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「ええっ! 事件の真相が分かった⁉︎」
穂乃果の言葉に海未とことりが驚く。
「うん! 全部分かったよ‼︎」
穂乃果がいつもの笑顔で2人に言った。
「で、でも、犯人はどうやって八の間に言ったんですか⁉︎ レジ係の安藤さんの言葉によると客室には橋を渡らないと行けなくて、誰も橋を渡って八の間に行ったのを見ていないと言ってましたよ⁉︎」
「それに、水路から八の間に行こうにも、誰も水路を通った人間を見ていないと言ってたんだよ⁉︎ それなのに、誰がどうやって八の間にいた佐川さんを殺害出来たの⁉︎」
穂乃果の「全部分かった」宣言に海未とことりが機関銃のように質問する。
穂乃果は笑顔で2人に言った。
「それも、全部明らかにするから、ちなみに犯人は、佐川さんと一緒に流水亭に来ていたあの2人のどちらかだよ。 まぁ、詳しい推理は警察と犯人の前で話すよ。」
穂乃果は森たちのところに歩いて行った。
「森警部、五の間の客は全員アリバイが確認されました…」
「分かった。」
森たちは全部の部屋の客のアリバイを確認していた。
「あの〜、僕たちはいつまでここに?」
太田が森に帰って良いかを促す。
「そうですね。お二人にはお引き取り頂いても大丈夫で「ちょっと待ってください。」す?」
アリバイが証明された太田たちを帰そうとした森をはっきりした声が止めた。
声がした方をみんなが見ると穂乃果が立っていた。
でも、いつもの穂乃果とは違う凛々しい顔だ。
森はこの顔に見覚えがあった。屋敷の殺人事件の時に推理をしていた時の顔だ。
森は穂乃果に聞いた。
「もしかして事件の謎が解けたのか⁉︎」
すると、穂乃果は笑顔で「はい!」と答えた。
「じ、じゃあ聞かせてくれ!」
森は興奮する気持ちを抑えて言った。
「分かりました。じゃあ、まず犯人がどうやって八の間に行ったか説明します。」
「どうやって行ったんだ⁉︎」
「犯人はやっぱり水路を通って八の間に行ったんです。」
森が聞くと穂乃果は冷静に返した。
しかし、石田は頭をおさえた。
「おいおい、君は目撃証言を聞いてなかったのかい? 水路は船以外通らなかったって、」
石田が言うと穂乃果はニヤっと笑った。
「そう、まさにその通り。犯人は船を使ったんですよ。」
「「「「「船を?」」」」」
森たちだけではなく海未とことりもクエスチョンマークを頭に浮かべた。
「大きな船には小柄の人間なら隠れられる空間があるんですよ。」
穂乃果は説明を始めた。
「まず、犯人は料理を全部、大きい船で運んでくるように前もって頼み、料理を降ろした後、船のはめ板を外して船に乗り込んだ。そして、リモコンを操作し船を部屋から出発させ、途中で、八の間に着く頃合いを見はからい犯人は船のセンサーのスイッチを足でオフにした。八の間に船は止まる。 佐川さんは当然驚いたでしょうね。 でも、警戒はしなかった。 まさか、親しい間柄の人間が自分を殺害しに来たとは思いませんからね。 犯人はそのすきをついて佐川さんをナイフで刺殺したんです。 でも、このままだと、佐川さんは水路の方向を向いたまま死んでいることになり、このトリックがバレてしまう恐れがある、それを防ぐために犯人は佐川さんの死体を廊下の方に向けたんです。」
「「「な、なるほど」」」
その場にいた全員が感心していた。
「で、でも犯人はその後どうやって部屋に戻ったんだ⁉︎」
石田が聞くと穂乃果は答えた。
「簡単な事ですよ。船に再び乗り込みセンサーのスイッチをオンにして船着場に船をつかせる。後は、そのまま待っているだけです。 8じに注文した品とともに、船が部屋に運んでくれますからね。」
穂乃果は一息置いて続けた。
「でも、犯人にとって誤算だったのは、私にあるものを見られた事です。」
穂乃果の言葉に全員が「ある物?」と聞いた。
「喫水線ですよ、8じに大きい船が二の間を通った時、船にはお酒のセットしか乗ってなかったのに喫水線が異常に上にあったんです。その時は疑問にしか思いませんでしたが、それは、犯人が船に潜んでいた証拠です。」
穂乃果が言うと、
「ち、ちょっと待って、今のトリックが出来るのは、部屋で一人きりになった場合のみ、それって!」
ことりがその人物を見た。
それを合図に穂乃果は犯人を指差した。
「そう、犯人は太田さん、あなたです‼︎」
「ええっ!」
「なんだって‼︎」
「お、太田先輩が⁉︎」
全員が驚いた。穂乃果は推理を続ける。
「太田さん、貴方はおそらく「佐川さんに別の部屋で2人きりで話したい秘密の話がある」とでも言って八の間を予約させた。そして、部屋に料理がついて船から料理を降ろした後、杉山さんにタバコを買いに行かせた。それも、わざわざレジにない銘柄を指定してコンビニまでね!」
「ちょっと待ってください‼︎」
穂乃果に太田が反論した。
「犯行時刻に僕は三の間にいたと証言したのは、君じゃないか! 僕の声が聞こえただろ? その後障子も閉まっただろ? そのアリバイのある僕がどうやって佐川君を殺害しに行けるんだよ!」
太田が穂乃果に反論すると穂乃果は涼しい顔で返した。
「確かに、私たちは太田さんの声は聞こえた。でも、姿はみていない。それに
太田さん、貴方はレコーダーを持ってるんじゃないですか?」
太田はグッと言葉に詰まった。
「そ、それなら講義で聞き逃しのないようにいつもカバンに持ち歩いているけど… 声や音はそれでやったとしても障子はどうやって閉めるんですか⁉︎」
太田が聞くと穂乃果は軽く笑った。
「そのトリックも、もう、解けていますよ。 障子を閉めることくらい簡単に出来るんですゴムとピンと割り箸の袋、そして氷を使えばね」
太田の顔が青くなった。
「仕掛けは簡単、まず障子と障子の間にゴムをピンで止めて反対側の障子のところに割り箸の袋を丸めておいて袋の端をピンで止める。次に、ゴムのついた障子を割り箸の袋のところまで引いてピンで止める。後は、料理について来た氷を割り箸の袋の丸めたところに入れるだけ。これで仕掛けは完成。 後は、時間が経てば氷が溶けて濡れた袋は弱くなってちぎれる。割り箸の袋が千切れれば障子はゴムの力で閉まるというわけです。」
「な、なるほど…!」
全員が穂乃果の推理力に唖然としていた。
「太田さんは、三の間に戻るとゴムとピンを回収してデータを消去した。濡れた割り箸の袋も水路に流せば証拠もなくなると言うことですよ。」
「そうだとしても証拠はない! 僕が佐川君を殺害したと言うのなら証拠を見せてみろ‼︎ 証拠を‼︎」
太田が言うと、穂乃果は今度は杉山の方をみた。
「杉山さん、船から料理を降ろした時、フグの白子のタレをこぼしませんでしたか?」
「え? あ、うん。こぼしたよ。船のはめ板の上に。」
ことりも海未も森たちも杉山も太田でさえもキョトンとした顔をした。それを気に留めずに穂乃果は続ける。
「太田さん、貴方は安藤さんの悲鳴を聞いて八の間に駆けつけた時上着を着ながら着ましたよね。慌てて駆けつけた人が普通上着を着ながら来るでしょうか?」
「そ、それは…」
太田は口ごもった。穂乃果は続ける。
「上着を着たのは、はめ板を外して船に乗り込んだ時、下の服にフグの白子のタレがついたからじゃないですか?」
「太田さん、その上着をちょっと脱いでくれますか?」
森が太田に聞く。
太田も言い返す。
「た、確かにタレのシミはついてますよ。でも、これは、コンタクトを落とした時に皿をひっくり返してついたものですよ。」
「本当にそうでしょうか? 料理を船から降ろした時三の間にいなかった佐川さんの指にもフグの白子のタレがついてるんですよ。」
穂乃果はフッと軽く笑った。
「それは、一体いつ付いたんでしょうかね〜」
太田の顔が真っ青になった。
「ま、まさか…!」
「そうですよ‼︎ 佐川さんが貴方に刺された時に咄嗟に握ったんですよ! あなたの服についたフグの白子のタレのシミをね! したがって貴方の服のタレのシミの部分に佐川さんの指紋がしっかりと残っているはずです‼︎」
穂乃果の言葉に太田はその場に四つん這いに崩れ落ちた。
「佐川君は、僕が裏口入学なのを何処かで知ってバラされたくなければ、自分に絶対服従するようにと脅してきたんだ…。 さらに自分に5000万の金を払えと要求してきて、僕の我慢は限界を超えたんだ…!」
太田の手に手錠が掛けられた。
太田はうなだれたまま呟いた。
「あのフグの白子は予定外の注文だった。 あれさえ頼まなければ完璧だったのに…」
太田はそのまま警察に連行されていった。
「ふう…」
事件が解決し緊張がとけたのか穂乃果の顔がいつもの顔に戻った。
穂乃果は森たちの方を見て「事件が解決して良かったです‼︎」と眩しい満面の笑顔を向けた。
森のみならず捜査に来ていた警察全員が穂乃果に事件解決のお礼を言った。
石田もその中にいた。
はじめは穂乃果たちの推理力を信じていなかったがこの事件を通して信じるしかないからだ。
「大した女子高生だな。」
石田で誰にも聞こえない小さな声でそう呟いた。
そして、石田もこの後、穂乃果たちとともにさまざまな事件に巻き込まれていく、だけどその話はまた今度にしましょう。
ー次回予告ー
希の誘いで町の外れにある『暗闇寺』と言う古い寺で肝試しをすることになった、穂乃果、凛、真姫、花陽、絵里、希の6人、しかし、この寺には本物の幽霊が出るという噂があると希が言う。いつにも増して真剣な希の言葉を確かめるべく暗闇寺で肝試しをする6人、しかし、そこで幽霊の仕業としか思えないことが起こる… 果たして、幽霊は本当にいるのか? それとも何かの裏があるのか? 6人がこの暗闇寺の謎に挑む‼︎
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