よく考えたら兄なのに誠二って.....。
~誠二 side in~
「お..........い。お.....なさい」
呼びかけられて起きればそこは白い世界だった。一面が真っ白でただ広いだけの空間。
ここは、どこだ?
「あぁ、やっと起きてくれましたか。よかった」
そう声を掛けられて声のしたほうに顔を向けると、そこにいたのは「儚げで可憐」というしかないほどに美しい少女がいた。
プラチナブロンドの髪、深くて高貴な紫の瞳、ルビーと見間違うほどのあかく薄い唇、透き通るような透明感のある肌、極めつきに力強く抱きしめたら折れてしまいそうなほっそりとしたしなやかな体躯。
「完璧だ・・・・・・君は美しい・・・・・・」
思わず口に出てしまうほどに美しいのだ。いや、言葉によってその価値を束縛する事さえおこがましい。
「まぁ、お上手ですね。フフフッ」
口に手を当てて、鈴の音のような声で、彼女は笑う。
「まずは自己紹介をしますね。私の名はセシール。斎藤義輝さん、あなたがどうしてここにいるのか分かりますか?」
ふむ、この感じはよく小説でありがちなパターンか?状況を鑑みるに。だとすると答えはひとつか。
「俺は、死んだのかな」
思いついたことを言ってみる。
「ええ、そうです。あなたは死にました。上から鉄骨が落ちてきたことが原因で」
そうなのか、チッ!クソっタレが。
中学時代のいじめが原因で引きこもり歴21年、35歳のおっさんがいい年こいてコンビニにエロ本買いに行った帰りにそれかよ。
でもまてよ?これって神のミスで死んだやつが転生するっていうテンプレ的な展開がまっているのかも。
「で、俺はどうなるんだ?よくありがちなのは神のミスってことなんだが、今回はそれなのか?」
一応俺の望む展開になるかどうか探りを入れる。
「はい、申し訳ありませんでした。私どものミスによって、本来死ぬはずではなかったあなたを死なせてしまいました。でも安心して下さい。あなたには三つの選択肢を与えます」
とりあえず俺の望む展開になる可能性はあるな。
「で?三つの選択肢って言うのは?」
そう俺が問うとセシールは答える。
「はい、その選択肢は
1 輪廻転生の輪に戻る
2 消滅する
3 異世界転生をする
この3つになりますね」
きたあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあ!!!!!!!!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ俺の時代ぃぃ!!
「もちろん3で、3でお願いします」
あこがれの異世界転生に即決する。
「ちなみに転生先はハイスクールD×Dの世界ですよ?」
その情報に俺はますます興奮する。あの美女がいっぱいの世界か。なら俺はその世界でオリ主になってやる。オカルト研究部の面々の肢体を自分のものに出来ると考えるだけで昂ぶりを抑えきれない。
「ちなみに転生特典とかってあるの?」
これは大事だからなぁ。
「勿論ありますよ」
ふふふふふふ。もう負ける気がしない。俺の方が一誠よりもうまくやれるはずだ。待っていろ俺の愛しい嫁たち。
「いくつほどもらえるのかな」
「3つですね」
そうか、なら決まったな。
「俺を兵藤一誠にすること、ニコポナデポをつけること、俺が赤龍帝になることだ」
これでこの世界は俺のものだ。
しかし、俺の要求を聞いたセシールは困った顔をして首を横に振った。
「いくら私が神とはいえ、命を与えることは出来ても魂全てを書き換えることは出来ないんです。つまり、赤竜帝はどうにかなりますが、兵藤一誠になることは出来ません」
はぁ!?巫山戯るなよ?
「おい!!お前は全知全能の神様何だろ?それくらいやれよ!!」
「すいません。出来ないんです、だから
他のもので何かありませんか?お詫びにもう一ついいですから」
やった!ラッキー!
「そうだな、じゃあ兵藤一誠の弟として生まれることと兵藤一誠は悪魔に転生できないようにしてくれ」
これくらいなら出来るだろう。というかやって貰わないと困る。
「はい、それくらいなら大丈夫ですよ。ではこれから転生させますね」
セシールがそう言うと、俺の体は光る粒子となって頭上に開いた円形のゲートに吸い込まれていく。
「これから行く世界で何をするのかはあなた次第です。だから、自分のしたいように前世の分まで生きてくださいね」
その言葉を最後に俺の意識は途切れた。
~誠二 side out~
~セシール side in~
「・・・・・・生きてくださいね」
彼が完全に消え去り、転生を完了させた。
ふぅ、これで罪滅ぼしも終わって一件落着かなぁ。
そう思い、自分の神殿へ転移しようとすると、後ろから声が掛けられた。
「お~い!!セシールちゃ~ん。大変じぁ!!」
白いひげを地面につくほどまで伸ばした老人がやってくる。
「あら、どうしたのですかログ様?だいぶ慌てていらっしゃるようですが?」
息を弾ませながらログと呼ばれた神の1柱は青ざめながら言う。
「さっきの転生させた彼じゃが、あれは本来の寿命で死んだ奴じゃ。転生させる人は違う人じゃ」
え・・・・・・・・・・・・。
言葉が出なかった。だって本来生きるべき人を殺しておきながら、やり直すチャンスすら与えてあげられなかったのだから。しかも、転生出来るのは1つの魂につき1回まで。つまり本来の権利者からその権利を奪ってほかの人につかってしまったのだ。そう考えると、青ざめるどころか、多分、私の顔は今土気色をしているだろう。
「しかもさせたやつがまた問題があっての。魂の色がうちの地獄にいる第1級犯罪者と同じ様な色をしておるのじゃ。じゃから、転生させてもし、自分の魂の声に従うままに行動する奴だったなら、とんでもないことになるぞぃ」
あぁ、どうしよう、とんでもないことをしてしまった。
その場にへたり込み、呆然とする私にログ様は優しく、子供をあやすように語りかける。
「安心しなさい。奴の元々のスペックは低いし、器も小さい。強くはなるかもしれんが・・・所詮少し強い程度で止まる。じゃから大丈夫。それに、一応抑止力も用意しておるのでなぁ」
背中をさすられて、ある程度余裕の出来た私は疑問に想う。
「抑止力とは?」
その問いに、ニッコリと笑うログ様はこう答えた。
「本来の転生者を兵藤一誠に憑依させるのじゃよ。神器としてな」
そう言ってログ様は紙の束を渡してきた。
「勿論、本人も了承済みじゃ」
その書類に書いてあったのは本来の転生者のプロフィールだった。
転生No.02 【 衛宮 士郎 】
この者を神器として兵藤一誠に憑依させることを本人の同意の下許可する。
師匠やヒロインは誰がいいですかねぇ..........。