やはり彼に研究は向いていない   作:かんごりん

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 投稿遅れて本当にすいません!
 ちょっと忙したかったので書く暇がありませんでした。


異名

 エルネスタのせいで無駄な体力消費をしてしまった俺は少し疲れた体に糖分を求めて購買へと赴いていた。

 購買にある自販機を目にし、内心で少しテンションが上がり、嬉々として目的地へと一歩踏み出したところで俺の足はピタッと止まることになった。

 

 (はっ?)

 

 “そいつ”を見た瞬間思わず声が出そうになったが、何とか胸中で留める。

 目をこすったり、首を振ったりしてこれが夢や幻覚の類であるというありえもしない考えを抱くが、何の問題もないのでやはり現実で間違いないようだ。

 だが、普段なら絶対にありえないと思うようなことを一瞬だけでも俺が考えてしまったことも仕方ないと言えるだろう。

 大好物のマッ缶を目の前にした俺の足が止まるくらい、苦手度で言えばさっきまで俺に散々嫌がらせしていた“あの”エルネスタよりも苦手な奴が見えたからだ。

 

 (・・・なんであいつがここにいるんだよ)

 

 思わず内心で悪態をつきながら俺は奴を見据える。

 すると、何の前触れもなくこちら側を向いた奴はさも今気づいたかのような態度をとりながら、不気味に笑ってこちらへと近づいてくる。

 

 「おや? これはこれは《海宴の魔術師(エーギル)》の比企谷八幡氏ではないですか。 きしし、こんなところで奇遇ですねぇ」

 

 「何の用だよ《大博士(マグナム・オーパス)》

 

 目の前の女の名はヒルダ・ジェーン・ローランズ、『アルルカント・アカデミー』創立以来の天才と言われ、俺が今そう呼んだように『六花』ではその名を知らない者などいないとまで言われる《大博士》という異名を持っている。

 特徴は白衣をその身に羽織い、翡翠色の髪をビッグテールにまとめ、アメジストの色の目に眼鏡をかけているところで、この女は《星脈世代(ジェネステラ)》を人類が進化した姿であり、《魔術師(ダンテ)》と《魔女(ストレガ)》はその最たる例であるという思想を持っている。

 もちろん、ただその思想を持っているだけならそんな大それた異名は付かない。

 この女に《大博士》という異名が付いた最も大きな理由は残忍且つその冷酷な冷酷な性格で《星脈世代》でもないただ女性を《魔女》へと変える実験をしたことだ。

 誰も成功するはずのないと思っていたその実験はなんと成功し、今ではその女性は最強の《魔女》になっている。

 

 

 ・・・女に負けるっていうのは男として恥ずかしいことだが、俺もそいつだけには《王竜星武祭(リンドブルムス)》で勝てなかった。

 

 

 そして、奴が俺のことをそう呼んだように不本意ながら俺にも《海宴の魔術師》という二つ名を持っている。

 二つ名とは、ただの《星脈世代》であれば付けられている人物の戦闘スタイルなどで、《魔術師》や《魔女》であれば使う魔術の属性や特徴を元に《~~の魔術師》や《~~の魔女》という風に名付けられる。

 俺の《海宴の魔術師》という二つ名も俺が水を操る《魔術師》だからというのが基になっている。

 最初の方こそ俺は厨二病っぽいと嫌がっていたが、今では慣れてそこそこ気に入っている。

 そんなことを考えていると、ふと、ある考えに思い至った。

 

 

 ・・・そう言えば何で《海宴》になったんだっけな?

 

 

 (俺が操る属性は確かに水だ。 少し言い換えて海にするのは分かるが何で宴が付いたんだだったかな)

 

 そう考えてから少し当時を思い出す俺。

 少なくとも目の前にいるこの女のことは完全に頭の中から抜け落ちていた。

 

 (確かリューネハイムと戦った辺りだったかな・・・)

 

 




 次回はまた回想編です、最後の方で気づいた方が多いでしょうが、来週まで待ってください。

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