真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~ 作:疾風海軍陸戦隊
「うわぁー、これが長江か!!でっけー!!」
吹雪一行は孫尚香のふるさとであり、目的地である長江へとやってきた。初めての長江に川内ははしゃぐ。
「確かに大きいですね。これが川なんて信じられません」
「確かにな。ローマでもなかなか見れない景色だ」
「どう驚いた凄いでしょ」
「たしかにすごいけど・・・別にお前が威張ることはないな。」
「あー、この景色を見ると『帰ってきたー!!』って気になるわね」
「『帰ってきたー!!』はいいが大丈夫か尚香?」
「何が?」
「いや、何がって、お前確か家出したんだよな。戻る気になったはいいが、帰ったら叱られるんじゃないか?」
「何言っているの?このシャオさまは孫家で一番、愛されている姫なのよ!!帰ってきて泣いて喜ばれはしても、怒られることなんて絶対にないわよ」
シャオは胸を張って言うが・・・・・・
「まったく!!貴方は何を考えているのですか!!孫家の姫君が供を連れずにいなくなるなんて、皆がどれほど心配したかと・・」
「あの・・・孫静叔母さま・・・・それについてはシャオにもに言い分が・・・・」
「そんなものはありません!!だいたい貴方達は・・・」
見事に怒られているのであった。そして、孫家の姿を見て吹雪たちはあることに気が付いたのだった。
「おい吹雪・・・・あいつらみんなへそを出しているな・・・・」
「そうだな。川内。これは一種の家の伝統ではないか?」
「確かにな。うちの知り合いにも変わった伝統持った奴がいるし・・・」
「別に尚香さんが残念な子だなのではなかったのですね」
とお互いに円陣を組んで話すのだった。
「伯母上、もうそのくらいで・・・」
「ですけど、孫策」
「それ以上叱りつけたらまた家出をしかねませんぞ」
「う、うむ・・・・お前がそう言うのなら・・・・」
孫策の説得に孫静は説教を辞める
「沖田吹雪とやら、妹が世話をかけたようだな」
「本当に世話が焼けたよ」
「お、おい!川内!?」
川内の発言にアンチョビが注意する
「ふふっ・・・・そうでしょうね。同情するわ」
「ちょっ!雪蓮お姉さま、ひっどーい!!」
「「「プッふふふ」」」
あまりにもおかしかったのかみんなは笑うのだった。
「沖田、司馬懿、アンチョビーナ、張済。江東の孫家はあなた方を歓迎するわ。ゆっくりしていってちょうだい」
そして今夜は4人の歓迎会をするのだった。
翌日・・・・
翌日。孫策はテラスでくつろいでいた
「うーん!!」
そこへ周喩がやってきた
「まだ、眠そうね」
「昨夜はちょっと飲みすぎたから」
「沖田殿とかなり話が弾んでいたそうですが」
「そうね、なかなかの腕だわ。それに周喩、気付いているんでしょ彼のこと」
「はい。まさか彼が枯草色の御使いで、董卓に仕えている天水警邏隊隊長の沖田吹雪だとわな。」
「ええ、てっきり、いかつい男かと思っていたけど。結構女の子みたいで可愛い顔をしているじゃない。ねえ、冥林・・・・・」
「分かっている。天界の血を孫家に入れるつもりだろ?」
「大当たり~孫家に天の御遣いの血が混ざれば孫家は安泰だと思うのよ♪」
「はぁ~しかし、彼は董卓に仕えているんだぞ」
「そんなことわかっているわ♪ で、その客人達はどうしているの?」
「はい。既に朝食を済まされ、沖田殿と張済殿とアンチョビ殿は尚香さまと山の狩り場へ・・・」
二人は山の方を見た
「誰かつけてあるの?」
「案内役として甘寧を・・・」
「そう、ならいいわ」
「司馬懿殿は書庫を見たいと申されたので、陸遜が案内をやっています」
「ふーん。そう言えば彼、肩に変な棒を持っていたわね。」
「恐らく、あれが雷鳴を轟かす兵器か・・・・しかしあれがそうには見えないがな・・・」
書庫では志乃と陸遜がいた
「すごいわ。こんなにたくさんの書物、始めて見ました」
「政や軍略に関する物はもちろん、農工、天文、史書、暦、あらゆる書物がここに集められているのです」
「もしかして陸遜さんはこれを全部読まれたのですか?」
「ええ、私、書物が大好きなんです」
「私もです。」
すると陸遜の様子がおかしくなった。
「書物っていいものですね。読むと新しい知識が波のように押し寄せてきて、それが体の一番、深い所に体を喜ばす魅力ときたら、あ~!」
陸遜は興奮状態となって、モジモジしていた
「いえ、私は、そういうのとはちょっと違うんですけど・・・」
志乃は苦笑いしながら言うのだった。
そのころ、山の狩り場では吹雪と川内とアンチョビがシャオと一緒に狩りに出かけていた。案内役として、甘寧も一緒である
「しっ」
するとシャオ一行を止めた。そして、持参の可愛らしい弓を構え始めた。すると茂みから一羽の山鳥が現れた。そして、矢を放つと山鳥の心臓に当たり、墜落した
「「おおお・・・」」
「お見事です。尚香様・・・獲物は私が」
そういうと甘寧は獲物が落ちたほうへ行った
「頼むわ。甘寧・・・この前会った黄忠ほどじゃないけど弓にはちょっと自信があるのよね」
「まっ、その点に関しては認めてやるよ」
「ふっふ~ん。もっと褒めなさい」
「言ってろ!ガキ~」
「なんだかんだでなんか仲良くなってるな。川内と尚香の奴・・・・」
「そうだな。それより吹雪。前から気になってたがそれはいったいなんだ?例の天の国の武器なのか?」
「まあ、そんなものです。これは火薬が爆発する力で弾を飛ばし相手を貫通させるものだよ」
「ふ~ん・・・・なんかよくわからないけど。すごいものだということはわかった」
「あれ?そう言えば二人はどこに行ったんだ?」
吹雪は先ほどまで川内とシャオがいたところを見るが二人の姿はいなかった
「本当だ。どこに行っちゃったのかな~」
「アンチョビさん。俺は二人を探しに行ってきますよ」
「分かった。じゃあ、私は甘寧さんの所に行って山鳥を探すよ」
そう言い吹雪とアンチョビは分かれるのであったが、アンチョビは城のテラスでくつろいでいる孫策と周喩の姿得を見るのだった。
「さて・・・・2人はどこに行ったのかな?」
吹雪は二人を探しに森の中を探す。すると人気のない泉に足を踏み入れるのだった
「こんなところに泉が・・・・・ん?あれは・・・・孫権さん?」
吹雪が目にしたのは林の陰で、木にもたれていた孫権の姿だった。彼女の表情に何か迷いの心を感じた吹雪は彼女の所に行くのだった。
「はぁ……」
「どうかしましたか?」
「きゃっ!」
後ろから声が聞こえ、咄嗟に飛び退く。振り返ると、そこには女と見違えるくらいの顔をした一人の青年がいた。
「お、沖田殿……」
「すいません、驚かせちゃって」
「い、いや、お気になさらず。沖田殿はどうしてここへ?確かシャオたちと狩に行ってたのでは?」
「いや~途中ではぐれちゃって・・・・・で孫権さんこそ、なんでこんな人気のない場所にいるんですか?」
「ここはよく一人で考え事をするときに来るんですよ」
「なにか悩みでも?良ければ相談に乗りましょうか?いやだったら別にいいのですが・・・」
「いや、沖田殿の言う通り。今、私は悩んでいる。先代の王、孫堅。我らが母上の思いを受け継ぎ、姉様は戦いに身を投じ、この江東に覇を唱えんと、戦の日々を送っている。そして、孫家の名は広まった。だが・・・・」
そう言うと孫権は不安な顔をする
「しかし、最近は特に戦が続き、民は疲弊していき、この国がいつかは滅んでしまうのではないかと、私は心配なのだ」
「・・・・・」
「それだけではない。もし、姉上が亡くなられたら、私は姉上の務めを果たせるのか…」
そう言うと孫権は不安で腕をわなわな振るわせる。
「孫権さん・・・・不安がってはいけないよ」
「え?・・・・」
「確かにあなたの気持ちもわかります。ただ失敗を恐れては、前には進めないよ。別に失敗してもいい。人は失敗する生き物だ。大切なのはそこから何かを学ぶってことなんだよ」
「で、でも・・・・」
「あなたに足りないのは経験だよ。自信がないのなら、まずそれを積んでいけばいい話だ。あなたはまだこれからなんだぜ?孫権さん」
「沖田殿・・・・私は」
孫権が何か言いかけた時・・・・・
「孫権様!ここにいらっしゃたんですか!!」
そこへ、孫家の兵士の一人が急いでやって来た。その兵士は、孫権に耳打ちをする。
すると彼女の表情から血の気が引いて青ざめていく。
「姉様が!?」
孫権は兵士と共に、急いで城の方へと向かった。
「……何かあったみたいだな」
その場に取り残された吹雪は嫌な予感を感じた。
「周瑜!」
孫権は知らせを聞き急いで城に戻ると庭には周瑜と護衛兵達がいた
「孫権様……」
「姉様が襲われたって本当なの!?」
「残念ながら」
周瑜の様子を見て、孫権は言葉を失う。
「昼前、ここで寛いでいる時に、矢を射かけられて……」
「矢を?」
孫権は後ろを振り向く。そこは孫家が狩り場として利用している山だ。
「それで、姉様の容態は?」
「矢傷は浅いのですが、矢尻に毒が塗ってあって。傷口からすぐに毒を吸いだして、なんとか一命を取り留めたのですが、意識がいまだ戻られず……」
「そんな……姉様……」
吹雪はしばらくしてアンチョビたちと合流し、城に戻る。川内は肩に大きな猪を担いでいた。
「いや~大量、大量♪こんな大きい猪が執れたな。これも尚香が猪を追い詰めたおかげだぜ♪」
「でも、とどめを刺した張済の槍さばきも見事だったわ」
「そっか~そう言われると照れえるぜ。よし!今夜は猪鍋だな♪」
「本当にお前たち・・・・いつの間に仲良くなったんだ?」
「いや~なんか話しているとなんか気が合ってな」
「「ね~♪」」
本当に何があったんだ・・・・・
「は~まあいいか喧嘩しているよりましだし。それより吹雪の奴どこに行ったんだよ心配したんだぞ?」
「ああ・・・え~と・・・ちょっといろいろあってな」
「?‥‥、まあ、いいか」
するといきなり呉の兵士たちが取り囲み、そして剣や槍を向けた
「なっ!いきなりなにをするんだ!」
「沖田!張済!アンチョビ!お前達の身柄を拘束する」
「はぁ!?」
王間の中には孫権、甘寧、周瑜、川内、孫尚香、アンチョビそして手枷をかけられた沖田がいた。すると志乃が慌てて、入ってきた
「吹雪様!!一体何があったんですか!?」
今までのことを聞いた志乃は驚いた
「吹雪様が孫策さんを暗殺しようとした!?・・・何かの間違いです!!吹雪様がそんな事をするなんて、絶対あり得ません!!証拠は・・・証拠はあるのですか?」
志乃の問いに孫策たちの叔母である孫静は答えた
「証拠はない・・・」
「それならなぜ!?」
「確たる証拠はないが、孫策がいたところに矢を射かけるにはあの山の狩り場が絶好の場所なのだ!!孫策が矢を受けた正にその時、そんなところ素性も知らない旅の武芸者がいたのだ。疑われるのは当り前であろう」
孫静の推理に志乃は納得しなかった
「当たり前じゃありません!!たしか狩り場には御家中の方が案内役として付いていたのでは?」
「ついてはいたが、ずっと一緒だったのではないと甘寧は言っている」
「孫策さまが矢を受けられたと思しき頃、私は尚香さまが射かけた獲物を捕りに、沖田殿の下から離れました。その時アンチョビ殿は私の元にいました。」
「そうなのお姉ちゃん?」
「ああ、吹雪が川内たちがいないのに気付いてな。吹雪は二人を探すため私と別れたんだ」
「それで尚香さんはどこに・・」
「ちょうどその頃、シャオは張済と一緒に別の獲物を追っていて、吹雪には会ってないわ・・・」
孫尚香も申し訳なさそうに言った。すると孫権は
「叔母上、沖田殿はその時、私が泉にいるときに会いました。ですから姉上を襲った人物とは違うのでは・・・・」
孫権は必死に吹雪を庇おうとするが・・・・
「いいえ、孫権。もしかしたら、あなたに会う前に孫策を・・・・」
「しかし!伯母上!」
「そうだぜ!だからって吹雪を疑うのはおかしいぜ!」
「そうです。おかしいです!!そう言えば甘寧さん、貴方は獲物を拾いに行くために吹雪様たちのもとを離れたといいましたよね?」
「いかにもそう言ったが・・・」
「ということは、孫策さんが射られたとき、甘寧さんも山の狩り場にはお一人だったということですね」
「貴様・・・・・何が言いたいんだ」
甘寧の表情が変わり鋭い目つきで志乃を睨む
「なるほど、一人で行動した吹雪が怪しというのなら、同じく一人でいた甘寧さんも怪しいということか・・・」
アンチョビが納得するように言う
「な?!ふ、ふざけるな!?私は孫家に仕える身だぞ!!そんな私が孫策さまの暗殺をたくらむなど!!」
「孫家に仕える身だからこそじゃないんですか?毎日のように顔を合わせる主君と臣下であればこそ、日々の軋轢、考えの違い、利害の不一致・・・。相手を殺してやりたいと思う可能性は、孫家とは何の関わりの無い旅の武芸者より、ずっと高い筈。違いますか?」
「言わせておけば・・・この小娘が!?」
「志乃!!」
「司馬懿殿!!」
志乃の問いに完全に切れ、甘寧は兵士から剣を奪い取り振り下ろそうとするが・・・甘寧が志乃を斬りつけることはなかった。なぜなら・・・・
「・・・・・・・」
吹雪が放つ殺気で動けないからだ。吹雪の赤い目が反射しギラギラと光る。
「甘寧さん。その剣を降ろしてもらいたい」
吹雪が静かにそう言うが彼の一言一言が重く感じる
「ふざけるな!!この娘は私を侮辱した!武人をそこまで辱めてただで済むと思うなよ」
「ふざけるなはこっちのセリフだ!」
するとアンチョビさんが怒りの声を上げた
「それは吹雪も一緒だ!無実の罪で捕まって、吹雪も武人としての誇りを汚されてんだぞ!」
甘寧とアンチョビが睨み合う、その後ろで川内も甘寧をにらみつける。
「こ、このぉ……!」
甘寧がさらに剣を振り上げようとすると
「剣を捨てろっって言ってるんだよ甘寧。俺のことはいいが仲間に手を出す奴は容赦しないそ・・・・」
吹雪がさらに静かに言う。しかも少し力強く
「「「っ!!」」」
さらに殺気が強くなるその場の全員が動きを止める。そう、吹雪の殺気がまた大きくなったんだ。吹雪の姿はまさに仁王のごとくすさまじい気を放っていた。
甘寧はこの時、腹の底から凍るような冷たさを感じるのだった。
「そこまでだ!」
と周瑜の声が響いた
「孫静様。どうやら彼は無実みたいです。」
「どうやらそのようだな・・・・・すまぬことをした。孫権。手錠を外してやりなさい」
「はい、伯母上」
そう言い孫権は手錠の鍵を持ち、手錠を外すのだった。
「沖田殿、すまなかった」
「いえ、わかっていただければ・・・それで・・・」
すると安心したのか志乃は腰を抜かしてしまうのだった。
「うわああ!?大丈夫ですか?司馬懿さん」
「いえ大丈夫です。少し腰が抜けただけですから」
そう言う志乃であった
「さっきは悪かったな。殺気をぶつけて・・・」
「・・・・・・・・・・(あいつはなんだ。なんであんな優男にあんな殺気が出せるんだ。)」
甘寧は吹雪をにらみつけそのまま去っていった。だがその手はプルプルと震えているのだった。そうあの時甘寧は吹雪に睨まれて動くことができなかったのだ。手錠で自由が利かなくなっても、吹雪の殺気に自分は恐れを感じていたと甘寧はそう思っていたのである。
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