真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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黄巾の乱終結

「初めまして。張三姉妹の皆さん。俺は董卓軍第三師団師団長の沖田吹雪。巷では天の御使いって呼ばれている。」

 

吹雪の母である呂布である恋の攻撃で、張三姉妹が率いる黄巾党本隊は壊滅し、3人は恋から逃げるため、国境へと走るのだったが国境目前についたときに目の前にその位置を予測していた吹雪隊が、3人の前に立ちはだかったのだ。

 

「あ、あの人が枯れ草色の天の御使い・・・・・」

 

と、人和は驚きながらその言葉をつぶやく。人和は以前のライブの時、変質者から姉である、天和を助けた人物が吹雪だとことをはっきり覚えていた。その時、彼が持っていた九九式小銃を見て彼があの天の御使いの一人である沖田吹雪ではないかとずっと思っていた。そして今その疑問が現実となったのだ。

 

「・・・・・私たちを殺しに来たのですか?」

 

天和が恐る恐る聞く。それはそうだ。官軍の将である吹雪の目の前にいる三人は、討伐命令が出ている黄巾党の首領。さっきの呂布もそうだが、きっと彼も自分たちを殺すに違いない。そう思っていた。

だがしかし、吹雪の口から意外な言葉が飛び出す。

 

「何を言っているんですか?なぜ、旅芸人であるお三方を殺さなくてはいけないんですか?」

 

「「「え?」」」

 

吹雪の言葉に三人はポカーンと口をけるのだった。そして気を取り戻したのか地和が。

 

「いや、だって。あんた達、私たちが誰だか知ってるんでしょ?私たち黄巾党の首領だよ!?」

 

「ちょっ!ちぃ姉さん!?」

 

地和は少しパニックになっているのか、自分の正体を言ってしまう。それを聞いて人和は青ざめながら地和に言うが、吹雪は笑って

 

「はははっ!何を言っているんですか?黄巾党の首領の三人、”張角” ”張宝” ”張梁”は報告を聞いたところ、呂布殿に黄巾兵もろとも殺されたと聞きます。私がここに来たのはその首領三人に捕らえられた旅芸人である張三姉妹の天和、地和、人和の三人を保護せよっという命で来たんですよ?」

 

「え?」

 

その言葉に人和は驚いた。

 

「あなた、何を・・・」

 

「まあ、ここではなんです。一度私たちの天幕で話しましょう」

 

「・・・・分かりました」

 

三人はもしここで断って、無理にでも国境を越えようとしたら殺されると思い込み、素直に吹雪たちのもとについていくのだった。

三人が、吹雪の天幕の中に入ると、そこにいるのは吹雪を含め、斗志、桜花、川内、夕張、星、アンチョビ、雪風、志乃といった、吹雪隊幹部の人たちだけがいた。その他の兵は、天幕にいる二人の憲兵を除き、みんな負傷した自軍の兵や黄巾党の兵たちの治療や、食事などを提供したりしていた。一方、吹雪の母親である恋はすぐ近くにいたが、自分が吹雪の天幕に入ると三人が怖がってしまうということで気を利かせて今、外に出ている。

 

「さて・・・ここなら話せるでしょ?」

 

吹雪の言葉に人和は糸が切れたように喋りだす。

 

「・・・・なぜ、あんなこと言ったんですか?本当は知っているはずなんでしょ?」

 

「ん?何がですか?」

 

「いや、だから私たちが、黄巾党の首謀者である。張三姉妹って気づいているのに何で保護したりしたのよ!!」

 

地和がすごい剣幕で言う。本当は殺されてもおかしくないのになぜ彼は私たちを保護した、彼の考えが理解できなかった。

吹雪はふぅーと息を吐くと・・・

 

「確かに、あなたたちが黄巾党の首謀者である三人だというのはすぐにわかった」

 

「だったらなぜですか!?」

 

人和はその疑問を吹雪にぶつける。

 

「お前たちのファン・・・・捕虜となった黄巾兵たちに頼まれたんだよ」

 

「え?」

 

「『天和ちゃんたちを殺さないでくれ。三人はただ歌を歌って俺達に生きる希望を与えてくれただけなんだ。悪いのは勝手に暴動を起こした俺たちなんだ。だから俺たちはどうなっても構わないから、あの三人を救ってくれ』って涙を流しながら全員が俺に行ってきたんだよ」

 

そう、俺たちが荊州に向かう前、捕虜だった黄巾兵たちが俺のところに来て、全員涙を流して張三姉妹の命を助けてくれって言いに来ていたのだ。

 

「みんなが・・・・」

 

天和は感激のあまり目に涙を溜めてそういう

 

「そういうわけだ。だが、張角、張宝、張梁の名前は消してもらうよ。もし三人が生きていたらまたこのようなことが起きてしまう。」

 

 

「名前を捨てるのですか・・・・」

 

「ああ、幸いなことに三人は名は有名だが、顔はおそらく俺達しか知らない。志乃、あれを」

 

「はい」

 

 

そういい、志乃は三人に三枚の紙を渡す。それは張三姉妹の人相書きなのだが・・・・

 

「えー。お姉ちゃん、こんな怪物じゃないよー。」

 

「何で私の頭に角が生えてるのよ!!」

 

「これは・・・・」

 

身長3メートル、髭モジャ、腕8本、足が5本、角シッポ付き。まるで映画に出てきそうな怪獣みたいな姿だ。

 

「っと、いうわけだ。だからその点に関しては心配しなくていい」

 

「・・・・それでこれから私をどうする気なの?」

 

人和は警戒し震えた声で訊く。すると・・・・

 

「それなら問題ないわ」

 

「「「っ!?」」」

 

すると、天幕から華琳が入ってきた。実は、吹雪が三人を保護してから30分後、華琳の軍と合流し、討伐軍総司令でもある華琳は吹雪の天幕のそばでずっと話をこっそり聞いていたのだ。まあ、そのことは吹雪たちはとっくに知っていたのだけど・・・

 

「あなたは・・・・曹操」

 

「あら?黄巾党首謀者の張三姉妹が私のことを知っているなんて光栄ね」

 

「おう、華琳。今の話聞いていたのか?」

 

吹雪は苦笑しながら華琳に言う

 

「ええ、で、三人に言うけど世間の目なんてこんなものよ」

 

「・・・・何が言いたいの?」

 

「話が早いわね。じゃあ、単刀直入に言うけど、私はあなたたちの生存を黙っていてあげてもいい、と言っているのよ。」

 

「どういうこと?」

 

「あなた達の人を集める才覚は相当なものよ。それを私の為に使うというなら、その命、生かしてあげても良いわ。」

 

「・・・・・目的は?」

 

「ちょっと、人和!」

 

「私が大陸に覇を唱えるためには、今の勢力では到底足りない。だから、あなた達の力を使い、兵を集めさせてもらうわ。」

 

「その為に働けと?」

 

「ええ。活動に必要な資金はこの曹操が出してあげましょう。活動地域は・・・そうね。私の領内なら、自由に動いて構わないわ。通行証も出しましょう。それでいいかしら吹雪?」

 

「ああ、別に問題はない。お前なら三人を悪いようにはしないからな」

 

「あら?結構私のことを信用しているみたいね?もしかしたら三人にひどいことするかもしれないのよ?」

 

「伊達に数か月、お前の客将をしていたわけじゃないからな。それにお前がそんな非道なことができないのも知ってるしね」

 

「ふふっ・・・・さすがだわね。吹雪・・・」

 

と、華琳は妖艶な笑みで吹雪に微笑む

 

「ちょっと二人だけ何わけのわからない話をしているのよ!つまり、それじゃ、私達は好きな所に行けないって事じゃない!?」

 

「待ってちぃ姉さん。」

 

「何よ。」

 

「曹操。あなた、これから自分の領土を広げる気なのよね。」

 

「それがどうかした?」

 

「それは私達が旅できる、安全な所になるの?」

 

「当たり前でしょう。平和にならないのなら、わざわざ領土を広げる意味はないわ。」

 

華琳はそういうと人和が吹雪の方を見る。すると吹雪は

 

「大丈夫。華琳なら、三人を悪いようにはしないよ」

 

と、安心させるように人和に言うのだった。

なぜ、吹雪が張三姉妹を自分のとこに保護しない理由は、反董卓連合のことだ。自分がこの外史に来て歴史が変わっているっと思っていたが、真実は違えど「黄巾の乱」が起こってしまった。もし万が一、史実通りに反董卓連合戦争が起きてしまったら、保護した三人がどんな目に合うかはわからない。もしかしたらひどい目にあう可能性がある。だから吹雪は三人を信用できる華琳に保護させたのだ。そのほうが安全だからだ。

 

「分かったわ。その条件、飲みましょう。その代わり、私達3人の全員を助けてくれる事が前提。」

 

「問題ないわ。決まりね。それでいいわね吹雪」

 

「ああ、俺も異存はないよ」

 

「ちょっと人和!何勝手に決めて・・、姉さんも何か言ってやってよ!」

 

「えー。だってお姉ちゃん、難しい話ってよくわかんないし・・」

 

「あーもう役に立たないわね!」

 

こうして、なんだかんだで張三姉妹は華琳のもとで保護されることになったのだ。

俺はその後、自分の天幕に戻り、黄巾の乱の報告書を書いていた。すると・・・・

 

「吹雪?いる?」

 

「あ、母さん」

 

母さんが天幕に入ってきた。そういえば母さんと二人っきりになるのは久しぶりだな。

 

「母さん。ねねは?」

 

「ねねなら、私の天幕でねている」

 

「そう・・・・」

 

「・・・・吹雪。今回はお疲れ様・・・」

 

「ああ、母さんもね」

 

俺と母さんは互いの顔を見てほほ笑む

 

「吹雪。あの三人を曹操に・・・・渡してよかったの?」

 

母さんは俺が張三姉妹を保護したのを知っている。だが、母さんはそのことを黙っていてくれた。

 

「ああ、華琳なら、あの三人を渡しても問題ないからね。」

 

「・・・・・そう」

 

そういうと母さんは何も言わない

 

「吹雪・・・・・・」

 

「なに?母さん」

 

「今日私の戦い方を見て、怖かった?もしかして恋のこと嫌いになっちゃった?」

 

と、母さんは悲しそうな顔で俺を見る。どうやら先ほどの戦いのあまりの強さで俺が母さんのことを怖がってしまったのか心配しているみたいだ。だけど母さんが強いというのは前から知っていたのでそんなには気にしていない。

 

「何を言っているんだよ母さん。どんなことを言われても、どんなに強くても。母さんは母さんだよ。嫌いになるはずないじゃないか。だから心配しないで」

 

俺は母さんの目を見てそういう。それを聞いた母さんは少し涙を浮かべて

 

「ありがとう。吹雪」

 

と、満面の笑みを見せるのだった。やっぱり母さんは笑顔が一番似合うな。

しばらく俺は母さんと話をしていた。思えばあまり話とかしていなかったしな。1時間ぐらいだろうか、しばらく話すと母さんは、天水に戻る準備があるからっと天幕から出て行ってしまった。

 

「さて・・・・報告書も書き終わったことだし、外の空気でも吸うか」

 

そういい俺は外に出る。周りは暗く、ただ星の輝きがあたりを照らす。現代だとこういう景色はなかなか見られない。

 

「きれいな星だな。東京じゃなかなか見られないよ・・・・」

 

俺はその星を眺める。すると・・・・

 

「あ、あの・・・」

 

誰かに声をかけられ吹雪は後ろを振り向く。そこには・・・・

 

「ん?あなたは張角さん?何でここにいるんですか?」

 

「天和でいいよ……実はあなたに会いたくて」

 

実はあの後、三人は命を救ってくれた礼に俺に真名を預けてくれたのだ。

 

「俺に?」

 

天和の言葉に俺は首をかしげる。

 

「はい。ご迷惑をおかけしました。そして、ありがとうございました」

 

「……へっ?」

 

「初めて舞台で会って暴漢から助けてくれた時、そして、今、私達の命を助けてくれました。本当になんて礼を言えばいいのか」

 

彼女は深々と頭を下げてそういう

 

「礼を言う必要はありませんよ。それに俺ははただ、目の前で人が悲しい思いをするところ見たくない。だから俺は君たちを助けたかった。ただそれだけだよ」

 

頬をかきながら、苦笑して言う吹雪。

 

「……それでも、私達を救ってくれたのは確かです。本当にありがとうございました!」

 

また頭を下げる天和。頭を上げた彼女はは、吹雪をまっすぐ見つめる。

 

「これを機に、私たちはもう一度、一からやり直してきます。もし、また舞台に出られる様になったら…………吹雪さんその時は見に来てくれますか?」

 

天和は恐る恐る吹雪に聞く。吹雪はしばらく目を閉じ、そして

 

「ああ、見に行くよ。その時は楽しみにしてるよ」

 

「は、はい!////」

 

吹雪は不適な笑みでそう答えると、天和は顔を赤くして答える。

 

「天和?どうしたんだ。顔が赤いよ?」

 

吹雪がそういった瞬間、天和は右手を前に出してきた。吹雪は握手かなんかと思いその手を握る。

すると・・・・・

 

「えいっ♪」グイッ

 

「え?うわっ!」

 

いきなり引っ張られて吹雪は体勢を崩す。そして・・・

 

チュッ♪

 

「へ?」

 

天和は吹雪の頬に熱いキスをするのだった。いきなりのことに吹雪の思考は一瞬止まる。

 

「あ、あの・・・・天和さん。これは?」

 

「ふふっ・・・これはお礼よ♪またどこかで会いましょ吹雪♪」

 

そういい天和は手を振って吹雪と別れた。その間、吹雪はボーとしていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてて・・・・斗志の奴、本気で殴ることないじゃないかよ。俺がなにしたんだよ・・・・」

 

天幕に戻ったら、偶然その現場を見ていた雪風の話を聞いて焼きもちをていた斗志に一発殴られ、志乃には冷たい目線を見られた。、今吹雪はまた天幕を出て、そばにある大きな岩に腰を掛ける。

 

「まあ、結果はどうであれ、あの3人が無事でよかったな・・・」

 

そう思いにふけっていた。

すると・・・・・

 

 

 

「・・・・・ごほっ!ごほっ!ごほっ!」

 

と、陳留にいた時に起きた咳がまた出始める

 

「また咳か・・・・・陳留にいて以来、一度も起こんなかったのに・・・・・ゴホッ!ゴホッ!ゴホッ!!」

 

さっきよりも咳が激しくなり吹雪は口を押えてしゃがみ込む。すると・・・

 

ビチャッ・・・・

 

急に手に生暖かい感触がした。吹雪は抑えていた自分の手を見る

 

「これは・・・・」

 

その手は赤く染まっていたのだった。

 

 

 




はい。今回で黄巾の乱終結です。次回は天水での日常を書きたいと思います!
感想やアイデアなんか楽しみにしています。

アン「あの・・・・」

作「あ、はい。なんでしょう。アンチョビさん」

アン「私の出番は?」

作「・・・・・すみません(土下座)」

アン「おい!謝るなよ!百人隊長の私の勇士は「ドゥーチェ、参上!」みたいな場面は!?」

ぽんっ

アン「ん?誰だ。私の肩を叩くのは?」

白蓮「同志アンチョビよ・・・・・私なんて名前すら出てなかったんだぞ((涙目)」

アン「‥…すまん」





次回もお楽しみに

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