シオンと話し終え、目を開くと目の前には魔理沙の顔があった。
「おっ、やっと起きたぜ。」
「ん、おはよう。」
そう言って上体を起こし、周りを見ると、レミリアはお茶を飲んでパチュリーはその相手、咲夜はレミリアたちのお茶を淹れていた。
その様子を見て、少しは様子を見ろよ。なんて思っているとレミリアと目が合う。
「あら、起きたのね。」
その声でパチュリーも俺が起きたことに気付く。
「おはよう。思ったより起きるのが早かったわね。」
そう言うと読んでいた本を閉じ、話を続ける。
「それで、思い出せたのかしら?」
「ああ、って言っても少しだけだったけど。」
「だから起きるのが早かったのね。」
「あれで早いのか?あれこれ四時間ぐらいは経っているぜ。」
と、俺の様子を見ていたっぽい魔理沙が話に入り、パチュリーに質問する。それに対しパチュリーは俺にもわかるような説明を魔理沙に返す。
「ええ、早いわよ。だって私が今回使ったのは今までのすべてを思い出す魔法。透夜の歳を今回15と仮定しても早くて5日、遅くても一週間ってところよ。普通に考えてもそんな膨大な情報量を一気に取得できるわけないでしょ。そんなことをしたら大量の情報を処理できなくて脳がダメになるわよ。だからなんでかは知らないけど一部とはいえ私の予想よりは早かったわ。」
「うっ」
パチュリーの厳しい口調での返答に魔理沙は言葉を詰まらせる。それを見たパチュリーは魔理沙から目線を外すと話しの続きを話し始める。
「それで?少しってどこまで思い出したのかしら?」
「えっ、ああ。俺が思い出せたのは小さい時の一日だけだったな。一日が終わったところで急に意識が引っ張られた気がして、気付いたら目覚めてた。」
俺は思い出したところだけを話したが、その後のシオンとのやり取りは話さないことにした。
「そう。どうやって私の魔法を強制終了させたのかは気になるけど、今日のところはこれくらいにしておきましょう。精神的にもキツイでしょうし。」
そう言われ、自分が疲れていたことに気付く。
まぁ、あんなもの見たんだからしょうがないな。
「なんか、一気に疲れが来たわ。ちょっと休んでいっていいか?」
疲れを少しでも取って帰りたいな。竜化も慣れておきたいから戻ったら修行したいし。
そう思っていると今まで黙って話を聞いていたレミリアが空いている部屋を一つ貸してくれた。
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「椅子とベットしか置いていないけどゆっくりしていってね。帰る時とか何か用がある時は咲夜を読んでちょうだい。」
「わかった。ありがとな、レミリア。」
「これぐらい礼を言われることじゃないわ。それじゃあゆっくりしていってね。」
そういうとレミリアは自室に戻っていった。あんまり長居しても迷惑だろうから少し睡眠をとったら出るとするか。それにしても・・・
「なんでいるんだ?」
「いいだろ別に。透夜だって一人じゃ寂しいと思ってな。」
「いや、少し寝るだけだから寂しいなんてねぇよ。」
「本当に大丈夫か?」
魔理沙はとても心配している表情でこっちを見ていた。
「なんでそんな心配そうにしてるんだよ。」
「だって透夜が寝てた時、一回だけすごいうなされていたからな。友達なんだから心配するぜ。」
そう言うと魔理沙は少し暗い顔をする。
それを見た透夜は少し心を痛めた。
「その、しんぱいしてくれてありがとうな。でももう大丈夫だから。」
それを聞いた魔理沙は笑顔をつくるがやはり少し暗さが残っていた。
「そうか。それじゃあ私は行くぜ。」
そう言って魔理沙は部屋を後にした。
透夜はそれを見送った後、ベッドに倒れこむようにして寝ころんだ。
「・・・あんまり気になんなかったけどかなり疲れてるな、俺。」
そう言って目を閉じるとほどなくして意識を落とした。
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眠りに落ちてから約一時間後、透夜は目を覚まし、すぐに出る準備をした。
と、いっても持ってきたものなんてないから準備と言っても意識をしっかりと覚醒させることだけだけど。今日は荷物になるから月華も置いてきている。
透夜は顔を二、三回軽く叩くと咲夜を呼ぶ。
「なんでしょうか、透夜様。」
「あっ、咲夜。休ませてくれたおかげで疲れも取れたからそろそろ行くわ。」
「わかりました。それじゃあ門まで見送りに。」
そう言って二人で門まで行くと門の前で美鈴が寝ていた。
来たときはチルノたちと遊んでて今は昼寝、美鈴って仕事してんのか。
「まったく美鈴ったらまた寝て。」
咲夜が呆れながらそう言った瞬間、美鈴の周りに無数のナイフが出現し、襲い掛かる。寝ている美鈴が避けれるはずもなく全弾命中。周りに叫び声が上がる。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
美鈴に刺さったナイフを抜き、少し治療したところで美鈴が咲夜に話しかける。
「咲夜さん酷いじゃないですか。ちょっと寝てただけなのに。」
「何がちょっとよ。毎日寝てるじゃない。それに起きているときだってそこら辺の妖精と遊んでて仕事してないじゃない。」
「だからってナイフは酷いですよ。」
「別にいいじゃない。こんなんじゃ死なないでしょ。」
「確かに死なないですけど痛いんですよ。」
「仕事しない美鈴が悪いと思うけど?」
「うっ、けど大事な時にはちゃんとやっていますよ。」
「いつもやりなさいよ。」
「私だって暇なんですよ。一人でずっと立っているのは。」
わーわーぎゃーぎゃー
美鈴が何か言えば咲夜が正論で返す。それをさらに美鈴が文句を言いながら言い返す。そんな構図が出来上がっていた。
放っておくといつまでも続きそうだな、これ。
「おーい二人とも、もういいんじゃないか?」
とりあえず二人を止めると咲夜は凛としていたが美鈴は涙目になっていた。
「そうね。美鈴が寝ているのはいつものことだし、今何か言っても今すぐ治るってわけじゃないものね。」
「そうですよ。何をいまさら言ってんですか咲夜さん。」
咲夜はあきらめたように言うと美鈴は開き直って反論する。あっ咲夜、美鈴の首を絞めるな。
「今回はありがとうな。」
「私は何もしていないわ。お礼はお嬢さまとパチュリー様に言いなさい。」
「じゃあレミリアたちに伝えといてくれ。」
「わかったわ。」
「それじゃあ、またな。」
「ええ、また遊びに来てちょうだい。その時は歓迎するわ。」
「また遊びに来てくださいね、透夜さん。」
「ああ、またな。」
そうして俺は紅魔館の門を出た。
図書館に魔理沙が泥棒に来たり、美鈴が咲夜に殺されかけたり、半日しかいなかったが、なかなか楽しい半日だった。
まだ明るいが日は傾いてきており、それに加え人里のほうには雨の降りそうな雲が見えるため急いで八雲家に向かった。
どうも、chacoです。
「魔理沙だぜ。」
今回の話、いかがでしょうか。
「なあchaco、透夜の奴は大丈夫なのか?」
うーん、大丈夫なんじゃないかな?わからないけど。
「おいおい、お前がこの話の作者なんだろ。それくらいわかるんじゃないのか?」
確かにそうだよ。だけど自分と透夜は違う。それにその時の気分とかで書いているから今後どんな感じで行くかおおまかに決まってはいるけどその時になって急に変わるなんてこともあるからね。一話一話投稿するその日に完成させているから書き溜めもしていない。だから大体はわかっていても細かいところはどうなるかは知らないよ。
「そうなのか。」
うん。それに自分はこの話を綴る以外に干渉する気はないしね。
「ふーん。と言うかさっきの投稿その日に完成ってchacoがサボっているからなんじゃないか?」
い、いや、そんなことないよ。勉強もあるし。そんなことより心配なら透夜を追いかければいいんじゃない?
「・・・そうだな。じゃ、行ってくるぜ。chaco通してくれ。」
ハイよ。
―グオン―
「サンキュ―な。」
ハイハイ、じゃあね。
・・・一人になったことだし終わりにするか。
それじゃあ
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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それと、次回の投稿も何事もなければ土曜日となります。
それではまた次の話で!!