美城家の子供に転生!?   作:お菓子

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第6話 アイドルデビュー

 いよいよ待望のCDデビューが決まりPRとして初ライブと初仕事が決まった。 

 

 美城プロ初のアイドルであり父親から全力でバックアップしろと厳命のせいか、とてもアイドルデビューしたての仕事とは思えない内容である。

 

 場所は東京の346財閥が新しく作った新商業施設のオープニングセレモニーでのライブと司会助手である。 

 

 テープカットに参加しその後に様々なイベントを入れライブ、ラストは高級車が当たるビンゴ大会。

 

 想像を1段2段上がるどころか、天にまで昇ってしまった。 なぜいきなりA級アイドルなみの仕事をこなさなくてはいけないのかと和久井さんに問いただす。

 

 「和久井さん、この仕事は余りに大きすぎて僕の手には余ります。ここは小さなライブハウスで経験を積むというのはどうでしょう? この規模のイベントなら仕事をしたがるアイドルはいくらでもいると思いますけど」

 

 「ユキ君なら大丈夫、テープカットはただ切るだけだし、大きくても小さくても歌を歌うことは変わらないわ。 司会進行は別の人がやってくれるし、最後にビンゴ大会の司会を手伝うだけ。 万が一失敗しても美城のお膝元だから何とでもフォローできるわ、ねっ規模が大きいだけで大した事ないでしょ?」

 

 安心させる様にやさしく語りかけてくれる。

 

 うまいな本当に大した事ないと思えてきた。 不安だったのが笑顔になる。

 「ありがとうございます、何かやれる気がしてきました」

 

 不安が取り除かれたことがわかったのか和久井さんも笑顔

 「良かったわ、じゃ台本も届いているし本番に向けて練習と段取りしましょう」

 

 よし、本番までに気合入れなおすか! やる気にみちあふれて進みだす。

 

 

 

 

 

 やって来ました本番当日、流行り物好きな人からオープン割引目当てで来た人やら何万人という人・人・人の波が見える、ニュースで流す為にテレビ局からもスタッフが来て、それとは別にフリーのカメラマンまで来るのだからさすがだ。

 

 イベント開始前に新人らしく挨拶に行ったら司会は意外にも川島さんであった、わかるわ。

 

 驚きはしたもののアナウンサーがイベント司会をやるのは当たり前かと納得し早速挨拶する。

 

 「はじめまして美城幸高です、新人ですが今日はよろしくお願いします」

 颯爽と抱きしめようとして・・・襟を思いっきり引かれた。 後ろを見ると和久井さんが微笑みながら首を横に振っている。 さすがに他会社の人はまずいということか、小学生の頃だったらいけたのに無念だ。

 

 「川島瑞樹です、こちらこそよろしくずいぶん仲が良いのね」

 興味深そうに微笑んでくれる。

 

 「それは頼りになるプロデューサーですから」

 

 「信頼しているのね、わかるわ」

 

 まっすぐ言われるとちょっと照れるな、挨拶も終わり会場に移動する。

 

 

 美城の主要な重役連中も揃いオープニングセレモニーが始まった。 会長である父親が挨拶して、テープカットへ移る。

 

 川島さんが役職・名前を呼び一人ひとり壇上へ上がる。 父が呼ばれ、346財閥の主要なメンバーが呼ばれる、ライブの応援に来てくれた母と姉も壇上に上がる、次は僕が呼ばれる番。

 

 「最後に美城財閥ご長男にしてアイドルの美城幸高様」

 

 「はいっ!」

 

 壇上へ上がって見ればすごい人だった、ここで歌えるのかと緊張とワクワク感がある。

 

 「346新商業施設オープンです、どうぞ!」

 

 いつの間にか合図が来ていて急いではさみで切る。 クス玉が割れ音楽が鳴るこれでテープカット終了、一度裏手へ戻る。

 

 他のイベントである和太鼓パフォーマンスや早食い競争・ミニサーカスなどが開始され今のうちに衣装に着替えメイク直しをしてもらう。

 

 

 お客さんの流れはかなりの数が買い物へと施設の中に入っているような気がする。 イベントのメインは高級車が当たるビンゴ大会であってライブではない。 

 

 かなりの数のお客さんを想定していたけど、今から考えれば全然いなくてもおかしくはないかと考える。

 

 大丈夫一人でも聞いてくれる人がいれば全力で歌う、いなくても全力で歌う必ず満足のいくライブにしよう。

 

 数年間レッスンのみだった、小学生らしい遊びも学校でしかできなかった。 この時の為だ。

 

 いよいよ次が順番、舞台袖で待機する緊張はピークで手が震える。 そっと僕の手に誰かの手が添えられた。

 

 和久井さんがやさしく

 「大丈夫、ユキ君の歌もダンスもトレーナーが絶賛するレベルだわ心配いらない。 何より小さい頃からずっと見てきたからわかるわ大丈夫」

 

 うん、大丈夫震えは止まった。 最後に気合だ、和久井さんと近くにいるスタッフが円陣を組んでくれる。

 

 気合を入れて息を吸い込んで「さぁ伝説のはじまりだ!」 「オーーー!」 全員で上に手を上げる。

 

 

 前のイベントが終わり名前が呼ばれる、全力で舞台へ

 

 「みなさん! はじめまして美城幸高です。 今日はCD発売を記念して収録されている2曲を歌います」

 

 「聴いてください!(スピッ○で)チェリ○ そして (B'○で)ウルトラ・ソウ○!」

 

 

 

 キラキラしていた、すべてが輝いていた。 たくさんのお客さんが残っていてくれた、家族がいた、数少ない友人がいた、最前列になぜかうちわを持った本家のメイド隊がいて笑いそうになった。

 

 最初の歌で聴き入ってくれた、次の歌で熱が上がる最後のかけ声で熱狂が出来上がった。

 

 終わらなければいいのにと思うぐらい最高だった。

 

 「ありがとうございました!!!」

 

 大歓声が来た、音で空気が揺れた。

 

 

 

 

 ここで終わらせたかったが仕事はまだ残っている、このまま舞台に残り川島さんと一緒にビンゴの司会を始める。

 

 テンションが上がったまま説明開始 

「皆様お待ちかねのビンゴ大会! 各ショップからご提供いただいた景品と高級車が当たりますのでぜひ当てて下さいね」

 

 二人で一つひとつ冗談を交えながら景品説明。 

 

 「景品説明も終わったことだし、それではビンゴスタート!」

 川島さんの合図でビンゴが始める。

 

 ボタンを僕が押し、川島さんが番号を言う。 どさくさ紛れにビンゴカードを後ろに隠して極秘参加、川島さんにばれて怒られ笑いを取る。

 

 当たったお客さんから「ビンゴ!」と声が出たら川島さんと声を合わして「「ビンゴ!ビンゴ!ビンゴー!!」」と盛り上げる。 

 

 どんどん景品がなくなり、いよいよ最後の高級車も当たる。

 

 「おめでとうございます、見事高級車を当てた今日一番ラッキーな人です!」川島さんが楽しそうに声をだし、僕が笑顔で特大キーを渡す。 うれしそうに狂喜乱舞しながら客席へ戻り大盛況の中すべてのイベントが終わった。

 

 

 

 

 

 夕方になり夕日を見ながら余韻に浸っていると川島さんが隣に来てくれた。

 

 「お疲れ様、今日は大盛況だったわね」

 

 「お疲れ様です、川島さんのおかげですよ」

 

 余韻に浸っているのか少し沈黙が降りる。

 

 「ライブすごかったわね、アイドルって感じがしたわ」

 

 「もし、興味があるならこちらへ電話して下さい。川島さんにはアイドルが合ってると思いますし1度346プロへ遊びに来て下さい、大歓迎です」

 名刺を渡して微笑む。

 

 「ちょっと私には遅いような気もするけど考えとくわ、それじゃまた」 

 ウィンクしながら離れて行く。

 

 

 いつまでたっても来ない僕を迎えに姉も来てくれたことだし帰るか。 

 

 「遅いぞ、幸高さっさと帰るぞ」

 

 「うん、今行くよ」

 

 「今日は凄かったよ、良くやった」

 手を繋いでくれる。

 

 うん、今日は本当にいい1日だった。 姉の手の暖かさを感じつつ静かに歩き出す。




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 最近の曲はあまり詳しくないので、基本的に90年代周辺の曲を使っていく予定です。

 曲とアイドルが合ってないということがこれから起こると思いますので、その時は自分が合うと思う別の曲も歌っていると脳内補正でお願いします。

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