まず投稿が一日遅れてしまい、すいませんでした。
それと一部のキャラの名前表記で漢字だったものからカタカナへと変更しました。
いろいろと申し訳ございません。それでは13話です。
買い物を終えた藍と透夜は家に戻り、夕飯の支度をしていた。
「ちゃんと夕飯に出す油揚げは残しておいてくださいよ。」
「大丈夫だぞ。まだまだたくさんあるからな。」
「それにしてもほんと、油揚げが好きだな。売ってたやつのほとんど買ったんじゃないか?」
実際、何枚買ったのかはわからない。なんせ、店に入ってすぐに袋に入った大量の油揚げを渡され、お金を払って出たからだ。払うときに少し話をしていたが枚数については話していなかった。
「今日買ったのは一週間分で50枚だな。あそこで買っているうちに憶えられてしまってな。」
そりゃあ憶えられるわ。一気にそんなに買うのも藍ぐらいだろうし。それにしても
「仲良さげだったな。」
その時を思い出しながら少し声を低めに言った。
「なんだ?嫉妬か?」
「そう。」
藍は笑いながら聞いてきたが、返ってきた答えがまさかのものだったのか顔を赤らめる。
「・・・冗談だ。妖怪と人が仲良くしているのがすごいなって思っただけだ。人は妖怪が嫌いって聞いたから。」
実際、妖怪は人間を食べるし、恐れられても仕方がない。
いくらルールがあって襲わないといっても確かに恐怖はあるだろう。だけど今日見たのは皆笑っていた。
「・・・それはだな、時間をかけて歩み寄ったからだ。
始めは妖怪は人里で買い物はおろか、入ることすら出来なかった。当たり前だ、妖怪を中に入れればいつ襲われるかわからんからな。だか、時間をかけてお互い歩み寄っていった結果、今に至るわけだ。
人間の中には多くはないが妖怪とも仲良くしたいという奴らがいたからな。そいつらの子供を半人半獣の営む寺子屋に通わせたりしたことも影響が大きいだろ。
っと、ちょうど夕飯も出来たみたいだな。悪いが紫様と橙を呼んできてくれないか?」
「わかった。ありがとな、人里のことを教えてくれて。」
「昔話ぐらい容易いもんさ。」
そうして透夜は紫と橙を呼びに、台所を後にした。
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その頃、施設ではレイナが己の主の招集を待っていた。
「ったく、転移するのに一週間も準備が必要なのかよ。
たかが素材捕まえるか殺すのにそんなにいらねぇだろ。」
レイナは一応自身の主に対し、愚痴をこぼしていた。
実際、他のメンバーとはこの世界の魔獣の殲滅という利害が一致したために協力しているだけなので忠誠心などはほとんどない。そのため普段は身勝手に行動しているが、今回の件の責任は自分にあることを認めているため愚痴りながらだが言うことは聞いているようだった。
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彼女は比較的大きい街の普通の一般家庭の長女として生まれた。と、言っても上に二人の兄がおり、末っ子だ。両親は町の食堂を営んでおり裕福ではないがしっかりと生活でき、二人の兄に振り回されながらも両親の手伝いをし、幸せな日々を過ごしていた。彼女の性格や口調が荒くなったのもきっと兄たちの影響だろう。だが、彼女は心優しい人だった。
彼女のアビリティが発現したのは15歳の時、そして絶望が到来した日だった。
その日はいつもと同じ日常が過ぎるはずだった。
長男は食堂を継ぐために両親のもとで修行し、次男は仕事から帰り、夕飯まで寝ており、彼女はいつもと同じように夜から始まる店の準備を手伝っていた。
そんな日常を送っていた彼女のもと、いや、町に一匹の黒き竜が降り立った。
この世界の竜と言えば数は少ないが魔獣の頂点に君臨し、残されている文献で過去に何匹か討伐された生物である。しかしそれはいくつもの国が集まり、大規模な作戦を行った結果、奇跡的に討伐に成功したのだ。だが、その時も作戦に参加した人の半数以上が命を落としている。そのため、大きいとはいえたかが町一つの抵抗など無意味なのだ。
だが、敵わないと知りながらも町の兵士と討伐屋は抵抗した。討伐屋をしている次男も戦場へと駆け出した。
町の人々は町の外へ逃げ出す。彼女の家族も急いで逃げ出そうとした。幸いにも竜がいる場所からは離れており、町の出入り口の近くに住んでいたため逃げるのも容易かと思われた。そしていざ逃げ出そうとしたその時、町にいくつもの黒い雷が降り注ぎ、彼女は意識を失った。
彼女が目を覚ましたのは次の日の朝だった。
目を覚ました彼女の周りには赤く燃え続ける木材、そしてまるで自分を庇おうとしたと思われる二つの焼け焦げた人だったものだった。
彼女は絶望する。焼け焦げた二つの死体は両親だと理解してしまったからだ。おそらく長男も死んでしまっただろう。
ならば自分もいっそここでと思い目を閉じ自らの死を待つ。
しかし、いつまで経っても熱くはならないし煙たくもない。
彼女は自分の状態を確認し、自分だけは全く燃えていない、それどころか熱さも感じないことに気付く。
とりあえず生きている人を探そうと何とかして倒壊した家から出るとすでに竜はいないが、周りの建物はどれも全壊し、燃え、生きているなんてありえない状況だった。
しかし、彼女は泣きながら探した。そして竜が降り立った場所に足を踏み入れる。そこには戦った形跡が、いや、一方的に殺された跡があった。地面にはいくつものクレーターができており、ところどころに乾いた血が残っている。その上にはおそらく兵士がつけていたと思われる武器や防具が潰れた状態で落ちていた。そして、彼女にとってよく見慣れた一本の剣が目に入る。急いで剣に駆け寄り、よく見ると、それは次男の持っていたものだった。そしてその隣には焼け焦げた死体。
彼女は絶望する。なんでこんな目に遭うの?なんで自分だけ生きているの?なんで自分から幸せを奪っていくの?そんな思いが彼女の脳内を駆け巡った。
そして、彼女は彼女なりの答えを出した。そう、全部魔獣がいるからと。魔獣がいるから幸せは壊されるのだと。
ならば魔獣を駆逐すればいい。もう自分のような人が生まれないように。
そうして彼女は兄の剣を抱え、この町を後にした。
その後、彼女は次男と同じように討伐屋として働き始めた。
討伐屋を始めて少し経ったときに彼女は数少ないアビリティ保持者だと知る。そしてその能力は『炎帝』というもので、炎を生み、操るものということも。
そして、彼女が討伐屋に彼女の名が知られてきたころ、一人の男と出会い、とある計画に誘われる。それは魔獣の持つ力を人に移す、つまり人工的にアビリティ保持者を生み出し、魔獣を殲滅させるという計画だった。魔獣を駆逐したい彼女にとってやり方はともかく魔獣に対抗する戦力を作る話はおいしかったためその話に乗っかった。
そして現在に至る。
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レイナは相変わらず愚痴をこぼしていた。
「ったく、こっちの準備なんてほとんどねぇんだからせめて三日で準備しろよあのチビ。大体いつも動くのがおs「コンコン」・・・はぁ、入っていいぞ。」
レイナが愚痴をこぼしていると部屋のドアがノックされ、一人のユウナがドアを開く。
「失礼しますレイナ様。準備が整ったようなのでそのご報告に。」
「あーわかった。すぐ行く。」
「それと、主への愚痴はほどほどにしてください。」
「お、おう。」
レイナはユウナから今にも人を殺しそうな視線を注がれ、軽く冷や汗を掻きながら主のもとへ向かった。
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「・・・来たか。」
男は青く光る魔法陣の前に立っていた。
「来たかじゃねぇよ。待たせ過ぎだ。」
レイナは自分の主に対して疑うような態度で話す。それと同時に後ろから殺人光線が注がれる。
「悪いな。で、準備はいいな?」
「あぁ、いつでも行けるぞ。」
「それじゃあユウナ、お前は部屋から出ておいてくれ。」
「わかりました。」
男がそう言うとユウナは素直に出ていく。
「いやぁ、ありがとね。あいつの視線は居心地悪くてな。」
「お前が態度を直せばいいことだろ。
それで今回の任務はわかっているよな。」
「あぁ、108番の回収だろ。生死は問わずで。それで質問だ。もし向こうで見つからなかった場合はどうすればいい?」
「向こうと繋ぐときに様子を見たがあいつの気配を感じたから死んだということはない。必ず回収して来い。」
「了解。」
「それじゃあ始めるぞ。」
男がそう言うとレイナは魔法陣の中に移動し、中に入ったことを確認すると男は魔法陣に向かって手を掲げる。すると、魔法陣の光は次第に強くなっていく。そして光が爆ぜると魔法陣の中にはレイナの姿はなかった。
今回は申し訳ございませんでした。
投稿が一日遅れてしまうのに次いで、キャラ名をカタカナにするとはいえ変更してしまいました。本当にいろいろとガバガバなのがわかる投稿となってしまいました。
今後はこのようなことが起きないよう注意していきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いします。
次の話は土曜日までに投稿します。今回は申し訳ございませんでした。