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「ふふ、君の戦い方はここまでの試合で見てきてるからね。 対策は立ててあるよ」
「言ってろ! 『飛沫』!」
俺はリューネハイムの周りの水を操り、水飛沫の弾幕を食らわせる。
「・・・マジかよ」
今までの試合ではこれで決着が着いていたのだがリューネハイムに傷はおろか、光の壁に罅すら入らなかった。
(嘘だろ!? 確かに『飛沫』は牽制程度の技だが、それでも中々の威力はあるのに無傷かよ!)
「少し周りの水が厄介だね。 これでどうかな?」
リューネハイムのその言葉に俺が警戒を強めると、
「渇ききった大気よ 潤いを求め 周囲の恵みを全て吸いとれ 恵みを与えた恩人へと 痛撃を以て 仇と為せ」
「なっ!? か、『間欠泉』!」
なんとリューネハイムは、俺の『漣』の水を全て吸いとり、その水を凝縮してこっちに射出してきやがった。
そんなことされるとは思ってもいなかったので『漣』に大量の水を使っていたのが仇となり、とんでもない威力となったその攻撃を止めるのに今まで温存していた技の一つを使わされてしまった。
『間欠泉』は《
俺が指定した範囲に地面から高温の水を勢いよく噴き出させるという技で、使用する《星辰力》の量を増やせば広範囲攻撃も可能だ。
(ちっ! 先に手札の一つを切っちまったか・・・なら、今度は接近戦で出方を見る!)
瞬時に思考を切り替えプランを練り、片手剣型の煌式武装を起動させ真っ正面から突っ込む。
当然迎撃してくるリューネハイムの銃撃を掻い潜りながら目の前まで接近し、
ガキン!!
振り上げた俺の片手剣型煌式武装と振り下ろされたリューネハイムの銃剣一体型煌式武装が激突した。
「はあぁぁ!」
「らあぁ!」
エルネスタを倒す為に筋トレも欠かさず行い、男である俺なら力負けすることはないだろうとタカを括ってたが、予想外というべきか流石は《序列一位》というべきか、リューネハイムはこの細腕のどこにそんな力があるんだと思うくらいの剛力で俺と拮抗していた。
「我が後方に光あ・・・」
「『荒滝』!」
俺とリューネハイムほぼ同じタイミングで次の手を繰り出す。
だが、歌を唱わなければならないリューネハイムより、イメージが固定され、コマンドが少ない此方の技の方が早かった。
「…っ!」
リューネハイムの上空から多量の水が絶え間なく流れ落ち、思惑通りリューネハイムから次の一手と呼吸を奪う。
(どうだ、呼吸できなきゃ歌も歌えないだろ?)
リューネハイムは抜け出そうもがくが、圧倒的水量でまともな身動きがとれないでいる。
『荒滝』、その名の通り指定した範囲に高い威力の滝を生み出し、敵から身動きを奪う強力な技だ。
欠点は《星辰力》の消費が激しいことと、範囲は変更できないうえ、発動までに時間がかかるので相手から回避されやすいから発動のタイミングを見計らわないとただの無駄撃ちになってしまうということだ。
(よし、このまま抜け出される前に校章を・・・)
ドパン!
「水よ霧散せよ!」
「えっ?」
その言葉が紡がれると同時に操っていた水の感覚が無くなるのを感じた。
それと同時にリューネハイムが高速で接近してきたため、一瞬の隙ができてしまっていた俺はまともにできなかった防御もすぐに崩され、至近距離からの大砲とも言える砲撃を食らい、闘技場の壁まで吹き飛ばされてしまう。
「が、ガハッ!」
受け身も取れずに壁にめり込んだ俺は、衝撃から堪らず肺の中に溜まったいた酸素を全て吐き出してしまう。
そのまま呼吸が整うまでしばらく咳き込み、呼吸を落ち着け、壁からなんとか抜け出すと、目の前に影がさした。
慌てて顔を上げると、そこには全く目が笑っていない笑みでこちらを見つめているびしょ濡れのリューネハイムの姿があった。
(・・・やばいな、これって俺死ぬんじゃね?)
全く言葉を発さずに攻撃すらしてこないリューネハイムを見て、俺は得体の知れない悪寒が身体中を走った。