美城家の子供に転生!? 作:お菓子
無事家族からの了承も得たいざ、即デビュー! キラキラした世界が僕を待っている!!
・・・とは残念ながらならなかった。
応接間に座りながらメイドが入れたミルクティーをゆっくり飲んでいる。
「会社からの方針が決まったからよく聞きなさい」
ワクワクドキドキしている所に冷や水が浴びせる内容であったが
「デビューは中学生になってから、それまではアイドル候補生として徹底的にアイドルとしてのレッスンを受けてもらう、そして曲もできるかぎり考えてストックしておく事」
ですよね~、うんわかってた。
なぜなら残念なことに神様チートはもらえなかったからだ、仕事しろよ神様! とも思うが地道に歌やダンスレッスンをするのは大事な事、子供の内から数年間みっちりレッスンすれば1流になれるだろう。
作詞は忘れない様に早いうちから書き写していたから問題ない、作曲はプロに鼻歌を聞いてもらって音にしてもらうのがいい。
今はコンピューターで鼻歌から作曲もできるらしいが、やはりこちらが意図した細かい音を聞き分けるのは人だよな。 作曲のプロにお願いするには失礼かもしれないがこれも仕事、美城の七光りパワーでやってもらおう。
「わかりましたお父様、レッスンは屋敷でやるのでしょうか?」
「いや346プロダクションだ、屋敷でもレッスンができるように一部部屋の改築もするつもりだがな」
それを聞いた瞬間テンションマックス!! 基本的に屋敷と小学校を車で往復しか許されなかったがいよいよ346プロダクションへ行けるのか、いてもたってもいられない立ち上がり。
「お父様、すぐ行きましょう!」
息子のテンション上がった顔見て、満面の笑みを浮かべながら
「待ちなさい、ここからは別な人に説明してもらうから」
「?」
とりあえず、落ち着こうと座り直す。
「友人の娘さんがわが社に新入社員として入ってきてな、本当なら本家のメイドをした後に秘書にでもしようと考えていたがちょうどいいタイミングだ、信頼もおけるし一緒に成長してほしいという意味もこめて幸高の専属プロデューサーにすることにした」
なんと武内Pでないということか無念だ、七光りパワーで今西部長でも良かったのだが娘さんということは女性だろう、かわいい息子相手にハズレを寄越すことはないだろうが少し緊張もしてくるな。
「さぁ、こちらにお連れしなさい」
父の声にメイドが一礼してプロデューサーを呼びに行く。
待ってる間ミルクティーを飲みながら「そんなプロデューサーで大丈夫か?」 「一番いいのを頼む」 心の中遊んでいるとトントンとノックの音が響いた。
「失礼いたします、プロデューサー様をお連れいたしました」ドアが開いてメイドの後に颯爽と入ってきた人を見た瞬間言葉を失う。
見本の様な丁寧なお辞儀をした後
「はじめまして本日より美城幸高様の専属プロデューサーになる和久井留美と申します、よろしくお願いします」
若い分ほんのちょっと幼く初々しい感じだが間違いなく和久井さんだった、意味がわからなかった本来彼女は美城の秘書ではなかったはずだが。
驚きながらもやることは1つこのチャンスを逃さない、素早く立ち上がりダッシュで抱きつき上目遣いで天使の微笑み。
「はじめまして美城幸高といいます。 会えてうれしいです、よろしくお願いします」
戸惑っている顔がかわいすぎて死にたくなる、さわやかで甘い匂いを感じつつ。 セクハラと思われる前に離れる完璧なヒット&アウェイ。
「あぁ、言うのを忘れていたが幸高は抱きつくのがクセみたいになっていてな、直そうとしても直らないから困ってもいるのだがよろしく頼むよ」
「はっ、はいわかりました」
混乱しつつも素直に返答している。
「では私も仕事に戻らなくてはいけないからな、大変だと思うが負けるんじゃないぞ」
「はい、いってらっしゃいませお父様」
手を振る僕に満足そうな顔で父は応接間から出て行った。
気を取り直したのか
「では幸高さま、早速ですが346プロへご案内いたします」
まだちょっと固い感じがするな。
「わかりました僕のことはユキか幸高と呼んでください、呼び捨てでいいですよ」
笑顔で対応する。
子供らしい笑顔で返答したのがが良かったのか和久井さんも微笑んでくれる。
「じゃあ、ユキ君ね」
「はい、和久井さん」
二人で笑顔を交わしてフフッと笑いあった。
応接間を出てから運転手が待つリムジンまでの移動だが子供特権発動と手をつないで移動する、やわらかくすべすべした手だなとニマニマしてしまう。
和久井さんがプロデューサーなのも案外当たりかも、優秀な秘書のはずだし346プロで色々助けてもらうなら忙しい武内Pより専属の方がフットワーク軽く動けるしね。
これから行く346プロも楽しみだし期待が広がるばかりだ。