Fate/the weak〜黒髭に愛されし少女〜(一時凍結) 作:道成寺 安珍
「ん? どうした? マスター」
「清姫に聖杯使いたいんだが、使おうか使うまぁかで悩んでる⋯⋯気持ちとしては使いたいんだが⋯⋯いざ使おうとすると、Lv100までの個数から考えて、別のサーヴァントに使った方が効率的ではとな⋯⋯」
「マスター⋯⋯」
「はぁこれは清姫には内緒な」
「⋯⋯」(それはストーカーのスキルでもうバレてると思うのだが)
最近、色々試して見たんですが……私はほとんどの魔術が使えませんでした。
と言うのも私の虚弱の起源が原因で発動に持ち込めず……もうこの起源呪いの様に思えてきました。
とまあ最終的に思考錯誤で出来たのが、対象を弱体化させるなんちゃって呪術でした。
いや……海賊業で襲った船の船員で試しに転換の魔術を使って、自身の魔力を相手に転換させてみたら……虚弱が同化され相手が弱体化する事が分かりました。
それで試しに魔力の量を思いっきり増やして転換してみたら……死にました。
しかも肉体が腐食して一気に腐乱死体に……今後から魔力量を調整する必要がありますね……
そして、現在何をしてるかと言いますと、港に来ています。
海賊は略奪して生活をしてますが、毎日船に出会える訳でも無い為、当然物質の補給や一時の休息の為に陸に上がる必要もある訳です。
それで今、黒髭さんはと言うと……娼婦とかの女性に集られています。
「おいおい可愛いお嬢ちゃんがいるってのに船長は……お嬢ちゃん?」
「どうかしましたか?」
「……あ、いや……何でもねぇよハハ」
「そうですか、それでは次の買い物がありますので……」
黒髭さんがあぁいった女性に興味が無いのは知っているのです。
ですが⋯⋯それでも黒髭さんに他の女性の方が寄り付く所を見ていると、何故か嫌な気分になります。
私は取り敢えず物質の調達に足を運びました。
「……船長も罪作りだなぁ…………」
──────ーーーーーーーーー・・・
「ふう……何とか買い物も終わりました」
そして私はそのまま帰路につこうとすると、目の前では相変わらず絡まれてる黒髭さんがいました。
「はぁ⋯⋯仕方がないですね」
私は黒髭さんに駆け寄ります。
「ん?」
「お父さん! 私買い物してきたよ!」
私のいきなりのお父さん発言に、黒髭さんは驚いてますね。
ハッキリ言ってしてやったりざまぁみろです。
私はその後、隣にいる女の人に顔を向けるとキョトンとした顔でそのまま首を傾げてみせた後、再び黒髭さんの方に顔を向ける。
「ねぇお父さん⋯⋯このお姉ちゃんはだぁれ?」
「あ、いやその⋯⋯」
黒髭さんは気まずそうな顔をします。
「まぁいいや! それよりお父さん一緒に帰ろ!」
「あ、あぁそうだな」
黒髭さんは何故か気まずそうに苦笑いを浮かべます、私はそんな黒髭さんを見た後、すぐさま隣の女の人に向き直る。
「それじゃお姉ちゃんもバイバイ」
「え、えぇ⋯⋯」
そして私は黒髭さんの手を取り、そのまま宿に向かうのだった。
「⋯⋯な、なぁ」
「⋯⋯どうしたの、お父さん?」
ふふっ困ってますねまぁこれ位にしときますか。
「フフッ冗談です」
「⋯⋯はぁ⋯⋯それで何であんな事をしたんだ?」
黒髭さんは私を睨んできます。その目を見た後私は俯いてしまいました。
「⋯⋯私は黒髭さんが他の女性と一緒にいる所を見てたら、黒髭さんが私から離れていく気がして⋯⋯勝手な事でしたねごめんなさい」
何でこんな事を言ってしまったのか自分でも分かりませんでした。
ても黒髭さんに嫌われたくないそう思ってしまい気付いたら自分が恐怖から震えていました。
「はぁ⋯⋯お前馬鹿だろ?」
「────っ! 黒髭⋯⋯さん?」
「俺は海賊だ欲しいもんは全て手に入れる略奪こそ海賊のやり方よ!」
そう言うと黒髭さんは私の頭に手を乗せて撫でてくる。
「そんでもって。俺の目の前に掛け替えの無い財宝があるっちゃあ奪わねぇてはねぇ⋯⋯なぁお嬢さん」
そして黒髭さんは私を見てニヤリと笑った。
「俺の女になってくれや」
「───っ!?」
そう……それは告白だった。
私に対しての黒髭さんからの告白。
「⋯⋯私は病弱で多分これからも黒髭さんに迷惑をかけますよ?」
「は! 今更お前には散々迷惑かけられてんだそんなの気にしねえよ」
「⋯⋯私は嫉妬深いですよ? 今回だって黒髭さんの傍に他の女がいただけで、嫉妬しちゃいましたし⋯⋯」
「嫉妬深いだぁ? だからどうした! むしろ無関心なんかよりはずっとましだぜ」
「私は⋯⋯元は奴隷でしたから、多分その事で黒髭さんに色々と言われますよ?」
「奴隷だろうが神様だろうが関係ねぇよ! 俺はてめぇが欲しいんだ! てめえを馬鹿にするなんざぁ俺がみんなとっちめてやらぁ!」
私は黒髭さんに色々と問いかけました。ですが黒髭さんはそれらを容易く言いのけてしまいます。
「そんで、お前はどうなんだ? 俺の女にならるのからねぇのか?」
そして黒髭さんは私に再度問いかけて来ます。私は思案します。
最初はただ自分の生存の為でした。
ですが私に気を使ってくれる黒髭さんには、嬉しい思いました。
贈り物を渡した時も、黒髭さんが受け取ってくれた時は感動すらしました。
私が病気で倒れた時も、黒髭さんは心配してくれて、喜んでいました。
今日だって黒髭さんが他の女性と一緒にいる所を見て、嫌だなと嫉妬してしまいました。
⋯⋯あぁそうかもう既に分かってたんじゃないですか。
だけど怖くて気付かない振りして⋯⋯だから私も黒髭さんにイイエ、エドワードさんに伝えないと、そしてこの気持ちに向き合おう。
私はそう決意すると黒髭さんと目を合わせます。
そして私なりの答えを伝えます。
「はい⋯⋯私で良ければ傍にいさせてください」