爆発!爆裂!ゼロの紅魔族!!   作:もんえな

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#05 怒りと悲しみの

 

 

 

「そんなに怒鳴らなくてもいいじゃないですか」

 

 響き渡ったルイズの怒声に、めぐみんは耳を塞いでいた。

 大してルイズは怒りを露にしながら叱りつけるように言い放つ。

 

「なんであんな申し出受けちゃったのよ! 大変なことよ! 貴族と決闘だなんて!」

 

「なんでと言われても。自分が悪くないのに謝る必要はないと感じました」

 

「い、いやそうだけど……でも謝ってきなさい!」

 

 食堂の出入り口を指差しながらルイズは言い聞かせるように声を張り上げる。

 めぐみんとギーシュに決闘なんかさせる訳にはいかないと、ルイズの頭の中では警報が鳴り響いていた。当然である。ギーシュはあんな奴ではあるが曲がりなりにも貴族でありメイジ。戦う為の魔法も行使できる。

 ギーシュのことではあるため、いくら決闘となろうが女性相手を叩きのめす、なんてことはないと思うが……それでもめぐみんが心配なことに変わりはない。

 しかし当のめぐみんはと言うと、ルイズの言葉を受けてもキッパリと首を振った。

 

「それは例えルイズの頼みでも受けられません。ルイズと同じように、私にだってありますからね。譲りたくても譲れないプライドが」

 

 そう言ってめぐみんは不敵に笑いつつ、こちらに背を向けた。

 その際に、思い出したようにして首だけ振り返ってくる。

 

「あ、ルイズ。部屋から私の杖を取ってきてください」

 

「はぁ!? あ、あんたまさか!」

 

 まさかの要望にルイズは驚愕する。

 杖を取ってこい―――それ即ち、昨晩見せてくれた『爆裂魔法』とやらを使う気なのだろうかと、ルイズの焦りはさらに高まった。

 てっきりめぐみんはあれを使わずに決闘に赴くものだとばかり考えていたため、めぐみんがギーシュにボコボコにやられるかもしれないといった悪い想像を駆り立てていたが。

 あの爆破範囲と圧倒的な破壊力だ。心配の種が正反対の方向でさらに増えた。

 あんなものをギーシュに放とうものなら、ヴェストリの広場や野次馬ごとギーシュを粉々に消し飛ばしてしまう。

 

「だ、駄目よ! 余計に駄目! ギーシュが死んじゃうわ!」

 

「では、私が死んでしまいますよ? っていうと大げさですけど」

 

「そ、それは……! だから謝っちゃいなさいって言ってるのよ!」

 

 この場を可能な限り穏便に済ませる方法は、やはりそれしかないとルイズは訴えかける。

 だがめぐみんにはどうしてもその気はないようであった。

 彼女の手が動き、ポンッとルイズの肩に置かれる。まるで安心させるように、めぐみんは小さく微笑んだ。

 

「心配せずともどうにか上手くやってみますよ。ルイズ、自分の使い魔を信じてやってください」

 

「どうにかって、あんた……、」

 

 どうする気なのよ。そう続けようとしたが、めぐみんはさっと踵を返して近くの男子生徒のもとへと歩み寄っていってしまった。おそらくはヴェストリの広場の場所が分からないからだろう。案内されるようにして、その男子とめぐみんの姿が遠ざかっていく。

 やがてめぐみんの姿は扉の向こうへと消え、ガヤガヤとした騒がしい雰囲気の中、ポツンと残されるルイズだった。

 

(ああもう! どうすればいいのよ~っ!!)

 

 頭を抱え込みながら必死に悩む。

 杖を取ってくるべきかどうか。

 仮に取ってきてめぐみんに渡したところで、一体どんな結果になってしまうのか。

 まるでめぐみんとギーシュの命を天秤に掛けられているような気分である。まあ、ハッキリ言ってめぐみんの方が大事なのだが。

 とはいえ、もし人死にが出てしまったら大問題だ。おそらくめぐみんはそれをしっかり考えた上で、『どうにかする』と言い切ったのだろうが、心配の種が拭えるわけがない。

 

「あのバカ~~~~~ッ!!」

 

 ルイズの許容範囲では抱え切れない問題に、ついめぐみんの顔を思い出しながら絶叫する。

 使い魔契約を行ってからしばらく。初めてルイズがめぐみんに対し、主人としての大きな怒りを露わにした瞬間だった。

 

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

 ジャン・コルベールがトリステイン魔法学院の教員に就いてから約二十年近い歳月が経つ。

 彼の二つ名は『炎蛇』。『火』系統の魔法を得意とするメイジだ。

 担当する授業も『火』系統を主にした内容だが、それ以外にも座学やいくつかの授業を受け持っている。その中の一つに、今年は『春の使い魔召喚』も含まれている。

 

 先日行われた新二年生となる生徒達の召喚儀式。

 その中でもヴァリエール公爵家の娘、ミス・ヴァリエールが召喚した使い魔は異色を放っていた。これまで多くの使い魔召喚を見てきたコルベールではあるが、平民の女の子が飛び出てくるのは初めて見る光景であった。

 

 とはいえ、問題はそこではない。

 今朝方、担当の教師として初めて彼女の左手に刻まれた使い魔のルーンを確認したところ、見覚えのない奇妙な形態が描かれていた。

 コルベールは知的好奇心が非常に旺盛な人物だと自覚を持っている。

 だからこそ、そのルーンを見た際に彼は一目散に学院の図書館へと向かうと、記憶を頼りにスケッチを作成。過去の様々な文献からルーンの調査を開始した。

 

 無我夢中となって調べながら数時間。

 ようやく見つけた該当する使い魔のルーン。その詳細を目にして、彼の中に衝撃が走り抜けた。学院に勤めて二十年、これほどまでに衝撃的な出来事は他に類を見なかった。

 文献を手に彼は大急ぎで図書館を抜け出していた。その向かう先は―――学院長室。

 

 そうして。

 部屋の前に辿り着いたコルベールは興奮冷め止まぬ中、ほとんどノックもせずに学院長室へと足を踏み入れた。

 

「オールドオスマン!!」

 

 荒い息遣いのまま彼は叫ぶ。

 しかし部屋の中の光景を見て、思わず目を丸くした。

 

 トリステイン魔法学院の学院長である、白くなった長い髭と髪のご老人オールド・オスマン。

 その秘書であるライトグリーンの髪をしたミス・ロングビルに、オスマンは足をギリギリと踏み付けられていた。

 

「オールド・オスマン。今度やったら王室に報告しますよ」

 

「王室が怖くて魔法学院の学院長が務まるかぁ!」

 

 カァッ!! と見開いた目で高らかに叫ぶオスマンとピクピクと引きつった笑顔で尚も踏み付けるロングビル。

 しかしどうやら痛いものは痛いらしく、『あっやっぱり痛いので足離してくださいもうしません約束です』と弱気になって懇願する。

 ロングビルが足を離したところで、ようやくオスマンはコルベールの存在に気付いたようだった。

 

「む? お主はミスタ……なんだったかな?」

 

「こ、コルベールです! ……えっと、何をしてらしたのです?」

 

「いやなに。我が使い魔モートソグニルに頼み、ミス・ロングビルのスカートの中が何色であったか、」

 

「オールド・オスマン?」

 

 何か言いかけたところで、隣の秘書から低い声でお止めが掛かる。慌てて口を噤むオスマン。

 彼は一度咳払いをしつつ、改めてコルベールへと向かい合った。

 

「それで、ミスタ・コルベール。随分と息が荒いようじゃがどうかしたのかね?」

 

 呆然としていたコルベールも、オスマンの問いかけにハッと我に返る。漫才みたいな光景を前に元の用件を忘れるところであった。

 

「そ、そうです! 大変なんです! これを見てください!」

 

 彼は図書館から持ち出してきた一冊の文献をオスマンへと手渡した。

 オスマンは不思議そうに眉をひそめる。

 

「これは……『始祖ブリミルの使い魔達』ではないか。まったく、こんな埃臭い本を漁ってきおって。して、これがどう大変だと言うのかね?」

 

 言われてコルベールは、オスマンの目の前でページを捲ってみせると、しおりを挟んでいた問題となるページで手を止めた。

 同時に、自身がスケッチした紙切れを続けて手渡す。

 

「こちらを。先日の使い魔召喚で、とある生徒に呼び出された使い魔のルーンです」

 

 オスマンは興味なさげにその両方を見比べるが―――次の瞬間、ピタリと動きが止まった。

 気の抜けていた瞳には突如として強い光が宿り、厳しい面持ちで文献とスケッチに目を通す。

 

「……ミス・ロングビル。悪いが少し外してもらんか」

 

 ロングビルは髪を揺らして立ち上がると、その場で一礼して部屋の外へ。

 顔を上げたオスマンの表情には、雑念が消えた真剣な感情が宿っていた。

 

「詳しく説明してもらえるかの、ミスタ・コルベール」

 

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

 ヴェストリの広場は、学院の敷地内でも西側に位置する大きな中庭だった。

 本来であれば心地いい風だけが吹き抜ける静かなその広場も、今では噂を聞きつけた多くの生徒で賑わっていた。

 

「諸君! 決闘だ!」

 

 野次馬で形成された半径10メートルほどの円の中心で、変わらずキザったらしい動きを続けるギーシュが高らかに宣言する。

 薔薇の杖を高く掲げると同時、周囲から歓声が巻き起こった。

 

「ギーシュが決闘するぞ! 相手はルイズの使い魔だ!」

 

「平民の女の子相手だ! あいつ本気でやるのか!?」

 

 歓声に対し満足気に頷くギーシュは、距離を置いて正面に佇むめぐみんへと杖の先端を突き付けた。

 

「とりあえず、逃げずに来たことは褒めてやろう」

 

 余裕の態度に加え、ギーシュに傾きがちな観衆の空気。

 何とも気に食わない状況だと、めぐみんの目つきが僅かに鋭くなる。

 

「あなたこそ、私の挑発にまんまと乗って決闘を申し付けてくるなんて……随分と子供っぽいんですね、貴族というのは」

 

「相変わらず口が減らない平民だね……!」

 

 ギーシュの顔には変わらず笑みが浮かぶが、口角はピクピクと引きつっている。

 めぐみんも負けず嫌いに関しては一級品である。このアウェーな状況、寧ろ対抗してこその精神であった。

 

「ああ、そうそう。先に一つだけ言っておくことがあります」

 

「なんだね? 今から素直に謝るというのであれば……、」

 

「いえ」

 

 めぐみんは笑顔でギーシュの言葉を遮ると。

 ゆっくりと手を上げて、ちょいちょいと指先を動かしてやると同時、思いっきり見下すような声色で言ってやった。

 

「私が女だからという理由で手を抜くつもりでいるかもしれませんが、余計なお世話ですよ。―――私もあなたを男だと思っていないので」

 

「なっ……!」

 

「人間以下、犬以下、いえ……ミジンコですかね。ああ、ミジンコにも失礼でしょうか?」

 

 すでに余裕の笑みは顔から拭い捨てられ、怒りで顔を赤くするギーシュ。

 彼は薔薇の杖をその場で振りぬくと、完璧に完全に激昂した様子で吐き捨てた。

 

「……いいだろう。僕は紳士だからね、例え平民であろうがか弱き女の子に手を上げるのは抵抗があった。キミが謝罪するまで、わざと攻撃を外しスタミナ切れを待とうかと考えていたが……どうやらその必要はないようだ」

 

 二股をかけるほど女が大好きな奴なのだ。いくらめぐみん相手とはいえ攻撃を加えてくるかと疑問には思っていたが、それは的中だったらしい。

 とはいえこんな奴に手を抜かれるのも癪であるとめぐみんは思う。

 

「そこまで言うなら、キミのお望み通り男女平等な扱いをさせてもらうよ!」

 

 叫びと同時。

 ギーシュの持つ杖の一端から、ハラリと。薔薇の花弁が一枚地面へと舞い降りた。

 ―――その直後。花弁が光り輝き、瞬く間に姿を変える。

 

「ほう……」

 

 めぐみんの視線が微かに鋭くなる。

 それは甲冑を身に纏った女戦士を模る、金属製の人形であった。大きさは人間と同程度だが、めぐみんの体格からすると少し大きく見える。日の光を浴びてその表面が僅かに輝いた。

 

「僕はメイジだ。故に、魔法を使って戦わせてもらうよ。言い忘れていたが、僕の二つ名は『青銅』。『青銅』のギーシュだ。従ってこの青銅のゴーレム、『ワルキューレ』が君の相手をさせてもらうよ」

 

 不敵に笑ってみせるギーシュをよそに、ゴーレムを見つめながらめぐみんは僅かに思考をめぐらせる。

 

(元の世界で似たようなスキルはありますが、なるほど。この世界の錬金魔法とやらは随分と応用性に長けるようです)

 

 シュブルーズの授業を思い出す。

 土系統は建物を作ったり農作業の高速化に利用されたりと人々の生活に密接に関わっていると言っていたが、使いようによってはこのように、金属の塊である武器も容易に作り出せるということだ。

 

 しかしそんなものを魔法で作られたからといって、めぐみんもただで負けるつもりは毛頭ない。

 ただムカつくからギーシュを煽りに煽っていたのも事実だが、勝負事となった以上勝つ手段は考えてある。

 

「さぁ行け! ワルキューレ!」

 

 命令と同時、青銅のゴーレムが一直線にこちらへと突進してきた。互いの距離が接近する瞬間、ゴーレムの重い拳が振り上げられる。

 速い動作ではあった。

 だが反応できないほどではない。

 低く腰を落としていためぐみんは寸でのところで真横に転がるよう飛び込む。青銅の拳が空を切るのを視界の隅に収めながら、ゴロゴロと転がって再び二の足で地面に立つ。

 

「ほう、よくかわしたね。だが僕のワルキューレは待ってくれないよ!」

 

 ゴーレムの視線がめぐみんを捉え、再び拳を振り上げて襲い掛かってくる。

 一歩、二歩と下がりつつ、ゴーレムのリーチに入ったところで再度真横へ飛び込み回避する。地面を転がりながら、めぐみんはさり気無く周囲の野次馬連中の中に視線を流した。

 

(ルイズ! まだですか!)

 

 捜しているのは当然、自身のご主人様であるルイズ・フランソワーズ。

 ここに来る前にめぐみんの杖を持ってくるよう頼んでいたのだが、未だ姿が見当たらなかった。

 

 ―――めぐみんの考えていた作戦はいとも単純であった。

 爆裂魔法をギーシュ本人にぶちかましてしまうと、おそらく、というか間違いなく殺してしまう。いくらムカつく野郎とはいえ殺してしまうのはあんまりだ。加え、こんなところで爆裂魔法を使おうものなら付近の校舎が粉々に吹き飛ぶ。周りにいる生徒達にも被害が及ぶ。ついでにこの至近距離、術者本人であるめぐみんもただでは済まない。

 

 よって爆裂魔法を、被害を最低限に抑えられる上空に向けてぶっ放そうという魂胆だ。

 虚空に撃つなど至上果てしなく虚しい爆裂とはなってしまうが、この際仕方がない。

 上空とはいえ最大火力の攻撃魔法。その衝撃波だけで、ギーシュ含め周囲の人々を恐れおののかせるだけの威力はある。

 そして魔力消費でぶっ倒れるのを我慢してる間に、言ってやるのだ。

 

『我の左目に封じられた混沌(カオス)が疼く……次は、外せないかもしれませんね』(ねっとり)

 

 ギーシュは降参する。そしてめぐみんの大勝利。という筋書き(だけ)。

 他人が聞いたらバカみたいな作戦かもしれないが、しかしこの世界では意外と効果があるのではないかとめぐみんは踏んでいる。

 やたら魔法の有無と貴族平民という立場関係を重要視するここの連中だ。魔法による圧倒的な力量差を見せ付けられれば、向こうから勝手に降参してくれる可能性は十分にあると。

 

 ならばなぜそれを今すぐ決行しないのか。

 ……残念なことに、めぐみんの気持ち的な問題があった。

 

(杖がなければ私の爆裂魔法とは言えません! というかカッコよくない!)

 

 それが一番の理由だ。

 それはもう残念なことに、人一倍妙な方向性でプライドが高い紅魔族にとっては十分な理由であった。

 

「うわぁ!」

 

「いつまでその逃げ足が続くかな? ほら!」

 

 めぐみんに休む暇を与えず、ゴーレムが幾度となく襲い掛かってくる。

 ゴーレムが迫り、見っとも無かろうがギリギリのタイミングで転がって回避する。それを何度も繰り返す。

 今はそうする他ないとはいえ、めぐみんの表情も僅かに険しくなっていく。

 

(というか! 今すぐ魔法を撃とうにも隙が見当たりません!)

 

 爆裂魔法は"溜め"となる時間が必要な魔法だ。その"溜め"の際に決して動けないわけではないが、精神を集中させる必要がある。こんな状況ではそれが非常に難しい。

 仮に杖があってもこの状況が続くようではなかなか厳しいと、内心焦りが募る。

 

 できるだけ時間を稼ぐため、大きく旋回するように駆け出すめぐみん。

 だがゴーレムの動きは想像以上に速い。

 地面を滑るように移動し、めぐみんの正面に一気に回り込んでくる。

 

(このガラクタ! 思った以上に……!)

 

 ゴーレムの拳が一直線に突き出された。

 回避が間に合わないと咄嗟に判断し、腕を交差させてそれを受ける。

 ガクンッ、と全身に息が詰まるような衝撃。進行方向とは真逆へと、めぐみんの小さな体が吹き飛ばされる。

 仰向けに倒れ、腕から感じるヒリヒリとした痛みに顔をしかめつつも瞼を開くと、真上で拳を振り上げるゴーレムの姿。

 慌てて真横へ転がり、振り下ろされる拳をどうにかやり過ごす。直後に、ズドンッという打撃音。

 その拳は地面にめり込み、今のをもし腹にでも受けていたらと少しゾッとする。

 再び立ち上がり、ジリジリとゴーレムから距離を取りつつ額の汗を拭った。

 

(い、意外とピンチですね……小手先でも体術の教えがあって何とかなってますが……)

 

 息も少しずつ荒くなってきている。このままでは完全にジリ貧だ。

 めぐみんの様子を見てか、ギーシュはゴーレムの動きを止めるとキザったらしく前髪をかき上げた。

 

「最初の威勢はどうしたのかね? 計らずともキミが言っていた通りの状況になってしまったが」

 

 よほどめぐみんに煽られた台詞が癪に触っていたらしい。こちらを追い詰めたと感じ取り、余裕の表情で挑発をかまして来る。

 

「どうだい? 今すぐに先の前言を撤回し、僕に誠心誠意謝罪するというのであれば……許してあげないこともないよ」

 

「……」

 

 無言で睨み付けて応えるめぐみんだが、内心は。

 

(む、ムカつくぅぅぅ~~~~!! あんの金髪二股! やっぱ今すぐ魔法でぶっ飛ばしてやりましょうか!?)

 

 それはもう大変憤っている。

 元々短気なめぐみん。いよいよ限界が近づいてきている。

 左手をワナワナさせながら、プライドと怒りが脳内で競り合い僅かに怒りが圧し勝とうとしていた。

 

(空中で放つというのはなしにしましょうか。どうやったら奴を丁度いい具合に痛めつける爆発を放てるでしょう? 距離と角度をしっかりと計算して爆発の端に巻き込むようにすればあら不思議!)

 

 嫌な笑みで口を歪めながら、危険な思考回路を沸々と巡らせるめぐみん。

 こうなればギーシュが油断してゴーレムの動きを止めてる今の隙に、いっそデカイのぶちかましてやろうかと脳内で作戦が移り変わろうとした。

 しかし、その時。

 

「めぐみん!」

 

 背後から聞き覚えのある声が響き渡る。ギーシュも、他の生徒からも視線が集まる。

 息を切らしながら野次馬を掻き分けて顔を出したのは、他でもないルイズであった。

 彼女の手の中には、

 

「! ルイズ、持ってきてくれたんですね!」

 

 めぐみんの杖があった。

 あれを握ればめぐみんも、心置きなく爆裂魔法を放てる。

 ルイズは心配そうな面持ちでめぐみんの傍に歩み寄ってきた。

 

「だ、大丈夫なの!? 怪我は!?」

 

「平気ですよ。それよりルイズ、私の杖を」

 

 そういってルイズから杖を受け取ろうと手を伸ばすが―――ルイズは拒否するように、杖を引き離した。

 彼女は心配する面持ちを残しながらも、相変わらず怒った様子で眉をつり上げた。

 

「だ、駄目よ! やっぱり駄目! 早くギーシュに謝って!」

 

「ええ!? じゃあなんで持ってきてくれたんですか!」

 

「そ、それは……っ」

 

 めぐみんが杖を持たなくとも魔法を放てるということを知らないルイズは、これを渡したらギーシュへ向けて爆裂魔法を撃って大惨事を起こしてしまうと考える。

 それと同時に、やはりめぐみんは自分の使い魔で、この学院に来て初めて純粋に自分の味方になってくれた相手だった。そんなめぐみんがギーシュに痛い目に合わされてしまうのも嫌。

 

 二つの思いがせめぎ合って、ルイズはどうしていいか分からず中途半端な行動をするしかなかった。

 その気持ちまでは完全に察せなくとも、めぐみんは何となく目の前のルイズが困っているのを感じ取る。自分に杖を渡していいものか悩んでいる。

 二人の様子を見たギーシュが見下すような視線で口を挟んできた。

 

「ルイズの言う通りさ。あれだけの失礼を働いたキミを、未だ僕は寛大な心で許してあげると言っているんだ。 気持ちの篭った謝罪一つでね。これ以上意地を張るのはご主人様の顔に泥を塗ることになるんじゃないかな?」

 

「そ、そうよめぐみん! ほら、お願いだから! あんたが謝ればそれで全部済むんだから!」

 

「……」

 

 めぐみんは真剣に語りかけてくるルイズの顔を見て、じっと黙る。

 よっぽど心配してくれていたらしい。いつだってツンツンしている子だが、人一倍誰かを思いやる優しさを持っている。昔から爆裂魔法のことしか頭になかった自分には、決して多くはない感情だ。

 だからこそ、やはり負けを認めるわけにはいかない。めぐみんはルイズに微笑みかけた。

 

「"どうにかする"……そう言いましたよね? 大丈夫です、ルイズ。私を信じてください。ルイズが心配してるようなことにはなりませんから」

 

 そういって、ルイズから自分の杖を半ば無理矢理奪い取った。

 

「あっ、ちょっと!」

 

「ああこの肌触り! この感触! やっぱり我が相棒がなくては爆裂魔法は放てませんとも!」

 

 手元に戻ってきた自身の杖を撫で回し悦に浸るめぐみん。

 だがその時、不思議なことが起きた。

 

「えっ?」

 

 杖をしっかりと握り締めた、その瞬間。

 めぐみんの左手にある使い魔のルーンが突如として輝いた。

 

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

「つまり、始祖ブリミルが従えた伝説の使い魔『ガンダールヴ』に辿り着いたという訳か」

 

「そうです! 彼女の左手に浮かんだルーンは間違いなく、『ガンダールヴ』のそれと酷似しています!」

 

 コルベールはオスマンの目の前で、開かれた文献に記された記録と、自身のスケッチを順に指差しながら興奮気味に説明していた。

 彼女のルーンを見たときに感じた違和感は決して勘違いではなかった。

 まさか伝説の使い魔に辿り着くことになるとは思いもよらなかったが、だからこそコルベールの興奮は冷めやまない。

 

「なるほどの……して、キミの結論は?」

 

「彼女は『ガンダールヴ』の再来だと!」

 

 オスマンは手元の資料を見下ろしながら改めてじっくりと見比べる。

 オスマンから見ても、確かに形は一致している。

 

「確かにルーンは同じじゃ。しかしだからと言って、その使い魔を『ガンダールヴ』と決め付けるのはいささか早計ではないかな?」

 

「それは……確かに」

 

「お主から見て、その使い魔自身の印象はどうであった?」

 

 落ち着かせるようなオスマンの言葉に、コルベールは昨日のことを思い出す。

 たまにおかしなことを口にしてはいたが、それ以外は至って普通の少女に見えた。今朝ミス・ヴァリエールと共にいるところを見たときも、これといって変わった様子は見受けられなかった。

 

「……歳相応の、普通の少女ですね」

 

「まあ、そういうことじゃ。ルーンが酷似しているからといって、非常に似た別のなにか、という可能性も十分にあるからの」

 

 と。

 コンコン、と部屋の扉が外からノックされる音が響いた。

 話を中断し、コルベールとオスマンはそちらへ視線を移す。

 

「誰じゃ?」

 

「私です」

 

 返って来た声は、先ほどコルベールと入れ替わるようにして部屋から出て行ったロングビルのものであった。

 扉一枚を挟み、用件を報告してくる。

 

「ヴェストリの広場で決闘している生徒がいるようです。かなりの騒ぎになっており、近くの教師が止めに入ろうとしたようですが、生徒に邪魔されて騒ぎを収められないようです」

 

 聞いたオスマンは呆れたように首を振った。

 

「まったく……貴族とは暇を持て余したらロクなことをせんな。決闘騒ぎなど起こしてるのは誰じゃ?」

 

「一人は二年生のギーシュ・ド・グラモンです」

 

「グラモンのバカ息子か……」

 

 グラモン家は先祖代々から好色家として名を馳せているのはコルベールも記憶している。

 ということは、決闘の原因も何となく想像ができてしまう。

 

「大方女の取り合いでもしておるんじゃろ」

 

「ですな」

 

 思わずコルベールも相槌を打つ。

 

「で、相手は誰じゃ?」

 

 オスマンの何気ない問いかけ。

 しかしロングビルから返って来た回答は、予想を大きく上回る内容であった。

 

「それが……生徒ではなく、ミス・ヴァリエールの使い魔のようです」

 

「……なんじゃと?」

 

 オスマンとコルベールは、その言葉を聞いた途端鋭い視線で顔を見合わせた。

 

「いかが致しますか? 騒ぎを収めるため、『眠りの鐘』の使用許可も申請されておりますが」

 

 オスマンは長い髭を撫でながら思考を巡らせる。

 コルベールはそんなオスマンへ向けて、黙って首を振った。これは寧ろ絶好の機会ではないかと、言外に意思を伝える。

 ルイズ・フランソワーズに召喚された使い魔が本当にあの『ガンダールヴ』だとしたら。

 その真偽を確かめられる良いチャンスだと。

 

「……ふむ」

 

 オスマンは僅かに沈黙し、やがてゆっくりと頷いてみせた。

 

「子供の喧嘩に秘宝を使う必要などない……と言いたいところじゃが、万が一のことを考えて使用準備だけは整えておくように。もし必要だと判断したらこちらから合図を送ろう」

 

「かしこまりました」

 

 扉の向こうで、ロングビルの足音が遠ざかっていくのが聞こえた。

 気配が完全に消え去ったのを見計らい、部屋の壁に立てかけられていた大きな鏡へと視線を送る。

 彼が杖を小さく振ると、鏡の中にヴェストリの広場の光景が鮮明に映し出された。

 

 

 

 

 

     ◇

 

 

 

 

 

 杖を握り締めた途端、左手のルーンが淡く輝き始めた。

 それに気付いためぐみんは左手をじっと見下ろしながら僅かに思考を巡らせる。

 

(これは使い魔のルーンとか言ってましたか。こんな慌しいときに一体なにを、)

 

 そこまで考えて。

 ハッとめぐみんは気付いた。自身の体に感じるその"異変"に。

 

(呼吸が整ってる? 妙に体も軽いです。それに……)

 

 緊張した面持ちで、その原因であろう左手のルーンをじっと凝視した。

 

(なんですかこれは!? 私の体に……魔力が供給されている!?)

 

 それはまるで、左手に管でも繋いで常に膨大な魔力を流し込まれているような。

 体の底から感じたこともないエネルギーが湧き上がっているのを、ヒシヒシと感じられる。

 地に足がつかないような、妙な浮遊感。体の中で行き場に迷うように、魔力の奔流がグルグルと渦巻く。

 得体の知れないこの感覚に、めぐみんは思わず顔がニヤけていた。

 

(こ、ここ、これは……! この魔力量で、我が爆裂魔法を解き放ったら! 一体、どど、ど、どれほどの威力になるのか……っ!!)

 

 完全にやばい顔でニヤニヤし始めるめぐみんを見て、傍らのルイズはぎょっとした。

 

「ちょっとめぐみん? どうかしたの?」

 

「はっ!? あ、いえ! 何でもありません!」

 

 声を掛けられて我に返り、改めてギーシュに向かい合う。

 ルイズを背にするように一歩前へ踏み込み、不敵な笑みを浮かべた。

 

「……しかし、私でさえ予想外の支援がきましたね。これだったら少し、作戦を変更してもいいかもしれません」

 

「作戦……? とにかくめぐみん! その杖を置いて謝って! 私も一緒に謝るから!」

 

 最早懇願してくるような態度のルイズを、めぐみんは空いた片手で制した。

 肩越しに振り向き安心させるように笑ってみせる。

 

「大丈夫ですよ、ルイズ。あれは使いません(・・・・・・・・)

 

「え……?」

 

 てっきりめぐみんが爆裂魔法を使って大惨事を起こすとばかり思っていたのか、困惑するルイズ。

 当然めぐみんもそのつもりであった。ルイズと考えが違うのは、ギーシュを狙うか狙いを外すか。その違いだけ。

 しかし、この左手から流れ込んでくる謎の魔力の奔流。

 異様に軽いとさえ思う、己の肉体。

 正直不本意だが、ここはご主人様の為にも力を温存してもいいかもしれない。

 意志を固めためぐみんは、改めてギーシュに向かい合った。

 

「さて、お待たせしました。話し合いも終わったので続きといきましょうか」

 

「ま、待ちなさいよ! 終わってないわ!」

 

 尚もめぐみんに突っかかろうとするルイズだが、ここは無視しておく。

 杖を握り締めためぐみんを見て、ゴーレムを盾にするように佇むギーシュが可笑しそうに鼻で笑った。

 

「なんだい、それは? 召喚された時と同じく、また貴族ごっこかい? 素直に謝ればいいものを、キミという子は実に考えが甘いね」

 

「いちいちうるさいですね! その減らず口を叩き伏せてやるから、さっさと掛かって来たらどうなんですか!」

 

「口が減らないのはどっちだい! 行け、ワルキューレ!」

 

 再びギーシュの命令が飛び、ゴーレムが一直線に突撃してくる。

 めぐみんは迎え撃つように前方へと踏み込んだ。

 ゴーレムの拳が唸りを上げる。

 先と同様、めぐみんは真横へと転がりながら回避する―――のではなく。

 

 軽く横にステップするだけで、自分でも驚くほどの軽快さで拳を回避した。

 

(やはりこの魔力……私のステータスに無理矢理干渉していますね!)

 

 未だ輝く左手のルーン。そこから流れ込む正体不明の魔力。

 自身の体だからこそ、感じ取れる。

 間違いなく今、めぐみんの身体能力が飛躍的に上昇していた。

 爆裂魔法、魔力向上、詠唱速度向上。その三つにしかスキルポイントを振り分けていないにも関わらず、肉体的なステータスが明らかに向上しているのをひしひしと感じている。

 

(他人に力を借りているようで正直不愉快極まりないですが、自分で上げたステータスじゃないと割り切らせて利用させてもらいますよ!)

 

 続けて迫り来るゴーレムの猛攻を、先程とは打って変わり、華麗な動きで捌いていくめぐみん。

 ソードマンやランサーといった前衛職は普段からこういった情景の中で戦っているのかと、自身の体のことながら思わず目を丸くする。

 後ろへ跳びながら一旦大きく距離を取ると、めぐみんはギーシュへ向けて杖を構えた。

 

「我が名はめぐみん! 紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操る者!!」

 

 声を大にして名乗りを上げる。

 その場にいる者の多くが『なに言ってんだアイツ?』といった表情を向けてくるが、この際関係ない。

 感情の高ぶり呼応して、その赤い瞳が煌めきを発した。

 

「二股を掛けた挙句一切の責任を感じていない畜生には! 女を代表して私がキツイお灸を据えてやります!」

 

 ―――その瞬間。

 めぐみんの杖の先端に、空間が歪みを生じた。その歪みの中心点へと、膨大なまでの力の奔流が流れ込んでいく。

 それは光とも闇とも言える、究極のエネルギー。素人にでさえ圧倒的なプレッシャーを与える絶大なる力。

 その光景を目にした周囲の生徒達、そして向かい合うギーシュは、思わず動きを止めて信じられない光景に目を見開いた。

 

「―――、光に覆われし漆黒よ。闇を纏いし爆炎よ」

 

 めぐみんの口から詠唱が漏れ出す。

 眼前に広がるエネルギーの集束と、口ずさむめぐみんの言葉を聞いて、最も早く反応したのはルイズであった。

 彼女はこれを知っている。知っているからこそ、めぐみんが戦うのを止めようとしていた。

 

「めぐみん! 駄目よ! 使わないんじゃなかったの!?」

 

 さっきの言葉は自分を誤魔化すためだけのものだったのかとルイズは慌てふためくが、めぐみんは構わず詠唱を続ける。構える杖の先端へと、己が力を集中させる。

 

「紅魔の名の下に原初の崩壊を顕現す」

 

 あまりにも異様な状況を前にして、ギーシュはまさかと悟った。

 自分が相手にしていたのは、ただの平民ではなく。本当に貴族―――メイジだったのではないかと。

 でなければこの力の奔流はなんだ。ただの平民が、こんなものを生み出せるはずがない。

 全身を押しつぶすような重圧感。もしその詠唱を完成させてしまったら、間違いなく自分は無事では済まない。そんな根拠のない予感が脳裏を渦巻く。

 

「く、くそ! 何なんだキミは!?」

 

 何か猛烈な悪寒に後押しされるようにして、ギーシュは追加のゴーレムを呼び出した。

 ゴーレムの数は計五体。それが一気に押し寄せる。

 めぐみんは目を見開くと、詠唱を続けたまま一気に走り出した。

 本来であればこの妨害、今のめぐみんでは詠唱を止められることは必至。

 だが、今なら大丈夫。背中を押されるような力のおかげで、根拠なくそう思える。

 囲うようにして一斉に攻撃をしかけてくるゴーレムに対し、的を絞らせないよう素早い動きで跳び回って次々と回避していく。

 

「終焉の王国の地に力の根源を隠匿せし者―――!」

 

 動き回りながらも杖には尚も力を溜め続ける。

 五体のゴーレムを軽快に翻弄して。めぐみんは高く上空へと跳び上がった。

 普段では決してあり得ない、三メートル近い大跳躍。人外染みた動きをするめぐみんに、周囲は視線を釘付けにする。

 

「我が前に統べよ!!」

 

 ダンッ! と地面を踏み鳴らして、ゴーレムを一息に飛び越えためぐみんはギーシュの眼前へと着地した。

 赤く輝く瞳が、ギーシュを射抜く。

 

「ひっ!?」

 

 ギーシュはおぼつかない手で杖を振ろうとするが―――言葉にもできない正体不明の絶望を前に、指が震えてポロリと地面に落としてしまう。

 

「エクス――――――!」

 

 迫り来る恐怖に、ギーシュはきつく瞼を閉じた。

 周囲の生徒達は豹変しためぐみんの動きに唖然とし。

 ルイズもまた、これから起こるであろう大惨事に思わず目を閉じて。

 そしてめぐみんは―――ニヤリと、薄く笑った。

 

 

「―――ただのこけおどしですよ!! ブロォォオオオオオ!!!」

 

 

 次の瞬間、爆裂ではなく。

 ギーシュの顔面に、身体能力が向上しためぐみんの拳が深々と突き刺さった。

 

 

「ぐぼへらっ!?」

 

 まさかの物理攻撃にギーシュは成す術なく直撃を受け、その体がコークスクリューのようにきりもみ回転しながら二メートル近く後方へと吹き飛ばされる。

 地面に顔面から激突し、パタリと。力が抜けたように手足を放り出した。

 それと同時、めぐみんの後方にいた五体のゴーレム達が瓦解するようにして地面に溶けていく。

 ……調べるまでもなく、一発KOだった。

 

 あまりに予想外な展開に、静まり返る空気。

 めぐみんの杖に集束していたエネルギーは、爆裂魔法として放たれることなくいつの間にか霧散していた。

 ぶっ倒れて気絶するギーシュをじっと見下ろしながら、一言。

 

「名付けてエクスブロー。爆裂を寸止めにした乙女の怒りと悲しみを乗せた必殺の拳! 相手は死ぬ!」

 

 ……ようは物理100%の騙し討ちである。

 それを合図に、周囲から歓声が巻き起こった。

 

「あの平民の子、ギーシュに勝ちやがった!」

 

「さっきのオーラはなんだったんだ!? もしかしてメイジなのか!?」

 

「何かの手品だろ! それにしたって強いぞ!」

 

 誰もが予想しなかった形勢逆転に、それぞれが好き勝手口にしながら騒ぎ立てている。

 めぐみんは改めて左手に視線を落とした。

 

(……妙な力ですね。使い魔とはこういうものなのでしょうか?)

 

 未だ光は収まることなく、めぐみんの体へと肉体の強化と魔力を注ぎ込み続けている。

 結局爆裂魔法は撃たなかったが、これは撃たなくても分かる。おそらくは魔法にも何らかの補正が掛かってくることは間違いない。

 勝利の歓声の中で、めぐみんは険しい表情でルーンを見つめた。

 

 

 

 

 




ガンダールヴ式ゴッドブロー。
めぐみんしか登場しませんが、このすば側のネタもちょくちょく入れていきたいです。

次回更新少し遅れると思います。


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