東方黒雷伝   作:chaco

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10話 宴会

魔理沙と一緒に神社の敷地内の掃除を終え、他の宴会参加者が来るまで三人で雑談していた。

 

「そういえば透夜はどうして幻想郷に来たんだ?」

「簡単に言うと、逃げてた時に紫が拾ってくれた。」

「え!紫がか?幻想郷のためなら誰だって殺すあいつが?」

 

魔理沙はかなり驚いているようだけど、こっちも相当驚く。

 

「そうなのか?でも紫、俺に対して優しく「でもそれが幻想郷の中の紫の評価。」・・・えっ」

「幻想郷の住民が紫に対して抱いてる姿。

だからあいつは滅多に人前には出てこないし助けることもない。あんたを助けたのもあの胡散臭いスキマ妖怪のことだから何か企んでいるか、ただの気まぐれかってところね。」

 

だから紫は「お願いを聞いて」なんて言っていたのか。

まぁ無理のない範囲ならしっかりとこなすつもりだけど。

 

「それでも紫は何かに利用しようとしていても、ただの気まぐれでも、俺を助けてくれた。命を救ってくれた。

だから俺にできる範囲で恩返しをする。」

「そう、それじゃあいつか敵になるかもってとこね。」

 

紫はやらない気がするが、もし異変を起こすのならばその時は手を貸そうぐらいには考えてる。

 

「そうかもな。

ただ、敵になるかは本人に聞いてくれ。」

 

そう言って後ろを振り返る。

するとスキマが開き、紫が出てくる。

 

「別に起こす気はないわよ。

だけど、幻想郷のことをこんなに思っているのにあの評価は酷いと思うわ。」

 

いきなり紫が出てきて魔理沙は驚いているが、霊夢はやっぱり来たかって感じの顔をしている。

 

「事実でしょう。その評価を消したかったらその胡散臭い顔をやめることね。」

「ふふ、そうね。

それより、透夜はしっかり手伝ってたかしら?」

「ええ、魔理沙の相手をしていてくれたから助かったわ。」

 

霊夢は笑みを浮かべながら皮肉を混ぜてそう言った。

それを聞いた魔理沙は机を叩きながら霊夢に聞く。

 

「おいおい、それじゃあ私はいつも邪魔っていうのかよ。」

「まったく、ゆっくりしたい時に来るんだから邪魔ったらありゃあしないわよ。」

「なんだと、この野郎。」

 

若干喧嘩しているように見えるが、霊夢はただからかっただけのようで、魔理沙もそれがわかっているようだ。だから二人とも笑っている。そんな関係が羨ましく感じる。

 

「大丈夫よ。あなたもきっと仲良くなれるわ、透夜。」

「いや、別にそんなんじゃ・・・」

 

その答えに紫は微笑む。

まったく、すぐ人の考えていることを読まないでほしい。

そんなこんなで一人目?の参加者、魔理沙と紫を含めると三人目が到着した。

 

「お邪魔しまーす、霊夢さん。

あやや、魔理沙さんはともかく紫さんが来ているのは珍しいですね。それにそこの人は誰ですか?」

 

そう言って背中に黒い翼を持つ少女が入ってくる。

 

「初めまして、黒凪透夜と言います。よろしくお願いします。」

「初めまして、透夜さん。私は『射命丸 文』と言います。こちらこそお願いします。

ところで、透夜さんは人間ですか?妖怪ですか?」

「人間ですよ。」

「そうですか。いやぁなんか妖力も霊力も感じられたのでちょっと気になったんですよ。

あっ、私には敬語じゃなくて結構ですよ。私は職業柄、敬語を使っていますが。」

「職業柄?」

「はい。私、こう見えても新聞記者なんです。

お近づきの印にどうぞ。『文々。新聞』です。」

「あ、ありがとう。」

 

そうして、 文々。新聞を受け取ると二人の少女が来た。

 

「来たわよ霊夢。」

「お邪魔します。」

 

一人は小学生ぐらいの身長で背中に羽が生えてる。もう一人は霊夢より少し高いくらいでメイド服を着ている。

 

「うん?鴉とスキマ妖怪も来ていたの。それに一人、見慣れない奴がいるわ。」

「私は鴉じゃなくて鴉天狗ですよ~。」

「あら、うるさいところは一緒じゃない。」

「そんなことはどうでもいいわよ。それより」

 

そう言ってやたら大人びた幼女はとっちを向くなり強大な妖力を浴びせてくる。

それに対して俺は内心びくびくしながら平静を装っていた。

 

「なかなか肝が据わっているわね。

あなた、名前はなんていうの?」

「え、あ、く、黒凪透夜です。」

「そう。私は紅魔館の主、『レミリア・スカーレット』よ。」

「同じく紅魔館のメイド長の『十六夜 咲夜』です。」

 

レミリアは自己紹介が終わると妖力を出すのを止める。

 

「あなた、私のところへ来ない?」

 

どうやら試されていたらしい。それにしても勧誘するの早くないか?

 

「残念だけど吸血鬼のお嬢ちゃん、透夜はうちの子だからあなたのところにはやらないわよ。」

 

それを聞いたレミリアは明らかに悔しがっている。

ありがとう、紫。俺じゃ断れる気がしない!

 

「チッ、八雲の息がかかっていたか。

まぁいい、いつでもうちに来るといいわ。あなたならいつでも歓迎するわ。」

「ええ、うちの門番にも言っておきますのでいつでも来てください。」

「わかりました。ありがとうございます。」

「それじゃあ、また後で飲もう。」

 

そう言ってレミリアたちは霊夢たちのほうへと話に行った。

その後、萃香がやってきた。

 

「あはは、そうか。お前、紫の奴に拾われたのか。そりゃあ大変だな。それよりもっと飲め飲め~♪」

「い、いや、俺、そんなに飲めないんで。」

「そうなのかあ?酒はうまいぞ、酒は。」

「は、はあ」

 

酔っ払いとその相手をさせられている人みたいな感じになっていた。

 

「ちょぉっと~、透夜ぁ~こっちに来なさいよぉ~」

 

呼ばれたほうを向くと、見事に出来上がった霊夢がいた。

 

「何?霊夢」

「ちょぉっと~気になったんだけど、あんたどうやって幻想郷にきたのよぉ~」

「いや、それはさっき言っただろう。」

「そ~じゃなくてぇ~どうして逃げてたんだってこと。」

「お、私も気になるぜ。」

「あやや、それは私も気になりますね。」

「うん?お~天狗か。よし、一緒にこっちで飲め。」

「あや?萃香様?いや、ちょっ、助けて~霊夢さ~ん、魔理沙さ~ん、透夜さ~ん。」

 

話しに食いついてやってきた文だったが、萃香に見つかってしまい速攻で連れ去られていった。

 

「文の奴はほっといて、どうして逃げていたんだ?」

 

うーん、あんまり話したくはないけど、もう関係ない話だしいっか。

 

「そうだなぁ。まず初めに言うと、俺は過去の何年か前から先の記憶がないんだ。」

「「えっ」」

「だから、憶えている最初の記憶は手足を鎖で繋がれ、どこかに連れていかれるところなんだけど・・・」

 

透夜は自分がここに来た経緯を話そうとするが、明らかに最初の記憶喪失の部分で雰囲気が暗くなる。

 

「やめるか。こんなとこで話すことでもないし。」

「その方が賢明よ、透夜。

霊夢たちも誰でも触れてほしくない話はあるものよ。気をつけなさい。」

「お、おう。わかったぜ。」

「悪いわね。少し酔っていたわ。」

「いや、別に俺はいいんだが。」

 

こんな感じで歯切れ悪くこの話は終わりになった。

その後は皆で飲んだり食べたりでまるでお祭りのような夜だった。

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回、個人的に透夜と絡むのが多くなりそうなキャラを宴会に参加させていただきました。
と、言ってもほんの一部なので出てきたキャラが少ないのは勘弁してください。もっと出したかったのですが未熟で出せませんでした。すみません。
なので今回出なかったからと言って全く絡みがないというキャラは極力なしにしようと思っています。
と、まぁこんな感じで、今回も読んでいただきありがとうございました。
次回はまた1週間以内には投稿します。
それではまた次の話で。

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