自宅警備員で時給5000円の職場があるらしい。   作:秋ピザ

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最近サブタイのネタが切れてきた感が否めない。そしてやっぱり書き直したい点が多すぎる気がしてくる………
しかしまぁ、最近になって以前書いた奴の使わなかったボツ設定で書いてみたいと思う俺も居る……
もはや本当に書き直すのがいつになるのかすら分からなくなってきた気がします。


引きこもり、通報される

 仕方ない、プランBだ。

 頼みの綱であった夏目さんが恐らくは何も知らないということが分かってしまった現在、俺にできる選択肢は非常に限られている。

 本来なら、このまま俺を生贄(リリース)してハッピーエンドをアドバンス召喚していた筈なんだが………まぁこうなれば仕方ないし、勢いで思いついたプランBを決行しよう。

 プランB、それは悪魔の作戦。

 現在の何故か夏目さんの好感度がバグって上昇していることを逆手に取った作戦だ。

 この作戦の良いところは非常にフリースタイルな部分にある。

 結果として母さんが救出出来るなら、もはや手段は問わない。そんなコンセプトであるため………つまりは普段やらないような外道な行いだって正当化するという事だ。

 母さんを助けられるなら、俺はなんだってしよう、それこそ本当に頼りたくない妹の力だって借りてやるよ。

 ………とはいえ、それでも妹にだけはどうしても頼りたくはないので身近なところに居る心強い味方候補を味方にしてしまおう。

 やることはさっきと変わらないがな。

 

 迷いなくこんな行為をするのはどうかと思うが、まぁそもそも外道かつモラルのない手を使ってきたのは無効が先という事だから気にしないことにしよう。

 

「………夏目さん、頼みがある」

 

 俺はようやく訪れたチャンスをものに出来ずにorz状態になっていた夏目さんに声をかける。

 正直なところ、本質的にはいい人というか常識人かつまともな人間である夏目さんを利用するのは心が痛む。

 だが、夏目さんを除くと助けを求めて今すぐに力を借りられる相手が本格的に妹くらいしかいなくなってきているんだ、そんな些細なことに頓着はしていられない。

 無論、夏目さんがこの頼みを聞いてくれない可能性もあるし、もし協力してくれた場合でも俺自身は無事じゃない可能性が高い。

 しかし、それでも今は夏目さんに頼るしかない。

 半ば部の悪い賭けでもしているような気分で、俺は夏目さんに頼みごとの内容を語る。

 

「母さんを見付けて救出する手伝いを……」

 

「やります!」

 

 ………割とあっさり引き受けたな。あっさりと引き受けすぎて逆に怖いぞ。

 救出成功したら本当に無事じゃ済まなそうだ。

 その分頼もしくもあるんだが。

 

「次郎さんのお母様を探せば良いんですよね?でしたらウチ(七原財閥)が保有する監視網でその足跡を辿りましょう。あとはおじいちゃんにお願いして犯人を捕まえさせます」

 

「まるで打ち切りの漫画みたいなレベルで一気に解決に近付いたな………これが高速化ってやつか」

 

「その間私と次郎さんは二人きりでイチャイチャしていましょう!」

 

「…………」

 

 そう言って、夏目さんは懐から取り出した無線機でどこかと連絡を取り始めた。

 ………ほら、夏目さんを仲間に加えただけで事態が一気に解決へ近付いたぞ。

 同時に俺のバッドエンドにも近付いたが、それでもこの前進は大きい。さっきなんて夏目さんが前進を文字通り全身で邪魔してきたのに、今じゃ邪魔がなくなってテ助けにもなっている。

 流石は身を切る戦法。リスクがある分、ちゃんと効果が大きいな。

 これで効果が薄かったりしたらマジでキレてたけど………何にという訳でもなく、この世の理不尽及び周辺環境に対して。

 まぁそれはともかくとして、今はこのあとの動きについて考えておいた方がいいだろう。

 母さんを助け出せるのはほとんど確定したから、あとは俺がどうするか、だ。

 俺自身を生け贄にしたからこそ今の状況………かなりの前進があるとはいえ、このあとの行動如何では俺の待遇が若干、いやかなり変わることだって考えられる。

 だからどう動くかが重要になってくるのだが、どうにもこうにもいい案が思いつかない。

 夏目さんの要求する通りにするべきなのか、それとも出来るだけ現在くらいの距離感を持ち続けるべきなのか。

 

 ………今決められることでもないか。

 そう結論付けて俺は思考を中断し、なんとなく連絡している最中の夏目さんの方を見てみた。

 さっきまでとは打って変わって真面目な表情だ。

 夏目さんといえど、やるときはきちんとやるということだろう。

 肝心な時に限って失敗するタイプの俺とは大違いだ。

 しかしまぁ、こうして改めて見てみるとやはり夏目さんは残念極まりない言動さえなければ十分に、いや十二分に魅力的な女性だというのがよく分かる。

 スレンダーで、美人と美少女の間でどちらかというと美人寄りな顔、金持ちで一途。ここまでたくさん長所があるのに………その全てがあの残念な言動で打ち消されるんだよなぁ………

 いかに美人でドキッとさせられても、いやに変態的な言動のせいで台無しになる。

 あそこまで『黙ってさえいれば完璧』と言う言葉が似合う女性はほかに居ないだろう。

 

「だよなー、やっぱアイツが何度も失恋してるのって、明らかに言動のせいだよなー」

 

「たしかに言動以外は非の打ちどころがないもんなぁ………」

 

「そうそう、見た目もよくて身長もあって富も地位もあるのに言動が明後日の方向だから避けられる。ありゃあ将来悪い男に引っかかるな」

 

「すでにこれ以上ないくらい酷い男に引っかかってるけどな」

 

「それもそうか。お前中身クソだし。見た目も平凡だし」

 

「せめて何か一つくらいは褒めろよ………ってお前は誰だ」

 

 夏目さんが真面目な表情をしているのを見て、やはりあの言動さえなければ魅力的だよなぁ………と思っていると、不意に俺の右隣に小さな人影が存在していることに気付いた。

 気付かぬうちに会話していたが、いつからいたんだろうか。というか何者なんだろうか。

 

「いやぁ、こう見えて私は忍検一級持ちだからなー。気付かれずに近付くのくらいお手の物ってやつなのさ」

 

「………あぁ、あの時の口が悪いロリね」

 

 どうやら最近のロリっ子は忍者検定一級なんてマニアックな資格を持っているらしい。

 俺も一応持ってるからコイツの事は言えんのだがね。

 しかし今時属性もすげーもんが多いよな。ただロリってだけじゃなくて実年齢が20以上でもロリという矛盾。そこに需要があるんだから。

 なお俺の需要は【属性:母さん】一択である。他の選択肢は少ない。

 

「お前さー、せめてこんなにも可愛いロリっ子の名前くらい覚えようぜー?」

 

「残念だが自分から可愛いって言う奴は嫌いなんだよ。残念ながらね」

 

「………お前、めんどくせーな」

 

 よく言われたよ。10年くらい前は毎日のように。

 俺はそう答えつつ、突如として現れた幼女………小春が一体どんな目的で現れたのかを考えていた。

 引きこもりの性質として、面倒くさいことが嫌いというものがある。

 そもそも引きこもりは面倒くさいこと………それこそ単純に受け入れたくない現実とか嫌な人間から逃げるために引きこもってんだから当然だが、とにかく面倒なことが嫌いだ。

 特に大して理由もなく外出することはその中でも上位に入る。

 俺だって母さんに頼まれなければ絶対に家から出ない方が普通だと言えば理解できるだろう。

 だからコイツがここに来たのは何か理由があるはずだ。

 それを見抜いておかないと何か面倒なことになる気が………

 

「まぁそんなめんどくせーお前に朗報だ。実はさっき警察を呼んで、マスコミもおまけに呼んでみた」

 

「………言っておくが証拠は出ないぞ」

 

「いやー、今なら夏目に警察及びマスコミの前で捨てないでぇ!とか言わせてお前を畜生以下の外道だという情報を全国区で流せるんだよなー」

 

「お前、俺以上の外道だな」

 

「よく言われるよ。実の妹に」

 

 ………なるほど、どうやら俺を本気で社会的に殺すのが目的らしい。

 この鬼畜ロリ、中々に酷いことをしやがる。

 返しの手は………ないわけじゃないな、うん。

 とりあえず最終的に困ったら状況を問答無用でひっくり返せるから大丈夫だろう。無論過信し過ぎるのもよくないしそもそも頼りたくはないが。

 つーかそれだけ伝えるためにここまで来たのかよこいつ………性格悪すぎだろ。

 

 そう思って小春への好感度を(最初からかなり低いが)さらに一段階下げると、ちょうど通話が終わったのか、夏目さんが無線機を懐にしまっているのが確認できた。

 そして、それを確認すると小春はさっきまでとまったく変わらない口調でこう言った。

 

「まぁ、冗談はこれくらいにして本題に入ろうと思うんだわ。ちょうど夏目も戻ってきたしな」

 

 ………いや、さっきの奴が冗談なのかよ。冗談で済ませていいのかよ。

 なんか遠くからサイレンが聞こえた気がする。




通報(ただし捕まるとは言ってない)された次郎くん、ここからは時間との戦いにもなり………ません。
むしろさらにのんびりと進んでいくことになります。
書き直したあとの細かい設定を煮詰め切れていませんからね!


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