先週投稿した話の話数が15話になっていましたが、正しくは14話です。
混乱させてしまいすいませんでした。
それではどうぞ!!
透夜たちは今、薄暗い廊下を歩いていた。
しばらく歩いていると廊下の奥にひと際大きい扉が見えてきた。
「着いたわよ。」
レミリアはそう言って大きな扉を開く。
するとそこはたくさんの本が並べられていた。
「・・・。」
あまりの本の量に呆然としていると隣にいるレミリアに軽く小突かれる。
「なんて顔してるのよ。」
「いや、だって、いくら何でも多すぎだろ。」
「だからってそんな顔はしないでちょうだい。まったく・・・。」
そう言うとレミリアは奥へと進んでいく。透夜も周りの本を見渡しながらレミリアについていく。
部屋の奥には薄紫色のパジャマを着た少女がこちらに気付くことなく、読書をしていた。
「パチェ、来たわよ。」
レミリアが声をかけると少女は本を読むのをやめ、口を開いた。
「いらっしゃい、レミィ。それと透夜。あなたのことはレミィから聞いているわ。私は『パチュリー・ノーレッジ』。あなたのことは名前で呼ぶから私のこともパチュリーでいいわ。よろしく。」
「ああ。よろしくパチュリー。」
「それじゃあ早速だけどやることするわよ。」
パチュリーはそう言うと立ち上がり、大人が一人横になれるぐらいの大きさの不思議な模様の描かれた台座の横に移動した。
透夜とレミリアもそこへ移動する。
「一応今から何をするか教えるわ。
今から透夜には三つ、魔法をかけるわ。一つ目は『
―ズドーーーン―
丁度パチュリーがこれからやることについての説明を終えた時に玄関のほうから大きな音がした。
すると、レミリアは「パチン」と指を鳴らすと同時に「咲夜」、と一言声をかけると目の前に咲夜と縄で縛られた魔理沙がいた。
「こんにちは魔理沙。」
「よ、ようパチュリー、レミリア。それに透夜もいるのか。」
「おう。で、お前何したんだよ。パチュリー、笑っているけど笑ってないぞ。」
「いや、本を借りているだけだぜ。」
「あなたが盗んで行った本、一冊も戻ってこないのだけれど。」
パチュリーは笑っているが誰が聞いても怒っているとわかる声で魔理沙に問い質す。
それに対して魔理沙は堂々と
「死ぬまで借りているだけだぜ。」
と、答えに、この場にいる魔理沙を除く全員が盛大なため息を吐いた。
「悪いわね魔理沙。今日はあなたに付き合っている暇はないの。だからここでじっとしていなさい。悪いけど咲夜、魔理沙のこと見張っていて欲しいのだけれど。いいわよね、咲夜、レミィ。」
「ええ。屋敷を荒らされるのも嫌だからそのほうがいいわね。それじゃあお願いね、咲夜。」
「了解しました、お嬢さま。」
そう言って咲夜は魔理沙を縛っていた縄を外す。
「と、言うことだから。逃げようと思わないことね。」
「わかってるぜ。お前相手に逃げ切れるわけないからな。逃げてもまた捕まるのがオチだぜ。」
魔理沙が逃げる様子がないのを確認してからパチュリーは透夜に台座に横になるよう指示する。透夜もそれに従う。
「それじゃあ始めるわ。一度、目を閉じてちょうだい。何か見つけたら起こすからリラックスしててちょうだい。」
「わかった。」
そう言って俺は目を閉じ、パチュリーが何かを唱え終わるのと同時に、自分の中に何かが入ってくるのを感じながら意識を手放した。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
気が付くと俺は知らない場所にいた。
見たところどこかの村の様な場所だ。子ども達は元気に駆け回り、大人達は農作業をしている、何も変哲のない村だ。ただ一つ違うところを上げると、一部の子どもにはバラバラだが皮膚の一部が鱗のように変化している事だ。
とりあえずここがどこか確認しないと。俺は近くの人に話しかける。
「すみません、ここがどこなのか教えてもらってもいいですか?」
しかし、話かけられた住人はまるで俺がいないかのようにどこかへ行ってしまった。
仕方なく他の人に話しかけるがどれも同じ反応で何も情報を得られなかった。
仕方なしに立ち尽くしていると自分の身体が半透明になったいることに気付き、思い出す。
(あなたの記憶をあなた自身が第三者の視点で強制的に振り返らせる魔法。)
「なるほど、だから話しかけても反応がないのか。俺はここに存在しないからな。と、言うことはこれが俺の記憶。」
そんな独り言を呟いていると、今まで何を言っているかわからなかったところに一際鮮明な声が俺の耳に届いた。
「へぇーそうすれば竜化出来るんだー。やっぱりライラちゃんは凄いなー。他のみんなもやり方は知らないし、僕なんてまだ竜化もして無いのにもう竜化の仕方が分かっちゃうなんて。」
声のした方を見ると黒髪の男の子と金髪の女の子が何やら話していた。
なんとなくだけど黒髪の男の子が自分の様な気がした。とりあえず会話を聞いておこう。
「大丈夫だよ。シオン君もきっとできるようになるよ。
だって私たちと同じ竜魔族なんだから。」
「そうだよね!きっとできるようになるよね!」
そう言ってシオンとライラは笑いあった。
その時のシオンは笑っていたが、少し寂しそうな顔をしていた。
その日は特に何もなく、穏やかな1日が過ぎ、夜になった。
とりあえずわかったことは自分の元の名前がシオンってことと友達の名前がライラってこと。それと自分が人と魔獣の間に位置する竜魔族ってことだけだった。
シオンが眠り、何時間か過ぎ、何をするか考えている時、不意にシオンが起きた。そしてそのままどこかへ移動する。俺は不審に思い、シオンを追いかける。そして、追いかけた先にはシオンの両親がいた。2人とも左胸に穴を開け、血を流した状態で。
「ッ!」
俺は思わず息を呑んだ。
俺が来る間に何があったんだ?分かっている。シオンが両親を殺した。でもどうやって?確かに竜化出来れば殺せそうだがシオンは出来ないはず。
そう思いシオンを見ると腕は竜化されており、腕どころか左目も元の綺麗な黒い目の面影など全くなく、黒目の中心に紅い縦線の入った爬虫類の様な目をしていた。更に左目の周りも黒い鱗に変化しており、何かを咀嚼していた。
シオンは壁を壊し外に出ると、様子を見に来た住人を、子どもとは思えない動きで次々と殺していった。
大人たちはシオンを止めようと竜化をするが全く歯が立たず、俺はその様子をただ呆然と見ていた。
これが俺なのか?これが俺の過去なのか。
もう一度、シオンの方を見るとシオンの足元には両親と同じように左胸に穴を開けた金髪の女の子、あんなに仲が良さそうだったライラが横たわっていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
俺は叫びながらシオンに向かって走り出し、意味は無いことを理解した上で拳を振りかざす。が不意にシオンと目が合い足を止めてしまう。まるで、夢に出てきた竜を前にした時のように足が動かない。
見えていないはずなのにシオンはこっちを見ているようだった。
「ッ!」
俺は声にならない悲鳴を上げる。まるでそれを見ているかのようなシオンは鮮血に濡れた口を三日月のように開きながら嗤うと俺の視界は闇に包まれた。
―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―
「やあ、初めまして。」
俺はシオンに与えられた恐怖を飲み込み、声のした方を見る。
そこには俺、つまり成長したシオンが立っていた。
俺は1歩後ろに退る。
それを見たシオンは笑いながら話し始める。
「そんな警戒しないでよ。僕は僕に危害を加えるつもりはないから。」
それでも俺は警戒を解かない。
「まぁあんなの見た後だからしょうがないか。
ひとまずそのままでいいから話を聞いてよ。」
そう言って話始める。
「僕の名前は「シオンだろ。」って、流石にそれは知ってるか。まぁつまり、記憶を失う前の君さ。」
シオンは笑いながら俺を指さす。
だろうな。だって俺とまんま同じだもんな。
「あれ?驚かない?まさかこれも予想通り?」
「ああ。」
「おっ、やっと返事してくれた。」
そんなシオンの穏やかな反応を見て警戒を解く。
「おっ、警戒も解いちゃうの?」
「ああ。お前を見ていると警戒してるのも馬鹿らしく思えてきたからな。」
「馬鹿って僕は君だよ?」
「だから結構ショックを受けてる。
そんなことより何の用だ?」
「そうだったそうだった。君の記憶がない理由。いや、なかった理由の方がいいかな。それを教えに来たんだ。」
「俺の記憶がない理由?」
「そう。」
シオンはヘラヘラした態度を改め、真剣に透夜と向き合った。
「君の記憶がない理由、それは僕自身が記憶を封じたから。そしてその影響で生まれたのが君さ。」
「どういう事だ?」
「そのままの意味だけど、もっと詳しく言えばあの力を記憶と一緒に封じた。あの力を使わないために。その結果、生き方は覚えているけど自分が何者かわからない君が生まれた。まぁ完全には封じられなかったみたいだけど。」
「それって・・・」
「そうだよ。雷を操る能力、元はライラが持っていた能力だよ。まぁ僕の能力も多少は使っているみたいだけど。」
そう言ったシオンは悲しそうな顔をした。
「で、何でお前はいるんだ?自分で自分を封印したもんだろ?」
「それは透夜が僕であった時を思い出したから。
まったく、出来れば思い出して欲しく無かったんだけどな。」
そう言いながらシオンは頬を膨らませながら怒った。
「それ、お前がやっても気持ち悪いだけだぞ。真面目に俺ってこんなだったのか。
ところで、お前の能力って何だ?」
「あれ?気づいてない?元々の僕の能力は『黒化』って言っていろいろと強化する能力。まぁ今はいろいろ混じっているから良く分からないけど。君のいる幻想郷ってとこで言うとそうだな・・・『混沌を操る程度の能力』とでも言っておこうかな。」
自分の能力を言った瞬間、シオンから圧倒的強者の出すオーラが出る。そのオーラを前に俺は足をすくませる。
「だけどこの能力は完全には君には使わせないよ。使わせるのは今まで通り『黒化』だけ。完全に使う時は僕が表に出た時と君なら使いこなせると思った時だけ。あっでも竜化は使えるよ。君が夢で見た時のようにはなれないけど、さっき見たのぐらいなら使えるよ。」
能力の話が終わり、竜化の話になった途端今までの様にヘラヘラした態度に戻った。
「おい、表に出た時ってどういう事だ?」
「君が意識を失ってて僕が動きたい時だよ。その時のことは君は覚えていないだろうけどね。」
そう言いながらシオンは後ろに向いて手を振った。
「それじゃあまた会う時まで。」
「ちょっ」
そうして俺は意識を現実に戻した。いや、戻された。
戻る直前に小さな声だったがシオンが「月華によろしく」って言ったような気がした。
いかがでしょうか。
どうも改めましてchacoです。
「どうも、シオンだよ。」
と、言うことで今回は初登場のシオンだぞ。
「よろしくねー」
そうそう、今回ちょっとシリアス成分多めにしたけど、うまくいったかな?
「さあ?わかんないけど魔法の名前と僕のキャラ設定はどうかと思うよ。特に魔法の方。ネーミングセンスなさすぎでしょ。」
ぐふっ・・・わ、わかってるから言わないで。
「それに僕のキャラ設定、ひどくない?」
それは書いているうちにいつの間にかなってた。個人的にはお気に入り。
「ふーん。ならいいや。
で、数字が数えられないのは?理系じゃなかったっけ?」
あれは単純にミスりました。本当に申し訳ないって思ってる。
見たとき自分でもビックリしたわ。
「ふーん。それじゃあ今回はここまで。」
今回のようなミス、誤字脱字など見つけ次第報告してくれるとありがたいです。
「もちろん感想とか質問も受け付けているよ。」
それじゃあ
「「ここまで読んでいただきありがとうございました。」」
「次回も土曜日に投稿させるよ。」
それではまた次の話で