魔弾使いのTS少女   作:黄金馬鹿

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(もう書き溜め)ないです

R-18版とか需要ありますかね? これから先そういうシーンが出てきたらそっちにそのシーンを書いて投稿しようかなとか思ってたりします

この話が投稿されてすぐに活動報告でそんな感じのアンケートを出すので意見はそちらへ。意見が無かったら……まぁ、適当に。その時の気分で書くか書かないか決める感じでやってきます


第二十九魔弾

 結局、温泉宿が何で和風なのかという理由に関してはよく分からなかったが、ルナが言うには少なくともこの街ではこういう感じの部屋は普通にあるとの事。どうやら、馬車で一日程度の距離だが、それでも文化は軽く違うらしい。それに対して今さらツッコミを入れるような真似はしないが、逆にこういう和風な部屋というのは日本人としては心が安らぐ物。洋風ばかりで日本が結構前から恋しくなっていたひなたとしてはありがたかった。

 荷物を投げ出して部屋の隅に寝転がる。座椅子やそれに合わせた机があったがそんなのいらねぇと言わんばかりに床で寝転がる。日本だと偶に気楽にやっていたそれがこうして出来るのはなんだか気分がいい。

 

「あ、床で寝ちゃ駄目だよ」

「いいのいいの。別に汚くないしルナもゴロゴロ転がってるし」

 

 そう言いながら目を閉じると少しだけ眠気が襲ってくるが、それに身を任せたら絶対にそのまま寝てしまって色々と無駄になってしまうので何とか意識を保って一旦起き上がり、机の上に目をやる。

 そこにはお茶菓子のような物と電子ケトルがあり、ついでにクリアファイルのような物に挟まった紙を見つけた。それを見るために片手両足で移動して手に取ってそれに目を通すと、そこには先程聞いた通り、食事等について書かれていた。

 どうやら、食事は時間になるとここまで持ってきてくれるらしく、基本的には朝と夜。昼はフロント近くのレストランで鍵を見せれば食べられるらしい。布団は自分たちで敷いてくれ、との事と泊まった次の日の昼から部屋の掃除を行いに来てくれるらしい。それをキャンセルするには下駄箱の中に入っている立て札のような物を引き戸の前に立てておくらしい。それと、タオルは普通のタオルとバスタオルが予備含めて四つあるらしく、それもフロントに言えば交換してくれるらしい。着替えはなんと浴衣が用意されているらしく、タオルと共に押入れの中にあるとか。

 それ以外にも色々と書いてあったが、それに全て目を通してひなたは座椅子に座る。

 

「シャーレイも目を通しておいたら?」

「あ、じゃあそうするね」

 

 紙をシャーレイに渡し、お茶菓子を手に取って封を切って口に運ぶ。丁度いい甘さが口の中を支配して何となく緑茶が欲しい気分にさせてくれる。

 胡坐をかきながら座椅子に背を任せてシャーレイが紙に目を通すのを待っていると、ルナが転がってきてそのままの勢いでひなたの膝の上に座った。身長的にちょっとひなたの顔が隠れるが、まぁ気にしない事にする。

 

「……何ていうか、珍しいね」

 

 紙を見終わったシャーレイがそれを机の上に置きながら

 

「そうだね。ボクも久しぶり……じゃなくて初めて見たよ」

「久しぶり……?」

「何でもない。ちょっと強がっただけ」

 

 適当であやふやな言い訳だったが、そうなの? とシャーレイはその場で納得してくれた。深く聞こうとしなかっただけなのか優しさで追及を止めてくれたのかは分からないがそれに感謝しながらもルナを降ろしてからケトルに水を汲むために脱衣所にある蛇口に向かう。

 そして蛇口で水を汲もうとしたが、ふとこの先には内風呂があるというのを思い出して軽く覗いてみた。

 内風呂はひなたの家とは違ってしっかりとした造りになっており、小さな温泉がそこにあるような感じだった。軽く香る硫黄の臭いがこれも温泉なのだと分からせてくれる。それに心を軽く躍らせながら水道で水を汲んで部屋に戻り、ケトルでお湯を沸かす。

 

「……なんか、さっきまでのゴタゴタが嘘みたいだね」

「そうだねー……」

 

 宿に着いてから、先ほどまで張り詰めていた気持ちを一気に解いたからか心地いい疲労感が襲ってくる。それを甘んじて受け入れながら三人でゆったりとした時間を過ごす。

 ひなたはティーパックの緑茶を口に含み、久々の緑茶に満足しながらお茶菓子を食べる。シャーレイは初めて飲む緑茶に物珍しさを覚え、ルナは水を自分で汲んできて冷茶を一人で作ってひなたと座椅子を半分ずつで共有しながら飲んでいた。

 久しぶりに緑茶を飲んだ人間と初めて飲んだ人間と何時も通り飲んでいる人間の三パターンが同時に存在しているという物珍しい空間が出来上がったが、それもまたいい安らぎとなる。

 

「あ、温泉、いつ入る?」

 

 そういえば、温泉宿で温泉には入りたい放題なのに温泉に入るのを忘れていた。和風の部屋という懐かしさを覚える部屋で子事を落ち着けるのは本来の目的ではない。

 だが、ひなたとしては出来るなら人のいない時間帯に入りたいと思ってはいる。別に心が男だからやましい気持ちで見てしまう、という訳ではなく、斬られた腕の断面を見て心地よく思う人はいないと思うからだ。シャーレイには見せた事があるから何とも思わないが、それでもルナは何かしらショックを受けてしまう可能性があるからなるべく見せたくはないと思う。

 が、そんな我儘に二人を付き合わせたくはないし、ひなたとしても温泉には入りたい。だから、ここはルナに任せる事にした。

 

「そうだね……ルナ、いつ入りたい?」

「いつでもいいよー」

「いつでも、か……」

 

 結局、一番困る解答が出てきてしまった。こうなるとはてさて、どうした物か。

 折角の入り放題の温泉に一日一回しか入らないというのは勿体ないしこの時間は暇だから何かして時間を潰したい。それに、昨日は風呂に入っていないから風呂に入りたい。外に出る時はローブで隠してきたが、服には夥しいまでの血が付着している。もちろん、肌にも。だから、それを洗い流したいというのがある。きっと、血の臭いも凄い事になっているだろう。

 

「……じゃあ、今から入りに行こうか」

「今から?」

「昨日、お風呂入ってないしね。それに、ルナもそこそこ汚れてるから」

 

 ルナの体は泥だらけでとてもじゃないが綺麗とは言えない。少しは払い落したが、それでも細かい汚れは付着したままでどちらかと言えば汚いという印象が付いてしまう。というか、この三人の中で一番普通なのがシャーレイしかいない。

 だから、今のうちにサッパリしてしまおう、と思ったが故の提案だった。

 

「あー……うん、そうだね。そうしよっか」

「じゃあ、決まりで。シャーレイ、ちょっと申し訳ないけどボクの着替えとタオルを取ってくれないかな。片手だと落としそうで」

「はーい」

 

 隻腕という弊害はシャーレイに頼む事で解決する。やはりこういうちょっと不安な時に頼れる子がいるというのは気持ちが楽になる。シャーレイもそれは分かっているので文句言わず、不満も抱かずにひなたの分とルナの分も着替えとタオルを取り出す。

 着替えは浴衣が三着。元々備えてある物に子供用の浴衣もあったため、ルナでも問題なく着れそうであった。ひなたに関しては丁度いいサイズがないため、ちょっと裾がダボダボになってしまうが、きっとひなたなら自分で何とかできるだろうと思ってひなたにタオルと浴衣を渡す。

 

「はい、ひなたちゃん」

「おっとっと……よし。ありがと、シャーレイ」

 

 ひなたは片手で受け取ったそれを落としそうになるがそれを耐えて片手でそれを抱える。ルナにも着替えとタオルを渡してシャーレイも自分の着替えとタオルを用意する。

 それで準備は完了。ひなたが年長という事で鍵を預かり、しっかりと部屋を出て鍵を閉めてから温泉に向かう。こういうのはちゃんと予防していないと何が起こるか分からないからしっかりと鍵を閉めておく。ちなみに、部屋から出た際に靴は脱いでスリッパに履き替えておいた。

 部屋を出てからは表示通りに道を進んで何事もなく脱衣所の前に到着する。赤色の暖簾と青色の暖簾、それぞれこの世界の文字で女湯と男湯と書かれた暖簾の内、女湯と書かれた方を潜って脱衣所に入る。何だか若干の罪悪感やら何やらを感じたが、今は体はちゃんと女だ。入った所で誰もひなたを通報したりなんかしない。完全な合法だ。

 

「えっと……あ、籠に脱いだ服を入れてね。着替えも」

「あ、これだね。分かった」

 

 ルナは色々と分かっているのか一人で黙々と服を脱いでいる。ひなたもすぐにローブを脱いで自分の服に手をかける。シャーレイもだ。

 数分も経たない内に生まれたままの姿になったひなたとシャーレイは一応タオルで体を隠しながらすっぽんぽんの状態で湯船の方に突撃しに行っているルナを追う。

 脱衣所と湯船を仕切るドアを開けると、そこにはひなたが想像したのと八割方同じな温泉が広がっていた。かけ湯に体を洗う場所、そして室内の大きな温泉と露天風呂へ行くためのドア。ネットの写真で見たことのあるような温泉が目の前には広がっていた。

 

「うわ、ひろーい」

 

 シャーレイがそんな声を漏らした。確かに、ひなたから見ても普通の広い部類に入る温泉だった。そんな中、走って湯船に飛び込もうとするルナをひなたが確保する。

 

「入る前に体洗うよ」

「えー……」

「このまま入ったらお湯が汚くなっちゃうでしょ? 最低限のマナーだよ」

「……はーい」

 

 よく見ればかけ湯がある部分にそんな事が書かれたパネルもある。どうやら、そこら辺のマナーなどは日本と変わりはないらしい。

 見た所この時間に入っている人はいないらしく、少しは五月蠅くしても誰かに迷惑になる事はなさそうだった。貸し切り状態とは少し気分が上がる。が、一応は年長なのでなるべく平静を装ってルナを片手で抱えてシャーレイと共に洗い場に体と髪を洗いに行く。

 

「あ、シャーレイ。後で髪の毛纏めてくれないかな」

「纏める……って、ゴムとか持ってきてないよ?」

「タオルで巻いてくれればいいから」

 

 身体を隠していたタオルを使って髪の毛を上げればいい。バスタオルはちゃんと別に持ってきているからタオルは髪の毛を纏めつつ水気を落とすために使う。

 幸いにもスポンジはあるようで、タオルは濡れていない状態で髪を巻けそうだった。

 

「ほら、ボクが洗ってあげるからちゃっちゃと洗っちゃおうか」

「うん!」

 

 親以外と温泉に行くのは初めてなのか、洗ってあげると言ってあげるとルナはちょっと嬉しそうだった。片手だとやりにくいのは確かだが、やれないことは無い。まずは適当に髪の毛から洗うか、とシャワーからお湯を出しながら考え、シャワーを壁にかけて位置を調整し、ルナの頭にシャワーが当たるようにしてからルナの髪の毛を濡らす。

 

「わぷっ」

「目は閉じてね」

 

 お湯ならいいけどシャンプーが入ったら可哀想だ。シャンプーハットがあればそういう心配も無いのかもしれないが、流石にそんな物はこの場には無い。だが、何でだろうか。自分の頭にシャンプーハットを被せても違和感が無いかもしれないと思ってしまうのは。

 そんな雑念を持ちながらルナの髪を十分に濡らしていると、シャワーから出るお湯が自然と止まった。後は片手でシャンプーを器用に泡立ててルナの髪を頭皮や髪そのものが痛まないように優しく洗い、優しく洗い流してから念のためにもう一度洗い、リンスやコンディショナーでちゃんと手入れをする。それだけでちょっと薄汚れていたルナの髪は綺麗になった。

 

「じゃあ、後はルナが自分で体は洗って。ボクは背中洗ってあげるから」

「はーい」

 

 流石に前もひなたが洗うのは犯罪臭がマッハなのでルナに任せる。備えつけのスポンジを二つ持ってきてルナの背中をボディーソープで洗う。ルナも背中以外を自分で洗う。その際に後ろから色々と見えてしまっていたが、ロリコンではないひなたはルナの裸に興奮する等は無かった。流石にこれで興奮していたら欲求不満が極まり過ぎている。

 

「はい、背中は洗ってあげたから後は自分でね」

 

 背中を洗い終わってからひなたはスポンジの泡を落としてルナの右隣に座って自分の髪の毛を洗い始める。流石にこのままやっていたら風邪を引きそうだった。

 ひなたが自分の無駄に長い髪に悪戦苦闘しながらも丁寧に洗っていると、ふとルナの視線が気になった。髪が泡だらけで余り目を開けられないが、薄く目を開けてルナを確認すると、ルナはどうやら左手の断面が気になっている様子だった。物珍しさを感じているのか、それとも別の事を考えているのかは分からないが、ひなたは一応聞いてみる事にした。

 

「気になる?」

「え、あ、別に気にならないよ?」

「にしては結構ジーッと見てるよね」

「気付いてたの?」

「これでも視線や気配には鋭いからね」

 

 魔獣や害獣を駆除して生きてきたのだから、視線の一つや二つは感じ取る術を覚えている。それを凄いと思ったのか、ルナは小さく歓声を上げていた。

 

「で、どうして気になったのかな? ちょっと気持ち悪かった?」

 

 ひなたの体は健常者からしたら異常そのものだ。腕が斬られた傷跡なんて見る機会は無い物だから、不快感や気持ち悪さを覚えるのは仕方のない事だ。ひなただって傷が塞がってすぐに見た時は自分の体の歪さに若干の不快感を覚えてしまったほどだ。

 気持ち悪いのならルナから離れる気だったが、ルナの言葉は予想外の物だった。

 

「その……痛くないのかな、って」

 

 痛くないのか。まさかそんな事を聞かれるとは思っていなかったため、ひなたは一瞬きょとんとしてしまったが、すぐにルナの言葉を理解して小さく笑った。

 

「大丈夫。痛くないよ」

「……ホント?」

「本当だとも。何なら、触ってみる?」

「い、いいの? 痛くないの?」

「痛くなんてないさ。もう傷は塞がってるしね。くすぐったいけど」

 

 自分でも体を洗うときは触ってはいるが、やはり元腕のあった場所を触るというのは変な違和感を覚えてしまう。それに、脇も肩と腕に守られる事無く剥き出しになっているため、触られるとやはりくすぐったいという感覚は出てきてしまう。

 髪の毛の泡を毛先から落としていると、ルナがそーっとひなたの左手の断面を触った。

 

「ひゃんっ」

 

 余りにもゆっくりと、そーっと慎重に障られたためか、こそばゆさとくすぐったさで思わず変な声が出てしまった。

 

「ひなたお姉ちゃんの声、可愛いね」

「か、からかわないでよ……」

 

 変な声が出てしまったのは不覚だった。ちょっと顔を赤くしながら髪の毛の泡を落として何度も洗い残しが無いかを確認してからリンスとコンディショナーを付けて洗い流す。その間もルナはずっとひなたの腕の断面を興味深く触っていた。

 ペタペタ、スリスリと小さな手が断面を擦り、くすぐったさで変な声が出そうになるが何とか抑えながらスポンジに新しくボディーソープを垂らして泡立て、自分の体を洗う。血に関しては髪を洗っている内にお湯で流れていったため、スポンジが赤く染まる事は無かった。

 

「あ、ひなたお姉ちゃん! 背中洗ってあげる!」

「そう? じゃあお願いしようかな。けど、その前にシャーレイ」

「んー?」

 

 全身泡だらけで少し離れた所で体を洗っているシャーレイに声をかける。

 

「髪の毛まとめてくれないかな。背中洗うのに邪魔だからさ」

「ちょっと待っててねー」

 

 シャーレイはひなたの言葉を聞いて体の泡を洗い流すとひなたの元まで歩いてきた。その際に歳の割には大きい胸が歩く度に揺れていたが、なるべく考えないようにした。直視もしないようにした。多分、直視したら色々と抑えられなくなる。

 シャーレイにタオルを渡して髪の毛を纏めてもらった所でルナがスポンジを片手にひなたの背中を洗い始めた。

 

「じゃあ、私は先にお風呂に入ってるね」

「ボクもすぐルナと行くから」

「はーい」

 

 シャーレイが自分のタオル片手に湯船に向かっていくのを確認してからひなたは自分の体をとっとと洗う事にした。もしもこれが傷だらけの体のままならルナが怖がって近寄ってくれなかったんだろうなぁ、なんて思いながらひなたは徐々に全身を泡でコーティングしていくのだった。




洗いっこの最中

ル「本当におっぱいちっちゃいねー」
ひ「子供って人の精神ガリガリと削っていくよね……」
ル「……えいっ!」
ひ「ひゃぁ!?」
ル「あ、裸だとちゃんと揉める!」
ひ「ちょ、ルナ、ここじゃダメっ」
ル「でもわたしとあんまり変わんないねー」
ひ「言、いながら揉まにゃいで……」
ル「どうしたの?」
ひ「ぁ、んっ、良い、子だから止め、ふにゃっ」
ル「ひなたお姉ちゃん?」
ひ「だ、だめ……ほんとにやめ……」
ル「あ、また先っぽが」
ひ「ほ、ほんとうにらめっ……な、なんかきちゃうからっ!」
ル「何が来ちゃうの?」
ひ「ら、らめ……も、もう――」



その後はご想像にお任せします

あ、R-18版を書いたらこういうあとがきのアレな話も細かく書くかもです

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