真・恋姫†夢想~三国無双の血を引くもの~   作:疾風海軍陸戦隊

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アンチョビさんの決意

「本当に申し訳ない吹雪!!ほらお前らも謝れ!!」

 

「すみませんでした」

 

「「すいません・・・・」」

 

と、店の中でアンチョビさんが頭を下げると先ほどの金髪の女性やほかのローマ人の女性も頭を下げる。特に先ほど桜花と喧嘩しそうになっていた二人はあの後、事情を詳しく聞いたアンチョビさんにこってり叱られたためである。

 

「いや、良いんだよアンチョビさん。店の人もお金払ってもらったからいいって言っているし。それにしてもこの人たちがアンチョビさんの仲間だったなんて・・・・」

 

「はい。始めまして私はカルネチア・マルチィ。ユリウス隊長の補佐をしていたものです。気軽にカルパッチョと呼んでください。で、後ろにいるのが仲間のアマレットとパネトーネとジェラートです」

 

と、丁寧にあいさつをするカルパッチョさん。因みに俺は今ラテン語で話している。またわからない単語があったらアンチョビさんが通訳をしてくれていた。因みに桜花は表で警護している。

 

「それにしてもまさかここでお前たちに会えるなんてな~お前たち元気でよかったよ」

 

「はい。私もユリウス隊長に会えるなんて感激です」

 

と、アンチョビさんが嬉しそうにそう言う。まあ久しぶりに仲間に会えたんだからそれはそうだろ

 

「・・・・・で、カルパッチョ。なんでお前たちはこの街に来たんだ?それ以前にほかの仲間はどうした?」

 

と、そう言うとカルパッチョさんは暗い顔をし

 

「わかりません・・・・・あの奇襲攻撃の後、私たちはユリウス隊長とはぐれ散り散りになりました。生き残った私の部隊は食料も尽き欠けていたのですぐにローマへと戻ったのですが、その後、生きて戻った部隊は私たちだけでした・・・・・・」

 

「そうか・・・・・やっぱりか・・・・やっぱり私のミスだな。私があの時、敵に襲撃される可能性があったのに平原を歩くなんて言い出したから・・・・・」

 

「そんな!ユリウス隊長のせいじゃありません!」

 

「そうですよ!あの時は私たちがアンチョビさんが反対しようとしたときに無理に言って決断させたのが原因っす!!」

 

「そうですよ!」

 

「カルパッチョ・・・・・すまないな」

 

と、カルパッチョさんたちがそう言う。アンチョビさんて昔から部下とかに慕われているんだな・・・・・これは俺の出る幕はないな

 

「じゃあ、アンチョビさん。俺は警邏に戻るよ。アンチョビさんはゆっくり仲間の人と話しててよ。積もる話もあるだろ?」

 

「ああ、吹雪もすまないな」

 

「じゃあ・・・・・桜花。ここはアンチョビさんに任せよう」

 

「はいっす」

 

そう言い俺は桜花を連れて店を出るのであった。

 

「あ、あのユリウス隊長。あの少年は・・・・・」

 

「ん?ああ、吹雪か?この街の役人の隊長で私の上官かな?」

 

と、そう言うとパネトーネが

 

「あのガキが隊長の上司!?」

 

「ふざけやがって~あんな弱そうなやつがアンチョビ様の上司だと!?」

 

「納得いかないっす!」

 

と、三人がそう言うとアンチョビが

 

「まあ、まあ、アマレット、パネトーネ。ジェラート落ち着けって、あいつは結構強いぞ。私よりも強いなあいつは」

 

「ユリウス隊長よりもですか?でも隊長はローマで『ローマの閃光』と呼ばれるほどの剣士じゃないですか」

 

「まあな。だが世界はローマよりも広し。私よりも強い剣士はこの大陸、いやこの国にたくさんいた。所詮私の剣の強さも井の中の蛙だたな・・・・」

 

と、アンチョビはお茶を飲んでそう言うそして

 

「・・・・・で、カルパッチョ。お前らここへ何しに来たんだ?観光目的でもましてや私を探しに来たんじゃないよな?」

 

と、少し鋭い目つきでそう言うとカルパッチョたちの顔色が変わる。そして

 

「な、いきなり何を言っているんですか隊長。私たちはただ単に旅をしていただけですよ?」

 

「ローマ軍団の甲冑を着てか?」

 

「そ、それは・・・・・」

 

「カルパッチョ。お前・・・・帝国からの斥候だな?」

 

「っ!?」

 

「カルパッチョ。私を甘く見るな、今はここの警邏の小隊長だが、ローマでは貴族の娘であり百人隊長を務めた身だ。大方、帝国の連中はまだここを取ることを諦めておらず、そこで現地調査としてお前たちを送った。違うか?」

 

と、そう言うと4人は黙ってしまう。どうやら図星のようだ。するとカルパッチョは

 

「・・・・・はい。実はそうなんです。私たちはアンチョビ様の救出でも、ましては観光目的で来たのではありません。ここを侵略する目的で帝国の命を受けて現地調査に来た間諜なんです」

 

「カルパッチョさん!」

 

「いいんだ、ジェラート。そうか・・・やっぱり諦めていなかったのか帝国は・・・・」

 

「はい」

 

と、カルパッチョは返事をしアンチョビは複雑そうな顔をする。アンチョビにとってこの国はもう一つの故郷のような感じがあったからだ。そして何よりもこの国に住む人たちのことを考えると・・・・・

 

「ユリウス隊長・・・・・・ローマに戻りませんか?」

 

「なに?」

 

「私たちは明日、ここから発ってローマに戻る予定です。その時に私たちと一緒に帰りましょう。隊長の両親も心配しています」

 

「そうですよ隊長、一緒にローマに帰りましょう」

 

「「隊長!!」」

 

と、そう言う中アンチョビはただ黙って目をつむっていた。そして・・・・

 

「わたしはローマには・・・・・・・・・・・帰らない」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

アンチョビの言葉に三人は目を丸くするそしてこう伝えた

 

「そして祖国に伝えろ。自分たちが侵略しようとしている場所は人も街も森もないただの砂漠だけの不毛の地だとな」

 

「どうしてですかアンチョビ様!?」

 

「そうですよ!!」

 

と、アマレットやジェラートがそう言いとカルパッチョが

 

「なぜですか隊長?あなたは祖国へ帰りたくはないんですか!?祖国にはあなたの両親や弟がいるんですよ!?」

 

「ああ、帰りたいさ。だけどそれは今ではない。私にはまだやることがあるからな」

 

「ですが!・・・それに先ほどの発言は・・・・・」

 

「そのまんまの意味だカルパッチョ。お前たちにはこの街を見てどう思う?この国、いや大陸は内乱が起きてはいるが私たちの国に負けず劣らず…いや、それ以上の笑顔が溢れている。そんな国を侵略するなんてもってのほかだ。昔の私ならここを攻略する計画を立てて祖国へ戻っただろう。だけど、今の私にはそれはできない。ここには大切なものが出来すぎたからな・・・・・・」

 

「隊長・・・・・わかりました。祖国にはそう伝えておきます」

 

「カルパッチョさん!?」

 

「パネトーネ。あなたもこの街を見てどう思った?」

 

「それは・・・・・平和な街だと思いました」

 

「そう、平和な街・・・・・こんな町わが祖国ローマでもなかなか見ないわ。ユリウス隊長の言う通りこの国を侵略するなんて間違っていると思うわ」

 

「それはそうすっけど・・・・・でも、帝国の軍部の連中納得しないと思いますよ?」

 

「納得させるしかないわ。幸い私のおじは穏健派の元老院だし、それにさっきのアンチョビ様の言った言葉を言えば・・・上手くいくはずよ」

 

「それはそうですけど・・・・・でも隊長と別れるなんて嫌ですよ。せっかく会えたのに・・・・」

 

「私だってお前たちと別れるのは寂しいさ。だがこれが今生の別れではない。私はいずれお前たちのもとに帰るささ・・・・あ、そうだ。ローマに帰る前にこれ食べてけ」

 

と、そう言いアンチョビは店の店主に何か言うと店主は頷いて厨房に入る

 

「あ、あのユリウス隊長、いったい何を?」

 

「まあ、待っていればわかるって」

 

とそう言いしばらくすると店の主人が

 

「お待ち同様。なぽりたんできたよアンチョビさん。いつも警邏ご苦労様」

 

「ああ、店主もご苦労さん」

 

アンチョビは店主に礼を言うと店主は作業場に戻った

 

「あ、あのユリウス隊長、これは?」

 

「パスタっぽいですけど・・・・・これ茹でてありませんか?普通パスタって焼くものじゃないですか?」

 

「まあ、ローマじゃそうなんだけどな。これはその今までのパスタの常識を覆すパスタ料理さ、さあ、食べてみろ」

そう言われ4人は恐る恐るナポリタンを食べる。そして・・・・

 

「これは・・・・・!?」

 

「う、美味いです!!」

 

「こんなおいしいパスタ食べたことねえぜ!!」

 

「そうか!お前たちにもこのパスタの素晴らしさがわかったか!」

 

と、感激の声を漏らしアンチョビが嬉しそうな顔をする。するとカルパッチョが

 

「あ、あの・・・・ユリウス隊長。このパスタの味、祖国へ持ち帰ってもいいでしょうか?」

 

「ああ、もちろんだ!むしろぜひそうしてくれ!ローマを武力による力ではなく料理や文化などで全世界にしらしらめてくれ。頼むぞカルパッチョ」

 

「はっ!」

 

「お前たちもカルパッチョをしっかり支えてくれ」

 

「「「わかりました」」」

 

と、その後、アンチョビとカルパチョたちはナポリタンの味を堪能するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか・・・・・帰ってしまうのか」

 

「はい。私たちはまだ旅の途中でして・・・・・」

 

と、その後カルパッチョたちは旅支度を整え、西門の前にいたそして西門にはアンチョビの他、吹雪が見送りに来ていた

 

「そうか・・・・・気を付けてな」

 

「はい。それと沖田さんでしたっけ?」

 

「はい」

 

俺がそう返事するとカルパッチョさんが吹雪に近づき

 

「ユリウス隊長のことお願いします」

 

と、そう言うと吹雪はふふっと笑い

 

「ああ、任せてくれアンチョビさんは俺たちの大事な家族だからな」

 

と、そう言うとカルパッチョは安心したような顔をし、そして吹雪たちに頭を下げると仲間である三人を連れて長安を去るのであった。そして

 

「いいのかアンチョビさん。仲間と一緒に行かなくて?」

 

そう訊くとアンチョビさんはふっと笑い

 

「ああ、まだ私にはやることがあるからな。祖国に帰るのはそれが終わってからだ。・・・・・さて、吹雪、そろそろ戻ろうか」

 

「あ、ああ・・・そうだな」

 

と、そう言い二人は街へと戻るのであった。一方、カルパッチョたちは無事にローマにもどり、先ほどアンチョビが言った言葉を元老院や皇帝に報告すると、時の皇帝はその報告を信じ漢侵攻を取りやめるのであった。因みになんだがカルパッチョたちはアンチョビが紹介したナポリタンスパゲッティを広め、ローマで大流行するのはまた、別の話・・・・・・

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