英雄絶唱シンフォギア   作:猿仮面

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原作での時間軸:ビッキーとズババンの橋の上の決闘(一方的)があった日の翌日


一番のクソゲーって知ってる?『人生』だよ

「ねぇ聞いた?逆月君また隣町の暴走族潰したんだって」ヒソヒソ

 

「聞いた聞いた、しかもその理由が『コンビニ行くのに邪魔だから』でしょ?相変わらずとんでもないよねぇ」ヒソヒソ

 

「だけど先生も逆月には手出しできねぇよ、アイツ入学式の初日に先生一人再起不能にしてんだから、あんなの誰も止められねぇよ、最早災害だ災害」ヒソヒソ

 

(どいつもこいつも好き勝手言ってらぁ………まぁ事実だし否定する理由もねぇからな、好きに言わせとくか)ファ~

 

高校生活―――それは若者にとって青春の最前線であり、本来ならば誰しもが恋に部活にとあらゆる物に燃え上がるものだが、この男――逆月彰――だけは例外でそこまで熱くなる理由も無ければ楽しむつもりもない、要するに只『学歴の為』だけに通っているに過ぎず、誰かと交流を深めるつもりもないので、こうして毎日怠惰に学生時代を消化しているのだ

 

「………………にしても暇だなぁ、また『あのライブ』みたいな事件起こらねぇかなぁ………そうすれば楽しめそうなのによぉ……………」

 

今から二年前の事件、当時の彰はその当事者では無かったがネットやマスコミにバッシングを受け迫害されていた生存者の事を思うとある種の罪悪感を――――もつのが普通なのだが、この男逆にそれを肴に毎日ジュースを飲んで糞憎たらしい笑顔で毎日テレビにこう言っていた

 

 

 

―――命からがら逃げ切ったのに今度は周りから苛められて、悔しいでしょうねぇ辛いでしょうねぇ…………いやぁホントマジで他人の不幸で飯が旨い‼―――

 

 

 

只のゲスである。

 

「にしても暇だなぁ…………何時になったら授業始まんだよ、もうだいぶ時間過ぎてんぞ」

 

現在時刻十時二十五分、普段なら授業中どころか既に半分近くのロスになるのだが、先程緊急会議が召集されたため科目の担当がまだ来ていないので大半の生徒は各々和気藹々と時間を潰していた、まぁそんな事を言いながらもこの男も昨日買った小説を読んでいる辺り、他とさして変わらないのだが

 

〈ピーンポーンパーンポーン

 

『全校生徒に御知らせします、只今近隣でノイズ発生の警報が発令されました、直ちにシェルターに避難してください、繰り返します――』

 

「嘘ノイズ⁉」「ヤベェって急いで行こうぜ‼」「バカッ荷物は置いてけって!どうせすぐ戻ってくんだから‼」ガヤガヤバタハダ

 

「ふ~ん、ノイズねぇ…………アイツらも暇なもんだよな…………これで二日続けてか」パタン

 

周りの生徒は慌ただしく教室から出ていくが、その喧騒を嫌ってか敢えて直ぐには出ていかずに少し待つ逆月、だがこの判断はある意味正しく、そして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――悲劇の始まりでもあった―――――

 

 

 

 

「キャアァァァァァァァァァ‼‼」「ノイズだぁぁぁぁぁぁぁぁ‼‼」

「嘘だろ⁉何で校舎の中に出てくんだよ⁉」「バカッ⁉早く戻れ‼別の階段から逃げるんだ‼」「無茶言うな⁉この人数だぞ⁉引き返せねぇよ‼」

 

「あぁららぁ…………こいつぁ面白いことになってきましたねぇ、まさかピンポイントに此処を襲うとは……中々悪知恵の働くノイズだこと」←廊下の惨劇を教室から眺めてます

 

校舎内でのノイズの出現、それも避難開始直後の事だったからか、廊下に出ていた生徒は正にパニック状態、その様は正にあのツヴァイウィングのライブ会場での悲劇を彷彿とさせる光景であり、廊下に出れなかった生徒もその悲鳴に恐慌状態に陥り、最早阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた

 

そんな中で逆月は

 

「まぁ当たり前に窓から飛び降りるよねぇ、だって此処二階だし」ガラ

 

一人先に離脱を図っていた、しかも性質が悪いのは他の生徒が恐怖で思考が狭まっている絶妙なタイミングで逃げ出そうとしているのだから、尚のこと悪いというか最早確信犯である。

 

「とりあえず皆の衆、無事に逃げ延びたまえよ?健闘を祈る………じゃあな~♪」バッ‼

 

「あッ‼逆月の奴窓から逃げやがった‼」「そうか窓から飛び降りれば逃げられる‼」「バカ言え‼あんなの筋肉お化けの逆月以外に成功させられるか⁉無理だろ‼だって高さ大体八㍍だぞ⁉」

「ヤベェぞ‼先頭の大半ヤられた‼もうすぐそこまで来てる‼」「オイどうすんだよコレ⁉」ギャーギャー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁて、学校から凡そ十㎞位は離れたかな?此処まで来ればもう大丈夫だろ」

 

あれから約五分後、右腕の力の影響かは分からないが運動能力が以前よりも格段に上昇しているお陰でこれほどの距離も簡単に走破出来るようになったのは素直に感謝したいところだろう、まぁしかし仲もあまり良い方では無かったがそれでも容易く見捨てる辺り、やはりこの男性根から腐っている。

 

「まぁあれじゃあ無期限休校間違いし、今のうちに好き放題やりたい放題しますかねぇ………主にノイズ相手で」ニヤリ

 

そんな事を呟いている彼の顔は、形容しがたいほどにゲス野郎の笑みを浮かべていた、本当にマジでこの男天罰でも下れば良いのに、これからも好き勝手暴れるのだろう

 

――――失うものが無い人間程、何を仕出かすか分からないのが本当に性質が悪い


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