今回は若干短めです。
とりあえず戻ってきた
~3人称 side in~
「待てぇ!この下等種族がぁ!」
午前3時近い森の中を上半身は凛々しい男、下半身は馬というとてもこの世のものとは思えないような姿をした化け物が1人のマントで全身を覆った男を追いかけていた。
足では追いつけないことを悟ったのか化け物は背中から蝙蝠のような翼を広げて漆黒の闇へと飛び上がる。
「チッ!面倒臭ぇな。このまま見逃してくれれば良いのによ」
その様子を後ろをチラッとみた男が呟く。
追いかけられていた男は得体の知れない者に追いかけられているにも関わらず余り焦っている様子も、おびえている様子もなかった。
ただ、いい加減ウンザリしたのか足の裏で急ブレーキをかけて空から来る相手を見上げた。
「もう飽きたからとりあえず消えろ」
そう言うと両手を前に突き出す。
「
すると一瞬光り、そして弾けた。
「干将・莫耶」
その手の中にあったのは黒と白の2本の剣だった。
男はそれを数回振り、感触を確かめる。
確かめた後、突然走るのを辞めて見たことのない魔術を使った男を警戒している化け物の方を向く。
「お前は何者だ。なんだその魔術は。見たこともないぞ」
化け物は今まで下等種族と侮っていたが、自分の知らないものを見たことで若干動揺する。
だがすぐに飛んでいる自分に剣は届かないと考え直し、再び余裕の表情を浮かべる。
「ふはははは!いくら珍妙な技を持っていたとしてもそれは届かない。つまり何も変わらな..........「うざってぇ」えっ?」
気付くと首には男が持っていた剣が刺さっていた。
「うるさいんだよ。敵が武器を持っているのだから油断しすぎ」
化け物はその言葉を聞くと力尽きたのか地面に落ちて音もなく消滅した。
「おいおい、帰ってきて早々これかよ.....。どうなってんだか。しっかし管理の仕方が杜撰すぎるだろリアス・グレモリー」
男はそう呟くとさらにマントのフードを深く被りながら薄ら寒い春の夜の中に消えていく。
~3人称 side out~
~誠二 side in~
俺はこの春駆王学園に入学した。つまり原作の開始って事だ。
登校初日で学校に向かいながらこれから始まるハーレムライフに胸を躍らせる。
絶対にお前よりはうまくやってやるからな
そう小学2年生の時のあの事件から行方不明になった奴を馬鹿にしながら登校した。
学校に着くと全校集会があってそこで生徒会長からの軽いオリエンテーションがあった。
「..........となっています。これから始まる新しい生活を一日一日大切に過ごして下さい」
そう言って黒髪のめがねをかけた美少女はお辞儀をする。
それは間違いなくソーナ・シトリーだった。
はははっ。アイツはものに出来なかったが俺は違う。絶対にソーナも自分のものにしてみせる。
オリエンテーションも終わり、今日はこれで帰る事となる。
教室に戻るとさっさと荷物をまとめて校門を出る。
そしていざ帰ろうとすると後ろから鈴の音のような声が掛けられる。
「あの!兵藤誠二さんですか?」
声のした方へ振り返ると、黒髪ロングの清純な美少女がいた。
これはもしかしなくても.....。
「あの、一目見たときからずっと好きだったんです。私とつきあって下さい!」
来たあぁぁぁぁぁぁぁあ!!
これで、これでやっと俺の主人公人生が始まる。断言できる。貰った!
「えと.....いいよ?」
ここは怪しまれないように無難に返しておく。
さてと、全力で殺されてやるぜ。
告白されてから数日が経ち、初めての休日で夕麻ちゃんと一緒に出かけている。
「ねぇねぇ誠二君」
いよいよデートも終盤に近づき、とある公園へ来ていた。
トトトッ
夕麻ちゃんが少し先へ走る。そして振り返り、燃えているような夕焼けを背にして話しかけてくる。
ここで俺は殺されるのか。ちゃんと悪魔召喚の紙も貰ってあるし大丈夫だ。
「1つお願いがあるんだけど」
「何でも良いよ。それで何?」
「死んでくれないかな?」
ドスッ
そう言った後バサッと夕麻ちゃんの背中から生えた2枚の黒い翼が彼女の全身を覆うと次の瞬間にはボンテージ姿になっていた。そして右手に光でつくった槍のようなものを俺に投擲してきてお腹に刺さった。
「ぐあぁぁぁぁああ!!」
痛い、痛いよ。予想以上に痛いよ。でもこれがリアスフラグに繋がると考えると我慢できる。
「恨むならその身に
それだけ言うと夕麻ちゃん、いやレイナーレは何処かへと飛び去っていく。
さてと、そろそろリアスを呼ぶか。
痛みで朦朧とする意識の中、ポケットを探る
目的の紙を取り出すと一心不乱にあのストロベリーブロンドを思い浮かべる。
すると近くで魔方陣らしきものが展開され始める。
「あなたね私を呼ん..........」
望んだ人が来たことを確認して俺は意識を失った。
~誠二 side out~