パラドクスのリメイク版はまだ先になります。
仮面戦士
20XX年…
白騎士事件…10年前、篠ノ之 束(しののの たばね)によってIS インフィニット・ストラトスという宇宙での活動を目的としたマルチスーツの存在が発表されてから1カ月後に起きた事件。日本を射程距離内とするミサイルの配備されたすべての軍事基地のコンピュータが一斉にハッキングされ、2341発以上のミサイルが日本へ向けて発射されるも、その約半数を搭乗者不明のIS《白騎士》が迎撃した上、それを見て《白騎士》を捕獲もしくは撃破しようと各国が送り込んだ大量の戦闘機や戦闘艦などの軍事兵器の大半を無力化した事件。そしてこの事件での犠牲者は皆無であり、篠ノ之 束の「ISはISでしか倒せない」という発言により、世界はその力を認めた。だが、ISには欠陥がひとつあり、《女性にしか動かせない》という事実があった。その事からISを動かせる女=男より上という認識が生まれ、女尊男卑の世界へと向かっていった。
そして10年後…。
-とある戦場-
そこでは武装した兵士達が重火器を使い争いを繰り広げていた。この戦争をしているのはこの世界では珍しく男女平等を掲げ、平和に暮らしているA国と、それをよく思わぬ女尊男卑のB国である。
「おらおらおら!」
「死んじゃえ!!」
「クソッ!」
しかし、人数では勝っているはずのA国はB国に押され始めていた。その理由は。
「ISを所持しているだなんて聴いてませんよ!?」
そう。B国はISを所持していたのだ。しかも三機も。ISが出現してからは全世界の軍事バランスが傾き、ありとあらゆる兵器がISより劣ることになっていた。しかし、ISはあれからアラスカ条約と呼ばれるもので軍事利用は禁止されている。恐らく密入でもしたのだろう。
「国王様!このままでは我々の国は滅んでしまいます!」
「ぐぬぬ…どうすれば…。」
A国の国王が諦めかけたその時。
『お前ら!A国を援護しろ!DNR班は相手兵力の無力化をただし殺すなよ。骨とか折って戦えなくしろ。DNB班は女子供を保護、DNY班は負傷者の手当てを急げ!』
『『『ラジャー!』』』
「な、なんじゃ?あの仮面の兵士は?」
「わ、わかりません…。しかし、どうやらこちらを援護してくれるみたいです。」
「なんとありがたきこと…。日頃の行いなのかも知れぬな。」
その後、謎の仮面集団によりA国の負傷者などは保護、手当てをされ、B国の兵力は残るは三機のISのみとなっていた。
「何?あの変な仮面の集団。あんなのにやられたの?」
「まぁいいじゃない。どうせISには勝てないんだからさ。」
「それもそうね。さっさとこいつら片付けて男女平等とか掲げてるゴミ共を始末しよっか。」
明らかに女尊男否に染まっている3人の女は大笑いしていたが。
『その余裕。いつまで持つかな?』
「「「は?」」」
気がつけば何故か自分達が地面に倒れていた。
「な、なに!?」
「何が起こったの!?」
「あれ見て!」
女たちは吹き飛ばされた方を見るとそこには紫のベルトを巻いた、まるでゾンビの様な真っ白の姿をした仮面の戦士が居た。
「な、なにあれ…?」
「全身装甲のIS…?」
「向こうも持ってたの?」
「ふん!どうせただのこけおどしよ!」
女たちは上空に飛び上がり仮面の戦士に銃弾を浴びせる。
「ほらほらほら!」
「さっさと死ねぇぇぇぇぇ!」
だんだんと土煙が舞い上がり仮面の戦士の姿を隠す。そして球切れとなり、土煙が晴れるのを待つと。
『その程度か?』
「う、嘘でしょ…?」
「とっくにSEは尽きてるはず!」
そこには無傷の仮面の戦士が居た。いや、正確に言えば所々装甲に傷があるが紫の粒子により修復されていた。
『これはISではない。ISを越える新たな兵器だ!』
「嘘を言うな!」
「ISは最強なのよ!」
「どうせなんかのトリックを使ったのよ!」
三人の内一人が近接用ブレードを出現させ斬りかかるが。
『無駄だ。』
仮面の戦士はそのブレードを掴みへし折った。
「は…?」
『ふん!』
そしてへし折ったブレードの破片を投げ捨て拳を叩き込む。
「がはっ!」
ISにはSE シールドエネルギーと呼ばれるものが存在しており、使用者を守る絶対防御というものが発動したときに消費され、0になればISは強制解除される。しかし、先ほどの攻撃によりほぼ半分まで減っていた。
『この程度とは笑えるな。』
《ガシャコンスパロー!》
仮面の戦士は独特の形をした弓のような物を出現させ、トリガーを引くとエネルギー状の矢が放たれ他の二人を撃ち落とす。
『冥土の土産に教えてやる。我が名はゲンム!この仮面の集団を束ねる者だ!』
仮面の戦士はそう言い、紫のベルトに付いているAボタンとBボタンを同時に押し、今度はBボタンのみを押す。
《クリティカルデッド!》
すると仮面の戦士 ゲンムの足元から無数の黒い人影が現れ、女たちにまとわりつく。
「この!離れなさい!」
「気持ち悪い!」
「ねぇ…なんかこいつら赤色に光ってない?」
「「え?」」
次の瞬間黒い人影が大爆発を起こし、女たちのISが強制解除された。
「「「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
ゲンムは女たちからISのコアと呼ばれる核を抜き出し、粉々に砕いた。
「な…!」
「ISのコアを!?」
「砕いた…?」
『女尊男卑のやつらは生かしておく価値はない。』
ゲンムがそう言うとどこからともなくトンボや蟹の姿をした異形の化け物が現れる。
「な…なに…こいつら…?」
「化け物!?」
「こ、来ないで! 」
『さぁ。たっぷりと喰え。』
「「「い、いやああああああああ!」」」
異形の化け物たちは女どもの腕を喰らい、目玉を抉り、血肉を貪り、残ったのは見るのも無惨な死体だけとなった。
『久しぶりの新鮮なご飯だったな。腹は膨れたか?』
ゲンムがそう聞くと異形の化け物たちは嬉しそうに頷き、顔を隠した人間の姿に変わった。そして大きめの風呂敷に遺体を包み背負った。
『よし…全員撤収!』
ゲンムがそう叫ぶと仮面の戦士たちはバイクに跨がり次々と姿を消した。そして仮面の戦士たちが去っていく光景を国王はただ眺めていた。
「我々は神の力を目にしたのか…?」
「そうかもしれませんね…。」
これが後に伝えられる《仮面戦士事件》の始まりであった。