とうとう誠二きゅんがバトリます。
戦闘描写下手なんであんま期待しないでください。
~誠二 side in~
「死んでくれないかな?」
キタァッ!!
レイナーレのこの台詞が聞けたときにはこれからのハーレム悪魔ライフを妄想してテンションが爆上がりだった。もうその場でガッツポーズしそうになっちゃうくらい。
そして小説通り苦笑いしながら「冗談キツいなー、夕麻ちゃん」と言おうとした瞬間にレイナーレはその背中から堕天使の証である黒いカラスのような翼を広げた。
「楽しかったわ。あなたと……………………」
悪魔転生が楽しみ過ぎて途中からレイナーレが何を言っているのか聞いてなかったが、彼女は今までの可愛らしい目つきが冷たく怖いものになっていた。
ブゥン、とゲームの起動音よりも重たい音が空気を揺らす。
彼女の右手に光りが収束して、次第に槍を形作る。
あぁ、これから俺は死ぬんだな。光の槍を認識したその刹那、お腹に違和感を覚えた。
既にその華奢な手には何もなかった。槍は俺の腹を貫通したようだ。後ろが若干明るかったが、それもすぐに消えていく。
新品のワイシャツとズボンを温かい液体がジワリと湿らせていく。
展開が読めていたのである程度の覚悟はあったが、やはり痛いものは痛い。
痛ぇ、やっぱり耐えらんねぇか?いや、これが明日の…それだけじゃねぇな、これからの人生に必要なことだ。だから耐えてみせる。
しかし、そんな決意とは裏腹に肉体は限界を迎えたようで頭がくらくらし、視界はぼやける。とうとう足に力が入らなくなって自分の体重さえ支えられず、その場に崩れ落ちる。
そこへツカツカとレイナーレが近寄ってきた。
「ゴメンね。あなたが私たちにとって危険因子だったから、早めに始末させて貰ったわ。恨むならその身に
そう言うと、目的を達成したと認識したのか足音が遠ざかっていく。
まだ動く手で腹のあたりをさすってみると、赤い……紅い血がついていた。
痛みのあまりに少しばかり意識がもうろうとしてきた。
俺はここであらかじめ用意しておいたポケットの中の悪魔召喚のチラシを握りしめ、鮮明にあの特徴的なストロベリーブロンドを思い浮かべる。
さぁ、来い。将来の俺の嫁よ頼んだぞ。悪魔になりさえすれば全て上手くいくんだからな。
「あなたね、私を呼んだのは」
痛みを紛らわすために思考の世界へ浸っていたところ、視界の外から女の声が聞こえた。その声は日の暮れた物寂しい公園に大きくはないが、十分に響き渡る程に威厳に満ちていた。
やっと来たか。
視界がもう既にぼやけてしまっているが、目に映るその紅の髪は間違えるはずもなくリアス・グレモリーだった。
「死にそうね。傷は……へぇ、面白いことになっているじゃないの。そう、あなたがねぇ……。本当、おもしろいわ」
リアスはクスクスと興味ありげに含み笑いをすると、自分の懐を探る。
「どうせ死ぬなら、私が拾ってあげるわ。あなたの命。私のために生きなさい」
それは君に言いたい。どうせすぐに俺に夢中になるのだから。
彼女がポーンの駒を取り出したところで俺の意識はブラックアウトしていった。
朝目が覚めると俺は自室のベッドで寝ていた。
パジャマをめくってお腹を見ると、風穴などどこにも開いていなかった。
やった!これは昨日のことが夢でなければ俺もとうとう悪魔になったって事か。イヤッホー!
うれしくて少し飛び跳ねていると下から、
「起きなさい!誠二!」
母親の声が聞こえた。どうやらはしゃぎすぎたらしい。
「わーってるよ!今起きる!」
そう答えてパジャマから制服に着替えて階段を下りていく。
そしていつも通りに朝食を食べて家を出た。
昨日までなんともなかったはずの朝日が急にキツくなったので、改めで悪魔に転生したことが実感できた。
「さて、本格的に悪魔になったことだしそろそろ
まぁいいさ、女神からのチートで使いこなせることには変わりないんだから適当にやっていれば他の奴らに負けることはないだろう。
期待を胸に今日も俺はつつがなく過ごしていく。
「行ってきまーす」
今日もいつもと同じ時間に家を出る。
あれから数日が経つが、まだ朝のだるさを克服することが出来ない。
悪魔になったあの朝に戦いのために少し鍛えるとか言ったが、よくよく考えたら女神チート(?)で室伏広治の2倍の身体能力を保持しているはずなんだから一般人としては最強クラスなはずであることに気付いた。だから
時間に余裕を持って正門を通り、教室に入っていく。
「誠二君っ!おはよう」
「誠二さん、あの、良かったらお昼に屋上で一緒にご飯を食べませんか?」
「ねぇ~誠二ぃ。いい加減に私と付き合ってよぉ」
などなど
この学校は前まで女子校だったので女子の比率が高く、しかもレベルが高い。
はぁ、これはこれでいいんだがなぁ。やはりオカ研のメンバーと比べると数段落ちるな。こいつらじゃあ満足できないのが本音だ。
「おはようみんな、今日も頑張ろうね(キラッ)」
ほらね、これだけで顔を赤くするんだもん。チョロインにも程かあり過ぎて逆に萎える。
俺に群がる奴らを適当にあしらったところで本命の小猫ちゃんに挨拶する。
「おはよう小猫ちゃん。今日も頑張ろうね」
「………………おはようございます」
爽やかイケメン全開でいったが今日も無理だったか。
でも本当に小猫ちゃんとクラスが一緒で席も近かった事には驚いた。動揺して思わず初対面なのに「小猫ちゃん」って呼んでしまって、相当警戒された。
あれから毎日暇さえあれば話しかけるようにはしているが、未だ成果は上げられていない。
「でもあれだよね。どうせ最後は小猫ちゃんも俺のハーレムメンバーに加わるんだからゆっくりと攻略していけばいいさ(ボソッ)」
「……私が…どうかしましたか」
小猫ちゃんが珍しく自分から話しかけてきた。
それにしても危ねぇ。ついつい声に出してしまっていたか。
「なんでもないよ」
「……そうですか、ならいいです」
ショートホームルームのチャイムが鳴り、クラスメイトが自分の席へ座っていくのを見て、俺はも自分の席に座る。
そして今日も退屈な授業が全て終わり、俺は靴を履いて校門を出る。
暇なのでゲーセンで二、三時間ほど遊んでいるともう既に辺りは暗くなっていた。店を出て、百円玉もつきたので家に向かって歩き出す。
家まであと一キロ程度のところで、スーツを着た男が俺のことを睨んでいるのに気付いた。
夜になると悪魔になった影響か、感覚が鋭くなる。そのおかげでスーツ男の視線が殺気に満ちていることに気付けたのだ。
「これは数奇なものだ………………」
ん?この台詞は、ドーナシークか。
「もしかしてお前はドーナシークか?」
「……どうして俺の名を知っているのだ小僧」
やっぱりそうだ。ということはアーシアはフラグの始まりか。
「まぁ良いだろう。どうせはぐれだろお前。だったら今ここで狩っても構わんな」
そう言うと両手にレイナーレが使っていたような光の槍が現れた。
おもしれぇ。俺の力がどこまで通用するのかこのかませ犬で検証するか。だがここだと人に見られる可能性があるな。あの公園で言いか。
考えをまとめると俺は身体能力をフル活用して走り始めた。
そしてその間に
『Boost Boost Boost』
三回目がなったところでちょうど公園に着いた。
ドーナシークも空を飛んで追いかけてきた。
「はぁ、面倒だ。ようやく諦めたか」
そう呟くと両手の槍を投擲してきた。
「そうはいくかってんだよ」
『Explosion』
俺の身体能力は通常の8倍になっている。そのことによって槍は楽々とよけることが出来た。
「なにっ!なかなかにやるようだな。だが所詮下級よ」
再び両手に光の槍を出現させると襲い掛かかってきた。
だがこれも強化された肉体によって見切ることが出来、かすりもしなかった。
なんだ、訓練なんかしなくても十分に俺は強いじゃないか。やられるだけのあいつとは格が違うって事だな。
「ほら、お土産だ。死ね」
何度目かの攻防の中で体内に眠る魔力を引き出せるようになった俺は魔力を拳に纏わせてカウンター気味にドーナシークの顎をなぐりとばす。
「グガッ!!」
良い具合に決まったのか仰向けに倒れたまま動かなくってしまった。
やった、やっぱりこいつ雑魚じゃん。
初勝利の余韻に浸っていると、俺の背後から紅い光が辺りを照らし出す。
振り返って見ると、魔方陣が展開されていた。
「その子に触れないでちょうだい」
そう言いながら現れたのはリアスだった。
しかし俺を助けに来たつもりがドーナシークが倒れているのを見て、驚いていた。
「これ、あなたがやったの?」
「えぇ、まぁ」
そう答えると少し考えてから、
「あなたに伝えたいことがあるわ。私も聞きたいことがあるし、明日の放課後にお話ししないかしら?」
「良いですよ」
「じゃあ、明日の放課後に教室で待っていてちょうだい。迎えをよこすわ」
この男は私が始末しておくからもう帰っていいわよ、と言ってドーナシークと一緒に魔方陣の向こうへ消えた。
さぁ、帰るか。それにしてもあれがもうじき手に入ると思うと笑いが止まらない。今日はきっとねむれないだろうなぁ。
~誠二 side out~
なんか原作の序盤ってかませ犬しかいないですよね。
次回はリアスとのお話回になるかと思います。
そろっと一誠も暗躍させたいですねぇ。
それではまた次回。