東方黒雷伝   作:chaco

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毎度遅くなってしまいすみません。
それでは第5話です。


5話 練習

「おい、起きろ透夜。」

「ん~。おはよう藍。」

 

俺は眼をこすりながら藍に挨拶した。

 

「全く、何時だと思っているんだ。

まぁ、疲れていただろうししょうがないが。」

 

そう言われ、部屋に立てかけてある時計を見ると、すでに10時を回っていた。

 

「もう朝ご飯は用意してあるからそれを食べたら飛ぶ練習をするぞ。」

 

藍はそう言って部屋を出て行った。

俺はしばらく寝ぼけてぼーっとしてたが、次第に意識を覚醒させていった。

部屋を出ると朝ご飯が二人分おいてあった。

俺は顔を洗った後、部屋に置いてあった服を着、ご飯を食べ、刀を持って庭に出た。多分紫が昨日のうちに持て来てくれたのだろう。

ちなみに朝ご飯は普通に白米に魚の切り身だった。

 

庭に出るとすでに藍は来ていた。

 

「よし、それじゃあやっていくか。

とりあえず、浮いてみろ。」

「はい。」

 

俺は昨日やったように妖力を空中にとどまれるぐらい纏い、

それに加え上方向に引っ張ってみた。

するとほんの少しだが地面から足が離れ、そのままとどまった。

 

「こんな感じ?」

「ああ、上出来だ。それじゃあ昨日と同じぐらいの高さまで行くぞ。」

 

そう言って藍は飛び立った。俺もゆっくりと藍について行った。

昨日の藍のように数秒とまではいかないが、大体1分ぐらいで着いた。

 

「よし、今日は自在に飛ぶ練習をするぞ。と言っても上方向だけでなく、進みたい方向に引っ張るだけなんだがな。」

「こんな感じ?」

 

俺はそう言いながら真横に身体をスライドさせた。

その時、若干バランスを崩して落ちそうになるが、何とかとどまった。

 

「驚いたな。もうここまでできるなんてな。

妖力に気を付ければもう自由に飛び回れるだろう。」

「ほんとですか?」

「あぁ、だけどもう少し練習しておけ。」

 

そういって藍は手のひらサイズの球を数個作り、一つとばしてきた。

いきなり攻撃してきたため、驚いた俺はギリギリでそれを回避する。

 

「ちょ、なんで攻撃するんですか。」

「いや、避けながら練習したほうが緊張感があっていいと思ってな。何、別に当たったら少し怪我するぐらいだ。」

 

なるほど、確かに緊張感は出るな。いや。、でも。

 

「怪我はしたくないですよ。」

「なら、頑張って避けることだな。それいくぞ。」

 

藍は笑いながらそう言って球を作ると同時にとばしてきた。

それも数個を同時にだ。簡単な弾幕になっている。

 

「くっ、うわっ。」

 

俺は必死に避けていた。

実際球は少ないのでスペースはあるのだが、今日飛べるようになったので動きが大きくなってしまう。

よって、一つ躱せたとしても他の球に当たりそうになることが何回もあった。

でも、少しずつではあるが時間がたつにつれて制御がうまくなっているのか、当たりそうな球も減っていった。そのたびに球は増えてはいるが。

そんな感じで1時間ぐらい続けられた。

 

 

―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―

 

 

弾幕を避け続けて1時間ぐらい経過したとき急に力が抜けるのを感じ、一瞬バランスを崩した。

すぐに体制を立て直したが、これ以上藍は撃ってこなかった。

 

「どうしたんですか?」

「これ以上は危険だから今日は戻ろう。お昼も近づいているしな。」

「俺、まだまだいけますよ。」

「さっきまでしっかり飛べていたのに急にバランスを崩しただろ。それは妖力が枯渇してきたからだ。

透夜は霊力もあるがそっちまで失うと気絶してしまうからな。そうならないようにもこの辺で終わらせておいたほうがいい。」

「わかりました。それにしてもよく見ていますね。

気付かれないように立て直したのに。」

「当たり前だろ、一応お前の師だと思っているからな。」

 

俺はその言葉になんだか嬉しくなった。

 

「ありがとうございます。」

「いや、別にいいぞ。私が勝手にそう思っているだけだからな。」

「そんなことないですよ。俺も藍のこと師匠だと思っていますよ。」

「ははっ、ありがとう透夜。

ああ、それといい加減慣れてきただろ。慣れたら自然に敬語は取れるって言ってたみたいだが、最初のほうは敬語取っていただろ。」

 

本当によく見ているな、確かにもう藍たちと話すのには慣れたけど・・・

 

「昨日会ってもう慣れるっていうのもおかしいかなって思って後々つけたんですが、もういらないですか?」

「ああ、もう慣れたのならやめたほうがいいぞ。

呼び捨てなのに敬語だと違和感もあったしな。」

 

やっぱりか。自分でそうしていたにも関わらず、感じていたからな。

 

「わかった。でも、修行の時は敬語を使わせてくれ。

教えてもらっている身だしそこはしっかりしたい。」

「わかった。」

 

こんな感じで話していると、とどまっているだけなのにバランスを崩した。

 

「すまない透夜、完全に忘れていた。急いで戻るぞ。」

 

そう言って藍は俺の手をつかんで家に向かって飛んで行った。

 

 

―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―

 

 

「それじゃあお昼を作るか。」

 

家に帰ってきてから藍はそう言いながら台所へ行こうとしたが、俺はそれを引き留めた。

 

「俺も手伝っていいか?お昼作るの。

簡単なことしかできないと思うが。」

 

本当は昨日から手伝いたかったが紫と話をしていたためできなかったからな。

 

「あぁ、別に構わないぞ。むしろ有難いぐらいだ。」

 

そう言って俺たちは台所に行った。

 

 

料理を作っている間は特に何事もなく終わった。

献立は焼きそばにわかめスープだ。

俺は具材を切るだけだったが。

 

出来上がった料理を食卓に運んでいるとき、明らかに寝起きの紫がいた。昨日の紫はどうした。

 

「おはよ~透夜、藍」

「お、おはようございます?」

「おはようじゃありませんよ紫様。何時だと思っているんですか。」

 

た、確かにもうおはようっていう時間じゃない。すでに12時を回っている。

 

「も~別にいいじゃない。

それより今日のお昼は焼きそばね。透夜も一緒に作ったのかしら。」

「えぇ、透夜と一緒に作りました。

でも紫様は朝ご飯が残っているのでそっちを先に食べてください。」

 

それを聞いた紫は寂しそうな顔をしていた。

 

「まったく、紫様がしっかり起きればいいんですよ。」

 

そう言って俺たち3人は食卓についた。

 

「それじゃあ」

「「「いただきます」」」

 

 

藍が作った焼きそばは美味しかった。

紫のために少し多めに作っておいていたが結局食べられず、

残ったのは俺のお腹の中におさまった。

紫、悔しがってたなぁ~

 

 

―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―

 

 

お昼を食べ終わった後、1時間ぐらい妖力を回復させるための時間をもらい、ある程度回復した後再び庭に出ていた。

 

「透夜、調子はどうだ?」

「調子は大丈夫だけど妖力は半分も回復してないな。」

「よし、じゃあ午後は戦闘訓練でもするか。」

「戦闘?」

「ああ、弾幕ごっこを無視してくる奴らから守るためにな。

そんな、必要にならないかもしれないが。」

「わかった。でもその前に、紫、そこで何してるんだ。」

 

俺が後ろに振り向きながら呼びかけるとスキマが開いて紫が出てきた。

藍は一瞬驚くがすぐにため息を吐いた。

 

「また見つかっちゃったわ。

やっぱりその能力はすごいわね。

それにもう慣れるなんてすごいわね。」

「そりゃどうも。で、何しに来たんだ。」

「ただ見に来ただけよ、透夜の実力がどれくらい何のかをね。

藍、私は見ているから始めちゃっていいわよ。」

「はぁ、わかりました。

それじゃあ透夜、全力で私を倒しに来い。

「全力ですか?」

 

俺はそこに驚く。

 

「私なら大丈夫だぞ。お前より強いからな。

だが一応ルールとして、飛ぶのは禁止、能力の使用は別に構わない。それとどちらかが戦闘不能になるまでやるぞ。いいな?」

 

まぁ、確かにそうだな。俺が心配してもしょうがない。

なんせ藍は九尾の妖怪だ。対して俺は一応人間だ。普通に考えて藍が勝つだろう。

 

「わかりました。それじゃあ行きますよ。」

 

そう言って俺は居合切りの体勢をとった。

 

「ああ、いつでも来い!」

 

藍は体勢は変えずに俺を見ていた。

 

「それじゃあ、始め!!」

 

紫の合図で俺と藍の模擬戦が始まった。

 

 




いつも読んでいただきありがとうございます。
いやー書いてて思うんだけど透夜の成長早くない?もう空飛んでるよ。
予定だともう少し時間かけようと思ってたのに。
まぁ、早めに成長させないと話が進まない気もするが、それにしても早すぎる。
さて、次回は藍と透夜の模擬戦ですが、どこまで通用するかな。
そんなことを考えながら次回の投稿をお待ちください。
次回は水曜日に投稿です

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