とぬるーくやっていきたいと思います。
多分週一ぐらいです。

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