名探偵ミューズ   作:sunlight

3 / 13
前回の予告通り、今回は流水亭で起きた事件です。


流水亭殺人事件 事件編

ある日曜日の昼、穂乃果が、いつものように自室でゲームをしていると、

「穂乃果ー、海未ちゃんから電話よー」

穂乃果のお母さんが穂乃果を呼ぶ声が聞こえた。

(海未ちゃんから? どうしたんだろう?)

急いで、お母さんのところにいき、お母さんから受話器を受け取った。

「もしもし、どうしたの海未ちゃん?」

「あ、穂乃果ですか?」

すぐに返事が返って来た。

「なんか事件?」

穂乃果が聞くと。

「違いますよ。今日は穂乃果を食事に誘おうと思いましてね。」

海未がいった。

「食事?」

穂乃果が聞くと海未が答えた。

「ほら、町に新しく出来た、流水亭っていう料亭があるじゃないですか。今夜、そこに私の家族と親戚とで行く予定だったのですが、急に親戚が来れなくなりまして、せっかくですから、穂乃果もご一緒にどうかと思いまして。」

海未が言うと穂乃果は

「でも、私が行っていいの?」

と聞くと海未は

「はい、親戚の分の予約がしてありますから、2人分ありますから、ことりも、さっき電話して誘いました。ことりも行くと行っていました。」

と言った。

「分かった。それじゃあお言葉に甘えてご一緒させてもらうよ!」

穂乃果が言うと海未は

「分かりました! それじゃあ、6時に私の家の前に集合です。」

と嬉しそうに言った。

 

 

 

 

ー6時ー

「はぁ、はぁ、ま、間に合った。」

穂乃果が息をきらしながら海未の家に走って来た。そこには、穂乃果以外の人がみんなが待っていた。

「遅いですよ‼︎ 穂乃果!」

「まあまあ、海未ちゃん落ちついて」

いつものように遅れて来た穂乃果を海未がしかり、ことりが宥めるというお馴染みの光景だ。

海未の両親は穂乃果たち3人のやりとりをみて、微笑ましそうに笑った。

そして、予定より少しだけ遅れたが海未の家の車が流水亭へ向けて出発した。

 

 

ー流水亭ー

流水亭に着くと、たくさんの人が並んでいた。穂乃果とことりの2人は、

「えっ! こんなに並んでいるの?」

「すごい人気なんだね…」

穂乃果は驚き、ことりは唖然としていた。

海未の父親が2人に言う。

「大丈夫だよ。予約してあるから、予約の時間が来ればちゃんと料理が食べられるよ。」

2人は、それを聞いたとき、「よかった…」と安堵した。

「あの、ここってどうしてこんなに人気なんですか?」

落ち着いた穂乃果が海未の母親に聞くと、

「それわね、いや、私が説明するより、実際に人気の理由をみた方が早いわ

ね。その橋の下を見てみて」

海未の母親は料理を食べる部屋と玄関の水路にかかっている橋の下を指差した。穂乃果とことりは、すぐに橋まで行き橋の下を覗き込む。

そのとき、水路の一番奥の障子があき、小さな船の上にお酒が乗せられる。

「よし! いいぞ!」

お酒を乗せた定員の威勢の良い声を合図に、定員が、リモコンのスイッチを押した。船は、穂乃果たちの橋の下を通って客室の方に進んで行った。

「へー、船が、料理を運んで行くんだー。人気になるはずだね。」

穂乃果が言うと、「気にいった?」

とレジ係の女の人が穂乃果に聞いた。

「あれより、大きな船もあるのよ。」

レジ係の女の人が言うと、

「部屋に行った船はどうなるんですか?」

穂乃果が聞くと、

「お客様が部屋で料理をおろして部屋に置いてあるリモコンを操作すれば、自動的に流水亭を一周して船着場に着くようなシステムになっているのよ。」

レジ係の女の人が丁寧に説明する。

「他にも、船は「すいません。予約をした者ですが。」は、はい! ごめんねまたこの話は今度ね。」

レジ係の女の人は、大学生くらいの2人の客のところに向かった。

「八の間を予約なされた、佐川様ですね。」

レジ係の女の人が言うと

「え? おい、佐川お前、」

「フン、俺じゃねえよ」

背の高い小太りの男が隣の、佐川という男に聞くと、佐川は予約したのは自分じゃないと言う。そのとき

「おー、杉山、佐川遅かったじゃないか。」

と2人と同い年くらいの小柄の男が客室の方から手を振りながらやって来た。

「すいません、太田先輩、佐川の奴が遅れてしまって。」

杉山が謝るが、隣で佐川が不貞腐れたように言った。

「フン、こんなところでお祝いして貰わなくても良かったのによ。」

そんな佐川の態度に杉山が怒る。

「おい! 今日はお前の誕生日を祝おう、と言って来れたのは太田先輩の方からなんだぞ!」

「うるせえな、他の客に迷惑がかかるのがわかんねーのかよ。バカ」

佐川は杉山にそう言うと杉山を押しのけ、「君、この店で1番高いものは何だ?」と定員に聞いた。

「はい、フグの白子ですけど…」

「じゃあ、それを3人前もらおう、いいですよね、先輩? なんてったって俺のお祝いなんだから。」

太田に言うと、

「あ、ああ、もちろんいいとも、今日は佐川君のお祝いだからね。」

太田は、定員にフグの白子の追加注文をすると客室に入っていった。

「何だろうね、あの、佐川って人、嫌な人だね〜」

ことりが呟いた。

 

 

 

それからしばらくして予約した時間になり、穂乃果たちは、二の間の客室に入った。

穂乃果たちの隣の部屋からさっきの3人の声が聞こえた、

(あの人たちとなりの三の間なんだ)と穂乃果は思った。

 

しばらくして料理が大きな船に乗ってやって来た。

「うわー、すごい料理だ!」

穂乃果が思わずはしゃぐと

「穂乃果、行儀が悪いですよ。」

と言いながら海未が嗜める。

しかし、船は穂乃果たちの部屋には止まらず隣の部屋で止まった。

「なーんだ、私たちのじゃなかったのか、」

穂乃果ががっかりすると、

 

『太田先輩、すごい料理ですね〜』

『お祝いだからなぁ』

『にしても、佐川の奴、さっき部屋に出ていったきり帰ってきませんね。』

『トイレにでも行ってるんだよ。すぐに、帰ってくるさ。』

 

隣の部屋の会話が聞こえたので、余計にお腹が空いたように感じた。

 

 

しばらくして、穂乃果たちの部屋にも、料理が届いた。

「この、刺身すごく美味しい!」

「この吸物もすごく美味しいよ!」

人気がある通り料理もすごく美味しく穂乃果たちが満足していると、

『あ、あれ? コンタクトが! コンタクトレンズはどこにいった?』

隣の部屋から太田の声が聞こえて来た。

ガチャン‼︎

『あっ! しまった! やってしまった〜 』

何事か? と思い、水路から隣の部屋を見ると、障子がピシャッと閉まった。

『あった、あった。良かった〜』

「あまり、落ち着きのない人ですね…」

海未が呟いた。

 

 

 

ことりたちが残りの料理を食べていると、

「美味しそうだなあ」

余程、お腹が空いていたのか、穂乃果が、料理を食べ終わっていた。

「海未ちゃん今、何時?」

退屈に耐えかねたのか穂乃果が海未に時間を訪ねた。

「8時ですよ。」

「もう8時か〜」

穂乃果が、そう言った時、ウイスキーのセットが乗った大きな船が二の間の前を通り過ぎて行った。

(喫水線がすごく上にあったなあ、此処の大きな船はみんなああなのかな?)

穂乃果がそんなことを考えているとき…

 

 

「きゃあああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

「っ‼︎」

突然悲鳴が聞こえてみんなが驚く。

「な、何だ?」

「何かあったのかしら?」

海未の両親がそう言っていると、

「行くよ! 海未ちゃん! ことりちゃん!」

穂乃果の声を合図に、3人が飛び出して行った。

部屋を出ると、八の間の客室の前でレジ係のお姉さんが腰を抜かしているのが見えた。

急いで穂乃果たちもそこにむかう。

「どうしたの⁉︎」

「お、お客さんが!!」

そう言って、部屋の中を指差した。

穂乃果たちが部屋をみて見ると、

「うわっ!」

「こ、これは…」

そこには、胸をナイフで刺され廊下の方に足を向けたまま、テーブルの上に倒れ込んで死んでいる。佐川の死体があったのだ!

「さ、佐川君!」

太田が上着を着ながら八の間に走って来た。

海未が佐川の手首に触り脈をはかる。

「し、死んでます…」

海未が言うと、

「これは殺人事件です。早く警察に連絡を! それと、誰もこの店から出さないで下さい!」

穂乃果がレジ係のお姉さんに言った。

「は、はい!」

本来なら、女子高生の指示など聞かないものだが、そんなことをいっている場合ではない。

 

その時、ことりと海未は、部屋と死体を調べていた。

「本当に佐川さんがこの角度で倒れたとすると、下座にいた佐川さんは正面から胸をナイフで刺されてテーブルの上に倒れたと言うことになるけど…」

海未は水路を調べていた。

「入り口以外から犯人が入ったとなるとこの水路しかないですが、もし、犯人が、水路から侵入したのなら部屋の中は水浸しのはず…」

「「うーん」」

海未とことりが首をかしげて考える。

「何かわかった?」

穂乃果が指示を出し終えて2人に聞くと、

「「いや、全然」」 と2人は答える。

3人が八の間から出ると、流水亭の入り口から、杉山が入って来ていた。

(あれ、あの人どこにいってたんだろう。)

穂乃果が杉山を怪しむ。

杉山は、太田のところに行き、

「太田先輩何かあったんですか?」

「さ、佐川君が八の間で亡くなっているんだ!」

「ええっ!?」

 

「……」

穂乃果、海未、ことりの3人は2人をじっと見ていた。

 

 

 

しばらくして警察が到着して、捜査が始まった。

「死亡したのは、佐川博道さん、21歳、西欧大学3年生です。死因はナイフで刺されたことによる失血死です。死亡推定時刻は、大体、7時半から8時の間だそうです。 そして、こちらが、被害者の佐川さんと一緒に来ていた。太田雄二さんと杉山猛さんです。」

1人の刑事が警部に説明する。

「今日は、佐川君の誕生日を祝うために此処に来たんです。てっきりトイレへ行ったと思っていたのに、こんなことになるなんて…」

太田が言うと、

「森警部、第一発見者の方がこちらに…」

森が第一発見者のところに話を聞きに行こうとした時、森は、事件の起きた八の間にオレンジ色のサイドテールをした少女が入って行くのを見た。

注意しに行こうとしたが、森はその髪の色と髪型に見覚えがあった。もしや、と思い八の間に行くと、そこには、この間屋敷の主人が殺害された事件を解決してくれた少女がいた。

森はその少女に問いかけた。

「もしかして、君は高坂穂乃果さんかい?」と、

少女は、不思議そうに首をかしげて言った。

「はい、私は高坂穂乃果ですけど…」

すると、森の顔が喜びに満ちた顔になった。実は、あの事件の後、森は彼女についていろいろ調べていたのだ、警察も手を焼く事件をいくつも彼女と彼女の仲間が解決していると知った時は驚いた。

森は穂乃果に言った。

「お願いします。この事件を解決するのに協力してくれませんか⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ご指摘、感想お待ちしております。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。