やはり俺の妹が可愛いのは間違っていない。 作:詩音〈シオン〉
スタートです!
一話目
夏休みのある日。俺はいつもどうり勉強に時間を当てていると、ガチャりと珍しくドアの開く音がした
「あんた今日直葉の応援行かないの?最後の試合になるかもしれないんだよ?」
「行かねぇーよ。だいたい、俺なんかに応援されるより、母ちゃんに応援された方が直葉も喜ぶだろ」
今日は俺の妹、比企谷直葉の全国ベストベスト八をかけた試合があるらしい。
俺が素直にそう言うと、母ちゃんは呆れたようにため息を吐き
「あんた達昔は仲良かったのにね.....」
俺はこればかりはすぐに反論した
「昔と今じゃ、話が違うんだよ。俺と直葉じゃ、見てる世界が違いすぎる。あいつの見てる世界は俺には眩しすぎるんだよ」
「ホントにあんたは.....。それより、さっさと着替えてちょうだい。五分しか待たないからね」
「いや、俺は行かな」
「待たないからね?」
無言の圧力
「い、イエス」
俺は五分もかからずに着替えを済ませた
ーーー
電車で三十分程度。そこにはデカイ体育館がある。俺と母ちゃんは体育館のドアを開けた。熱気、声援、迫力。全てにおいて久しぶりの感覚だった。俺はすぐに椅子に座ると母ちゃんもすぐ横に座り
「久しぶりだね、あんたと剣道の試合見るのは」
「そーだな」
母ちゃんは覚悟を決めたような顔で俺を見て
「八幡.....もうホントに剣道しないのかい?」
「.....する気はねぇーよ」
「そうかい」
「そうだよ」
母ちゃんは一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐに前を見て
「直葉出て来たよ!!」
「そーだな」
俺と母ちゃんはすぐに前を見る。直葉が入場した。試合が始まる前、この静寂。久しぶりの妹の剣道の姿を見て、少なからずの緊張感が芽生えてしまう。
そして、試合が始まった。相手もここまで残った強者で直葉は攻めきれずにいた。しかし、スピードとパワーで自分のリズムをつかみ、最後は接戦ながらも勝利を収めた
「八幡!!直葉勝ったわよ!!今日はご馳走ね!」
「へいへいそーだな」
「それじゃあ直葉のところ行くよ!!」
「ちょ、落ち着け母ちゃん!!」
俺は母ちゃんに手を引かれ直葉のところまで引っ張られた
ーーー
「直葉ーー!!」
「あ!お母さん!!」
直葉は自分の部活仲間と話をしていたが、母ちゃんに気づいたのか、走って母ちゃんのもとに来た。俺は少し離れたところでその光景を見ていた
「お疲れ様!!あんた頑張ったわね!!」
母ちゃんは直葉の頭を撫でる、撫でるというよりぐしゃぐしゃにする感じだ
「えへへ!ありがと!!お母さん」
「今日はご馳走だよ!!あ、それとさっさとこっち気な、八幡」
「えっ!?お兄ちゃんが.....!!」
俺はしぶしぶ直葉と母ちゃんのもとに歩いた
「よ、直葉。おめでとさん」
「う、うん。ありがとお兄ちゃん」
俺と直葉は少し気まずい雰囲気が流れた。家では会うものの顔を合わせる程度で会話などは久しぶりで、何をいえばいいかわからなかった。ったく.....今日は素直になるか
「ま、家に帰ったら、試合の話してくれよ」
俺がそう言うと、直葉はパァーと満面の笑みを浮かべて
「うん!!」
「おう、それじゃあまた家でな。母ちゃん行こーぜ」
「はいはい。それじゃあ直葉!!家に帰ったらいっぱいご馳走作っておくからね!!」
「うん!!ありがと!!」
俺は背を向けて足早とその場を後にした
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直葉スタートです!
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